学校も終わって寮に帰って来た上条当麻は、鞄を壁際に置くとテーブルの側にどかっと腰を下ろした。  
 部屋ではインデックスがテレビに見入っている。その後ろ姿を頬杖を付いて黙って眺めていた上条はテレビ番組が終わると同時に口を開いた。  
「なあインデックス」  
「なあにとうま?」  
「お前のその名前な」  
「私の名前?」  
 不思議そうに首を傾げるインデックスに、上条は頬杖を止めて背筋を伸ばした。  
「ああ。その明らかに偽名っぽい『インデックス』って名前――お前どう思う?」  
「どう思うって?」  
 真剣な――だが今一つ要領を得ない問いかけに戸惑うインデックス。そんな純白シスターに上条は、自分の言葉の足りなさを実感して照れ隠しに頭を掻く。  
「あ悪い悪い――いやさ。今日御坂の奴に『ビリビリって呼ぶな!』ってまた言われちまってな」  
「短髪?」  
 またあの美琴の話なのかとインデックスは眉間に皺が寄るのを抑えられない。  
 そんなインデックスの様子に気付かない上条はそのまま話を続ける。  
「ま、アイツがいっつもビリビリしてるのが悪いんじゃね? とか思ったんだけどさ。ま、確かにアイツには『御坂美琴』なんつう立派なお名前が有る訳だなこれが」  
「う、うん……」  
 全く要領を得ない、と言うか自分と何の関係が有るのだろうと言う話にインデックスは戸惑いを隠せない。  
 とここで本題とばかりに上条は人差し指を立てた。  
「時にインデックス。そう、俺はお前をインデックスって呼んでるけど……、これって本当にいいのかなと。カミジョーさんはそう思った訳です」  
 ああ、とインデックスは思う。上条はどうやら自分の『インデックス』と言う名前を気にしているのだ。  
 そう言えば初めて会った時もそんな事を言っていたかも、と思いだしたインデックスは大きなため息を付いた。  
「そんな話、今更だとは思わないんだね?」  
 呆れ顔のインデックスにそう言われても上条はピンとこない。  
 ぽかんと口を開けてこちらを見つめる上条に、インデックスは再度大きなため息を付く。  
「じゃあ聞くけど、私の名前が偽名だとしてとうまはそれでどうするの?」  
 あまり答えを期待していないと判るぶっきら棒な物言い。  
 ところが上条は答えを得たりと、両手をテーブルについて身を乗り出すと自信たっぷりに言い放つ。  
「イギリス清教にお前の本当の名前を聞きに行く!」  
 よし決まった、とばかりに胸元で拳を握る上条。一方、インデックスは暫くキョトンとしていた。  
 そして次の瞬間、大爆笑と共に床の上をごろごろと腹を抱えて転がり始めたのだ。  
「なッ!? 何でそこで笑うんだよ? 俺は本気だぞ!」  
「あはははは……。そ、それは判ってるんだよ。ははは……。た、ただ、ただもう、とうま、とうまが……、あはははははははははは」  
「…………」  
 上条は笑い転げるインデックスの姿を苦虫を噛み潰したような顔で見つめる。  
 すると笑い転げていたインデックスが笑うのを止めて立ち上がる。そして涙を拭いながら上条の真横にちょこんと座った。  
「いいんだよとうま。とうまが『インデックス』って呼んでくれれば私はそれだけで十分なんだよ?」  
 そう言って顔を覗きこんでくるインデックスに、上条は「俺は不機嫌です」と言わんばかりの仏頂面を向けると、  
「何だよそれ? まるで幸せならそれでいいの的なオチで俺が納得するとでも思ってんのか? 大体お前の問題なんだぞ。それをおま――」  
 今一乗りの悪いインデックスに活を入れようとした上条の言葉は、優しく触れて来たインデックスの唇に遮られた。  
 そのまましばしお互いの唾液を交換し合う2人。  
 やがてキスをした時と同じようにインデックスの方からすっと体を離すと、2人の間を唾液の橋が結んだ。  
 
