「……おい」
「……なによ」
「…………いや」
「…………上条、何か言いたいことがあるなら言いなさいよ」
向かい合うは上条と吹寄。その距離はかなり近く、お互いの呼吸の音が聞こえるほどだ。
「こんなとこでなにしてんだよ」
上条が目を合わせずに問い掛ける。吹寄は少し間をおいてから口を開いた。
「かくれんぼよ」
予想通りのその返事に上条は『へっ』と笑って「いい年してかくれんぼねぇ」と小馬鹿にする。
「うっさいわね!!気分転換しようってことになったのよ!!足を触るなスケベ」
「触っ……!せめぇーんだからしょうがねえだろ。つか後から入ってきたのは吹寄さんのほうですよ?何故に俺が気を使わなければ」
「……馬鹿のくせに正論を……。貴様は一体こんなところで何をしているのよ」
「あ?」
上条が答える前に吹寄はその理由がわかった。なぜかというと
「さぁー!!!男子諸君!探すでー!!今夜の焼き肉を賭けて!」
「………」
「………」
上条は言った。
「男のロマン、かくれんぼだ」
5対5のかくれんぼデスマッチ。2時間以内に見つからなかったら勝ち、焼き肉を賭けた熱い戦いなのです!
「つーかお前よくこんなとこ知ってたな」
「色んな行事で運営委員したからそのときに……ていうか本当に近いから。離れなさい馬鹿助」
二人がいまいるのは屋外に建つ体育用具室の中。その中にある使われないマットやパイプ椅子等がしまわれている小さなスペースだ。一畳ほどしかないのでどうしても身体が触れ合ってしまう。
「逆に貴様こそなぜここを知っているのよ」
「なぜって……」
上条は誇らしげに頬笑む。「青髪が見つけた絶好のサボりスポット。ここは誰も知らない僕らのネバーランドだからさ」
「…………」
吹寄はジトーッと上条を見つめてため息を吐く。
「先生に伝えておくわ」
「やめてっ!!お願いなんでもするからっ!」
「近いから」
懇願して顔を近付けてきた上条を足で押し返す。上条は「もふぅ」と妙な声を出しながら遠ざけられる。
「つまらないじゃない」
短い沈黙のあとにボソッ、と吹寄が呟いた。
「え?」
「上条も、土御門も、青髪ピアスも……、貴様ら全員出席数ギリギリじゃない。あたしは……いまのクラスが好き。誰か1人でも欠けたら……、そんなの、つまらないじゃない。だからこれ以上授業サボるなって……」
「吹寄……」
いきなりの言葉に上条は驚く。まさかかくれんぼをしていてこんな事を聞けるなんて思っていなかった。
「お前って、本当に良い奴だよな」
「……上条」
「いつも三馬鹿(デルタフォース)と言ってどついてくる吹寄さんが僕らを心配してくれてるなんて……。青髪あたりが知ったら号泣するぜ?」
にっ、と笑いかけてくる上条に吹寄は照れ臭くなって顔を逸らす。
「そんじゃ仕方ねーな」
上条が身体を回転させて吹寄に背中を向ける状態になる。そしてそのままゆっくりと身体を倒した。
「この場所は今日から封印ですね?」
ポフ、と上条の後頭部が吹寄の胸にあたる。上条は身体を吹寄に預けたまま上を向き、吹寄と顔を合わせた。
「ね?吹寄先生」
吹寄は顔を真っ赤にしながら、それでも目を逸らさずに上条を見つめる。
「近いって……言ってるでしょ馬鹿助」
「……馬鹿助って。なら吹寄はでこ助だ」
上条は頭の心地よい感触に幸せな気分になっていた。
「でも、密室で男子と二人っきりなのにこんな密着するの許すなんて吹寄も案外無防備なんだな。もっとクールなイメージだったけど」
ギクッと吹寄の身体が揺れる。言われて気付くこの状況。なぜ自分はこんなのとこんなにも密着してるんだろうなんなんだろうこの青い雰囲気は、と今更ながらに感情が込み上げてきた吹寄。
「〜〜はっ、っ早く離れなさいよ……っ!こ……のっエロ馬鹿助!!」
ゲシッと吹寄が上条を蹴りあげると変な感触がした。「いっ……!!!いっでぇー!!!!!!」
上条の想像以上の叫びっぷりに吹寄は若干引く。
「きき、金玉蹴ったな!?お、お前のたまもはじくぞコラ!!」
