御坂美琴の怒りは、頂点に達しようとしていた。  
「あのバカッ! 何で何時も何時も遅刻してくんのよーっ!」  
 待ち合わせ場所である第七学区のコンサートホール前で、美琴は絶叫した。罪のない通  
行人達は、恐怖のあまりできるだけ彼女を見ないようにし、そそくさと立ち去っていく。  
なにやら不穏な青白い火花が、短髪の少女の周りでバチバチと放電しているからだ。  
 待ち人は、紆余曲折の末に付き合うことになった恋人だった。  
 待ち合わせ時間の三十分前には到着する美琴と違って、ルーズな恋人は待ち合わせ時間  
を守った事が一度ない。それが彼女には我慢ならなかった。折角の久しぶりのデートなの  
に、何故もっと早く来れないのか! もう今にも電撃の槍をところ構わずぶっ放しそうな  
勢いだった。  
 御坂美琴は、学園都市で五本の指に入る女子学園、常盤台中学の生徒だった。彼女が着  
ている灰色のブリーツスカート、半袖のブラウスにサマーセーターを見ればそれがよくわ  
かる。常盤台中学は、休日でも制服着用が義務付けられているのだ。  
 美琴の顔立ちは整っているので充分に美少女と呼べるが、肩まである茶色の髪と勝気そ  
うな顔はお嬢様には程遠い。だが、超電磁砲の異名をとる電撃使いと言えば、知らぬ者な  
ど何処にもいない超有名人だ。  
 美琴は、二百三十万人の総人口を誇る学園都市でも七人しかいない超能力者の内のひと  
りであり、その第三位であった。  
 さて、その第三位の超能力者の額の血管から今にも血液が噴出しそうになったところで、  
漸く待ち合わせ時間から三十分ほど遅れたツンツン頭の男が、ノコノコと手を合わせなが  
らやって来た。  
「いやーホントすんませんです」  
 男の名前は上条当麻。こちらは極平凡なただの高校生で、美琴よりも七センチほど身長  
が高い。  
「遅いつーーのっっ!! アンタもしかしてわざとやってんのっ?!」  
「いやいや、だから本当にごめんなさいです。ほら、このとーり」  
 上条は深々と頭を下げるが、あまり反省しているようには見えなかった。  
「毎回毎回遅刻して来て! たまにはアンタの方が先に来て私を待ってるとか、そんな気  
を使った事を考えたりしない訳?!」  
 美琴の怒りは、一向に治まる気配がない。  
「今日は、どうしてもやむにやまない事情があったんだって。本当に悪かったから、お詫  
びに今日一日、お前の好きなところに付き合うから、なっ」  
(何よ事情って、それは私と会うよりも大切な事なのか! こっちは久しぶりに会えるか  
らと思って、すっごい楽しみにしてたって言うのに!)  
