『全てはここから始まった』
あの日――『御使堕し(エンゼルフォール)』が発動された直後、ロシア成教『殲滅白書(Annihilatus)』内で起ったある出来事をお話しましょう。
あの日は、朝からとても過ごし易い日だったと憶えているわ。
その日も私、殲滅白書最強にして最高の美貌を誇るワシリーサは、そんな麗らかな夏の日差しを楽しむ様な余裕など無く、ただただ執務に励んでいたの。
「ふっふーん。私にかかれば、カナミンの新コスチュームの再現なんてチョチョイのチョイなんだから」
これは新しい戦闘服の開発をしている所。
近年、極東の対オカルトに関する研究は特に進んでいて、中でも戦闘服(コスチューム)については群を抜く高い性能を誇っているの。
我々殲滅白書としても、こう言った新しいものはどんどん取り入れて行く事で、メンバーの安全な活動、そして他勢力との勢力争いに後れを取らない組織作りを目指している訳。
「やっぱり時代は、カ、ナ、ミ、ン、よねぇ。あーん、サーシャちゃんがこの衣装着て、闘って、闘って……。ああ、でも、あの子は短気だからぁ、そこを突かれて捕まっちゃったりして、それで、それでぇ……。くふ、くふふ、くふふあはははははははははは!」
そうして私が苦悩に身をよじっていたその時、事件が起ったのよ。
「ん? 何かしらこの気配」
それは強力な術式の気配だったわ。
しかも、
「あらやだ。もしかして『御使堕し(エンゼルフォール)』じゃない」
御使堕し――それは、天使を天界から人間界へと呼び出すための強力な術式。
人の身には余りある天使の力を現世に降ろしてどうするつもりなのかしらね?
ま、その真意や結果云々は既にみんなの知る所だから省くわね。
「ふぅー。どこの馬鹿よ。今時天使なんか呼び出したって何の得にもなりゃしないってのに」
私はそう呟きながら、ベールの両端を強く掴んで術式に備えたわ。
その程度でどうなるのかって? それがどうにかなるからこそ、私が最強って呼ばれるのよねぇ。
とにかく、そうして私が準備万端待ち構えていると、私の耳に術式が通り過ぎる「ごうっ」と言う音が聞こえたのよ。
そして再び訪れる静寂。
私はフードの下からチラリと辺りを覗いてから椅子から立ち上がると、近くにある姿見の前でくるりとその場で一回りしてみた。
ふわぁーと広がるベールとスカート。
ちらっと見えた生足の肌の白さに変化無し。
もちろん、美しい顔も、金髪も、すべすべの手もぜぇんぶ変わり無し。
「よし、影響は無いわね」
ほら! すごいでしょお。
実はこの修道服も私の手製なんだけど、イギリス清教自慢の『歩く教会』なんて目じゃない訳よ。
とにかく、そう言う訳で無事だった私は、
「まずは術式の発動位置を特定しなくちゃ。それが出来たら早速行って、馬鹿を狩り取らなくちゃね」
早速行動に移そうと執務室を出る事にした。
ところが、私がドアノブに手を掛けようとした所で、何かが爆発した様なすさまじい轟音と共に、部屋全体、いや、この殲滅白書の本部の建物が悲鳴を上げたのよぉ。
しかも、そこに追い打ちを掛ける様に――、
「この気配は天使……。それも尋常な天使の力(テレズマ)じゃないわね」
そこまで呟くと、私は扉を開けるのももどかしく蹴破ると廊下を走った。
言っておくけど、廊下は走っちゃいけないの。良い子は真似しない様にね。
ま、とにかく、私にしては珍しく胸騒ぎを感じて天使の気配の場所へ。
途中、殲滅白書のメンバーの誰ひとりとも遭遇しなかったけれど、今思えばあれを見られずに済んだのだから幸いだったわね。
それをこれから話すんだけど、他言無用にお願いね。
「これだけ無暗やたらに力を垂れ流してちゃ見間違い様が無いわね――っと、ここぉッ!」
私は、走って来たそのままの勢いで、目の前の鉄の扉をぶち破って中に飛び込んだ。
多分中には天使を降ろした人間が居る筈だったから、そのままの勢いで確保するつもりだったの。
そして、私の見立て通り確かにそこに居た――天使の象徴たる白い翼をゆらゆらとはためかせた、
「サーシャちゃんに天使のお羽が生えてちゃって超キューツ!!」
私は咄嗟に懐に常備してある極東製フルマニュアル35ミリ一眼レフを構えて激写モードに――とこれが一瞬の隙を生んじゃったのよぉ。
で、当然その隙を逃す天使じゃ無かった訳で、気付いた時には氷の枷で石壁に磔よ――もうッ、ワシリーサ一生の不覚ッ!