 驚く上条にインデックスはにっこりと微笑む。  
「うん。今、私はとっても幸せだからそれでいいの」  
 その言葉と笑顔に上条は眩しそうに目を細めた。  
「インデックス……」  
「なあにとうまぁ」  
「お前口の中が甘いけど……、冷蔵庫に有ったシュークリーム食べただろ?」  
「ぁ……」  
 いい雰囲気を一気にぶち壊す一言――しかし上条にとっては許しがたい証拠をインデックしに付きつけた。  
 インデックスの顔が瞬時にしまったと言う顔に変わり、上条はやはり食べたのかと見つめる瞳が半眼に変わる。  
 そんな上条の顔にインデックスは慌てふためくと、  
「と、とうま、ちょ、ちょっと私の言い分も聞いて欲しいかも!」  
「ああいいぞ。カミジョーさんは優しいからインデックスさんのお話を聞いてあげちゃうぞ」  
 うんうんと頷く上条の背後にどす黒い怒りのオーラを感じてインデックスは頬を引き攣らせながら、早口でまくしたてる様に言い訳を開始した。  
「あ……え、え……と……、その、冷蔵庫を開けたらね。そう! 冷蔵庫を開けたらシュークリームが食べてって私に話しかけて来たんだよ!」  
「うんうん」  
「そ、そうだ!? きっとあれは魔法がかかってたのかも! だってすごく美味しかったし……でもね! でも私負けなかったんだよ! 2つともちゃんとやっつけたんだから!」  
「ほう、2つとも食べたと」  
「あ……」  
「2人で食べようなって、食べたら『オシオキ』だってあれ程言っといたのに、しかも俺の分まで食べたと……」  
「あは、あはははははははははは……。駄目?」  
 かわいらしく小首を傾げて笑ってみた。  
「イィィィィンデェェェェェックスゥゥゥゥゥ」  
 地の底から響く様な声でインデックスの名を呼びながら、上条がぐおぉっと両手を振り上げて立ち上がった。  
 その姿はまるで冬眠から覚めたばかりの飢えた熊の姿を連想させた。  
「きゃああああああああああああああああああああああああ!?」  
 悲鳴を上げて逃げるインデックス。しかしすぐに上条に捕まってしまう。  
 胡坐をかいた上条の脚の中にすっぽりとお尻から嵌ったインデックス。そのインデックスの修道服の隙間から上条の両手が忍び込んで来る。  
「や、とうま、駄目ぇ!?」  
 インデックスは身を捩って逃げようとするが、上条の両手は器用に修道服の中を進み、インナー代わりのシャツをも超えて――目指すかわいらしい膨らみに遠慮なく食らいついた。  
「ひゅッ!?」  
 笛の様な悲鳴を上げて白い喉を見せるインデックスに、上条は膨らみを餅でもこねる様に揉みしだく。  
「んー……。いつ触ってもインデックスのここは触り甲斐があるよなぁ」  
「ひぁ! そ、そんなに強く触ったら痛いッ!?」  
 まだ幼い膨らみは芯が有るかのように指先にコリコリとした感触を伝える。  
 痛がるインデックスを尻目に上条は黙って揉み続ける。そして段々と硬かったそれが柔らかくなって来た頃には、インデックス自身の体も殆んど蕩けかけ来ていた。  
 鼻声で「んっ、ふっ」と切なく泣き始めて来た頃に、上条は自分でも意地悪だと思う言葉をインデックスの耳元で囁いた。  
「何だ? 嫌だ嫌だとか言う割に鏡に映る誰かさんの顔は嬉しそうなんですけど、どう言う事でしょうかね? ねえインデックスさん」  
「ぇ?」  
「ほら」  
 上条が顎で指した先には鏡が一枚。そこには白い肌を真っ赤に染めて胸をはだけて嬌態を演じる1人の少女の姿が有った。  
 そして、涙を浮かべている少女の顔は何故か、艶やかに微笑んでいる様に見えた。  
 