「ねー御坂さん、機嫌直してくださいよー。上条は、もうマリアナ海溝よりも深く反省し  
てるんですからっ」  
 いち早く危険を察知した上条は、もう土下座する勢いでペコペコと素直に謝罪を繰り返  
す。  
 さすがに恋人にここまでされてしまっては、美琴もこれ以上は責めにくい。  
「うっさいっ! もう、わかったわよ」  
 結局のところ美琴は、上条が遅れてきたことよりも、上条ともっと早く会えなかった事  
に対して怒りを感じていたのだ。一分でも一秒でも長く一緒にいたいのに、目の前の馬鹿  
男はまったくわかってくれない。  
「いやいやさすが御坂さん、話がよくわかる。今日の上条はもう愛玩奴隷となって、精い  
っぱいお嬢様のご奉仕に努めますから」  
「愛玩奴隷?! そ、そう、いい心がけね……」  
「はい、お嬢様。それで、何処に行きましょうか?」  
 上条は、執事のように恭しい態度で話しかけてくる。  
(行きたいところはひとつあるけど……さすがに会っていきなりってのはちょっとね……。  
でも、コイツもご奉仕するって言ってるんだから、別に遠慮する事もないのかな? そう  
よ。恋人なんだから、何もおかしな事じゃないんだし……でも、エッチな娘って思われた  
りしないかな……)  
 
 逡巡する美琴の顔が次第に紅潮していく。  
 実は前々から次のデートで何をするのか、心に決めていた事があるのだ。それは、今日  
なら実にタイミングが良く問題なくできるし、美琴もかねてから非常に興味がある事だっ  
た。だから昨晩は遠足前の小学生のように、興奮して碌に眠れなかったのだ。  
 美琴はキュっと唇を引き締めると、意を決して上条を見つめながら言い放った。  
「そ、その……アンタこの前、言ってたでしょ、アレを、その……し、したいって……」  
「アレ? アレってなんだ?」  
「だからっ、アレよっ! この前に言ってた事よ。アレを……だ、出したいって言ってた  
でしょ?」  
「出す?! ごめん、何を何処に出すんだ? 前に会った時の事か?」  
「だーかーらーっ! アレよ! ア、レ!」  
 言いたい事はズケズケ言う美琴にしては、いまいち要領を得ない答え方だった。  
「だから、アレってなんだよ? それじゃーわかんねーよ」  
 美琴の整った顔が不機嫌になって歪む。完全に逆ギレだった。  
「だーかーら! 『膣内出し』よっ! アンタこの前、膣内に出したいって言ってたでし  
ょっ!!」  
「ちょ! お、お前……」  
 女子中学生が公衆の面前で叫ぶには、あまりにも不適切な言葉だった。通りすがりの人  
達からも、「あの子、常盤台中学の子じゃない」などとヒソヒソと話し声が聞こえてくる。  
「ああっ! あああ……うわーーーんっ!!」  
 すぐに冷静になり自分の失態を把握した美琴は、羞恥のあまり顔を引きつらせ、上条の  
手を握り締め脱兎のごとく逃走した。  
 
 
 ふたりは三十分ほど走り回ってから、人気のない路地裏に逃げ込んでいた。  
「だぁー、もぉー! どうしてくれんのよっ! アンタのせいで恥かいちゃったじゃない  
っ!」  
 明らかに逆恨みなのだが、美琴は構わず上条を非難した。  
「はぁ? お前が勝手に恥じかいたんだろうが。あんな公衆の面前であんな事を大声で言  
うか、普通?」  
「あああ、もうやめてっ! さっきの失態は、今すぐ綺麗さっぱり忘れるんだからっ!」  
「いや、忘れられても困るんだけどな。さっきの話の続き聞かせてくれよ」  
「えっ? あのっ、そ、その……」  
 今しがた勢いで言ってしまった言葉を頭の中で反芻し、美琴はとんでもない羞恥に見舞  
われた。モジモジと俯いて、上条と視線を合わす事ができない。だが、これでは何時まで  
経ってもらちがあかない。賽は投げられたのだ、と美琴は勇気を振り絞って、  
「今日、私は大丈夫な日だから……もしアンタがどうしてもしたいって言うなら、し、し  
てもいい……って事よっ!」  
 頭から湯気が出そうなほど顔を紅潮させた美琴は、最後は少し切れ気味に言い放った。  
もう恥ずかしすぎて穴を掘って入りたい心境だった。  
「と言うことは、今日はコンドーム使わないでしていいって事なんだな?」  
「……う、うん、まぁ、そういう事になるけど……」  
「おっしゃっぁぁぁーーっっ! キタヨコレッッ! いやぁっほぃぃーーっっ!!」  
 上条はガッツポーズのオーバーアクションで、歓びを身体全体で表現する。  
(アンタ……そんなに膣内に出したかったのか……)  
 上条がこんなに歓ぶとはさすがに思っていなかった美琴は、嬉しいよりも先に少し引い  
た。でもまぁ、悪い気がする訳ではなかったのだが。  
「ああっ! しまった……今は寮はまずいな……そうだ! なぁ御坂、今日はラブホテル  
に行ってみないか?」  
 
「えっ、ラ、ラブホテル?!」  
 エッチをする時はたいてい上条の寮を利用しているので、ふたりはまだラブホテルに行  
った事がなかった。実を言うと美琴も、前々からラブホテルに興味津々だったりしたのだ。  
(ラブホテルか……行ってみたいかも……でも、なんで寮は駄目なのかしら?)  
