□ver.五和
「なにい! それは本当か!」
突然携帯電話に向かって叫び声をあげた土御門を見て、神裂火織は少しだけ目を細めた。
学園都市に魔術師が侵入したらしいという報告を受け、所用で日本にいた神裂が
ここに呼ばれた。今は報告と情報の確認を行っていたところだ。
土御門の声は常のどこか緊張感に欠けるものではない、真剣極まりないものだ。
サングラスの奥にかすかに覗く眼差しも、殺気立っているとすら言えた。
「な、なんてことだ……それは学園都市、いや、この世界はじまって以来の
大危機だぜい!」
「土御門、どうしたのです」
ギリ、と音が鳴るほど強く携帯電話を握りしめて、土御門は顔面蒼白で言った。
「カミやんが――誰かれ構わず襲いかかっているらしい……!」
「……は?」
「なんだその適当な反応は! カミやんが誰かれ構わずだぞ!? この危険性が
理解できないのか! あの男が――ついに本気になったんだぞ!」
「な、何を言っているのですか。その件と魔術師と何の関係が……」
「そんなもの後回しだ!」
断言すると、土御門は走り出した。扉を開けたところでピタリととまり、神裂に
指をつきつける。
「ねーちんはここにいてくれ。もしもの時のために」
「も、もしも?」
上条当麻が女性を襲うという事態の、どこにどんな『もしも』があるというのだろう。
土御門は大きく吐息をつくと、きっ、と神裂を睨みつけた。
「いいかねーちん……これは戦いなんだ。メインヒロインを決める戦争だにゃ――!」
それだけ言い残すと、土御門は今度こそ扉の向こうに駆け出していった。
呆然とその背を見送ってから、神裂が小さく吐息を漏らす。
「全く……今はそれどころではないというのに」
学園都市に素性や目的が知れない魔術師がいるのだから、もう少し緊迫しても
よさそうなものだ。扉を見てもう一度ため息をついた神裂は、土御門の言葉を無視して
部屋を出ようとした。
が、それより早くバアン! と勢いよく扉が開かれた。伸ばした手を引っ込めて、
神裂は予想外の人物が現れたことに目を丸くした。
「五和……?」
ショートボブを揺らしてぜえぜえと息を切らしているのは、天草式十字凄教の五和だ。
全身汗だくで、ここまで全力疾走してきたのだと知れる。
「どうしたのですか、こんなところに」
「こっ……こっ……」
「こ?」
五和はギッと見たこともない目つきで神裂を睨みつけると、搾り出すような声で言った。
「これはきっと、最初で最後、人生唯一のチャンスなんです……ッ!」
五和が神裂を睨むという異常事態に、思わず足が引けてしまう。
背中から立ち上る真っ赤なオーラを幻視して、神裂は目をこすった。
「チャンスというのは……」
「あの人が――自分から――相手を選ばず――こんな好機はっ、もうっ……
きっと今しかない!」
「……」
ぐらり、と視界が揺れるのを神裂は自覚した。
これはなんの話だ。いったいどうなっているのだ。まさか五和までもが上条当麻の
色狂いに学園都市の危機を忘れているのだろうか。
「落ち着きなさい、今はそれどころでは」
「今でなく、いつ戦うっていうんですか!」
戦う時は今かもしれないが、戦う相手が間違っている。神裂は頭を抱えたくなった。
「わかりました、それでは貴方は上条当麻の確保に向かってください。私は」
魔術師の捜索に向かいます、と言おうとして、神裂はピタリと動きを止めた。
息を切らせる五和の奥、開いた扉の向こう、真っ赤な目をした上条当麻が立っていたのだ。
「……? はっ!」
汗を飛び散らせて五和が振り向く。隠れ巨乳と評される豊かな胸が、ぶるるんと震えた。
上条当麻の眼がギラリときらめく。まるで自ら光を発しているような錯覚さえ覚える、
それは鬼気迫る眼光だった。
「おおおおおおっぱいいいいい!」
常人とは思えない足運びで五和の眼前に飛び出すと、当麻は豊満なふたつの膨らみに
顔面をうずめた。反動でぽよんと乳がゆれ、五和が小さく声をあげる。
「ふむおおおお!」
顔をこすりつけながら叫ぶ当麻を見て、神裂はあわてて七天七刀に手をかけた。
眼前での暴挙、見逃すわけにはいかない。
「い、いいんです!」
だが、今にも七閃を解き放とうとした神裂に、五和が制止の声をかけた。指を止めた
