「いやーー!! やめて!! とうま、助けてーー!! …私の…。大切なもの…奪わないで……」
インデックスは上条当麻の部屋の中、ベッドの上で苦しそうにもがいている。
いつの間にか手足は縛られたようで、動かない手足を懸命にジタバタさせていた。
とてもではないが、力のないインデックスにどうこうできるような代物ではない。
赤い紐で身体中を縛られ、もがく仕草は上条の黒い欲望を高ぶらせる。
苦しそうな表情をして潤んだ瞳で見詰められると、どうしようもなく虐めたくなってしまった。
上条の眼の奥が光り、インデックスへ日頃の恨みを晴らすように蔑むような視線を向けている。
「この上条さんがいつもどんな思いをしているか味わうがいい!!」
「いやーー!! やめて!! それだけは……。お願いっ、とうま!!」
目の前に用意した大量の朝食をこれ見よがしに見せつけた後、インデックスの口の前まで持ってきて自分の口に運ぶ。
もぐもぐと口を動かすとインデックスの瞳に溜まった涙がツーーっと滴り落ちた。
どんどんと上条の口の中に朝食が詰め込まれていく。
テーブルいっぱいに広がった食べ物は吸い込まれるように上条の腹の中に納められ、
インデックスの顔が歪みきった時にはもうすべてが無くなっていた。
「…そ、そんな……。とうまぁ……私の……私の……」
「ふぅ、喰った喰った。いやー上手かったなー」
「と、とうまが、そんな、人だったなんて……」
「どうだ、インデックス。上条さんがいつも味わっている悲しい思いを理解しましたかー?」
「……うぅぅうぅうぅ………」
上条は無言で立ち上がり、朝食の後片付けを始める。
キッチンに用意してあったインデックス用の朝食を持ってくると、さっきまで泣いていたインデックスの顔がパァッと輝いた。
上条が縄を解くと同時に噛み付かれないよう構えるが、インデックスの瞳には朝食しか映っていない。
がっつくように朝食を喰い散らかしたインデックスはお腹の上に手を置き、
少し休憩を入れ一息ついた後、上条を睨んだ。
「とうま、これはどういうこと!?」
「いやぁ、なんというか。出来心かな…?」
顔を背けながら答えた上条の顔は汗が流れるように滴り落ちていた。