 上条は時々、美琴が寮に来る事を無性に嫌がる時がある。何故だと訊いてみても要領を  
得ない答えが返ってくるだった。これは何か秘密がある、と美琴は睨んでいるのだが、そ  
れが重大な問題に発展するのは、また別の話。  
「うん、い、行ってもいいけど……」  
 ふたりのラブホテル初体験が、ここに決定した。  
 
 
 学園都市の技術レベルは二十年以上進んでいると言われるが、ラブホテルに関してはそ  
の限りではなかった。白を基調とした広々とした空間に清潔なダブルベット、大画面のデ  
ジタルテレビとBDプレイヤーの他に、カラオケやゲームまで用意されているようだ。中  
でも一番に目を引くのは、やはり部屋いっぱいに飾られたぬいぐるみの数々だろう。そこ  
は、まるでおとぎの国のようなメルヘンチックな部屋であった。  
「かわいいーーっっ!」  
 ムギューと自分の身体よりも大きいなクマに抱きつく美琴。  
「へぇー、部屋の中はこんなになってるんだなー」  
 上条は無邪気に喜ぶ美琴を生温かく見守っている。  
「うわっ、ナニコレ! めっちゃかわいいじゃん。これちょー欲しいぃぃーっ! 」  
 今度は犬だか豚だかわからないようなぬいぐるみを捕獲して弄ぶ美琴。  
「この部屋、気にいったか?」  
「うんっ!」  
 得たいのしれないぬいぐるみを抱きしめながら、美琴は満面の笑みで答えた。このおと  
ぎの部屋を上条に猛烈にプッシュしたのは、もちろん彼女だった。美琴はとにかく可愛い  
物が大好きな、少女趣味的なところがあるのだ。それが理由で後輩の白井黒子に、よくか  
らかわれたりする事がある。  
「それで、シャワーどうする? 一緒に入るか?」  
「いいい、一緒に?!」  
 美琴は上条の寮の狭いお風呂で、ギュウギュウになって一緒に入った事を思い出した。  
途端にぼっと火がついたように、頬を薔薇色に染まらせた。  
「私は、あ、後でいいからっ! アンタ先に入ってきて!」  
 久しぶりのエッチなのにいきなり一緒にシャワーは、さすがにハードルが高すぎた。  
「そっか……じゃ、そうするわ……ところで御坂」  
「な、なによ?」  
「覗くなよ」  
「バカッ! いいからさっさと入ってこい!」  
 美琴は、持っていたぬいぐるみを上条に投げつけた。  
 上条はいたいけな飛来物を右手でキャッチすると、ケラケラと笑いながらバスルームへ  
と消えていく。  
「まったくもぅ……」  
 美琴はコテンとベットに横になり、控えめな胸に手を当てた。心臓は、ドキドキと口か  
ら飛び出しそうなほど騒いでいた。  
(ヤバイ……緊張してきた……そう言えば、エ、エッチするのひさしぶりだもんね……ち  
ゃんとできるかな? だ、大丈夫よね? 最後にした時は、かなり気持ちよかったし…  
…)  
 美琴と上条がエッチをした回数は、まだ片手で数える程度だった。  
 
 初体験の時は、とにかく痛かったとしかよく覚えていない。だが、それから二度三度と  
回数を重ねる内に次第に感じるようになり始め、ついに先日初めてのエクスタシーを経験  
する事ができた。言葉にして言い表す事ができないあの感覚。頭の中が真っ白に染まり、  
眼前で瞬く閃光に満身が飲み込まれた刹那、果てない天空へと飛翔するような官能的な激  
感。今、思い出しただけでも身震いがしそうなほど気持ち良かった。  
 どっくん、どっくん、どっくん。  
「う、うるさいっ!」  
 自分の心臓に文句をつける美琴。  
(何でこんなにめちゃくちゃ緊張してんのよ私は! 別に初めてって訳じゃないのよ、初  
めてじゃ!)  
