とある月曜日・・・。  
 昼休み、御坂は昼食を購買部で買うと校庭に向かった。最近は屋上か  
校庭の片隅で買ったサンドイッチをかじるということが多い。一緒に昼  
食を食べるほど仲のいいクラスメートがいないので、自分の机で食べる  
のはかなり苦痛だった。  
 「外の風に当たった方が気分が変わっていいし」独り言を行って見る  
が、強がりにすぎないことには気づいている。今は外でもちょうどいい  
季節だが、冬になったりしたときにどうすればいいのかは考えないこと  
にしていた。さすがにトイレで便所飯っていうのはカッコ悪すぎる。私  
は常盤台のレールガンなのだし。  
 
 今のクラスで私が浮き気味なのも、この飛びぬけた「能力」に理由が  
あるせいなのは間違いないだろう。憧れの対象ではあっても、親しく付  
き合える相手じゃないのはそのせいだ、と彼女は考えていた。ただ一方  
で自分の性格に問題があるせいでは、という悩みもずっと消えずに残っ  
ている。  
 
 一時期は黒子を含めて4人で遊ぶことが多かったが、少し前から佐天さ  
んが現れないことが多くなった。初春さんの話では、どうやら彼女は最  
近婚后さんと仲が良いらしい。どうやら婚后さんが、能力の向上方法に  
ついていろいろ教えてあげているらしいのだ。  
 「ああ見えて、結構面倒見がいい性格なんですね」と初春さんは言っ  
ていた。もちろん悪気は無くて、別に私を批判しているわけではないの  
が分かっているのだが、御坂には結構これは堪えた。  
 (確かに私はサテンさんに能力のことで何も教えてあげてなかった・・・。)  
   
 御坂にとって、能力はカリキュラムで方法論を教えられることはあっ  
ても、基本的に自分で向上させていくもので、他人、特に友人に訊いた  
り、教えてもらって伸ばしていくものという発想がなかったのだ。  
 (仕方ないわよね・・・)  
 そう言って見るものの、これで御坂が落ち込んだのは、いかにもなお  
嬢様然とした婚后さんよりも、自分の方が親しみやすい、とううぬぼれ  
があるせいもあった。  
 考えてみると婚后さんの方がとりまきと言っても、おとなしくてごく  
ごくまともな感じの友達を連れているような気がする。  
 (私ときたら・・・)黒子の顔が頭に浮かんだ。(あんな変態に好かれち  
ゃうだから)  
 そう思いながらもたまらなく黒子に会いたくなっている気持ちになる  
のを否定することはできなかった。  
 
 
 昼休みが終わり、2階のクラスに戻るとき、ふと黒子のクラスの前を通  
ってみようと思い立った。正直なところ同室となってからも互いのクラ  
スでの出来事を話合うことはあまりない。どんな様子なのかは興味があ  
った。  
 「ここね」  
 普段は通らない1年のクラスの前を歩くと、黒子のクラスはすぐに分か  
った。その教室から聞き覚えのある声がしたのだ。黒子だ。黒子がしゃべる  
と5人くらいのクラスメイトが大笑いしている。  
(へえ、黒子って結構人気あるんだ・・・)  
 普段寮で接している様子やジャッジメントの彼女の様子からもそんな  
姿は想像したことがなかった。  
 
つづく  
 

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