御坂美琴は自分の考え無しな行動に心の底から後悔していた。  
 初春と連絡が取れなかったのは何か手の放せない用事が有るからではないのか?  
 ――携帯電話は繋がらなかったけど、寮の近くまで来てるんだし直接行って確かめてみようかしら?  
 玄関の扉の鍵が開いていたのは偶然帰って来たばかりで、これから鍵を掛ける処だったのではないのか?  
 ――鍵が開いてる……? もしかして初春さんに何か……!?  
(馬鹿馬鹿馬鹿ッ!! 私の馬鹿ああああああああああああああああああああ!!)  
 心の中で大絶叫するが全ては後の祭りでしかない。  
 そんな美琴の目に飛び込んできた光景――それは、玄関でお互いの指と指とを艶めかしく絡ませて熱い口付けを交わす佐天と初春の姿だった。  
 そんな2人の視線とバッチリ目が合った瞬間、美琴は「ごめんッ!」と言って出ていこうとした。  
 だが、  
「何をなさってますのお姉様? さっさと中にお入りいただきませ……ん……とぉ……」  
 後から上体を滑り込ませて覗き込んで来た白井が凍り付く。  
 万事休す。天は美琴を見放したのだ。  
 そんな絶望感に美琴が溜息と共に頭を抱えた瞬間、  
「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」  
 佐天と白井の絶叫が木霊したのだった。  
 
 
 あれから十数分後、4人は初春の部屋で向き合って座っていた。  
 4人の前にはコップに入ったジュースが置かれているが誰も口を付けようとはしない。  
 それどころか座ってからと言うもの、誰ひとりとして一言も喋っていないのだ。  
 特に初春などは俯いたまま誰とも目を合わそうとしない。  
 そんな痛いほどの沈黙を破ったのは現場を押さえられた1人――佐天であった。  
「あはははは。大変なとこ見られちゃいましたねぇ」  
 多少ぎこちないとは言え佐天の笑い声に一同の緊張が僅かに緩む。  
 と、そこで白井が意を決した様に佐天に質問を投げかけた。  
「で、佐天さん。何時からなんですの?」  
「「!?」」  
 あまりにも直球な黒子の突っ込みに美琴と初春はギョッとするが、  
「何がですか?」  
「「!!」」  
 何を聞かれたのか判らんのか!? と言うか聞き流せよそこは!! と言う思いに2人は開いた口が塞がらない気分になる。  
 そんな状況からいち早く回復した美琴は白井の二の腕を掴んで引き寄せると、  
「(黒子ッ! アンタ何、人のプライベートに首突っ込もうとしてんのよ!)」  
 そんな美琴をまあまあ大丈夫心配ございませんからと白井はなだめてから、佐天に同じ質問を、今度は判りやすい様に少しあからさまにして繰り返した。  
「あの、お2人は何時からそのような愛を交わし合う様なお付き合いなされておりますの? 質問の意味、お判りになりますわよね?」  
「黒子ッ!!」  
「白井さんッ!!」  
「あ、その事ですか? うーん……、幻想御手(レベルアッパー)の事件の後かなぁ急接近したのは。それまではお互い友達だったと思うけど……ねぇ、かざりん?」  
 そう佐天に急に話を振られた初春は先ほどより一層俯いて小さくなってしまった。  
 