壁に磔になった私を見上げるサーシャちゃん。
「問一。ここは何処か?」
「ロシアよ、ロ、シ、ア。判る?」
「回答一。理解した」
そう言ってサーシャちゃんの姿をした天使は背中の羽をゆっくりと動かす。
うーん……、一枚も撮らない内に捕まるなんて何て間抜けなのよぉー。
まあ、それはおいおいどうにかするとして、取り合えず目の前の事態を解決しないとね。
「天使さん? よろしければ御名前をお聞きしたいのだけれどよろしいかしら?」
その言葉に天使は思案するように顎に手を――ああ言う仕草ってサーシャちゃんも良くするんだけど、カ、カワイイ。
こう知的な感じが滲み出てるって言うか、一生懸命な感じがいいのよねぇ。
で、そんなかわいい天使は、ちょっとだけそんな仕草をした後、再度私の事を見上げると、
「回答二。私の名前はミーシャ」
それを聞いた瞬間私は愕然としたわ。
天使がロシアの言語圏に合わせて発音したとか、自身の名前をニックネームで言ったとか、サーシャちゃんに響きが似ているとかそんな事はどーでも良くって、もっと深刻的な問題は……、
「何で『水』の力なのよ!? あなたの力は『火』でしょお!」
そう! どんな聖典でもミーシャ――ミハイルの力は火だと書かれているはず?
ところが、
「疑問一。貴女の言っている意味が理解出来ない。何を判断しての発言か不明だが神の加護に制限は無い」
ムグ……。
ま、確かにミーシャちゃんの言う事も尤もだと納得。
「質問一。もし火が望みならそのようにするが?」
そう言葉を発した瞬間、何も無い所から炎の輪がいくつも現れて辺りを照らす。
私はその炎を見つめた後に、ミーシャちゃんに向かって笑顔を向けた。
「お気遣いは有難いけど、お肌に悪そうだからご遠慮いたしますぅ……、わッ!」
私が言葉の語尾に気合を込めると手足の氷が涼しげな音を立てて一瞬で砕けた。
そして、私はそのままふわりと床に降り立つ。
「!?」
ミーシャちゃん、私が氷縛から逃れたのに驚いてるー。
ふふふ。この程度の事で――、
「驚いてちゃ私の相手は務まらないわよぉ」
次の瞬間、ミーシャちゃんの背後に回り込んだ私は、ミーシャちゃんの右手をねじり上げてうつ伏せに床に押し付けた。
ミーシャちゃんを押し倒した瞬間、重いものが落ちて来た様な鈍い衝撃音と共に、床にひび割れが走ってすり鉢状にくぼむ。
ミーシャちゃんは、翼と自由になる手足を動かしているけど、私の拘束を外せないみたい。
「ミーシャちゃんには申し訳ないのだけれど大人しくして欲しいのよねぇ。この申し出如何かしら?」
その言葉に、ぱたりと動きを止めると、
「回答三。同一の見解につき申し出を了解。補足一、相違点。大人しくするのは貴女だ」
ミーシャちゃんがそう言葉を発した次の瞬間、私の体にズシリと荷重加わる。
「んガッ!?」
これって重力操作!? またこの子は設定無視した力をぉ……。
「質問二。やはり不服そうだが火の方が良かったか?」
「ご、ご丁寧に、お気遣い無く」
這いつくばっていた床から立ち上がったミーシャちゃんとは対照的に、両膝を床について屈辱的な姿勢の私。
「質問三。協力要請。私が天に還る為に力を貸して欲しい」
この状況でお願いですか……。
「ものを頼むなら、まず誠意を見せて欲しいわね」
軋む体を起こしてミーシャちゃんの顔を見あげながら、私はそう言ってにやりと笑う。
「質問四。不敬だ。自覚はあるか?」
「それを問うなら、力づくで跪かせた上に見下ろして話すのは失礼なんじゃないかしら」
あの時は、体の自由が効かない分、いつもより饒舌だったのは確かね。
それからちょっとだけ相手を舐めてなのも確か。
「私見一、貴女には従順さが少ない。自問一。自己回答。これも神の与えたもうた試練と言う事か」