 せっかくエッチが気持ち良くなってきたのに、それから美琴は上条となかなか会えない  
日が続いた。理由を訊くと、やれ忙しいだの、外国にいるだの、何の事だかさっぱりわか  
らない答えが返ってくるだけだった。結果、恋人に会えない寂しさと、女の悦びを知った  
身体がモンモンと疼き、欲求不満は限界寸前までに達していたのだ。  
 結局のところ美琴は、久しぶりのセックス前にして極限の緊張状態にあった。  
(落ち着け、落ち着け私……そ、そうだ! ちょっとだけ予行演習しておこう)  
 美琴は気をまぎらわせる為に、上条に何処か似ている等身大の猿のぬいぐるみを持ち出  
してきた。これで今更エッチの練習をしようと言うのだ。これだけでもかなり精神的に追  
い詰められている証拠だろう。まぁ、これから初めての膣内射精を経験することになるの  
だから、多少はパニック状態になっても仕方ないだろが。  
(えっと、まずはキスからよね……それからベットに押し倒されて服脱がされてから、身  
体をあちこち触られて……ああ、これ気持ちいいんだよな……)   
 猿のぬいぐるみと抱き合って、ゴロゴロとベットの上を転がる不思議な中学生。  
(そ、そうだ。口でしてあげたら、アイツ喜ぶかな? でも、した事ないから、上手くで  
きる保障はどこにもないしな……)  
 美琴はぬいぐるみの上に覆いかぶさると、丁度股間の位置に顔を近づけ、上条のペニス  
の形を頭の中で思い描いた。血管が浮き出た極太の幹に天を貫くような肉の搭。その幻の  
巨大な肉塊を握り締め、勇気を振り絞って口内へと頬張ってみた。  
(無理無理無理!! いやいや、これはやっぱ無理だわ。こんな恥ずかしい事、絶対にで  
きないっつーの!)  
 火照った顔で、バンバンとぬいぐるみの股間を攻撃する美琴。もしこれが実物だったら、  
上条は再起不能だったろう。  
(これはなしの方向でいこう。そうだな……何時もは私が下になってして貰ってるから、  
今日は私が上になってしてみるのも悪くないかも? たしか、騎乗位とか言ったのかな?  
 あれって何か楽しそうだし)  
 上条と会えなかった日々は、美琴はかなりの時間を座学に注ぎ込んでいたので、今まで  
とは比べ物にならない位エッチの知識を保有している。  
(とりあえず上になってみて……それから、腰を自分で動かさなくっちゃいけないのか…  
…)  
 美琴は、ゆっさゆっさとぬいぐるみの上で腰を動かした。傍目から見るとかなり奇異な  
行動に見える。場合によっては、メンヘラを疑われるかもしれない。  
(うん。これはなかなかいいかもしんない。目線が違うと新鮮でいいよね。こうやって腰  
を動かしたら、アイツが情けない声出して……ふふふ、なんか楽しいかも。でも……こう  
やってると、何か、き、気持ちよくなってきた……)  
 美琴の腰を動きが次第に加速していく。  
(あっ、あっ、これ、擦れて、気持ちいい……はぁはぁ、当麻……当麻……気持ちいいよ  
……と、当麻……)  
「お前、何やってるんだ?」  
「きゃあぁぁぁぁっっ!!」  
 上条に突然に声を掛けられた美琴は、文字通り飛び上がって驚いた。  
「アンタ! いいいい、何時からそこにいたの??!」  
 
 シャワー上がりでバスローブを着た上条は、ベットの前で立ち竦んでいる。  
「何時からって? 今出てきたばっかりだけど。それで、何やってたの?」  
 一部始終を見られていた訳ではなかったのは不幸中の幸いだろうが、美琴の動揺を緩和  