「まあ!? 初春の事をかざりんだなんて……。むふふ、ラブラブですわねぇ」  
「あははは。それ程ではあるんですけどねぇ」  
 白井の本気なのか疑いたくなる様な相槌も佐天にとってはどこ吹く風の様子で、見ている美琴の方がよっぽど心臓に悪い。  
(このまま黒子に付き合ってたらきっととんでもない事になるに決まってるわ)  
 そう感じた美琴は逃げ出す算段を開始した。  
(そうね、取り合えずトイレに行くと言ってここを立ち上がって……)  
 単純とは言え美琴が即興でそこまで計画した所で、全てをぶち壊しにする様な言葉が白井の口から飛び出した。  
「時にお2人の関係はどの位お進みになられておりますの?」  
「「!?」」  
 再びギョッとする美琴と初春。その視線は発言者の白井から、ゆっくりと今度は佐天の方に……。まさか、まさか、と2人が固唾を飲んで見守る中、人差し指を顎に当てて考え込んでいた佐天は、  
「んー……そうですねぇ……。お互いの、体の何処にホクロが有るか判る位には親密……、かな?」  
「まあ! まあまあまあッ!!」  
「「佐天さんッ!?」」  
 佐天の言葉に手を叩いて喜ぶ白井。そして、それぞれの感情を込めて悲鳴に似た叫びを上げた美琴と初春。  
「なぁにかざりん? どの道いつかは話さなくちゃいけなかったんだから遅かれ早かれでいいじゃない?」  
「物事には順序ってものが有るんです! 心の準備だって……」  
 最初は勢い良く佐天に食ってかかった初春だが、間近からの奇異の視線を感じるとまたまた小さくなってしまう。  
 そんな恥じらいを見せる初春の姿に、琴線を刺激された佐天が突然抱きついたのはその時だった。  
「もうッ! 何時にも増してかわいいんだからッ!」  
「ちょ、ちょっと何するんですかいきなりッ!?」  
 急にギュッと抱きしめられてうろたえる初春。そんな姿に佐天の笑みはさらに深くなる。  
「何ってさっきの続きだけどぉ?」  
「続きって!? 御坂さんと白井さんが居るんですよ!? 2人がびっくりしてるじゃないですか!!」  
 初春にそう言われてチラリと見れば、真っ赤な顔をした美琴と、期待に瞳を輝かせる白井、そんな2人の視線とぶつかる。  
 佐天はそんな2人に『にっこり』という擬態語が後ろに見えてきそうな笑みを向けると、その笑顔のまま初春に向き直る。  
「いやぁだぁ、かざりんてばぁ。あれは期待してるんだよ? そう。絶対そうだってば」  
「そ、そうなんですか……ってそんなんで納得できますか!!」  
 初春の乗り突っ込みに佐天は唖然。そして、かざりんはいっつも最初の乗りが悪いわね、と言わんばかりに舌打ちした。  
「チッて何ですか、チッて!? 今舌打ちしたでしょ? あ!? 今度は乗りが悪いわねって目をしましたよね!? どう言うつもり……」  
「も、細かいわねかざりんはぁ。こう言う時はお客様の期待に応えるのが芸人ってモンでしょ?」  
「誰が芸人ですか!! あんまり無茶苦茶言うと私だって怒りますよ!!」  
 耳元で初春に怒鳴られて佐天の耳が一瞬キーンと鳴る。  
 と、その事に少しカチンと頭に来た佐天の目が据わった。  
 それに気付いて佐天の腕の中から逃げようとした初春だったが時すでに遅し。気付けば初春は佐天に背後を取られていた。  
(扱いが手慣れてる(ます)わね……)  
 美琴と白井がその手際に驚く中、佐天は右手をブラウスの裾から滑り込ませ、左手はファスナーからスカートの中に侵入させると一斉に侵攻を開始したのだ。  
「ひいッ!? ちょ、止めてって言ってるじゃないですか!! や、あんッ!? 何でそんな所に手をッ!?」  
「ちゃんと何処を触られてるか言ってくれないと判りませーん」  
 悲鳴交じりの初春の叫びもどこ吹く風とばかりに佐天は冷たく突き離す。  
「そ、そんんッ!? はッ、んッ、ぅぅんん……」  
 
 初春の抵抗の声が上ずる。  
 そんな状況に佐天は内心ニヤリとしながらも、表向きは「あたしちょっと怒ってます」と言う感じで乱暴に手を動かして行く。  
「やッ、ちょ、くふッ! いやッ、だ、駄目ええええ……」  
 徐々に抵抗が弱弱しくなって行く初春。  
 ブラウスの胸の辺りの荒々しい動き。そしてスカートの生地越しにも太ももをすり合わす様がはっきりと判る。つまりそう言う場所に手が行っていると言う事になる。  
(止めて)  
 美琴は心の中でそう呟く。しかし、そんな心とは裏腹に2人から目が離せない。  
 そして、そんな美琴の姿をチラリと横目に見て白井がニヤリと笑う。  
「かざりん感じてるんでしょ? 正直に言ったら一回イカせて上げるわよ?」  
「やッ……ふッ……みんな、あッ……見て……んん……恥ずかしい……」  
 佐天の言葉に、初春は全身を真っ赤にして身もだえながら途切れ途切れに言葉を返すが、  
「あらやっぱり見て欲しいんじゃない? そうなんだそうなんだふーん。やっぱりかざりんてば変態なんだねぇ……」  
「ちがッ……うんッ……やあぁ……いッ……てぇ……」  
 もう否定しているのか肯定しているのか初春本人にも判断が付かない。それ程に佐天の指先の動きは巧みに初春を追詰めて行く。  
 もう誰の目にも初春の限界は近いと見えた。  
 ジワリと涙ぐむ初春の顔に、美琴の内に何か言いようの無い背徳感が込み上げて来る。  
(初春さん。このまま皆の前でイカされちゃうの……!?)  
 美琴は再び心の中でそう呟く。  
「あッ、あッ、あッ、あッ……」  
 段々と初春の喘ぎの周期が短くなって来ると美琴は知らずに唇を舐めた。  
(イクんだぁ)  
 いつの間にか美琴の頭の中はその言葉で一杯だった。  
 そして、美琴の瞳が欲望と羨望に霞むのを白井だけがじっと見つめていた。  
「ぃぅぅ……」  
 限界に達しようとする初春の白い喉が眩しい位に美琴の目に飛び込んで来る。  
(イケっ、そのままイ……)  
 美琴の頭の中が初春のイク瞬間の映像で一杯になったその時、力んだ美琴の体の中で何かがゴリゴリッと音を立てた。  
「ッ!?」  
 その瞬間、美琴は思わず目の前に有ったテーブルを両手で思い切り叩いてしまった。  
 その大きな音に佐天と初春の動きがピタリと止まる。  
 佐天と初春、そこに白井が加わり、3人の視線は音の出所――テーブルに両手を付いて俯いた美琴に集中した。  
(うわぁぁぁぁああああああああああああああああああ!! 失敗した!! また失敗しちゃった!!)  
 刺す様な視線に顔を上げられないまま、美琴は心の中でしきりに反省した。  
 と、そんな美琴に白井がおずおずと声を掛けた。  
「お、お姉様?」  
 美琴は今しか無いと思った。今ここを逃げなければ――この疼きを皆に悟られてしまう。  
(特に黒子にだけは……)  
 突然美琴は顔を上げた。それに驚いて後ずさる3人。  
 そんな3人に美琴は怖いくらいの作り笑顔を浮かべると、  
「お邪魔しちゃったみたいね黒子。今日はもう帰りましょ」  
 