ミーシャちゃんがそう言い終わると同時に、ミーシャちゃんの背後の翼が伸びて行き、それは無数の氷で出来た触手の様なものになって私の手足に絡みつく。
「!?」
さらに、そのまま私を持ち上げると、空中に大の字に固定した。
今度はどういう力なのか、私でもびくともしない――と言うか力が吸い取られる様に体の中から抜けて行く。
この調子で丸焼きとか、串刺しとか、四肢切断とか、氷漬けとかされちゃうと、ちょっと困るなぁーなんて考えていると、目の前にふわぁっとミーシャちゃんがやって来た。
この期に及んで、ミーシャちゃんの神々しさに思わず見てれちゃう――次のサーシャちゃんの衣装には絶対羽根を付けよう。
などと場違いな事を考えていると、何の前触れも無く全裸に剥かれた。
その上、ミーシャちゃんも全裸に。
お互い一糸まとわぬ姿……って、こ、これはもしや!? と、自分の事などさて置きミーシャちゃんの体を舐める様に……おほん、つぶさに観察する。
これはやましい気持ちとかじゃなくて……、そう! サーシャちゃんを助けるためなのよ! そうなのよ! だから全然やましい気持ちはこれっぽっちも全然――、
「な……に……?」
私はミーシャちゃんのある一点で視線が釘付けになる。
私の鮮明な記憶では、あそこには無毛の恥丘とワレメちゃんがあるはずなのに、そこに見えるのは、邪悪に隆起した、お、おと、おと……!?
「な!? 何サーシャちゃんの体に変なもの生やしてんのよッ!! ばッ、馬ッ鹿じゃないの!? ね? 馬ッ鹿じゃないのぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!?」
ちょっと取乱しちゃったけど結論から言えば、男の汚らわしいアレが生えてました。
しかも大きさはミーシャちゃんの腕くらいあるから――って、
「!?」
敏感な部分への奇妙な感触に、私の体が勝手に震える。
で、視線を下に向けると、いつの間にか私の腰に手を添えたミーシャちゃんが、大事な部分に凶器を押し当てていた。
「ちょッ!? ちょっとぉ! いきなりそんなゴツイもの前戯も無く入る訳ないでしょお!!」
それに驚いて思わず絶叫すると、ミーシャちゃんはキョトンと私を暫く見つめた後、ぽんと拳で掌を叩いたの。
天然……なのかしら……?
などと考えている間に事態はさらに進んで、私を拘束している触手とは別の触手がゆっくりと私の大事なところに近づいてくる。
「あ、あの……氷柱なんかで何するつもり?」
私は恐る恐る聞いてみるが答えは無い。
あれで串刺し――なぁんて悲惨な末路が頭をよぎる。
ところが、事態はもっと深刻だった。
氷柱が私の大事な部分に触れた瞬間、
「ッあ!?」
盛大に逝った。
あまりに急だったせいで声が漏れる。
何をされたのかも判らない。
判るのは、ただ触れただけで、達する様な快感が股間から脳に向かって突きぬけた事だけ。
さらに――、
「ああッ! あぎッ! ンギッ! ン゛ン゛ッ!」
立て続けに体を駆け抜ける快感。
途中から口を噤んで我慢したけれど、体まではそうもいかず、気が付けば無様に失禁していた。
どうやらただの氷柱じゃないらしいのはこれで判ったけれど、
「ン゛グゥ……、ン゛ヴッ! ン゛ン゛ッ! ン゛――――――――――――――――――――ッ!!」
責めは止まらず、ガクガクと体が震えて頭の中は真っ白。
過ぎた快楽は拷問だってスクーグズヌフラが言ってたけど本当ね。
「ン゛ッ! ヴン゛ッ! ン゛ン゛ッ!」
最後の砦とばかりに結んだ口を頑なに閉じて頑張って見るけど、頭の中が限界みたいで段々と目が霞んで来ていた。
と、そんな視線の端に二本の新たな氷柱が、先端を蛇の口の様に開いて通り過ぎた。
その間、私は氷の蛇の口の中に針よりも細いきらめきを無数に確認した。
そうか、あれが直接神経を刺激しているのか……って!?