神裂の前で、五和の両手がゆっくりと自分の胸へと寄せられる。
「んっ……」
そうしてそのまま、両の手のひらが巨大なふくらみを中央へと寄せた。
極上のクッションのような、柔らかすぎる双球にはさまれて、当麻がまた叫び声をあげた。
「いいん、です、女……教皇様。こっれ……は、私の望んだこと……ですからっ」
「い、五和……」
息を乱してそう言う五和に感激したように、当麻がくぐもった声をあげた。
顔を左右に振り乱しながら、両手をワキワキと蠢かせる。
当麻の顔をはさみこんでいた五和は、胸元にひらめく感覚にビクリと背を震わせた。
前合わせのシャツ、そのボタンに、当麻が噛み付いたのだ。
「あっ……」
プチン、と小さな音を立ててボタンは噛み千切られた。ほんの少し頭をさげて、
もうひとつ。更にひとつ。シャツの下には何もつけていない。汗の光る肌があるだけだ。
「ふむぅ……」
開かれたシャツに鼻をもぐりこませて、当麻はこれみよがしに鼻をひくつかせた。
ここまで全力で走ってきた五和は、顔を真っ赤にして動きを止めてしまう。
その硬直を待っていたように、
「ふわぁっ!?」
当麻の手が、ジーンズに守られた尻をわしづかみにした。尻をふたつに分けるように
外側に引っ張り、ひとつにまとめるように内側へ押しつける。捏ね回すような動きに
耐え切れず、五和は自分の胸に手を添えるのも忘れて背を逸らした。
「やっ、やぁっ……に、におい、かがないで……」
すっかり胸元を開かれたしまったシャツからは、乳房どころかその頂点にある
桜色の突起までもが半分見えている。当麻は谷間に顔をうずめ、五和の懇願を
あざ笑うように舌先で汗を舐め取った。
「ぅんっ! あっ……ふぁっ……」
尻を蹂躙していた当麻の手がほんの少し軌道をかえ、ベルトに触れる。
そのまま腰をぐるりと半周して、ベルトの止め具へと辿り着いた。五和が何か言うよりも
早く、当麻は金具を握り壊した。
「えっ……? あ、やあぁあんっ」
その光景に五和が訝しげな顔をしたが、下着にまで滑り込んできた右手に
浮かんだ疑問も打ち消されてしまう。陰毛を撫でた右手はスリットに指を沈み込ませると、
そのまま上下にゆすりだした。
「んぁあっ、あぅ、う、ひゃぅううっ」
当麻を抱きしめながら震える五和は、早くも縋りつかなければ立てないほどの
感覚の渦に飲み込まれていた。まるで当麻の右手に快楽を目覚めさせる力でも
宿っているかのようだ。
「ふっ、ふぁっ、あ――あぅっ!? そ、そこは、そこは違いますよ!」
「ふしゅぅうう」
口の端から煙を噴き出す当麻は、思わず飛び出た制止の声にもかまわず、右の指を
そこに突き立てた。躊躇なく、一気に付け根まで。
「ひぁあああぁああっ!」
弓なりに仰け反って、五和が悲鳴をあげた。押し込ませた指を折り曲げて、
当麻がにやりと笑う。
「違うって、何がだよ」
指をゆっくりと引き抜きながら、当麻がそう言った。まっとうな言葉を喋ったことに
五和が目を見開き、また突きこまれた衝撃で視界を飛ばす。
「教えてくれよ、五和。何が違うんだ?」
「おっ――おしり、お、おひ、おひり、おひりのあなですよぉぉっ!」
だらしなく半開きにした口元から涎をこぼして、五和は涙交じりの声をあげた。
肛門を掘削する指は止まらず、指を二本に増やして前準備を進めていく。
「そうだよな。何も間違ってないんだよ」
「ふあっ、ふぁあああ……」
左手がジーンズにかかり、それを膝下までずり下ろした。出る前にこれだけはと
着替えてきたシルクの透け透けパンツが露わになる。肛門からは指を抜かず、
当麻はすばやく五和の背後に回った。
「ぁ……」
びたり、と背に強烈な異物感を覚えた。
脈打つ鼓動。肉の塊。いつの間に取り出したのか、上条当麻のペニスが
天を衝かんばかりにいきり立って、五和の背に触れていた。柔らかな布地をずらし、
下着の内側に肉棒の熱がもぐりこむ。
「あ、あぅ、う……」
指が抜かれる。当麻の両手が前にまわり、シャツの合わせを一気に引き裂いた。
残っていたボタンが弾けとび、部屋に散乱する。そのまま五和の両乳に掌を添えると、
当麻はやさしく撫で回した。
「あふ……ん……ぅんん……」
散々に嬲られほぐされた菊座に当麻のモノが先端をあてる。その後を予測して、
