学園都市の夜
人口の八割以上が学生であるこの街では、活動する人間は少ない
そんな中、ビルの屋上で夜風に吹かれているのは、建宮斎字
新生天草式十字清教の一員である
遥か地上を眺める彼は、神経を張り巡らせているようだ
そんなとき、ピクンと反応して素早く振り返る
「誰なのよな」
「さすがだにゃー」
そこいにるのは金髪サングラスにアロハシャツの土御門元春である
珍しく建宮はいきなり武器であるフランベルジュに手をかける
何故なら、一見やる気が無いように見えて、全く隙がないのだ
これはプロのそれだと
緊迫した空気が漂う中、土御門は口調を真剣なものにする
「安心しろ。俺はアンタに話したいことがあるだけだ」
確かに殺気はないと、剣から手を離す
「名前も名乗らないで信用しろと言うのが無理な話なのよな」
「それもそうだ。俺は土御門元春。知ってるはずだがな」
それを聞いた建宮は顔を怪訝なものにする
「土御門?」
少し考え、目を見開く
「まさか!!貴方が!」
その驚きの声に、土御門はニヤリと笑う
「そうだ。俺がおまえらのリーダーこと神裂火織に『堕天使エロメイド』着せた張本人なのだ」
建宮は言葉を失う
そして、崇めるような目で土御門を見ている
「神よ・・・」
それは建宮の心の底から出た言葉だった
そして土御門は本題に入る「知ってるとは思うが、俺はスパイだ。で、スパイってのは情報が命」
そこで、と勿体振って
「天草式が手に入れた情報を俺に回して欲しい」
建宮は顔を真剣なものに変え
「それは俺に天草式を売れってことか?」
「違う。ただ、お前が伝えていいと判断したものだけでいい。」
「えらく条件が簡単なのよな。」
建宮はなにか裏があると読む
「なに、気にすることじゃない。信用できる情報ってだけで貴重なんだ。こちとら情報源が信用ならないやつでな」
そう言いながら、土御門は窓のないビルの方へ目をやる
つまりは建宮の情報を保険にしようとしているのだ
「じゃあそっちはどんなことをしてくれるのよ」
土御門のサングラスがキラーンと光る
「堕天使エロメイドVS大精霊チラメイド」
強い風が吹いた
その言葉はそれほど強大だったのかもしれない
もはや建宮に断る理由はない
地面に片膝をつき、
「神よ!我らが拠点へご案内致します」
(大成功だにゃー!五和って子がどんな子かは知らないけど♪)
しかし土御門は知らなかった
これから辿る運命を