「やっ!? 私、そんなんじゃ――」  
 恥ずかしさに何をどう否定しようかも定まらずに声を上げたインデックス。その言葉を封じるかのように、上条は硬くしこった頂きを指の腹で押しつぶしながら捻り上げた。  
 その瞬間、先端から走った電気の様なものがインデックスの全身を駆け巡った。  
 目は零れそうなほど大きく見開かれ、上半身は勝手に跳ね上がる。  
「ねじっちゃらめぇぇぇええええええええええええええええええええええええ!!」  
 張り裂けんばかりの叫び声を上げながらびくびくと痙攣を繰り返すインデックス。その秘所から溢れだした愛液はかわいらしいショーツを瞬く間に決壊させると、修道服にまで大きな染みを広げて行く。  
 そんな哀れな少女に構わずに上条は頂きを指の腹でころころと弄び続ける。  
 その辛くも甘美な責めが止んだのは、インデックスの叫びも枯れて痙攣も小さくなり完全に放心してしまってからの事だった。  
 その間責められ続けて赤く膨れた乳首が痛々しい。そんなインデックスに上条は、朝のあいさつでもするくらいに簡単に声を掛けた。  
「お、いつも通り乳首だけで逝ったか?」  
「はふぅぅぅ……」  
 上条の言葉に返事をするかの様に甘く蕩けたため息を付いたインデックス。  
 上条はそんなインデックス自身の唾液で濡れた顎を掴むと今度は自分からキスをした。  
 舌でインデックスの口を隅々まで舐めまわして口の中から唾液を全部掻きだす様な乱暴なキスをしてから、ぷはっと息を吐いて口を離す。  
「ん。甘い甘い。次からシュークリームの器はここにしようかな?」  
 そう言いながらインデックスの舌を指で挟んで引っ張り出して弄ぶ。  
「ふへ、んへへ……」  
 敏感な舌からの刺激にインデックスの体に、また妖しい炎が燃え上がり始める。  
 そして、そんなインデックスの変化を察するかのように上条は舌を離すと、その手を下の方――投げだされたインデックスの脚の間に持って行く。  
「さて。甘いもんの次は、当然しょっぱいものって事で……」  
 そう独り言のように呟きながら、修道服の下からまっすぐにある部分に向かって手を突っ込んだ。  
 すると上条の指先にぬるりとした感触と共に、インデックスの股の間からはじゅくじゅくと卑猥な水音が聞こえる。  
「あふっ、あふっ……」  
 水音と呼応するように再び嬌声を上げ始めたインデックスに上条はにんまりと笑みを浮かべる。  
「すげえなここ。もう大洪水じゃねえかよ」  
 ぽつりと発せられた一言。その一言に、今まで嬌声を上げていたインデックスの声が、  
「ん……。そ、そのセリフはぁ……あはぁ……さ、さすがに恥ずかし……んん……と思う……、と言うか……やっぱり……くぅん……恥ずかしいかもぉ……」  
 甘い吐息で途切れ途切れに非難の声を上げたインデックスに、今まで平然としていた上条の顔が真っ赤になる。  
「い、言うなよ……。ちょ、ちょっと場を盛り上げようとしただけじゃねえか……」  
「と、とうまはぁ……はふ……やっぱりとうまでぇ……ん……こ、こんな時くらい……空、気……んん……読んで欲しい……かもぉ……」  
「%△@&#!!?」  
 再びの突っ込みに上条は声にならない叫びを上げる。  
 そんな場違いなやり取りを繰り広げる2人だったが、別にそれで行為を中断する事は無い様子だ。  
 その証拠に上条はインデックスの大事な部分を責めるのは忘れてはない。今やショーツの中にまで入り込んだ指は、口を空けて涎を垂らす秘裂から溢れる蜜をすくっては硬くなった肉豆に擦りつける作業を繰り返していたのだ。  
 再び高みへと押し上げられつつあるインデックスは、徐々に息継ぎも荒くなって行く。  
 対してすっかり馬鹿にされてしまった上条は、  
「インデックスさん? 口は災いのもとって言葉はご存知ですか?」  
 そう言いながら肉豆を虐めていた指を、するっと滑らせると後ろのすぼまりにそっと当てた。  
「ひッ!?」  
 インデックスは急に冷や水を浴びせられた様な気分になって悲鳴を上げる。  
 そんな様子を確認しながら上条は、中指の先だけをすぼまりに潜り込ませると、人差し指とくすり指で器用に周りを揉みほぐす。  
 そうしながら淡々とインデックスに話しかけた。  
 