ハーハーハーと息を切らし、苦しみながら訴える上条に内心焦りながらも吹寄は強気だった。
「自業自得よ馬鹿!というかあたしにそんな下品なものはついていないっ!あったらやってみたらいいわ」
その時、涙目の上条がハッとして吹寄の口をふさいだ。それと同時にガラッと体育用具室の扉を開ける音が響く。
「あと三人がなっかなかみっかんないにゃ〜」
「カミやんもまだ見つかっとらんからなぁ。ここしかないと思いますけどねん♪」
吹寄はいきなり口をふさがれたので「うーうー」と唸った。しかし上条から耳元で「静かに」と言われたので仕方なく声を堪える。
「ミスった。青髪と土御門はここ知ってる……。終わった。ていうか不幸がキャッチコピーの上条さんが賭けをすること自体間違ってたんだ…」
上条が小さな声でそう言った。しかし青髪達が上条と吹寄のいる場所に近づいたとき、見回りにきた教師がちょうどよく体育用具室に入ってくる。
「あなた達こんな所でなにやってるの。もうすぐ完全下校時刻だから早く帰りなさい」
「神はいた。THE・焼き肉ゲット」
二人が教師に促され、しぶしぶ去ったあとも、上条は吹寄の口を塞いでいる。そしてその反対の手は、ムギュムギュと柔らかい物体を揉んでいた。
「貴様……はも……むなぁぁ!」
口から手を離した上条はその手も胸に持っていく。もみもみもみと、いやらしい手つきでその動作をやめない上条。
「吹寄に金玉はない!よって2つの丸い玉まで定義を広げてみた!頭いいな俺」あははと笑いながら揉みしだく。
タプンタプン、と吹寄の大きな胸が揺れた。
「貴様……死にたいの?」
その言葉にも構わず、上条は吹寄の制服をたくし上げてブラをゆっくり捲る。
「あ!」と驚く吹寄。
「それ以上した……ら、本当に死……なす……からっ」
グイっと全て捲り、吹寄の胸が顕になる。
「この……馬鹿……っ。やだって……」
ボカボカとわりと強めに上条を殴り付け、抵抗する吹寄だがバンッと上条から両手の自由を奪われ為す術がなくなってしまう。
「んんっ、やぁ……っ。や……だっ……も……」
自分でも聞いたことのない声が漏れる。コリコリコリと上条が乳首を愛撫してきた。
「こんな……ダメ……」
コシュ、コシュ、とねちっこく責められ続け、吹寄のピンク色の乳首はぷくっと膨れ上がっている。
「やめっ……て、……やめ……よ?」
吹寄が甘い吐息を吐きながら上条に話す。二人の顔の距離はもうゼロで、鼻と鼻の先は触れ合っていた。上条が「はー、はー」と荒い呼吸をしながら吹寄の瞳を見つめる。
「あ」
と、吹寄が気付いたときには二人の唇は重なっていた。ふー、ふー、と二人の呼吸が漏れる。
舌が絡み合い、グチュグチュといやらしい音が聞こえた。ぶるっ、と吹寄の身体が震える。
(感じてるな……)
それに気付いて気をよくした上条は更に舌を絡める。
レロォ……と糸を垂らしながら口を離すと吹寄の顔はいつものキリッとしたものではなく、ぐしゃぐしゃに崩れていた。
「な……んで急……にっ……こんな」
呂律も回らない状態で吹寄が尋ねると上条は携帯を取り出した。しかしそれは上条のものではない。
「……実はさっき吹寄の携帯が床に落ちてて……」
しゃべりながら上条は携帯を操作している。
「ちょっと出来心でデータフォルダみてみたら……」ぐっ、と液晶画面を吹寄に向けた。
「俺の写メが」
ドクン、と吹寄の身体が一瞬揺れ、その後硬直する。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、ああぁぁあ〜」
「カオナシか!逃げんな吹寄」
ずりずりと這いながらその場から逃げようとする吹寄をガシッと掴んでホールドする上条。
「何かご丁寧に別のフォルダに入ってるし」
「!」
「何枚も保存されてるし、持ち主の吹寄さんならご存知ですよね?」
そのフォルダを開き、吹寄に見えるように顔の前に携帯を差し出す。さらにもう一方の手では暴れたことで捲れあがったスカートから見える吹寄の尻をさする。
「〜〜〜〜知らな……いっ」
「本当に?」