 そのままよいしょと立ち上がる。だがしかし、内股を這うぬるっとした感触に一瞬ビクッと肩を震わせた。  
 それでも全てを誤魔化し切るしか無い、と美琴は皆に背中を向けると殊更大股で歩き出す。  
「…………」  
 その不自然な動きの一部始終を白井が黙って見守っていると、佐天がやおら大きなため息を付いた。  
「はぁー……。御坂さんには今の冗談きつかったかなぁ?」  
「じ、冗談で私にそんな事したんですか!!」  
 佐天の言葉に、イキそびれて欲求不満の初春が爆発する。  
 しかし「9割本気だったけど?」としれっと返されると、うっと小さく呻いて黙りこんで、私は佐天(このひと)の恋人が勤まるだろうかと本気で悩みこんでしまうのだ。  
 2人がそんな漫才を繰り広げていると、今まで黙って美琴の背中を見つめていた白井がくるりと振り返る。  
「大丈夫ですわよ。お姉様はこんな事で怒ったりしませんわ。ちょっと待ってて下さいましね」  
「「?」」  
 キョトンとする2人に最後ににっこりと笑いかけた白井は、またくるりと美琴の方に向き直った。  
「お待ちになって下さいましお姉様――これは黒子からの命令ですわよ」  
 その一言に靴を履きかけていた美琴の動きがピタリと止まった。  
(来たぁ)  
 美琴はその言葉に戦慄していた。そして半ば逃げられない事も……。  
「え?」  
 佐天が声を驚きの漏らし、初春がはっと目を見張る中、白井はよいしょと立ち上がると、ゆっくりと固まったままの美琴の側まで歩いて行く。  
 そしてひょいと美琴の顔を覗きこんだ白井はワザとらしい位に大きな声で、「まあ! そう言う事でしたのね」と驚いて見せた。  
 白井が言った「そう言う事」――それは先ほどの笑顔とは打って変わって瞳を潤ませた美琴の顔。  
「黒子ぉ……」  
 消え入りそうな声で白井の名を呼ぶ美琴に、白井は背筋にゾクゾクっと来るものを感じつつもあえて平静を装う。  
「あのように席をお立ちになってはいけませんわお姉様。折角お2人が大事な秘密をお話下さったんですのよ?」  
「だって……」  
 視線を逸らせてもじもじと太ももをすり合わす姿に、今にも飛び掛りたい衝動に駆られる白井。だが、ここが我慢のしどころですわと、震える手を押さえて話を続ける。  
「そうですわお姉様。お2人にお詫びする為にも、これからも親睦を深める為にも、こちらもそれ相応の秘密をお話しませんか?」  
「え?」  
 思わず空っとぼけようとした美琴だったが見事に失敗した。  
 その言葉の意味を理解した美琴がギョッとして白井を見つめると、白井は満面の笑みを浮かべて言い放った。  
「否は無しですわよお姉様。当麻さんに言われた事、お忘れになってなどおりませんわよね?」  
 やっぱりそう来たかと美琴は思った。それはとある黒髪の少年との逢瀬の時の事……。  
 
 
 ――おい美琴ッ! またお前黒子の奴気絶させちまいやがって……。おい大丈夫か……? あーあまた白目剥いて幸せそうな顔してやがんなぁ……。ったく無茶すんなっつったろが。これ以上コイツが変な性癖に目覚めたら困んのは俺たちだぞ?  
 ――だ、だって黒子が何時迄も私と変わってくれないから……。  
 ――はあ? お前順番て言葉位知ってんだろ? 大体黒子の前に一回したじゃねえか?  
 ――だってぇ、当麻にもっとして欲しかったから……。  
 ――うッ。  
 ――いっぱいいっぱいして欲しかったから……。  
 ――はぁ……。俺のせい、って訳ですか……。不幸だぁ……。  
 
 ――ち、違うッ!? そんな事言いたい訳じゃ無かったのよ!! だ、だから、だから私の事嫌いに……ぅぅ……ぐすっ。  
 ――おいおい……。ったく、んな事で一々泣くなよぁ。今更お前らの事無責任に放り出す訳ねえだろ? 信用ねえなあ俺ってば。  
 ――ん、うんッ……ごめっ……ぐすっ。  
 ――謝るなら黒子に謝れ。つう訳でお前には罰を受けてもらうからな。  
 ――うん。私、アンタの言う事だったら何だってする……。  
 ――何時ももっとそう素直だと俺も助かんだけどな。じゃあ罰。次に会うまで黒子の言う事に絶対服従する事。出来るか? コイツの事だからお前が言う事聞いてくれるなんて言ったら何させられっか判らねえぞ?  
 ――大丈夫よ。うん。それ位、美琴さんにとっちゃ簡単な事なんだから。  
 