五和の背がわずかに震えた。
「あの、ほ、本当に、お尻で……?」
「――ッ!」
答えず、当麻は狙い定めて腰を突き出した。
「うあぁああああっ!」
貫いた感覚は指の比ではない。灼熱の棍棒が体を突き刺したみたいだった。
天草式として幾度も戦場に棍を振った五和も知らない、それは異質の痛みだった。
「あっああっ、と、とまっ、んぁあああっ」
肛姦の痛みをやわらげるように、当麻の両手が胸を揉みしだく。柔らかく豊満な淫乳は、
当麻の手の中で目まぐるしく形を変えていった。既に屹立している桃色の乳首をつままれ、
人差し指と親指でこすりあげられると、それだけで五和の意識は飛びかけてしまう。
「あっ、ぁあ、うぁ、ああああんっ」
快感と痛みを同時に送られるうちに、肛門の衝撃にすら悦楽の気配が混じりはじめた。
膝が震える。涎がぼたぼたと零れて、床に跳ねている。
「ふぁああっ、ああっ、んあああぁああぁあああああっ!」
やがて自ら腰を振っていることに、五和は気がついた。当麻に犯されている。
抱かれている。夢にも見た現実が、ここにあった。
「ひゃっ、はっ、ひゃあぅっ、うああぁああんっ!」
もはや完全な嬌声をあげて、五和は涙を零しながら善がった。視界が明滅する。
意識が白濁する。快感だけが世界のすべてになってしまったようだ。
このまま、このまま上りつめたら――
「ぁ……え?」
――当麻の動きがとまった。
ずるり、とペニスが抜かれる。手を放されると、もう五和は立っていられない。
へたりこんで、おそるおそる振り返ると、当麻がやさしげな笑みを浮かべていた。
「これでも、足りない」
「は……?」
そして、その体を翻した。この場にいる三人目の人物、神裂火織へと。
「上条、当麻……」
怒りか、それともそれ以外の何かからか、顔を真っ赤に染めて、神裂はそうつぶやいた。
股間のモノも隠さぬまま、当麻がうなずく。
そして、右手を差し出した。
「来いよ」
「な、なにを……」
「まだ足りない。あんたと五和の二人が揃って、やっとこのおっぱい祭は終わらせられる」
五和の目が大きく見開かれる。絶望にも似たその表情に、神裂が瞳の温度を下げた。
「……五和の願いだから、動きはしませんでしたが。貴方がその手を
私に向けるというのなら、容赦はしませんよ」
「濡れてるんだろ?」
ぴくり、と神裂の眉がはねあがった。
「たまらないんだろ? いじってほしいんだろ?」
ひどい侮辱だった。眼前の、へたりこんで震えている五和だけでも、
斬る理由には十分すぎる。だというのに、この男は。
「認めろよ、お前は聖人である前に女なんだ。そうすれば、俺がお前を救ってやる」
「救う、ですって……? その言葉を、そんなふうに軽々しく……!」
七天七刀に手がかかる。上条当麻はかすかに首を振って、右手を握り締めた。
「いいぜ。お前が認めないっていうのなら」
歩を踏み出すのは同時に。
「まずは、その幻想をぶち殺す――!」
上条当麻と神裂火織は、ここに幾度目かの衝突を決意した。
□ver.神裂火織
一分後、そこにはボロ雑巾のような上条当麻が転がっていた。
「う、うぐぉ……」
「ふう」
小さく吐息をついて納刀したままの七天七刀をおろす神裂には、しかし言うほどの
余裕はない。肉体の性能はともかく、上条当麻が自分の信念に従って動くとき、
彼はとにかくしぶとく厄介だ。できるだけ早く、叩きのめす必要があった。
何より、今の上条当麻は目を合わせるだけで犯されそうな異様な気配に満ちている。
「さて、上条当麻。何があなたをそうさせているのかはわかりませんが――」
倒れ伏す当麻の前までやってきて、神裂はため息まじりにそう言った。
今の上条当麻は異常だ。それはわかるのだが、なぜ突然彼がこうなったのかがわからない。
まさか、これまで抑圧されてきたモノが噴き出したというわけでもあるまいに。
神裂はちらりと五和に目をやった。ジーンズを腰まで下ろされ、シャツをはだけ、
いやらしい下着をむき出しにした姿でへたり込む五和は異様な美しさを醸し出している。
目尻に浮かぶ涙すら、それを強調しているようだ。
「……れてる」
ぽつり、と当麻がなにごとかつぶやいた。
「え?」
「た、れてる」
たれてる。垂れてる? 何がだ?