させるまでには至らなかった。  
「き、き、き、記憶を失えぇーーっ!!」  
 電撃の槍が上条に目掛けて放たれた。  
 
 
「何でシャワーから出てきて、すぐに電撃お見舞いされなきゃいけないんだ?」  
「……ご、ごめん」  
 美琴もシャワーを浴びてから、バスローブを纏い部屋に戻っていた。ちなみにローブの  
中身は、勝負パンツ一枚だけだったりする。  
「俺だからどうにかなったけど、他の奴だったら確実に死んでたぞ」  
「だ、だから、ごめんって謝ってるじゃない!」  
 あの後、電撃を放ってすぐにバスルームに逃げ込んだ美琴だったが、さすがにこれはち  
ょっとやりすぎだったな、とシャワーを浴びながら反省していたのだった。  
「……それで、さっきは何やってたんだ?」  
「だぁーっ! そ、その話はもういいの! アンタには何の関係もない事なんだから  
っ!」  
 もちろん詳しく説明できるわけもなく、美琴は逆ギレでこの場を乗り切ることにした。  
「女の子には色々と秘密があるものなのよ! そ、それぐらい少しは察しなさいよ、バカ  
ッ!」  
「ふーん、まぁいいけど。ところで、何でそんなに遠くにいるんだ? もっとこっちに来  
たら?」  
 ふたりは同じベットに腰掛けているが、美琴と上条の距離は一メートル以上空いている。  
「もしかして、センセーは緊張してるのかなー?」  
「なっ! 生意気に何言ってんのよ! 私が、き、き、緊張なんかする訳ないでしょっ!  
 いいわよ、近くに行ってやろうじゃない!」  
 売り言葉に買い言葉で、上条との距離をゼロに詰める。すると、美琴の細い肩に上条の  
腕が回されてきた。それだけで初心な少女は、ビクっと身体を震わせた。  
「今日は、本当に膣内に出していいんだな?」  
 最後確認だろう。これで「はい」と答えれば、本日の膣内射精は確実に決定だ。  
「だから、アンタがしたいんだったら、していいって言ってるでしょ……。もう、アンタ  
の好きにしなさいよ」  
「わかった、好きにする。美琴、大好きだぞ……」  
(もう、エッチの時だけ名前で呼ぶのずるい……)  
 上条に名前を呼ばれるだけで美琴は、ふわふわと雲の上をスキップしたい気持ちになっ  
てくるのだ。  
「……キ、キス?」  
「うん、眼つぶって……」  
 頬に手が添えられ上条の顔が近づいてくる。美琴は言われたとおり瞳を閉じて、唇に全  
神経を集中させた。ふわりと唇に押し当たる柔らかくて温かい優しい感触。そのあまりに  
も甘いキスの味に、全身の力が蕩けるように抜けていく。  
「んん……っ、むちゅ、ちゅっ、ちゅっ、んっ、ん……つ、はぁむ、ちゅちゅっ」  
 やがて優しいキスは、大人のキスへと自然に変化する。美琴は口内に侵入してきた上条  
の舌を歓迎し、自分の舌でお出迎えして螺旋を描くように絡ませた。今まで散々お預けさ  
れていたので、そのキスの求め方は普段よりも遥かに情熱的だった。  
「むちゅー、ちゅるちゅる、ちゅ、ちゅ、れろれろ、ちゅちゅちゅーっ、れろん、れろん、  
ぬりゅ」  
 
 パっと弾けるように情欲の炎が奥底で灯る。脳天から突き抜けるビリビリと痺れるよう  
な甘美な電流に、美琴は凍えるように身体を震わせながら、ただ想いをぶつけるように上  
条の唇を吸引した。  
(このキス……き、気持ちいい……溢れちゃう……溢れてきちゃうよ……)  