 
(あれから随分色んな事させられたわね)  
 心の中で指折り数えてみたが、恥ずかしくて死にたくなってくる前に辞めた。  
 それに今はそれ処では無いのだ。  
「それってアンタと2人きりの時だけの……」  
「あら何時からそんなルールが出来たんですの?」  
「ッ!?」  
 白井の言葉に美琴は口ごもる。  
 そんな美琴の頬を両の掌で挟み込んだ白井はうっとりと微笑みながら、  
「お姉様が当麻さんとの約束をお破りになるなんてありませんわよねぇ?」  
「と、当然でしょ」  
 痛い処を突かれた美琴は白井から視線だけ逸らして短く帰す。  
「ではお姉様。2人の方を振り返って下さいまし」  
 言葉通りに履きかけの靴を脱いで後ろを振り返った美琴に、白井は次の命令を耳打ちする。  
「次に、スカートの中が見えないように短パンと下着を脱いで」  
「黒子ッ!」  
 火を噴く勢いで白井を睨みつける美琴。怒りでパチパチと火花が飛ぶのを見ても白井は動じない。  
「約束ですわよお姉様。や、く、そ、く」  
 その言葉には逆らえない事はお互い良く判っている。  
(でも諦めるのは大っ嫌いなのよ私は!)  
 そう思う美琴は一縷の望みを託して猛獣の様に白井に向かって白い歯を剥く。  
「アンタぁ、これが終わったら後で酷いわよぉ……」  
「脅かしても無駄ですわお姉様。黒子はとっくに覚悟を決めておりますから。堕ちるなら何処までも。共にご一緒致しますわ」  
 白井の手にはいつの間にかリモコンが握られていた。  
(そのリモコンッ!?)  
 さらに止めとばかりににっこりと微笑む白井。  
(終わったぁ……)  
 美琴はその瞬間全てを諦めた。  
「ではよろしくお願いいたしますわ、お、ね、え、さ、ま」  
 白井が先を促す声に、美琴は今度は抵抗する事無く自分のスカートの中に手を入れた。  
 それと同時に白井は手元のリモコンのボタンを押した。  
 すると何処からか微かに硬いもの同士がぶつかり合う様な不思議な音が聞こえてくる。  
 
「ぐ……き……」  
 美琴の口からうめき声とも呼べない声が微かに漏れる。  
 それでも美琴は躊躇する事無く下着と短パンを一気に膝まで引き下ろした。  
「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」」  
 今まで黙って事の成り行きを見守っていた佐天と初春が驚きの叫びを上げる。  
 そんな2人に白井は先ほどの笑みをそのままに手招きしながら、  
「お2人が折角秘密をお話して下さったのですから、こちらも相応の形で報いましょうとのお姉様のご意向ですわ」  
 その言葉と手招きに、2人は夢遊病者の様にフラフラと立ち上がると、特等席――玄関先に並んでぺたんと腰を下ろして、これから何が始まるのかと美琴に熱い視線を集中させた。  
(うわぁ、佐天さんの言葉じゃないけどお客さんが2人も来たぁ)  
 そう美琴が意識した途端、彼女の目じりに涙がぷつぷつと浮かんで頬を流れ落ちる。  
「うふふふ。役者も観客も整いましたわね」  
 白井はそうひとりごちると、既に脚から下着も短パンも抜き取った美琴を見上げて簡単なお願いでもする様にこう言った。  
「お姉様。おみ足を開いてゆっくりとスカートをたくし上げて下さいまし」  
 するとどうか――全身を羞恥で真っ赤に染めた美琴は、まるでそうする事が当たり前の様に、足を肩幅くらいに開いたかと思うとスカートの裾を両手で摘まんだのだ。  
「え? ちょ、ちょっと!?」  
「し、白井さんッ!?」  
「お静かに」  
 慌てる佐天と初春に白井は短く言葉を返す。  
 そしてそんな3人のやり取りなど気にした様子も無く、美琴は黙って白井の命令通りにスカートを持ち上げ始めた。  
 その動きにざわつきも収まり、3人の視線がスカートに集中する。  
 元から短いスカート――そのせいで本来の役割すら果たせているのか疑問なそれが徐々に持ち上げられて行く。  
 すると、それに伴って元々半ば以上剥きだしだった健康的に引き締まった太ももが大胆に露出度を増す。  
「ぁ、ぁぁ……」  
 初春が驚きの声を漏らす。その隣では佐天は両手で自分の口を塞いでいる。白井は無表情。  
 そんな3人が固唾をのんでじっと見守る中、まるでじらす様なゆっくりとしたその動きは、それでも確実にスカートを捲り上げて行き――ついには足の付け根を露わにさせた。  
 本来人目に触れる事の無い場所。ゆえに秘所とも例えられるその場所――そこが今3人の目の前に露わになっていた。  
 僅かに盛り上がった部分。逆三角形を描くそこは全くの無毛で、より白くきめ細かい肌を露わにしていた。  
 そして、その逆三角形の頂点にはここだけ少し桃色に色づくクレヴァス。特に仰ぎ見る佐天と初春の2人にはそこだけ少し大人びた部分が良く見えた。  
 しっとりと濡れたクレヴァス。時折ひくひくと動くそこに沿ってほんの少しはみ出たピンクのヒダ。硬く尖った肉の芽――そして、その肉芽を無残に刺し貫く金色のリングと、そのリングに着いたこれだけは冗談の様な小さな蛙のマスコット。  
 カリコリと言う不思議な音を耳にしながら、佐天と初春はそれらを食い入るように見つめている。  
 そして美琴は、  
(そんなに見ないで……)  
 体の奥にジンジンと疼く感覚に酔っていた。それは、体の奥で暴れるおもちゃだけのせいだけでは無い。  
 上条でも白井でも無い、こんな事とは無縁の友達に恥ずかしい所を見られていると思うと、秘所から蜜が零れるのを抑えられない。  
 そんな美琴と、魅入られた様な佐天と初春の顔を交互に見た白井は、次なる命令を美琴に下した。  
「お姉様。まずは『前から』お願いいたしますわ」  
 そう言葉を掛けると次に初春に向かって、  
「初春。両の掌をお姉様の足の間に……手でコップを作る様に……そう、そんな感じで宜しいですわ」  
 訳が判らないと言う顔の初春にそのままでと指示した白井は、むき出しになった美琴のお尻を軽くたたいてから、「ではお始めになって下さいまし」とそっと告げた。  
 その言葉に美琴の喉がごくりと大きな音を立てる。  
 
