「んっふっふ〜、んっふっふ〜くりす〜ます〜今日は楽しいクリ  
スマスいやっほう、ってミサカはミサカはまだ歌詞もあやふやな  
歌を鼻歌交じりに歌ってみる」  
 
 今年も残り僅かになった12月中旬。子供なら誰でも浮かれる  
この季節に、笑顔を振りまき上機嫌な打ち止めがそこにいた。  
 今行っている作業は、クリスマスツリー飾り。色鮮やかな電球に、  
サンタやトナカイの人形。冷たさは無いものの、雰囲気だけなら  
負けない白いモコモコとした綿。他にもさまざまな物を飾り付けていく打ち止め。  
 
「・・・・・・その歌詞、間違ッてンぞ?!」  
 と聞いてない素振りをしつつ、そこにいる打ち止めを見守る姿が一つ。  
 こちらは上機嫌な打ち止めとは、真逆と言っていいほどの不機  
嫌さを漂わせている一方通行。  
「ん〜っと、歌詞が違ったかな?!ってミサカはミサカはツリーの  
天辺を見上げて考えてみる。あっ、まだだった。ってミサカはミサカは周りをキョロキョロしてみたり」  
 
 ツリーの傍にある大きな袋。その中には、まだ封も開けあれてい  
ないツリーの飾りらしきものがどっさり。昨日この二人が一緒に買  
い物に行った際、買ったものだ。  
 二人の保護者からも非難を浴びるほどの大量に・・・・・それと比  
例して、付き添いで行った一方通行へのお叱りも増えたことは言うまでもない。  
 
 その袋の中をガサゴソと探している打ち止めが、  
「ねぇ〜、サンタさんは私がここに住んでいること知っているのかな?  
ってミサカはミサカは切実な悩みをアナタに打ち明けてみる」  
「ぬあン?・・・なンだッて、悪ィ聞きとれなかッた?」  
 頬を少し赤らめ、そんな顔を俯き隠しながら再度問いかける打ち止め。  
「んっとねぇ、サンタさんがちゃんと私の所に来てくれるのかが心配で・・・  
ってミサカはミサカは―――」  
「ほらよ、テメェが探してるのはこれだろ」  
 目の前に現れたひと際大きな星が一つ。  
「あ、ありがとう・・・これが相思相愛の仲。ってミサカはミサカはこれまた  
最近覚えたての四文字熟語を披露して見たり」  
「バカか、一人で言ッてな」  
 と言いつつ深々とソファーに腰掛ける。  
 
 打ち止めの両手よりさらに倍、それほど大きな星を両手に小さな体躯を  
精一杯伸ばして天辺を目指す。  
「んっと、これはなかなか手ごわい相手だな。ってミサカはミサカは天高く  
そびえ立つ天辺を目指して『とうっ!!』ってしてみたり・・・」  
 何を思ったのか打ち止めがツリーに体当たり、ジャンプして星をつけよう  
と思ったのだろう。けれど、思いとは裏腹にダイブという結果が出てしまったのだ。  
 幼い身体とはいえ、根っこがあるはずも無いモミの木を倒すには容易い。  
「うわっっつ・・・・・・・」  
 とツリーの反対側から何処からともなく現れた一方通行。ツリーが倒れるのを支えたのだ。  
 
「全くよォ、届かねェなら椅子でも使えッてェの」  
 まだ起き上がらない打ち止めを起こし、  
「てへへっ、ってミサカはミサカは可愛くドジっ子を演じてみたり」  
 
 言い終わる前に打ち止めを両脇から抱きかかえる。  
「おお、これは高い高い。ってミサカはミサカはいとも簡単に星を  
ツリーに装着してみる。椅子よりこっちの方が断然いいかも、って  
ミサカはミサカは腕組みして二度うなずいてみたり」  
 
 そんなこんなで完成したクリスマスツリー。  
「あとはこのスイッチをオォォン、ってミサカはミサカは心をわくわ  
くさせて電源を差し込んでみたり」  
 いつも間にかに、夕闇が押し寄せ真っ暗になっていた部屋に煌  
びやかに輝くツリーが一つ。  
「ねぇ、さっきの質問なんだけど―――」  
「来ンじゃねェの・・・たぶンだがな」  
「そっか、なら大きな靴下用意しとかなきゃ、ってミサカはミサカは  
アナタの部屋の靴下を漁りに行動してみるっ!」  
 「ッて、テメエェェェ・・・勝手に入ンじゃねェ、ごらアアァァ」  
 と二人の鬼ごっこが始まったようだ。  
 
 
 その翌日、とある雑貨屋にあるコーナーをうろつく白髪の少年が  
一人。その一角は『コスプレコーナ』  
 季節柄か残り一着、さてどうしたものかと先ほどからうろうろ。そ  
の場所を何度も往復し、人がいなさそうなタイミングを計りつつ手を伸ばす。  
 そこに後ろからドタドタと走りよってくる足跡が一つ。  
「ようし、ここならありそうだ・・・三件巡ってここにも無かったら・・・」  
 現れたるは、髪がツンツン。主人公補正のためか、出会った女性  
全てにフラグをたてまり、レールガンでも大人気の上条さん。  
 お互いの顔を見合い、臨戦態勢に入るのにほんの数秒。  
「テメェ、ここでも邪魔すンじゃねェよ!!」  
「ちょっと待てよ、なんのことだ・・・それにってあああぁぁ、売り切れってふ、不幸だぁ」  
「なンだ、これ目当てかァ?欲しいならくれてやるよ、ただし・・・」  
 一方通行の不意打ち先制右ストレート、だがこれは空を切る、  
「待ってって、別にお前が先に―――」  
 なんだ、なんだと周りには野次馬が沸きつつあった。  
 
 
 二人の騒ぎを聞きつけたのかとてもお早い登場である女性が一人。  
「全く、せっかくお姉さまのサンタ衣装をこうして買いに来ましたのに  
・・・・・・見つかるのはトラブルばかり・・・黒子不幸ですわ」  
 少し小さなため息を吐きつつ、腕章をつけて気持ちを入れなおし、  
人混みが多いため仕方なく輪の中へテレポート。  
 急に現れた女性に野次馬は驚く中、  
「あらあら、いつぞやの殿方じゃございませんの・・・」  
 黒子の登場にもわき目も触れず、構わず拳が飛び交う。  
「お二方・・・聞いておりますの?・・・・・・お・ふ・た・か・た!!・・・ジャッチメントですの!!」  
 
                     おわり    
 

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