そう言って上条は下着の中に手を入れた。トロ……っといやらしい感触がする。指先で撫でながら小さな突起をクリッと優しく摘むと「やっ…ぁ」という声が吹寄の口から零れる。
「もっとよく見てくれませんか?吹寄さん」
指を動かしながら上条は囁いた。吹寄は、必死に下半身に押し寄せる快感を堪えながらその上条の意地悪めいた言葉に返事をする。
「触るなっ…ぁ……、貴様なんか……上条なんか……あぁ……っ」
言葉とは裏腹に、下腹部がきゅんきゅんと疼く。
「好き……じゃな……い、キモ……い……ひんっ!」上条の指がグニュっと吹寄の中に侵入してきた。
「へぇー、クラスで真面目な吹寄さんはキモい男子にいじられてこんなに濡らすんだ」
「っああぁっ……!」
「吹寄変態くさいな」
中指を根元まで入れた上条はその指を動かし始める。グチュ、ヌポ、という音と共に「やっ、あ、や」と吹寄が声を出す。
上条はその反応にゾクゾクっと快感を覚え、執拗に愛撫しだした。
「変態」と吹寄を言葉責めにしながらジュプジュプと指を動かす。
「あっ……ん!上条……待っ……て、ホン……トに」「やめてって言いながら締め付けてるぞ変態さん♪」「い、や!っあッ」
「変態」
その瞬間、吹寄にそれまで感じたことのないぞわっとした感覚が押し寄せる。
「あっ!!え……?ひやぁ……」
きゅうぅぅぅぅっと下腹部が熱くなる。上条も、締め付けが強くなったのがはっきりわかった。
「いやっ……見ないでっ!!……あっ!」
同時に、ジョボジョボと吹寄のアソコから温かいものが流れ出てくる。
「やっ、あぁぁぁぁ!!」
上条はそれを見て唖然としながらも、尋常ではない興奮を覚えていた。
「すっ…げー。これ……潮吹き?……吹寄なだけにって――、ハッ!!しまった!!」
上条が慌てて吹寄を見ると今までの印象がぶち壊れるくらい事が目の前で起こっていた。
吹寄が、あの鉄の女がグスングスンと声を出して泣いていたのだ。
「吹寄……ごめん、調子に――」
手をとって慰めようと顔を近付けた瞬間、吹寄は一転してキッッ!と上条を睨み付け、ゴキィッと派手な音が響くほどの頭突きをお見舞いさせた。
「〜〜〜〜ッッッッッ!!」
「貴様……、最初……から、こういうつもり……っで……」
まだ涙ぐみながら吹寄は上条の胸ぐらを掴みあげる。
「す、すす、少し……は、あたしが好きでこんなことしたんでしょうね!?」
カアァァと吹寄の顔がまた赤くなった。心中、自分のドキドキとした鼓動が聞こえているのではないかという不安さえ吹寄は抱く。
しかし上条は、クリティカルヒットした頭突きに多少怒りを覚えたので少々からかってやろうと考えた。
素っ気なさそうに
「……少しだけな」
と答える。
吹寄は「…………」と、沈黙したあとにスリスリと上条に身体を寄せ付け、ちんまり、とワイシャツの裾を掴んで
「どうしたら……いっぱいになる……の?」
と、言った。
顔を赤らめ、目を潤ませ、制服ははだけて、自分に擦り寄り、尚且つ上目遣いでそんなことを言われた日には男・上条暴走寸前。
釣られて顔を赤らめながら
「っそ……そりゃあ……ッ!!」とズボンを脱ぐ。
ビンビンに固まった肉棒を先ほどグシャグシャになった吹寄のアソコにツルッと擦り付けながら
「こっちもいっぱいになったら……かな」
と笑う。
「なによ……ソレ……」
吹寄は、その顔を見て釣られて笑ってしまう。
「いい……」
「え……?」
「もうなんでもいい……。貴様なんて、気持ちとかどうでもいいから……奪ってやるわ……」
グニュッと上条の先が吹寄の柔らかくなった部分に入り込んでいく。
「う、わ……っ吹寄……」
ズプッという心地よい感触が上条の身体を包み込んだ。しかし、少し先っぽが入ったところで吹寄が
「ふぅっ……!……あぁー……………」
と声をあげてコツンとおでこを上条のおでこと重ねる。
「やっ…ぱり、無理……。き……つ…」
コツンコツンと互いのおでこがぶつかる。
「……諦め早くないか?」
上条がなんかこいつ可愛いなと思いながら呆れかけると、吹寄はくっついていたおでこを離し、上条の頬を触って