(あ、あれをするのよね……)  
 白井に視線を向けるとこくりと頷かれた。  
 美琴もこくりと頷く。そしてぎこちない調子ながらも耳を疑う様な口上が述べ始める。  
「い、今から手を使わずにおま○こからロ、ローターを出すから一緒に数えてね」  
「「!!」」  
 その言葉にギョッとする佐天と初春。そんな2人の目の前で濡れそぼった美琴のクレヴァスに唐突に変化が現れた。  
「ふぅぅ……くくくぅ……」  
 眉間に深い皺を刻む美琴。それと共に肉ヒダがプルプルと小刻みに震えだす。  
「あ、ふ、ん、ぐぅ……」  
 続いて断続的に身悶えると、それに合わせるかのようにヒダの合わせ目の中からぬるっと白いものが顔を出した。  
「ふぐッ! くぎぎぎ……」  
 苦しそうな美琴の声。そして、その声に合わせてつるりとしたものが徐々に姿を現し、やがて……。  
「はふぐッ!!」  
 美琴の悲鳴と共に、愛液の雫を飛ばしながら何かが初春の手の中に落ちて来た。  
 お互いにぶつかり合ってガチガチと耳障りな音を立てるウズラの卵にも似た2つのそれを初春と佐天は黙って凝視する。  
 一方美琴は、ローターを産み落とした安堵も束の間、  
(やッ!? しまっ……)  
 ある失敗に気が付いた時には白井の平手打ちが尻をとらえていた。  
「ぷぎゃ!!」  
「何度練習したんですかお姉様? ローターは1つずつお出しする様にって言ったじゃないですか? もう本当に駄目なお姉様ですわねぇ」  
「や、だ、だってぇ……」  
 普段の白井とも思えない様な平坦で抑揚の無い言葉に、こちらも普段聞かない様な情けない声で言い訳をする美琴。  
 すると白井は何を思ったのか、美琴の大事な部分にさっと手を伸ばすと、美琴の秘唇に爪を立てる様に指に力を込めたのだ。  
「口応えするのはこのくされおま○こですの?」  
「ひぎぃッ!!」  
 白井の仕打ちにびくびくと体を震わせて耐える美琴の姿に、最前列の観客たちは声も出ない。  
(ちぎれるッ!!)  
 美琴の頭の中が激痛一色に染め上げられる。  
 すると、  
「もう結構ですわ。こっちはさっさと掻きだしちゃいますの」  
 そう言って白井は美琴の秘唇を解放すると、正気に戻る暇すら与えずに美琴のクレヴァスに乱暴に2本の指を突っ込んで中を掻きまわし始めた。  
「ふひぃ!? ら、ああッ! らんぼうはやッ、やめてぇ! ごめッ、ンッ、ふぎぎ……たすッ、くッ、ひぎぃ!!」  
 白井の指が美琴の中でひと掻きする度に、大量の愛液と共に先ほどのローターが初春の手の上に吐き出されて行く。  
 程なくして残りのローターを全て掻き出した白井は、自らの興奮を抑えようと荒い呼吸を何度も繰り返す。  
「ふぅぅ……。つ、次は失敗しないで下さいまし」  
「は、はぁい……」  
 白井の言葉に息も絶え絶えに返事を返した美琴はおぼつかない足取りで時計回りに180度回転すると佐天と初春に尻を向けた。  
 手の形に赤く腫れた痛々しい尻を凝視して佐天と初春は生唾を飲む。  
「今度は佐天さんにお願い致しますわ」  
「や、やっぱりそう言う事なんですよね?」  
 
