メイド服の少女が、抱えていた食材と漢方薬の袋を
ドさ、どさどさどさッ!と、雪崩を起こすように床へ降ろした。
「一応言われたものは揃えたけどなー、どうするんだコレ?手料理でも作るのかー?」
舞夏が首をコキコキと鳴らして目の前にいる銀髪のシスターに聞くも、
「ふふ、うふふふふふふふふふふふ……」
どうやら自分の世界にイッてしまっているようだ。義兄の例を見るに、この状況では何を言っても通じないと悟った彼女は
「それじゃあ請求は上条当麻に回すからなー」と、
とりあえず要点だけ伝えて引き上げる事にした。恐らくは無断で注文したのだろうが、
あの少年も、いつもぐーたらなこのシスターが手料理が作るためだったと知れば文句は言わないだろう。
そうして部屋の中には大量の漢方薬と食材と、ニコニコ顔のインデックスのみが残された。
「うふふふふふふふふふふふ」
先程、舞夏がもう少し注意してみれば分かっただろう。
「大事なのは『既成事実』だもんね……?」
一見ニコニコ笑っているように見えるインデックスのその瞳の奥が
「私からせまっても、何の意味もないんだよ」
真っ黒に燃え上がっていたことに。
「『抱朴子』の錬丹術で!とうまに媚薬を飲ませて私を襲わせるんだよ!」