「も、もう止め――――」
その叫びもむなしく、二匹の氷柱の蛇は私の白くて大きいおっぱいを半ばまで飲みこんだの。
「――――――――――――――――――――ッ!!」
私の大きく開けられた口から、笛の音に似た絶叫が響く。
我ながらよくもこんな声が出せるものだとびっくりしたわ。
それにしても、まるで皮膚の下に無数の快感の虫が這い回るような感触に全身総毛立つのが判る。
そんな私は、穴と言う穴から雌の臭いをまき散らしながら失神できない事に絶望を感じていた。
いっそ心臓でも止まれば楽になるのに……。
丈夫なのも考え考えものよねぇ――――。
ぼんやりとそんな事を思い出していると、ミーシャちゃんの顔が近づいて来て、
「あがッ!!」
お腹の中に穴でも開けられた様な衝撃に、私の視界が白と黒を行ったり来たり。
「ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ……」
内臓が音を立てて押し上げられるおぞましい感触、そして全身を引き裂かれるような苦痛に脂汗が吹き出す。
しかし、それらが私の心を快楽から解き放ってくれた。
お腹の中にまるで杭打ち機でも突っ込まれた様に、無機質に出し入れされる感触に吐き気を覚えつつも、頭の片隅で対抗策を考える。
手足の枷が外せないなら、いっそ邪魔な手足を引きちぎって抵抗してみるか。
否――ここで失敗すれば後は無いわねぇ。
ここは相手の油断を誘う為にも、あえて従順なそぶりを見せておいて、逆転勝利ッ――そう考えをまとめようとした、その時、
「ぇ……?」
私の体の中で何か熱いもの弾けた。
それは、ひとつ脈打つごとに私の中に満たされて行く。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
このぉ!? 出しやがったわね!! と、叫びたかったんだけど、体が言う事を利かない。
出るのは潰れた絶叫だけ――嗚呼、格好悪いったらないわね。
しかし、それも仕方のない事。
大量に吐き出されるアレのせいで、私のお腹は蛙の様に膨らんで行く。
心で『これくらいでへこたれるな』と叱咤激励を飛ばしても、体は『破裂する! 死んじゃう!』と怯え、そして泣き叫ぶ。
挙句には内臓が圧迫されて、
「ア゛グゥ……ゲェ……。ン゛ッ!? ゴハッ!!」
胃の中のものが口からこぼれて、私の胸とミーシャちゃんに降りかかる。
最悪、無様、何が最強かッ!
これ以上堕ちる所は無いと言う所まで踏みにじられた所で、
「質問五。再度協力要請。従うか?」
ミーシャちゃんの声が優しく私の耳朶をくすぐる。
「あぁ……」
霞んだ瞳に映るミーシャちゃんの姿が何とも神々しい。
「もう一度質問五。再度協力要請。従うか?」
ミーシャちゃんがオウム返しの様に同じ事を言う。
ふふふ――こういう場面で言う言葉って言ったらあれしか無いわね。
「だがことわる」
「!?」
「それ……とも――りょ、りょうじょくがたりないでしょッッ!! だったかしら?」
「!!」
くふふふ。驚いてる驚いてる。
「言ってみたかったのよねぇ、コ、レ。中々、私を追い詰めてくれる様な強敵(とも)に会えなくてん。あ、り、が、と」
嗚呼、つくづく私ってあまのじゃくねえ。
でも止められないのよ。
きっと死ぬまで止められない。
「――――e無kb――rl更生qッ!?」
何を言ったか判らないけど、どうやら怒り心頭といったところかし――、
「オひッ!?」
突然お尻に衝撃。
ぇ……? この背筋も凍るような感触と、背骨を真っ二つにされる様な痛みってまさか……、
「ぎゃホバァ!!」
私の叫び声は口内から突き出た氷柱で一瞬にしてかき消された。
これって良くある触手串刺しって言うエロ描写!?