「罰受けてる人がそんな事誘う様な事言ったら駄目だろ? っつう訳で今日はいきなりだけど『2本』からな」  
 上条の『2本』と言った言葉にインデックスはびくびくっと体を震わせた。  
 それと共に上条の指先に心地よい締め付けが感じられるが、インデックスにはそれどころでは無い。  
「に、2本って……、こ、この間初めてできつかった――」  
「きつくなきゃオシオキにならないだろ? じゃ、問答無用って事で……」  
 その言葉通りに中指に沿う様に人差し指が添えられ、すぼまりのふちをトントンとノックするように突く。  
 その感覚にインデックスの喉がぐびりと鳴る。  
「ほ……、本気……なの、かな……?」  
「大マジです」  
 その言葉通りに上条は、インデックスの中に人差し指と中指をそろえて根元まで埋め込んだ。  
 その瞬間下腹部に走ったズンと肉壁を付き上げる感触に、インデックスはまたも大きく目を開いて絶叫を上げた。  
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」  
 上条はその声を出来るだけ聞き続けようと、インデックスの中をゆっくりとこね回し続けたのであった。  
 
 
 
 
 そんな成り行きを壁越しに聞き耳を立てる二つの影。  
 壁にコップを当てていたメイド服姿の少女――土御門舞夏――は、同じく壁に当てたコップに耳を付けていた金髪サングラスの義兄――土御門元春――を見上げた。  
「あれって児童虐待じゃないかー?」  
「カミやんも随分と鬼畜になったにゃー」  
 物騒なセリフの割に2人とも言葉にこもる感情は実にのんびりとしている。  
「2人とも好きだよなー」  
「まあ若いですからにゃー」  
「シスターに子供が出来たら大騒ぎになるなー」  
「それはまぁ多分、きっと大丈夫じゃないかにゃー? と希望を言ってみるですたい」  
「そんなんでいいのかなー?」  
「人の恋路ですからにゃー? 俺も馬に蹴られたくはないぜよ」  
「だよなー」  
 うんうんと頷き合う2人。  
「所で兄貴ー。気持ちいいのかなーアレ?」  
「さあ、どうかにゃー?」  
「兄貴にならされてもいいぞー」  
 舞夏が冗談のつもりでそう言った瞬間、金髪の手の中にあったコップにひびが入る。  
「あははは。冗談だよ。本気にする――きゃ!? あ、兄貴ー?」  
 気が付けば舞夏は土御門元春の小脇にがっちりと抱えられたいた。  
「風呂でも入ろうか舞夏?」  
 こんな時にニヒルな笑みを浮かべられてもちっともときめかないぞー、と内心で思いつつも舞夏は取り合えず説得を試みる事にした。  
「ひ、1人で入るって選択肢は無いのか兄貴ー?」  
 その言葉に帰って来たのは、無言で首を横に振ると言うジェスチャー。  
「お、お手柔らかに頼むぞー」  
 舞夏は心の底からその言葉を狼と化した義兄に投げかけるのだった。  
 
 

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