 視線は美琴の尻を凝視したままうわ言のように聞き返すと、  
「ええ。お嫌でしたら結構ですけれど?」  
「今更……そんな事聞いちゃうんですね?」  
「ま、一応は」  
 白井の言葉に佐天はほんの一瞬考える様なそぶりを見せたがそれは只のポーズ。直ぐに先ほど初春がしたように美琴の足の間に両の掌を差し出した。  
「る、涙子さんッ!?」  
「止めるの? それこそ今更じゃ無い?」  
 それに……、と佐天は言葉を続けるとチラリと視線を上げた。  
 初春もその視線の先を追いかける。するとそこには苦しそうに肩で息をしている美琴が居た。  
「このままじゃ御坂さんが可哀そうでしょ?」  
 実は先ほどの白井の責めで意識が混濁した美琴は、苦しいも痛いも気持ちいいに脳内変換される状態。今こうして待たされている事すら快感として受け入れていたのだが、そうとは知らない初春はいたたまれない気持ちになって視線を外す。  
 とその視線は自分の掌で未だ暴れるおもちゃたちに。  
 ぬるりとしたものをこびり付かせた、まだ美琴の温もりを感じさせるそれをじっと見つめる。  
(御坂さん……)  
 そう思いながら握りしめると、初春の体の奥にジンと痺れる様な何かが走る。  
 とそこで、ふと視線を感じて顔を上げると佐天の笑顔とバッチリ視線が有った。  
 まるで自分の事を見透かした様な笑顔に初春がドキッとしていると、  
「毒食らわば皿までって事で――御坂さーん、あたしは何時でもオーケーですよぉ」  
 佐天は初春の返事も聞かずに美琴に呼びかけた。  
 するとそれを待ちわびたかのように、美琴が先ほどと同じような口上を述べ始める。  
「ふひ……、つつ、ちゅぎは、け、けつま○こから、ろ、ろた……んぅ……だしゅから、い、いっしょにぃ……か、かぞえて、れぇ」  
(こ、今度こそぉ……し、失敗ぃ、しないんだからぁ……)  
 美琴は心の中でそう呟くと、少し膝を曲げて佐天の方に尻を付き出す。  
「ふにゅぃぃ……ぎぎぎぎ……」  
 先ほどよりも苦しそうに呻く美琴。その体の中では先ほどのローターと同じものがぎゅうぎゅうに詰まって暴れている。  
 それを、ゆっくりと排泄――いや産卵するように外に向かって押し出して行く。  
「ンッ、ンン……、ふ、ン、ン、ン」  
「頑張って御坂さん。頑張って、頑張って」  
 佐天の声援も何処まで聞こえているのか。  
 美琴の意識は直腸内を刺激しながら降りて来るローターに集中する。  
「ンふ、ン゛、ン゛、ン゛、ン゛」  
 ゴリゴリと腸内で暴れ回るローターの振動薄肉越しに子宮も刺激して行く。  
 達しそうになる度にクレヴァスから大量の潮を吹きながら、それでも美琴は散り散りなりそうな意識を掻き集めて集中する。  
 やがてローターの先頭が肛門の内側に到着する。  
「んぶッ」  
 美琴は1つ低く呻いて身震いする。  
(お、お尻の穴がびりびりして……おし、おしっこしたくなっちゃうぅ……)  
 とは言うもののここで漏らしてしまう訳にもいかない。  
(でも、おもらしみられるのも……駄目駄目駄目駄目駄目ッ!!)  
 妖しい考えが頭をもたげそうになるのを必死に打ち消して作業に集中する。  
 