神裂が訝しげに眉を顰めるのと、当麻の指が素早く神裂の太ももを滑るのが同時だった。
「ひっ!?」
思わず数歩引く。半身を起こした当麻が、指先をかかげてみせた。
「たれてるよ、神裂」
人差し指が、きらりと輝いた。蛍光灯の明かりを反射する粘液が、指先を
光らせているのだ。垂れてる。何が。あれは、なんの。
「え」
視線をさげる。大胆にカットされたジーンズの内側から伸びる、白い太もも。
そこを一筋、透明な雫が伝っていた。汗ではない。これは、
「神裂」
「!」
気がつけば、眼前に上条当麻がいた。刀を構えようとして、しかしできない。
伝う雫が思考の邪魔をする。当麻が信じがたい速度で、神裂の股間を握りつぶした。
「ふ――」
一瞬、呼吸が止まった。聖人である神裂の反応速度に匹敵するなど、
ただの人間である当麻には不可能だ。その右手がある限り、なんらかの魔術の後押しすら
受けられないはずなのだ。ならば、この速度は、
「濡れてるぜ、神裂」
ブツリ、と思考の寸断される音を聞いた。濡れてる。どこが。何が。垂れている。
いったい、何が。あの液体は。
ぐちゅり、と音がする。体の内側で、何かが急速に収斂をはじめた。先の光景が
目に浮かぶ。ひどい姿で喘ぎ声をあげる、淫らな五和。
「認めろよ、神裂。お前は五和と俺を見て、感じてたんだろう!?」
伝う雫を遡るように、当麻の指がジーンズの内側にもぐりこんだ。下着の奥、
息づく秘肉に一瞬でたどり着く。制止の声をあげる間もなかった。
視界が、白く染まった。
「――ふあぁああっ!?」
全身を駆け抜けた衝撃は、これまでのどんな攻撃よりも神裂の内側に響いた。
膝が落ちる。こんな感覚は、知らない。
「五和、手伝ってくれ」
「あ……」
断ればいいものを、なぜか五和はふらふらとこちらにやってきた。
立たなければいけないのに、それができない。背後に回った五和が
胸をはだけようとするのも、止められなかった。
白いシャツがまくりあげられ、五和に匹敵する巨乳がこぼれおちる。
ゆさりと重量感のある動きで揺れる双乳の先端、薄桃色の突起は、既にツンと尖っていた。
「い、いつわ」
「すいません、でも……」
五和の手が震えている。その震えがどこからきているのか、神裂にはわからなかった。
わかるのは、上条当麻のいきりたった剛直が眼前にあることだけだ。
「……っ!」
手も触れていないのにビクビクと脈打つそれは、今まで見たどんな物より
醜悪な造形をしていた。至近から漂う香りはまるで毒のような刺激臭で、
これが人間の器官とはどうしても思えない。
両腕を拘束されて動けない神裂に、当麻がゆっくりと近づいてくる。ちょうど
目の高さにある肉棒から顔を背けるようにすると、ビクリと跳ねたソレが頬に触れた。
高すぎる体温が、じわりと伝播する。
「は、離れなさい、上条当麻」
「いやだ」
即答すると、当麻は身をかがめて神裂の豊乳に手をそえた。
下からすくいあげるような形だ。重量感のある神裂の乳房は、たゆん、と震えて
文字通り当麻の両手に乗った。振りほどけばいい。肉体の性能で、
二人が神裂に敵うはずがないのだ。
だが、できなかった。力が入らない。おかしな魔術でもかけられてしまったかのように。
乳房を撫で回すように手の位置を脇へ変え、ぎゅにゅ、と両の乳をあわせる。
できあがった肉の谷間に、当麻は自分の肉棒をねじりこんだ。
「……ッ!」
体温にしては高すぎる熱が、肌を侵して心臓を握りつぶす。皮膚を超えて肉を侵すのは
熱だけではない。ぞわりとした嫌悪感と、言いようのない焦燥感が、
共にたゆむ乳房から忍び寄ってくる。
乳にペニスを挟み込んだ状態のまま、当麻がわさわさと指を蠢かしているのだ。
「ふぅっ……や、やめなさい……!」
抗議をしても意味などない。乳を上下にゆすりながら、当麻がわずかに腰を進めた。
ビクビクと脈打ち、先端からなにやら粘液のようなものを零すソレが、じり、と
神裂の顔に近づく。小さく悲鳴をあげて、神裂は顔を逸らした。
「この体勢……やりづらいな」
当麻がそうつぶやくと、両腕を拘束していた五和がすい、と離れた。
