「おい、一方通行(アクセラレータ)」
「……なンだァ?」
「おまえが今書いている“それ”はなんだ?」
「決まッてンじゃねェか。あァ、そうだ。こいつは忘れちゃいけねェ。
毎年毎年欠かさず書いてンのさ」
「あえてもう一度聞くぞ。“そいつは”なんだ?」
一方通行は口の端を大きく吊り上げて鼻で笑うと、
「今年のクリスマスプレゼントに決まッてンだろォッ!
靴下の用意も問題ねェ。あァ……もう素敵に楽しくワクワクが止まらねェよ。
特によォ……木原ンとこにいたときに、ホンの少しだけ見たサンタクロースが
最強にかっこ良かったンだよォ……ッ!
そンとき一度捕まえてやろうと思って掴みかかった瞬間―――」
「…………」
「気がついたときには床に転がされちまってたのさァ。
俺もなにが起こったのか分かンなかった。
けどよォ、実は俺に反射越しに触れて“なにかをやった”のはそのサンタが初めてだった。
あの細身で背の高い、赤いサンタの背中が忘れられねェ」
「―――そうか。分かった。もういい」
(これは俺にサンタクロースをやれということなのか?)