「んぐッ、ぅぅぅうううううう……」  
 焦らず、ゆっくりと出口を押し広げて行く美琴。一つ間違えれば直腸内で数珠つなぎに列を成すローターが一気に飛び出してしまう。  
 それにしてもこのローターは強力である。すぼまりでしっかり締めつけていても強力に暴れる。  
「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛」  
(あ、暴れないでよもぉ……き、きもちよく、なって、きちゃうぅぅ……ン……)  
 それでも美琴はぐっと堪えると、ローターを押し出して行く。  
 さながら産み落とされる卵の様に押し出されて行くそれは、腸液にぬめる頭をすぼまりから覗かせると、ぬる、ぬる、とゆっくりとその姿を現し……やがてぽとりと佐天の手の中に落ちた。  
「生まれた!」  
 まるで自分の飼い鳥か何かが卵を産んだかのように、腸液まみれのローターを握りしめてはしゃぐ佐天。  
「ひ、ひとぉ……ちゅぅ……」  
「うん、1つですよね。1つ1つッ」  
(み、妙なテンションですわね。この状況でもご自分が崩れないとは流石ですわ)  
 佐天さん侮りがたし、と白井は頬を引きつらせながら認識を新たにするのだった。  
 その後も美琴は失敗する事無く佐天の手を腸液で汚しながら卵をうみ続けていた。  
 ところが、  
「最後の大物が1つ、足りませんわよお姉様?」  
 尻たぶに指を掛けて美琴の肛門に話しかける様に言う白井。一方の美琴は全身に脂汗をかいてふるふると体を小刻みに震わせている。  
「…………」  
 美琴が聞き取れないほど小さな声で何かを口にした。  
「はい?」  
「おぉ、おし……こ……」  
 「おしこ」とはさて何ですの、と一瞬考え込んだ白井だったが、  
「おしっこ!? あら、これはいけませんわね」  
「トイレですか? トイレなら……」  
「それには及びませんわよ初春」  
 初春の申し出を軽く一蹴した白井は、この出番を待っておりましたのよとばかりに美琴の正面に回り込むと四つん這いの姿勢になる。  
「わたくしが口で受け止めますから、合図をしたらそのまま息んで下さいなお姉様」  
「「ッ!!」」  
 驚く佐天と初春を尻目に、白井は何の躊躇も無く愛液と潮と微かな尿にまみれた美琴のクレヴァスに口を付けた。  
 唇や舌先に感じるぬめり、鼻孔に微かに感じるブレンドされた体液の香り、舌先が痺れる様な刺激的な味……それら甘美な刺激に白井の瞳が妖しく蕩ける。  
(お姉様の味……、お姉様の臭い……ああ、このままお姉様を滅茶苦茶にぃ……!!)  
 白井の口の中でその葛藤を表すかのように舌先が震える――しかし、  
(ここでわたくしがお姉様のおみ足を引っ張ってはいけませんですわ!! 白井黒子は……、白井黒子はお姉様の露払いとして、何処までもぐわんばる所存でございますぅわ!!)  
 その瞬間白井の瞳に光が戻った。  
「ふぁふふんで」  
「んぎぎぎぎぎぎぃぃぃ……」  
 待ってましたとばかりに美琴が力いっぱい息み始めると、クレヴァスからちょろちょろと尿が漏れだして白井の口腔を汚して行く。  
 一方美琴の中では奥まった場所から大きな塊が動き出した。  
 その様は全身に短い足が付いた芋虫の様で、その足で美琴の腸壁をぐりぐりと押し広げながら肛門に向かって突き進む。  
 やがて美琴が「ン゛ッ、ギッ!!」とひと際大きな悲鳴を上げる。  
 
 すると押し止められていたとみられる大量の腸液と共に白い尻を割って何かが顔を出した。  
「「!?」」  
 佐天と初春は現れたものに息を飲んだ。  
 それは単一乾電池位の太さのあるバイブ。しかも全体にびっしりと棘と言うかイボの様なものが付いていて、それがまるで足の様にそれぞれが独立して動いている。  
 流石の佐天もそのおぞましい形状に言葉が出ない。初春に至っては血の気が引いて今にも卒倒しそうだ。  
 それが今、めりめりと音が聞えて来そうな程に美琴の肛門を押し広げながら少しづつ生みだされる。  
「ンぐぅ……い、ぎぃ……ひッ、ギ、ぐ、う゛う゛う゛う゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」  
 美琴の声がますます熱を帯びて大きくなって行く。  
 そして、とうとう美琴を苦しめていたバイブが産み落とされた瞬間、  
「アはッ!!」  
 ビクッと美琴は背中を弓なりにさせると白井の口の中に尿をほとばしらせたのだ。  
「ふぁぁ……」  
 気持ち良さそうに呆けた顔で声を漏らす美琴。  
(あははぁ……、みんなにくろこにおしっこのませてるのみられちゃってるぅ……)  
 一方白井の白い喉が音を立てて何度も大きく動く様を佐天と初春は、  
「ほ、本当に……」  
「飲んでるんですね白井さん……。尊敬します……」  
(何ぃ……!?)  
 初春の呟きにギョッとさせられる佐天だった。  
 と、そんな2人の上に何の前触れも無く美琴があおむけに倒れて来た。  
「「きゃあ!?」」  
 悲鳴を上げながらも手に有ったおもちゃを放り出すと、2人は慌てて美琴を受け止める。  
 佐天と初春の手に有ったローターが辺りに転がって、そこかしこで硬い音を立てて飛び跳ねる。  
「ふぅ。大丈夫ですか御さ……」  
 美琴の顔を覗きこんだ佐天の声が途中で途切れる。  
 初春も同じく言葉を失った。  
 そんな美琴の顔は、涙と汗と涎と鼻水でごちゃ混ぜになりながらも晴れ晴れとしている様に見えた。  
 初春は失礼だと知りつつもそんな美琴の頭を撫でながら、  
「頑張りましたね、御坂さん」  
 初春がそう優しく声を掛けると、判っているのかいないのか美琴が初春に向かって無邪気な笑顔を浮かべたのだ。  
 その瞬間、初春の中で理性と言う名の留め金が弾け飛んだ。  
 初春の状態がふっと前のめりになったと思った次の瞬間、初春は美琴の唇を奪っていた。  
「ちょ!? かざりん何やってんの! ってかあたしも交ぜなさいよ!?」  
 そうやってもみくちゃになる美琴を見つめて白井は小さくため息をつく。  
「流石はわたくしのお姉様。凄い人気ですわねぇ」  
 そこには微かな嫉妬が滲む。それは美琴になのか、それとも無邪気な友人たちになのか。  
 白井はそんな自分にもう一度ため息を付いてから「わたくしを退けモノにするとは皆さんいい度胸ですわね!」とその中に飛び込んで行った。  
 