 じゅわっとショーツが濡れてきた事を、美琴は知覚する。そして、夢中になって舌を絡  
ませている内に、ベットに押し倒されてしまった。  
「はあぁぁっ……はぁ、はぁ、はぁ……」  
 強力な磁石のように重なり合っていた唇が離れると、美琴は法悦の溜息を零した。涙ぐ  
んでいるるため薄っすらと霞んで見える目の前で、バスローブを脱いだ上条の筋肉質な上  
半身が映った。いよいよなのね、と美琴は覚悟を決めるも、やっぱりこの瞬間は何度経験  
しても慣れるものではない。心臓の鼓動は、十六ビートで限界へのチャレンジを敢行して  
いた。  
「あっ、ダ、ダメ……」  
 美琴はあっさりとバスローブを脱がされてしまい、無数のぬいぐるみと男ひとりにその  
未成熟な裸体を曝け出した。  
 照明に照らされた抜けるような白い柔肌は、緊張のあまり薄っすらと朱色に染まってお  
り、ほとんど平坦な胸の膨らみの頂には、サクラ色の宝石がチョンと飾られていた。その  
中学生の裸体は、まさに花開く前の蕾のように儚げで、少女の成長期特有の妖しげで背徳  
的な美しさで輝いていた。  
「おおっ! 美琴のおっぱいは、相変わらずの可愛いいな」  
「やんっ、あんまり、見ちゃダメ……」  
 人よりもほんの少しだけ成長が遅れていると自覚している双乳を、美琴は咄嗟に両手で  
隠そうとするが、タッチの差で上条の手で鷲掴みにされてしまった。  
「あっ、そ、そんな、あぁんっ!」  
 上条の掌の中で未発達な乳房は、問答無用で揉みしだかれてしまう。蠢く十本の指が柔  
肉に食い込んで自在にその形を変化させ、また若い弾力性を持ってして元に戻る。ムギュ  
ムギュと何度もそれを繰り返されると、次第に先端のサクラ色が硬くなって尖り始めた。  
「美琴のおっぱいは、柔らかいなー」  
「あんっ、ん……っ、そんなに、胸ばっかり、も、揉むな……」  
「恋人にいっぱい揉まれると、おっぱい大きくなるんだぞ」  
「えっ! ホ、ホント……?」  
 普段ならそんな根拠もない都市伝説を真に受ける美琴ではなかったが、この極限の緊張  
状態で好きな人から耳元で囁かれてしまうと、「もしかして、これで私も巨乳デビ  
ュー!」とありえない妄想を膨らませてしまってもしょうがないだろう。  
「ホントだって。だから安心しろ。俺が責任持って美琴を巨乳してやるからな」  
 そんな馬鹿な事を吹く上条に、敏感な双子の肉勃起をキューっとされてしまい、  
「あんっ! やっ、ああ……っ、はぁあああっっ!」  
 美琴は堪らず甘い嬌声を漏らした。  
 こうなってしまうと、後はもう上条の独壇場だった。  
 散々乳肉を揉み込まれたかと思うと、今度は可憐な乳頭をチュチューと吸われてしまう。  
同時にいやらしく全身を弄られ、柔肌に微熱の足跡が残る。くすぐったいのか気持ちいい  
のかよくわからない感覚に、美琴は戸惑いながらも未成熟な肢体を悩ましく捩らせた。  
「あっ、はぁはぁ、あんっ、ああ……っ、やんっ、あっあっ、はうっ」  
 何時しか首や腋といった部分にも嬲る様に上条の舌が這いずり、上半身は瞬く間に唾液  
で塗り潰されてしまう。執拗な愛撫のせいでショーツはグッショリと濡れそぼり、美琴は  
キュンと切なく疼く子宮を持て余した。  
(ああっ、ヤダッ、エ、エッチなオツユがいっぱい出てる……)  
「今日のパンツは、何時ものとは違うんだな?」  
 普段から穿いているショーツは、黒子から子供っぽいと馬鹿にされるので、これを機会  