腕が自由になったが、神裂は動かない――動けない。本当にどうしたというのだろう。
当麻の手が一度乳房から離れ、神裂の肩をやさしく押した。体を支えることすら
ままならず、そのまま仰向けに倒れてしまう。背を打った衝撃に一瞬だけ目を細め、
すぐに視界を取り戻す。こちらを覗き込む上条当麻と、彼のペニスが眼前にいた。
「こっちのが、いいな……!」
神裂の胴を跨いで、当麻は重力に引かれて横に流れる乳を両手ですくいとった。
ぐにゅぐにゅと揉みしだきながら、その狭間にずぶりとペニスを突き入れる。
「ぅん……あうぅうっ」
腰を振りたてながら、当麻の指が淫らに形を変える両乳の頂点、桜色の蕾を
つまみあげた。きゅっきゅっと指でこすりあげながら、そのまま
摘み取ろうとするかのように上に持ち上げる。乳房が引き上げられる痛みに、
神裂が声をもらした。
「や、やめっ……うんぁああっ」
釣鐘のように変形した乳房と乳房の間を、当麻のペニスが往復する。こすりあげられる
柔肉が摩擦で熱を持ちはじめ、その熱が胸の中央から全身を火照らせる。
鼻をつく刺激臭は一段と濃くなっていくようで、神裂は頭の奥の方がビリビリと痺れる
錯覚を覚えた。
思考が麻痺していく。世界が歪んでいく。扇情的な衣装に身を包みながらも
性に疎い神裂火織にとって、それはまさに未知の領域だった。
「も、もう――あ、あぁあっ!?」
そこで、神裂の体がビクリと跳ねた。またがっていた当麻がバランスを崩しそうになり、
執拗に捏ね回していた乳首を手放した。ぶるんと揺れた巨乳が横に流れ、
官能的な曲線美を描き出す。
「い、いつ、五和っ……! んあぁああっ」
もう一度、神裂の体が大きく跳ねた。上条当麻の体で死角になっている場所、
開かれた足と足の間。そこから、五和が申し訳なさそうに顔をあげた。
「五和、どうして……」
「すいません、でも」
太ももから大胆にカットされたジーンズを脱がせながら、五和がつぶやくように
弁解する。
「早く終わらせてくれないと――つづきが」
出来ないですから、と、五和はそう言った。
飾り気のない下着もあっさりと取り払って、五和はむき出しになった神裂の秘部に
指を這わせた。未踏と思われるそこは、重なりあった肉襞が快楽の予感にヒクついて、
淫靡な雰囲気をかもし出している。
表面を撫でただけで、五和の指はとろりとした粘液にまみれた。首を巡らせて
それを眺めた当麻が、ゆっくりと腰をあげる。不思議そうに彼を見る二つの視線を受けて、
当麻はドサリと腰を下ろした。
「五和、神裂、そのおっぱいで奉仕しろ」
「なっ……! 何を言っているんですか!」
上半身だけをなんとか起こして、神裂は怒声を張り上げた。
自分から淫らな行為に参加しろ、などと、馬鹿げているとしか言いようがない。
「ちゃんとできたら、本番をしてやる」
「……」
呆れた、というよりは、もはや気味の悪い生き物を見つめるように当麻を見ていた
神裂だが、ふらふらと彼に歩み寄る五和を見て顔色を変えた。そうだ、自分はともかく、
五和はここで止まる理由がない。
「そら神裂。五和が俺の好きにされてもいいのか?」
「……ッ」
いいわけがない。いいわけがないのだ。だから仕方がない。
こんなことは望んでいないが、もうどうしようもないのだ――
かくして五和と神裂は、二人で寝転がる当麻の脇に立った。
「奉仕って……」
戸惑う二人に、当麻がにやりと笑って乳を寄せるジェスチャーをしてみせた。
神裂でもさすがにもうわかる。天をついて脈打つ当麻のモノを、
はさみこめと言っているのだ。
躊躇していると五和が率先してかがみこんだ。あわてて神裂も腰を落とす。
むにゅっ、と五和の胸が当麻の一物を包み、それに割り込むように神裂の乳が後に続いた。
「ん……」
「ふぅん……」
甘ったるい吐息を漏らして、五和と神裂がそれぞれの柔乳を動かしはじめた。
熱く猛る肉棒の熱はおさまるどころか徐々に高まっているようで、それに合わせて
神裂の中でも何かが昂ぶっていくような気がした。触れ合った五和の胸はやわらかく、
