乙女の聖戦(バレンタインデー)に向けて、少女たちから一言をいただきました。
「とうま! 今度こそ、わたしがとうまに一番相応しい“れでぃ”だってこと、証明してみせるんだよ!
短髪なんか目じゃないくらいすっごいチョコレート作ってみせるんだから!
…あっ、でもこのチョコすっごく甘い匂いがして美味しそうかも〜♪」
「なっ、ななななっ、何言ってんのかしらっ!? わ、私にはっ、チョコ作る相手なんてどこにもっ…。
…で、でも、やっぱりあいつもチョコとか欲しいのかな……そ、そうよねっ!
どうせあいつモテないしっ、誰からももらえないわよね(?)…。
…じゃ、じゃあ私が、1つくらい恵んでやってもいいかなー?なんて…何にやにやしてんのよ私はーっ!」
「このような形に逃げるのは些か不本意ではありますが…もはやチャンスはこれしかないと、土御門たちがっ…。
…いやしかし、タイミングを逃し続けているのも事実……くっ…オルソラっ、救援を求めますっ!」
「…スポットが当たった。それだけでしあわ」
「現在、我々“妹達”は彼に贈る愛情のこもったとっておきのチョコレートを製造中です、とミサカは頬を赤く染めながら答えます。
ちなみに、抜け駆けを試みたミサカ19090号には制裁措置もとい軽いお仕置きを加えました。
恨むのなら日頃の行い(ダイエット)の悪さを恨みやがれ、とミサカはしたり顔で微笑みます」
「えと、わ、私は…あの子にも、か、彼にも、作ってみたい、です。
初めてだから、上手く作れる自信はないけど、喜んでくれるかなぁ…?
あ、甘いものとか好き…かな。 えと、えと」
「あらあら、チョコの下準備なら既に済んでいるのでございますよ。
彼に喜んでいただくためにと、三日三晩寝ずに思索しておりましたところ、やはり正統派が一番であるという結論に至りました。
あとは時が来るのを待つだけでございます。あら神裂さん、どうなさいましたー?」
「慣れないことはするもんじゃないですね。 あは、手がどろっどろになっちまいましたよ。
おや、どうしました? 前のめりになっちまって。 え? 誰にあげるかって? それは、えぇと…」
「修道女たるもの、そのような世俗的なイベントに参加するなど言語道断っ!
許されることではありません! そんな不埒な輩は私が懲らしめてっ……!?
だっ、だめですシスター・アンジェレネ! 冷蔵庫を開けてはっ」
「チョコレート〜チョコレート〜♪ むふふ、甘い物は脳を活性化させるんですよ!
この時期はチョコレートが特売になるから幸せですね〜♪
あれ? 冷蔵庫に何か…“作 シスター・ルチア”?」
「ふぅ。 あとは型抜きだけですね。 ふふ、喜んでくれますよね。 きっと彼なら。 ふふふ。
あっ! だ、ダメですよ建宮さん! 完成するまでっ、というか完成しても見ちゃダメですっ!
それを見ていいのは彼だけなんです! ちょっ、その服は最終兵器なんじゃっ!?」
「むふふふふふふふふ…とうとう、とうとう迫って参りましたわっ!
乙女にのみ与えられた聖なる記念日っ、セントバレンタイン!
友チョコだなんて生易しい物ではありませんわよお姉様!
も・ち・ろ・ん! 黒子の全身全霊をかけた大本命チョコですわ!
腕に縒りをかけて、いえ…腕にチョコをかけて!
完成させてみせますわよ等身大!! 覚悟なさいませっお姉様ぁっ!!」
――乙女の聖戦まで、タイムリミットは約一日