に美琴は勝負用のショーツを何枚か購入したのだ。それは、ひらひらレースが付いてかな  
り布の面積が小さい、大人っぽいホワイトのショーツだった。  
 
「うん……新しいの買ったの……」  
「そっか、前のも可愛かったけど、このパンツもよく似合ってるぞ」  
「……あ、ありがとう」  
 嬉しかった。もう最高に嬉しかった。神様と一緒にコサックダンスを踊りたいくらいに  
嬉しかった。それだけで美琴の表情は、だらしなく緩んでしまった。  
「それじゃー、可愛いけどこれも脱ごうな」  
「えっ! ちょ、ちょっと待ってっっ!」  
 美琴は上条に脱がされそうになっていた最後の一枚を、脱がされる寸前で何とか死守し  
た。  
「えーっと、なに?」  
「ちょ、ちょ、ちょっとだけ、時間を頂戴……」  
 濡れたショーツを脱がされてしまうと、一番大切な部分を隠す物はもう何もない。胸の  
愛撫だけで完全にできあがってしまった秘部を観賞されてしまうのは、美琴でなくてかな  
り勇気がいる事だろう。ぶっちゃけもう本当に、グショグショになってしまっているのだ  
から。  
「いいけど……なるべく早くお願いします」  
(はぁ、はぁ、落ち着け……私の大切な部分はすごい事になっちゃってるけど、別に見ら  
れるのは初めてって訳じゃないんだから、てか今日は何でこんなにすごく感じちゃうの?  
 やっぱり久しぶりだから? こんなにいっぱい濡れちゃうの反則だよー!)  
 自分の感度の良さにレッドカードを出す美琴。  
「もういいか?」  
「……」  
「もういいのか?」  
「…………」  
「もう――」  
「だぁーーっ! もう、わかったわよ! ぬ、脱がしなさいよ!」  
「わかりました。それじゃーお言葉に甘えて」  
 そして、ついに上条の手によって最後の一枚が剥ぎ取られ、美琴は生まれたままの姿に  
されてしまった。  
(ああぁぁ……とうとう脱がされちゃった……大切なところ見られちゃうよ……ううぅぅ  
……)  
「よし、今日はちょっと変わった趣向でいこうか」  
「えっ、変わったって? き、きゃぁぁーーっ!」  
 美琴は上条にぐいっと腰を持ち上げられると、天井に向けて両脚をがばっと開けたもの  
すごい恥ずかしい格好をさせられた。  
 まんぐり返しである。  
「いやぁーっ! コ、コラー! 私にこんな恥ずかしい格好させて、ゆ、許されると思っ  
てんのっ!」  
 まだエッチ若葉マークの美琴にしてみれば、屈辱的かつもっともされたくない格好のひ  
とつだろう。なんせ一番大切な部分が丸見えになってしまうだけでなく、いやらしい事を  
されて感じてしまっている表情まで、同時にじっくりと観賞されてしまうのだから。  
「いやー、センセーのココはいつ見てもホントに綺麗ですなー。もう上条さんは、カン  
ドーもんですよ」  
「ちょっ、バ、バカーッ! い、いいかげんにしろー!」  
 上条の言葉に嘘偽りはなかった。美琴の禁断の花園は、見る者を激しく感動させてしま  
うほどに美しいのだ。  
 僅かな産毛が繁茂しただけの柔らかそうな恥丘に、ピタリと閉じた淫裂の色艶は新鮮そ  
のもので、大陰唇にも無駄毛はいっさい生えおらず清潔感漂う。薄い肉厚の小陰唇はコン  
パクトに肉割れに収納されており、存在感溢れる包皮を被った淫核は生意気にもツンと尖  
りを見せていた。  
 

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