「す、すごいんだよとうま!神社は五……四つ子のクールビューティが巫女さんで
食べ物がたくさんなんだよ!」
「カウントが一つ減ったってことは美琴がいるんだな。
……っていうか、おまえはついに上条家の家計まで真っ赤にさせる気か!?」
「ほらほら上条君、そんなことより左端の巫女服の美琴ちゃん見て見て!
あ、こっちに気づいた。他の子のことはあえて聞かないでおくから早く行っちゃえー!」
「当麻さん、私達は屋台を回っていますから。
……ほら、刀夜さんがすぐそこで女性の帯を。あらあら。新年早々困ったものですね」
『あ、熱い!母さんの愛が!焼きそばがー!?』
「親父、死ぬなよ……」
「いや。調理中の焼きそばをぶっかけられたぐらいなら死なないと思うけど……。
あ、鉄板投げた。さすがに死ぬかもね」
「平然と眺めてたこ焼き食ってる美鈴さんもすげぇな。あとこっちになんか合図送ってる」
「無視しなさい。あの子なんて手当たりしだいに屋台一つ一つ回って食いまくってるじゃない。
あー、振袖がとんでもないことになってるわね。ソースとかタレで染みだらけ。可愛いのに。
あ、あの眼鏡の娘っていつだったかの……」
「っていうか、おまえ仕事はいいのかよ」
「休憩中ー」
「そうか」
「そうなのよー」
「平和だな」
「平和ねー……。慣れって恐ろしいわ」
「ああ、それとなんだ。似合ってるぞー、巫女服」
「ふーん、そう、似合ってるー…………?」
「おう。普通に可愛いと上条さん的には思うぞー」
「…………ふ」
「?」
「……ゃぁー」
「どうしたんだ?」
「――――――な、何でも……ない」
「そうか?」
「そうなのか?」
「そうなのよ―――げっ。く、黒子が来てる……。ちょ、ちょっと後ろに隠れさせて」
「おいちょっと待て!?」
「おかしい。巫女服は。私の属性。どんどん。奪われていく予感がする」
「姫神さん?私の振袖……気に入らなかった?」
「そんなことない。とても綺麗。吹寄さんも」
「その簪(かんざし)は?」
「クリスマスの次の日に。朝起きたら。枕元にこれが入った箱があった。カードも」
「カード?」
「“Sorry and Thank you”って書いてあった。たぶん私の。知り合い」
「ふーん……?」
「そうなのです!吹寄ちゃんも姫神ちゃんもこぉーんなに綺麗になっちゃって!
あ、でもでもお嫁さんにはまだまだ遠いのですー」
「小萌。もう枯れてる?」
「か、か、枯れてるなんてませんよー!先生はまだまだお肌ピチピチで若いんですからー」
「若すぎよ。まったくもう……」
「結標ちゃーん!来てくれたんですね!!」
「五和。ついにこの日が来たのよね」
「は、はい……」
「振袖の下の装備も万全よな。試作型現代的和風メイド服……」
「メイドというより巫女さんですよね……」
「まだ仮名称のみ試作品だが、こいつの瞬間的戦闘力は十八万以上は確実なのよ」
「そ、それじゃあ……い、い、い、行って来ます!」
「浜面……似合ってる?」
「ああ、似合ってるって。心配しなくても大丈夫だ」
「これでバニーさんの耳があったら最高だったなんて超思ってるじゃないですか?」
「いや、思っちゃ―――おお?もしかしていけるか?こう、杵(きね)と臼(うす)とセットで和風で大和的にさ!」
「ところで浜面、私も超似合ってるんじゃないですか?」
「……いや、おまえに餅をつかせたら臼ごと叩き割りかねないよな」
「……今、浜面の頭を超叩き割りいんですけど」
「何故私がこんな民族衣装を……」
「似合ってますよ。着付けのほうも大丈夫みたいですね」
「専門化がやってくれたからな。しかし、エツァリ……何故なのだ。わざわざこの国の様式に倣う必要があるのか?」
「決まってるじゃないですか。ほら、来ましたよ。貴女のお友達が……」
「ショぉぉチトルぅぅぅぅ!!」
「佐、佐天さん!? ショチトルさんの首絞まってます!」
「くぁっ!? 待て、お、おまえは……」
「明けましておめでとうございます、佐天さん、初春さん」
「こ、こちらこそ。明けましておめでとうございます。ほ、ほら、佐天さんも!」
「あ、そうだった。えっと……明けましておめでとうございます、ショチトルのお義兄さん」
「海原で構いませんよ。今年も義妹共々、よろしくお願いします。ショチトル?」
「そういうことか。まったくおまえという奴は……!」
「挨拶を」
「くっ……。ああ、何だ。―――あ、明けまして……おめでとう」
「では、友達同士で楽しんできてください。佐天さん、初春さん……ショチトルのことはお願いしますね」
「待て。どこへ行くんだ。それとそのカメラは何だ!?」
「決まってるじゃないですか。御坂さんの巫女服姿を……」
「―――それを寄こせ」
ぐしゃり。
「今のは海原か?悲鳴みたいだったな。ところで」
「何ですか、土御門」
「……振袖もいい。だが、この場での選択するべきはただ一つだ」
「巫女服は着ませんよ?」
「―――嘘だァッ!!」
「ステイル、火を借りたいのですが」
「どうし―――待て。待つんだ神裂。焼き払いたいのは分かるんだがそのルーンは―――」
「何だァ?」
「どうしたの?ってミサカはミサカは袖を振りながらクルクル回ってみたり」
「……汚ねェ花火の音だったなァ。おい、転ぶんじゃねェぞ。あァ……マジで寒ィ。芳川、カイロは?」
「まだあるわよ。それにしても雪国に来ているような格好ね」
「だからマジで寒ィンだよォ……」
「ねぇねぇ、ミサカは綿菓子っていうの食べてみたいってミサカはミサカはあなたの手を引っ張ってみる!」
「おい待てクソガキ……!手袋まで持ってねェから手が寒ィだッての……」
「じゃあ、ちょっとこのまま握っていてくれないかなってミサカはミサカはあなたの手を両手で温めてみる」
「…………」
「大丈夫そうじゃん?桔梗、先に行くじゃん」
「いいのかしら」
「いいんじゃん。それに、私らまで恥ずかしいじゃん」
「それもそうね。行きましょう、愛穂」