ぐにゅぐにゅと変形する様はいやらしく、そしてやはり、異様に温度が高かった。
頭がぼうっとする。何も考えられない。五和も似たような表情で、とろんとした
目つきでグロテスクな性器を見つめている。
「ふぁああっ」
こりゅっ、と乳首と乳首がこすれあって、どちらのものともつかない嬌声があがった。
バチバチと視界が明滅する。何も考えられないのに、手だけが勝手に動いている。
「んふ……んん」
気がつけば、怖気の走るソレに、五和が舌で触れていた。
見るだけで嫌悪感を催す光景だ。あんなものに口をつけるなどありえない。
だというのに、五和はこれ以上もなく幸せそうなのだ。
だから、自分もやらないといけない。
神裂はおそるおそる舌を伸ばして、それの先を舐めとった。
苦味と塩味にアンモニアをブレンドした最悪の味覚が舌の上を蹂躙する。
もういやだ、と頭で誰かが叫んだが、それでも神裂は舌の動きを止めなかった。
二人分の舌がぴちゃぴちゃと音を立てて当麻のモノにまとわりつく。
ぬらぬらと光る唾液は当麻自身の先走り液と混じりあい、
蛍光灯の明かりの下に淫靡な輝きを作り出す。
「ん、ん……んん、ふぅ……」
「んふ、ふぁ……はぅん……」
舐めとり、吸いつき、時に舌と舌を触れ合わせる。ぞわぞわとした何かが、
体中から下腹部に集まっている。切ない。苦しい。体の中に空洞があいているのだ。
何かでこれを埋めなければならない。
「んん、ぁん、ふ、ふぅぁ……あぁっ、うぁん!」
知らず、神裂は寄せるために乳に添えていた手で、自分自身の乳首を
こすりはじめていた。その感覚がわずかでも空洞を埋めるのに役立てばと、
当麻がしたように指先に力をこめる。
だがだめだ。空洞の切なさは強まるばかりで、一向に神裂を救いはしない。
ああ、そうだ。彼はなんと言っていたのだったか。
『認めろよ、お前は聖人である前に女なんだ。そうすれば、俺がお前を救ってやる』
そうか、認めれば、この空洞を認めれば、これを埋めてもらえるのか……!
「……おっぱい」
突然、沈黙を守っていた当麻がそう呟いた。見れば、目の端から涙がこぼれている。
「これが、俺が求めたもの……俺が求めたおっぱい……!」
感激のあまり身を震わせて、当麻は叫んだ。今此処こそが理想郷。此処こそが、
決して壊れない、殺せない幻想の結実なのだと。
「おっぱあああああああい!!!!」
ドン! と縦揺れの衝撃が神裂と五和を同時に襲った。寝転がっていた当麻が、
腰を勢いよく跳ね上げたのだ。見れば、自身の粘液と二人の唾液にまみれた
当麻のペニスは、もはや鋼鉄の塊に血管が走っているような、信じがたいほどの
硬度を誇っていた。
「ふぁあ、あっ、あぁあああぅ!」
「ぅぁっ、あふぁっ、んぁあああっ」
腰だけが上下する異様な動きで、当麻はふたつの巨乳によって作りだされる楽園を往復する。
あふれる快感は「到達した」という感激によって倍増され、前立腺から全身へ伝っていく。
鋼鉄のペニスを挟み込む二人も、柔肌を突き抜ける衝撃と感覚の嵐に目をくらませていた。
胸をこすられているだけなのに、脳髄まるごと快感の海に放り込まれたようだ。
「あっあああっ、だめっ、だめっ、だ、や、やぁああぁあんっ!」
先に達したのは五和だった。ビクビクと身を震わせてへたりこむ。わずかに一秒遅れて、
「ふ、ぅ……! ……っ、…………っ! っぁああぁあ……っ」
神裂も、声を殺して絶頂を迎えた。
それを確認して、当麻は動きを止めた。二人の様子を静かに見つめる。
五和は心ここにあらずという態で、まだ時折体を震わせている。
神裂も似たようなものだが、五和と違い、まだ自分の手を胸に添えていた。
――足りない、と。その目が訴えている。
当麻はひとつ呼吸を整え、ゆっくりと体を起こすと、神裂に向かって一言だけ、
「横になるんだ」
と言った。
ぶるりと身を震わせて、神裂はのろのろと体を横たえた。拒否すべきだ、嫌悪すべきだ、
頭ではそうわかっているのに、心が言うことをきかない。
欲しい。この体の空洞を、埋めて欲しい。
「神裂、どうして抵抗しないんだ。お前なら、俺たち二人くらいあっさり
