東京都西部。  
中野区より西に広がる、広大な都区外の東京都。  
そこには、日夜学生達の能力開発が行われる「学園都市」が広がって  
 
いなかった。  
 
ここは東京西部の市部のひとつ、風立市。  
今日も今日とて平和な街を、学校へと走るひとりの少女がいた。  
(ひー!遅刻、ちこくー!)  
頭のリボンをなびかせながら、パンをくわえて制服で爆走する姿はあまりにテンプレート。どうせここで転校生  
とぶつかるんだろう、という幻想をぶち壊すかのように、背中から声がかかる。  
「おっはよー!このままじゃ遅刻よ〜!」  
(!この声は!)  
「めっずらしいわね、黒子がこの時間に登校なんて。宿題忘れて夜更かしでもしたの?」  
誰あろう。彼女こそ容姿端麗にして運動神経抜群、さらに頭脳明晰で全国3位の成績を誇る、風立一中のスーパー  
ヒロイン、御坂美琴そのひとである。  
「ホ、ホヘヘハマ!ホヒヘン、フルハシュ、フグッ!(お姉さま、ご機嫌麗しゅう)」  
「アハハ、慌てるのも結構だけど、喉にパン詰まっちゃうわよ!じゃまたね〜!」  
 
爆走黒子のはるか上をゆくスピードで、完璧超人お姉さまはみるみる学校へと飛ばしていく。  
(ああ、お姉さま…!あ、でもこんなはしたないところを…黒子としたことが!)  
今の状態を思いだし、足をゆるめて彼女はしょげ返る。  
言えない。来るべき、お姉さまとのめくるめく愛の日々を妄想していたがための寝坊で遅刻です、などと言える  
わけもない。  
彼女は誰はばかることなく御坂美琴にぞっこん(死語)なのだ。  
走り去る後ろ姿を、気もそぞろで走りながら追いかけていると、曲がり角からボケッとしたツンツン頭が前を遮  
った。美琴の姿が隠れる。いろいろあってぐちゃぐちゃな頭のまま、黒子は理不尽な怒りをぶつけてしまう。  
「おんどりゃあああ!わたくしとお姉さまの邪魔をするかあああ!」  
「なっ!ウボァー」  
どこかの皇帝の断末魔のような叫びをあげながら、ドロップキックを喰らった少年はゴロゴロ転がりながら飛ん  
でいく。  
「イテテ…って白井!朝っぱらからなにしやがる!不幸だ…」  
「こっちのセリフですの!私とお姉さまの、朝のエレガントタイムを無粋に阻害しただけで、十分万死に値し  
ますわ!」  
「お姉さま、って…ビリビリは、もうあんな先じゃねぇか!」  
「遠くから見守る愛もありますの!貴方のような下卑た殿方には一生わからない境地でしょうが」  
 
「朝っぱらから幼なじみに対してホント言いたい放題だな…っておい!時間!これ完全に遅刻だぞ!」  
「な!貴方のせいですのに!全く!」  
「ごちゃごちゃ言ってないで走るぞっ!」  
「ってちょっと!なぜ手を握りますの!汚ならしい!はーなーせでーすーのーっ!!」  
こうして朝の時間は過ぎていく。  
今日も、風立市は平和である。  
 
 
 
 
以下嘘予告。  
河原で拾った不思議なコンパクト。部屋にて、自分はお姉さまに釣り合わない、と悩む黒子に語りかける小さな影。  
「黒子ちゃん、この魔法のコンパクトをつかって!」  
「気持ち悪っ!なんですのこの緑々したヒゲガエルは?!」  
「ぼくゲコ太!」  
 
コンパクトに映る世界。夢のように美しい宮殿に座り、話しかける一人の少女。  
「黒子さん、あなたには使命があります、とミサカはとうとうと語りかけます」  
「まっ!髪の長いお姉さま!高貴なドレスが恐ろしく似合いますわ!是非頬擦、ぐほっ」  
「…大丈夫ですか、とミサカはコンパクトに頭突きをくれる少女に不安を隠せません」  
 
黒子の思いはお姉さまに届くのか?!  
上条さんの役どころは?!  
そもそもこんなヘンタイが主役つとまるのか!?  
ネタ元の姫神ちゃんに出番はあるのか!?  
次回、「変身!スーパー堕天使エロメイド!」  
イケイケ!ゴーゴー!ジャーンプ!  
 

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