「キス……して……いい子いい子して……そうした……ら……がんば……るか、ら」
上条はその言葉に間髪いれず吹寄と唇を重ねる。
「ん」と声を漏らしたあと、ビクビクッと身体を揺らしながら腰を下ろしていく吹寄。
ブチュっという音がしたあと、我慢の限界がきた上条が激しく腰を打ち鳴らす。
「ぁう!ん……ふ……あむ!」
舌を絡ませながら甘い声を出す吹寄の頭を、上条は約束通りスリスリと撫でてやった。
「あんっ!!……ど……しよ……」
吹寄は、顔も身体もべとべとに汚して、それでもまだ上条と唾液を交換することをやめない。肉棒を出し入れされているアソコからはどんどん愛液が溢れだし、ヂュポッという音が大きさを増してくる。
「あっ、あっ……どう……しよ……う……っ」
吹寄があまりに可愛い声を出すので上条の気持ちも高ぶり、より濃厚に舌を絡ませ吹寄を味わった。
「うれし……よぉ……あっ、上条……なんかに……ぃこんな……い、言いたく……ないのに……」
吹寄の腰が浮いてくる。上条はさらに激しくするために吹寄の膝を持ち上げグリグリと膣内の感触を堪能する。
コツンと奥で何かに当たる。何度も何度も、絶頂に向かうためにそこに打ち付けた。
「吹寄……膣内で出すからな……子宮に、いっぱい出してやるから」
その言葉に反応して、吹寄は限界を向かえる。
「やぁぁぁ……いくっ!いく……のぉ……!好き……だか……らぁ………っ!!」
ビュッ、と自分のお腹に熱いものが注がれるのを感じながら吹寄は果てた。
校内には、完全下校時刻を告げる放送が響いている。
「かくれんぼ……どうなったかな。さすがにみんな帰ったよなぁ」
「……」
二人はきちんと服を着て、吹寄が上条の肩に身体を預けている状態でいた。
「……吹寄」
上条が、不貞腐れたような表情をしている吹寄の方を見て呼び掛ける。吹寄は顔を向けずに「……なに」と一言答えた。
「好きか……ってあのとき聞いてきたよな。俺……これからもお前とこうして寄り添ってたい……。ダメか?」
上条のその言葉に吹寄は一瞬ビクッと反応し、赤面しながら口を尖らせる。次の瞬間
「吹よ――ッ!!」
ドゴォッという音が響くほどの頭突きが再び上条のおでこに食らわされる。
「ダメじゃないから……、……す、すす、好きだから……」
またそっぽを向きながら吹寄はそう言った。
「な……なぜ頭突きが」
「……無理やりした罰。ちょっと怖かったんだから当然の報いよ」
「マジで痛い。照れ隠しってレベルじゃねえぞ!」
上条が赤く腫れたおでこを押さえながらそう叫ぶと
チュッ
急に、吹寄が上条の頬にキスをする。
「……いっぱいになった?」
「……頭突きも含めてなりました」
おでこを押さえたまま、上条は吹寄を見つめる。
(……やばい。めちゃくちゃ可愛い)
照れ臭そうにする吹寄を見つめていると男子高校生である上条はなんだか再び身体が熱くなり、下腹部に違和感を覚えた。つまり、再びムラムラしてきた。
「吹寄っ!!もう一回……」
呼び掛けようとしたその時、ガタンと扉が開かれ、それと同時に怒号が響く。
「このくそ外道がぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
そこにいたのは上条と焼き肉を賭けたかくれんぼをしていたクラスの男子たち。
倉庫の前に全員が集合していた。
「カミやん……、やっぱりここに……」
「つーか、え?俺たちが頑張ってる間になにしてんのコイツ」
「吹寄が……吹寄が…」
「なぁ、やっぱり致してたわけ?」
「校内セックスとか引くぜ実際……」
「罰が必要だな」
「むしろ死ぬべき」
全員が、額に血管を浮かべて一様にしゃべりだす。そして、最終的に声を揃えていった。
「今日は上条(お前)の奢りだ!!」
上条は眉をピクピクと揺らしながらハハハ……と声を出す。人間、窮地に追い込まれると笑えてくる不思議。
「ふふ……うふふ……。不幸だ……」
その横で吹寄が下を向いたまま
「あたしは、……幸せかなぁ」
と呟いたのは誰も知らない。