吹き飛ばせるだろう」
「そ、それは……」
「本当は、お前だってわかってるんだ。して欲しいんだよ。だから、抵抗できないんだ」
「……あ、ああ……」
そうだ――言われてみれば明白だった。自分は、神裂火織は、浅ましくも淫らに、
この体が穢れても快楽が欲しいと、そう叫んでいるのだ。
「五和、神裂に重なれ。二人とも合格だ」
「あ……!」
絶望的な顔でうなだれていた五和が、顔をほころばせて神裂の元に走り寄る。
手と手を重ね、胸と胸をつぶしあい、そして、ふっくらとした土手同士が
ぷにゅりと口づけをする。
「いくぜ……!」
じゅぶり、と粘液にまみれた肌がこすれる音を立てて、当麻の剛直が
ヒクつくふたつの淫裂、その狭間にもぐりこんだ。
「ふぁっ、あぁああああっ」
「んふっ、ひゃぁああうっ」
たったそれだけで、二人ともビクリと体を震わせて軽く達してしまう。
当麻は笑って抽送の速度をあげた。
もはや、神裂にとっても五和にとっても、それは快楽とすら呼べない何かだった。
見たことも聞いたことも、想像したことすらない激流が、股座から全身を押し流していく。
波は引かず、ただ押し寄せるのみ。互いの手を握り合い、頬を寄せ合って、
五和と神裂は震える声をあげた。
「まずは……五和、からだ!」
宣言の直後、神裂の上にいる五和が、一瞬硬直した。
「あっ……あぁああぁああああっ!」
喉を振り絞って絶叫する。ぐじゅっ、ぐじゅっ、といういやらしい音が、
部屋中に響いている。途切れ途切れの嬌声をあげて、五和はぼろぼろと涙をこぼした。
「入ってる……はいって……ふぁあああっ」
乱れる五和を見て、神裂はただひたすらに、うらやましい、と思った。
自分にもつきこんで欲しい。この空洞を埋めて欲しい。早く。早く、早く!
「か、上条、上条当麻! わ、私、私も、」
「ず、ずるい、今はまだ……あ、あぁああ!」
「けんかすんなよ!」
「んぁあああぁあああ――――ッ!」
当麻の声と共に、五和が大きくのけぞって絶頂の声をあげた。
びくびくと全身を震わせて、どさりと神裂に倒れかかる。
「い、五和、しっかり……」
細いその肩を抱いた神裂の言葉は完成しなかった。次の瞬間訪れた衝撃に、声も視界も、
思考すらも奪われたからだ。
ずぐり、
という音を聞いた気がした。
それは灼熱だった。体の中心を突き抜けた炎の塊が、内側から全身を蹂躙している。
神経の全てが導火線になって、そこを火柱が突き進んでいるのだ。辿りつく場所が
どこなのか、何が爆発するのか、そんなことはわからない。
「あ、あぁあああああ!」
わかるのは、神裂を苦しめていたあの空洞が、たった今埋められたということだけだ。
「ふあっ、あ、あぁあっ、んぁああぁああっ」
迸る灼熱は容赦なく神裂の体を疾走する。血管の中に快楽が混じりこみ、
酸素と一緒に全身の細胞を犯していく。指先を動かすだけで視界が白濁するほどの感覚が
走り抜ける――錯覚だ。わかっている。
だけど、そんなことはもうどうでもよかった。
「んあぁっ、あっ、あぁあっ、ふぁあああぁああんっ」
未踏の膣を蹂躙する当麻の形が、神裂の脳裏にいやというほど克明に描き出される。
押し進み、引き戻り、また突きこまれる。その度に炎が巻き起こり、神経を焼いていく。
導火線はもう残っていない。爆発は目の前だ。
「よし、神裂……!」
「あ、あ、あぁああ――」
どんっ、と膣の中で荒れ狂う炎が、一番奥を突き刺した。同時に、当麻の指が
性の集合点、快楽の頂点である淫核に添えられる。今まで放置されていたそこは
自ら皮を脱ぎ捨ててギンギンに膨れ上がっていて、迂闊に触れようものならそれだけで
破裂してしまいそうだった。
ぢゅぶり! と。
それを、当麻は思い切り握りつぶした。
「いっちまえ!」
「ふあぁああぁああああぁ――――!」
全身を巡っていた炎が、一斉に爆発した。細胞ひとつひとつが爆弾になって、
神裂の精神を蹂躙する。意識が虹色の光に押し流されて、神裂はそのまま、
どことも知れぬどこかへと吹き飛ばされた。
このままでは、どこかに行って、帰ってこれなくなってしまう。
「い……く……」
