上条は、美琴の中、腹部が盛り上がるほど深々と突き刺さっていた張り型を勢い良く引き抜いた。
「あぐっ……ぅぅ……」
過度の責めのせいで開いたままになった秘所から、白濁した愛液をとめどなく滴らせる美琴は、小さくうめき声を上げる。
そんな美琴の姿に、上条は眉を寄せると、
「御坂、もういいだろ? いい加減にしねーと、お前、ホントに馬鹿になっちまうぞ?」
「…………」
心配する上条の言葉に、唾液に濡れる美琴の唇が微かに動く。
「え?」
「じょ……だんじゃ……、ない……」
「は?」
「まだ……私……イッてない……」
「はあ!?」
上条が驚くのも無理はない。
責めていた本人だからわかる――つい先ほどまで美琴は、何度も絶頂を繰り返していたのを。
今の美琴の姿は、ソファーの上に、脚を折り曲げて正にM字に股を開いた状態で拘束されている。
そして、曝け出された大事な部分はどれも酷くなぶられた様子で、真っ赤に充血していた。
今もだらだらと涎を垂らす秘裂を前に、
「おま……、こんなになっちまってんのにまだそんな……」
「ぃぅ……」
上条に、張り型で敏感な部分をなぞり上げられた美琴は、喉を鳴らして快感の波をやり過ごす。
「っは、は、はあ……。さ、最後まで……付き合ってくれるって、あれ、嘘なのかしらね?」
きつい眼差しに涙を溜めて睨み付けてくる美琴に、上条は、肺の中が空っぽになるくらい深いため息をつく。
「わかったわかった。付き合ってやるよ。じゃ、白井だけでも解放してやれ」
そう言って上条が振り返った先には、キングサイズのベッドの上に敷いたビニールシートの上で、黒光りする芋虫の様なものがうごめいていた。
時折、エビの様にそりかえるそれは――全身をボンデージ服で緊縛された白井黒子の哀れな姿だった。
全頭マスクの頭から生えたふたふさの髪が、唯一白井らしいとは思わせるが、顔は完全に覆われて目鼻立ちもはっきりせず、体は革製の拘束衣で隙間無く覆われている。
口と思しき部分の無数の穴から、時折しぶきがあがるのは激しい息継ぎのせいだろう。
T字に無理やり広げられた股間には大きなこぶと、そこからコードが伸びていて、先ほどから妖しげな伸縮と振動を繰り返していた。
「ずっとあのままじゃ壊れちまうぞ、あいつ」
白井の方を向いて心配そうな声を出す上条に、美琴の心がチクリと痛む。
その気持ちを押し殺すために、奥歯をギュッと噛締めた。
そして、
「だめ」
「おい……」
「黒子を助けたかったら……アンタなら判るわよね」
挑戦的な笑いを唇の端に浮かべた美琴の顔に、上条はある種、諦めに似た感覚を覚えた。
「不幸だ……」
上条のいつものセリフ、それは果たして自分へのものなのか。
その上条は、乱暴に頭をかきむしると、挑発的な態度を取る美琴に視線を投げる。
「ったく……。へいへい、こんな時ばっかり『アンタ』ですかミサカさん?」
そう言って上条は、先ほどまで美琴を責めていた張り型(きょうき)を、美琴の目の前に突き付けると、
「じゃ、覚悟はいいんだな。御坂」
「『美琴』って呼んでっつったでしょ? ばぁーか」
この状況でも美琴は相変わらず何処までも強気だ――と言っても、本心は、折れそうになる心を必死に支えるための張ったりなのだが。
そんな美琴の姿に、上条は思わず苦笑してしまう。
「な、何笑ってんのよ、気味悪い……」
こう言う関係になっても相変わらず美琴は美琴だ。
上条は、そう言えば昔から美琴(こいつ)はこんな顔して意地張ってたなと思いながら、
「いやいや、カミジョーさんもたまには思い出し笑いもしますのことよ――んじゃ、美琴」
上条は張り型を、美琴の後ろの穴にそっとあてがう。
「ひぅ……」
微かに内臓を押し上げられるような錯覚に美琴が息を呑むの。
すると、
「今度は『全部』だからな」
美琴は、その言葉の意味を理解するのに、随分と時間がかかった。
そして、言葉の意味を理解すると、自然と唇の端が引きつって来た。
「ぇ……? そんな、む――」
美琴の制止を無視して、上条は一気に張り型を穴に付き入れた。
美琴の意識は、内臓を引き裂かれる様な痛みと、その後に続け様に来た、腹を突き破る様な衝撃に耐え切れず、ショートして弾けた。