パンパンパンパンパン……。
「い…つ……わ……。もう、やめ……っ!」
「まだ、三回ですよっ……。それに、こんなに元気が良いのにやめていいんですか?」
「ああ……っ!」
「んっ……!―――ふう。薬の効果は抜群みたいですね……」
(何の音かしら)
夜の公園で奇妙な音が響いている。
御坂美琴は公園内の自販機に向かって進んでいたのだが、
何となくその音が気になって音源を探していた。
―――発見。
薄闇の芝生の上で、二人の人影が見えた。
手近な木に隠れて、様子を窺う。
人影の一つは、少年だ。
仰向けになったまま動かない。
美琴は彼の左側面から離れて見ているため、右を向いている少年の顔は見えない。
一人は少女だ。
膝立ちのまま少年と向かい合っている。顔は見えない。
自分より年上だろう。十代後半、高校生だろうか?
少女が、少年に覆いかぶさった。
そのとき、、少年が左へ顔を向けた。その顔がはっきりと見えた。
「……っ!?」
(あ、あいつ何されてるの?)
「ちょっと擦るだけでこんなに漏れてます……。学園都市のお薬ってすごいですね。
気持ち良過ぎて動けないのが問題ですね。私にして貰えないのが残念です。
ああ、舐めても舐めても、溢れてくる……。とっても、美味しいです―――あは……っ!」
薬。動けない。そして一方的に、あいつを犯している、オンナがいる。
そう認識するのに時間はかからなかった。
頭の中で、何かが弾け飛んだ。
青白い火花が前髪から散り出す。
いつの間にか右手がメダルを握っていて、親指がそれを弾いていた。
オレンジ色のレーザーが少女の数メートル後方を駆け抜けると、
衝撃波が彼女を派手に吹き飛ばした。
美琴はどこへ飛ばされたのか確認しなかった。
枝を折る音が聞こえたので、どこかの木に引っ掛かっているかもしれない。
少年も軽く吹き飛ばされた後、固い地面に叩きつけられて芝生の上を転がった。
美琴は軽く息を吐いてから、少年に向かって歩き出す。
事情は聴くが、内容次第ではとある一部分に雷が落ちるだろう。
続……いた方がいいかな?