夕日が地に沈んで見えなくなる頃。
少女は自分の部屋に帰った。
そこは、とある女子寮の一室。
視界が切り替わると同時に、目の前に飛び込んでくるのは重なり合う二人。
しかし聞こえてくる声は止まない。
何故なら、テレポートで飛んできた少女に気付かないからだ。
「あッ!あッ!あッ!」
リズミカルな肉音に合わせるかの様に、声が聞こえてくる。
少女に思考が戻るのは速かった。
瞬間、洗面所へと移動し、悲哀に満ちる。
(お姉様・・・)
男に対する怒りよりも、悲しみの方が大きかった。
ドアで仕切ろうとも、いやらしい声は漏れ聞こえてくる。
ドアを背に俯く少女は、どこか耐えている様にも見えた。
悶えるお姉様、喘ぐお姉様、潤むお姉様。
それを見たい。
しかしそれを見れば、男の存在を肯定することにもなる。
怒鳴って追い返せばいいだけのことなのだから。
何より自分の姿を見せるだけで、今起きていることは止まるかも知れない。
しかし・・・出来なかった。
これもお姉様のため、などという言い訳も出てくる。
誘惑に負けた理性は少女を動かし、愛し合う二人をこっそりと。
(あぁ・・・お姉様・・・あんなになって・・・)
見えているのはめちゃくちゃにされている想い人。
それは寂しさを通り越して、切なさを揺り起こす。
完璧なる彼女を虜にする殿方の・・・。
想像で疼く場所に手が伸びる。
(ダメ・・・ですわ!こんなこと・・・)
もはや理性の歯止めなど何の意味もなさない。
否定と拒絶を心で言い聞かせても、脳が抑制を退ける。
(んッ!手がッ!)
彼女の喘ぎ声に合わせて指を動かし、快楽を貪る。
言い換えれば、男の動きに合わせているわけでもある。
普段なら屈辱的な状況。
それに感じる自分に軽蔑する。
(わたくしはマゾ・・・でしたのね)
少女は起きていることを否定できず、認めてしまう。
だからそれが行為を続ける理由として、自己完結してしまった。
それに準じ、僅かにでも働いていた抑制の心は折れる。
掻き回す指は激しさを増し、想像は好き放題に膨れ上がる。
身体はもう形振り構わぬ程に悶えていた。
(き、気持ちイイ!)
辛うじて声を殺すも、結局はそれだけ。
少女に残されたプライドは独りでに崩れていったのであった。
もう何回イッただろうか。
ほとんど方針状態の少女は何も考えられない。
快楽を得るのは勿論だが、一方で切なさを紛らわせるためでもあった。
既に男が襲ってきても身を委ねる程に、ガードは無くなっている。
ちょうど彼女も疲れて寝ている。
(あぁ・・・欲しい・・・ですわ)
男のアレを見て不覚にも反応してしまう。
もう能力は使えない。
こんな頭で演算することなどできない。
彼の元へは歩くしか無かった。
しかし歩くどころか立つことさえままならない。
しかも無駄なプライドまで邪魔してくる。
チャンスは今しか無いのに。
(もう・・・どうなっても・・・)
覚悟と共に部屋の影から踏み出す。
重たい一歩だった。
震える足に呼応するように、声まで震えてくる。
「あ、あの・・・」
今頃と言うしか無いが、男も少女の存在に気付く。
「し、白井!?いつからそこに!?」
「お姉様と・・・か、重なり合っているときから・・・」
言いながら彼に歩み寄る。
上条はそれに戦慄を走らせる。
まず、白井の能力とは相性が悪いのだ。
「いや違うんだ!これは御坂がしようって・・・」
しかし歩みは止まらない。
「そりゃヤッたのは俺の意思でもありますが・・・ってすいませんでしたー!」
両者の間が一メートルとなったとき、少女は動きを止める。
目を固く閉じる彼にそっと・・・。
「よかったら・・・わたくしも・・・」
「んんッ!あッ!」
(声がでかいって!御坂が起きるぞ)
乳首をつまみながら彼は言う。
(そ、そんなこと、んッ!言われてもッ!)
コソコソとした卑猥な声は、何処とも知れぬ所から聞こえてくる。
そこは暗く狭い場所。
愛する人が寝返りを打つ度、軋む音が緊張を走らせる。
そんな極限状態が、少女にさらなる快感を与えていた。
感じても跳ね上がれない束縛、出せない声。
それに必死に耐えようとする健気な少女。
しかし、自分で開発してしまった乳首やアソコが敏感に反応してしまう。
もう濡れに濡れていることを否定できない。
こんなにも悶え、感じる自分が恥ずかしい。
こんな状態で入れられたらどうなるのか。
戦慄走る恐怖だった。
今でも頭にちらつく男のアレ。
(あんなの・・・入れられたら・・・)
小刻みに震える少女は考える。
思考をすればするほど焦燥に駆られ、敏感な場所へと意識が赴く。
瞬間、彼が乳首を吸う。
んはぁッ!と反応している最中に、アソコにも追撃をかけられる。
狭い場所で股を開かせられいるため、閉じることもできない。
指であったことが幸いと言うしかなく、声は我慢できたようだ。
しかしすんなりと受け入れ、卑猥な水音を鳴らせながら掻き回される。
自分でするのとは次元の違う快感。
(んふッ!んんッ!あああッ!)
手で口を押さえながら、必死に声を殺す。
だが限界だった。
指のペースを上げられた瞬間、声が出かける。
さらに激しくされたら確実に声が出る。
少女は彼に言う。
(待ってくださ・・・)
その瞬間、男のモノが突き刺さった。
「ああッ!!」
一際大きな声と共に、身体が跳ね上がる。
限界な上、手も離した状態での不意打ち。
出てしまった声で、少女は吹っ切れてしまった。
今ある快感を貪りたい。
「ああッ!んあッ!ああああッ!」
少女の枷は外れた。
「あッ!あッ!もっとぉ!」
口からはよだれが垂れ、だらしの無い顔でねだる。
「あんッ!すごいぃ!これがお姉様に入ったモノッ!」
少女はもう何も考えられなかった。
(お姉様ぁッ!ご、めん・・な・・ぃ!わ・・・くし・・・もう)
「あああああああッ!!」
そんな叫びと共に、少女の目の前は真っ白になったのであった。