「昨夜はずいぶん遅くまで起きていらしたようですね?」
「え、あ、ぁ、そ、そうでしょうか?」
「あらあら。私は眠かったのであまり覚えてはいないのですが、誰かお客様でも?」
「お、お客様………? いえ、私一人でしたが?」
「あらあら。ではあれは貴女様のお独り言だったのでございましょうか?」
「っ、ひ、ひ、独り言? 私、なにか言っていましたか?」
「あらあら。覚えていらしてないのですか? お疲れでしたのか、ずいぶん息が荒いようでございましたよ?」
「!! ………お、覚えていませんね。寝言だったのでは?」
「あらあら。では貴女様は寝言でずーっとあの方の名前を呟き続けた挙句に『私にこんな思いまでさせて…ばか………』などと言って笑っていらっしゃったのは―――」
「わーっ!わーーーっ!!」