かすかにつなぎとめた意識が最後にそう言葉を残した。
それを聞いた当麻がこらえきれず浮かべた笑みを見ることなく、神裂火織は意識を失った。
□ver.土御門元春
「あちゃー、手遅れだったにゃー」
学園都市に入り込んだ魔術師とやらは、わりとあっさり見つかり、あっさり捕縛された。
こんな腕でどうやってここに入り込んだのかが不思議なほどだったが、
要するに捨て駒か何かだったのだろう。
問題はそちらより、今眼前にある光景の方だった。
ほぼ全裸で絡みあい倒れふす五和と神裂。そしていきりたったモノをしまおうともせず、
こちらを見る上条当麻。これだけで何が起こったか推し量るには十分すぎた。
「くくく……成功したようだな」
拘束して引きずってきた魔術師が、その光景を見て突然そう言った。
「なんだと?」
「イギリス清教と科学側に共通する弱点……それがそこの男なんだろう。
あの男に色狂いの魔術をかければ組織は内側から崩壊する――聞いていた通りだ!」
「……おぉ……」
なんということだ、と呆然とした顔で土御門はつぶやいた。ありえない。
まさかそこまで情報が漏れていようとは……!
「つまり、全部お前の仕業だってことですかい」
「そうだ、この私、」
「あ、名前とかはいいぜい。そういうのは間に合ってる」
土御門はうんうんと頷いて、拘束したままのソレを廊下に置くと、静かに後ずさった。
「ということらしいので、好きにしたらいいと思うにゃー」
「む?」
魔術師が不審そうにうなった。廊下の奥に不自然な光を見咎めたのだ。
それが能力によって発現した雷だと、魔術師の彼にはわからない。
「なんだかわかんないけど、つまりそいつが元凶ってことかしら……!」
「上条当麻はあの部屋にいます、とGPSをハッキングしつつミサカは報告します」
「と、とうま! とうまはどこにるの!」
「お姉様、手加減はしてくださいましね」
「土御門、あとで詳しく話を聞かせなさい……七天七刀……!」
「あの、えと、私は別にいいんですけど……一応」
倒れていたはずの神裂と五和まで部屋から出て来て、ぞろぞろと拘束されたソレを
取り囲んでいく。きょろきょろと女性たちを見回して、ソレはガクガクと震えだした。
「ちょ、ちょっと待て、ちょっと待て、俺は」
「安心しなさい、手加減はするわ。延々と死なない程度の電撃を、気を失うまで続けてやる……!」
御坂美琴の声を皮切りに、蹂躙された女たちの復讐がはじまった。
**
「いやあ全く、カミやんも災難だったにゃー。まあもう魔術は解除したから……」
「……」
「……カミやん?」
ふと、土御門は首をかしげた。
そもそも上条当麻の右手にはイマジンブレイカーが宿っている。それは天罰術式すらも
無効化する『異能の力を打ち消す右手』だ。
果たして、三流魔術師の魔術なんて通用するのだろうか。
「あれ、カミやん……?」
ふと、バックルの壊れたベルトが視界に入った。別に上条当麻の肉体は
強化されていたわけではない。あんなことができるのか?
カリキュラムで詰め込まれた知識が、じわりと脳の片隅から這いよってくる。
一種の興奮状態。抑圧された精神がはけ口を求めて駆けずり出す。脳内麻薬の
過剰分泌による自制機構の停止……もし、上条当麻の発情が
魔術によるものではなかったとしたら。それはただのきっかけに過ぎず、
彼自身がここまで押さえ込んできた劣情が爆発しただけだったとしたら。
魔術を解除しただけでは、この上条当麻は止まらない――!
「つち、みかど……!」
「待てカミやん! 女ならあっちにいくらでも」
物凄い力で肩をつかまれ、一瞬で背後をとられる。そう、上条当麻は今日ここまで、
まだ一回も『満足』していないのだ。
「カミや……アッ――――!」
土御門の悲鳴が、更なる悲劇の幕開けであった。
このあと、逆に満足できなかった当麻は地味すぎる巫女や小さすぎる女教師を
毒牙にかけ、どうせなら最後までしろというビリビリの声を背に受けながら
単身飛行機で渡海、イギリスまで赴いて魔術師たちを片っ端からいただいていくのだが、
それはまた別の話。
おわり。