「――――lg一度ォォ!」
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!」
前からは蛙腹を内部から杭打ち、お尻からは無数のこぶの付いた氷柱――こぶの全てに例の針付き――が、蛇の様にうねりながら腸から胃を抜けて口まで這う様に蠢動する。
もう、およそ人間としての扱いを失って、人形の様に成す術も無く蹂躙される。
「ガボガボア゛ア゛ガガガオ゛ボオ゛ゴオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!」
湿った地下室に響き渡る人外の絶叫。
本当に何でもっと人並みに生まれなかったんだろう? 改めて自分の丈夫さを呪ってみたり。
そして、それからどれくらい続いたのであろう拷問は私の心を見事に破壊してくれたわ。
「ミーシャちゃんのご命令通りに、イギリスにはこちらからミーシャ=クロイツェフを派遣する事を申し入れておきまひた。アハ」
そう言って私はミーシャちゃんの下半身に傅くと、例のものに頬ずりする。
「回答一。協力に感謝する」
「ミーシャちゃんの為だったらなんれろうらうあうあ」
ミーシャちゃんの肉棒に舌を絡めながら、私はそう忠誠を誓ったの。
その後御使堕しの術式は消滅し、ミーシャちゃんは極東の地で無事天に還った。
しかし、私が受けた傷は残ったまま。
それでもいいの。
私には、サーシャちゃんがいるから――。
「って話なんだけどどうかしら?」
私がそう言ってデスクの向こうから微笑むと、目の前にいたサーシャちゃんは手にした冊子をパタンと閉じた。
「第一の回答ですが、正気でこの本を書いたのですか?」
「本気じゃなくて正気って聞くところがニクイわね。ま、誰に見せる訳でもないんだけどね。ちょっと暇だったから」
「第二の回答ですが、それなら私にも見せないで下さい。そして第一の私見ですが、これは立派なセクハラです」
あらら。いつも通りのお硬い回答。
だ、け、どぉ、それには赤いほっぺがちょっとかわいすぎるわねぇ。
「何? 濡れちゃった?」
「ッ!?」
「そっかー。この私のナイスバディが惜しげも無く蹂躙される様を想像して濡れちゃったかー。そかそか。うーん、こんなかわいいサーシャちゃんを濡れさせちゃうなんて私もつくづく罪作りな女よねぇ」
「第二の私見ですが、貴女は一度精神科にでも行った方がいい。補足説明しますと、手遅れかもしれませんがそれならそれで永久に隔離されると嬉しい。シベリア永久凍土辺りに」
「私はマンモスか何かですか? んと、ホント酷いわねー。私の体にやましい所なんて一つも無いわよー?」
「第一の質問ですが、何故脱ぐ!?」
「いや、サーシャちゃんに私の身の潔白を証明しようと思って」
「第三の回答ですが、結構です。そして第一の質問を繰り返しますが、だから何故脱ぐのを止めないッ!?」
どうしたのかしらサーシャちゃん? 虫の居所でも悪いのかしら……。
「だ、第二の質問ですが、何故そこで不思議そうな顔をするのですかッ!? そして第一の質問を命令に変更して、脱ぐなって言ってるッ!!」
「遠慮しなくてもいいわよぉ。お互い見られて困る所なんて無いでしょ? あ、そうだ! ついでだからお風呂入りに行こ」
すっかり服を脱ぎ終えた私は、さっと身をひるがえすとサーシャちゃんを後ろから羽交い絞めに。
「だ、第四の回答ですが、それも結構ですッ! ほ、補足説明しますと、ここから大浴場までどれだけ距離があると思ってるんですか!?」
何恥ずかしがってんのか私には判んなーい。
「いいじゃないの細かい事はぁー。ほらほら脱ぎ脱ぎしましょうねー」
じたばたし様が何しようが、私が作った戦闘服ですから、脱がすのもほいほいほーいってもんよ。
「だ、第五の回答ですが、脱がすな馬鹿ッ!? ほ、補足説め……ッ、止めろって言ってるだろこのッ! アッ!?」
「ごめーん。おっぱい触っちゃった。テヘッ」
そう言いつつも、指先はかわいいてっぺんを転がしてみたりぃ……。
「だ、第六の回答ですが……、死ねこのセクハラ上司ッ!!」
私の抱擁を振り切ったサーシャちゃんの拳が、顔の横を掠めて床に突き刺さる。
おおっ!? 素手でも床がぶち破れる様になったのねサーシャちゃん。
「第一の決意表明ですが、次は外しませんッ!」
次の攻撃態勢に入った全裸のサーシャちゃんを、満足げな笑みと全幅の愛情を浮かべて迎えたの。
「かかってこい! このバカ弟子がぁぁッ!」
「第一の否定ですが、誰がお前の様な変態の弟子かぁぁッ!!」
END