 
 肉を叩くパチーンと言う渇いた響きに、「あうッ」と言う少女のうめき声が加わる。  
 
 それは床の上で尻を高く突き上げた姿勢の華奢な少女と、その少女より更に華奢な、頭に花々が咲き乱れる少女による狂演――。  
「御坂さんの中、きゅっきゅって私の指を締めつけてきますよ?」  
「そ、それはういはるひゃんがおしりたたくかりゃあ……」  
「口答えするんですか? 口答えしちゃうんですね?」  
 初春は口元の笑みを深くすると、美琴の中に埋め込んだ指を激しく動かし始めた。  
 その動きはキーボードを叩くかのように素早く的確に美琴の急所を突いて行く。  
「イクイクッ!? そんなはげひくしちゃらめぇ……」  
「何言ってるんですか? これが欲しくて口答えしたんでしょ? 正直に言って下さい」  
 更に笑みを深くしながら問い詰める初春。その目の奥が妖しい光を放っている。  
「ほ、ほひ、ほしかったの! それ、それがほしいいいいいい!!」  
「はいよく言えましたね。素直なメス豚ちゃんにはご褒美ですよぉ」  
 そう言って初春は、美琴の後ろの穴にも指を一気に根元まで埋め込んだ。  
「おしりらめええええええええええええええええええええええ!!」  
 言葉とは裏腹に嬉しそうに絶叫する美琴の姿を、ちょっと離れた場所から眺めているのは白井と佐天。  
 2人とも裸で、只今休憩中とばかりにジュースを飲んでいる。  
「御坂さんの事メス豚だって」  
「初春がSタチだったとは……」  
「あははははは。何時も苦労してます」  
 いつも通りあっけらかんと答える佐天に、白井は本当に困っているのでしょうかと言う様な目でじっと見つめる。  
「次相手してみます、あれ?」  
「わたくしが? 初春の? いやぁ……遠慮しておきますわ。これ以上ややこしい関係は作りたくありませんもの」  
 暗に相手をしてハマってしまうのが嫌だと言う事なのだろう。それに気付いてしまった佐天は「あははははは」と笑って何と無く誤魔化した。  
「それにしても白井さんがそんな大人マ○コだったなんて」  
 さっと話題を変えた佐天。その佐天が指摘した様に、白井のクレヴァスには年相応の可憐さは微塵も見られない。  
 美琴と違って常に半開きのそこにはいくつものピアスが付けられている。  
 白井はそれに指を這わせながら、  
「アレだけされたのですもの、色素沈着が無いだけマシと言うものですわ」  
 何故だかとても誇らしげに語る白井の姿に、コップを口にあてたままの佐天がずいと身を乗り出す。  
「アレって言うと白井さんも?」  
 その視線がチラリと美琴の方に投げられた視線に白井は小さくため息を付いてから、  
「まあ細かくは申し上げませんけども……」  
 白井は立ち上がると佐天に向かって尻を付き出す。  
 その小さな尻に佐天が注目する中、白井は自分の尻たぶに両手を添えて割り開く。  
「んっ」  
 白井が軽く息んだ。ただそれだけの事で肉の盛り上がったすぼまりの皺が伸びて、まるで何かの生き物の様に大きく口を開けたのだ。  
 続いて片方の手を秘所に当てるとこちらは穴に指を引っ掛けて広げて見せる。  
 顎をのけ反らせて2つの真っ赤な肉筒を誇らしげに晒しながら、  
「子宮を前後から同時に押しつぶされながら電気を流されると……、さながら自分だけの現実(パーソナルリアリティ) が広がる様な気がしますわよ?」  
 自分だけの現実とは佐天のトラウマを刺激する言葉ながら、ぱっくりと開いた肉穴を前に、佐天はごくりと生唾を飲み込むのだった。  
「ンきッ、あああああああああああああああああああああああああああああああ!!」  
 
 2人がそんなやり取りをしていたその時、すぐ側から美琴のひと際大きな嬌声が上がる。  
 その声にそちらを見れば美琴が初春に前後に指をねじ込まれて昇天した所だった。  
 初春の両腕を肘まで濡らしてあふあふと残り火の様な吐息を漏らす美琴の姿に、白井は失礼しますわと佐天に声を掛けてその場を離れると、肩で息をしている初春の側まで言ってその肩にポンと手を置いた。  
「初春。そろそろお姉様も限界ですわよ?」  
「は、はぁ、はぁ、はぁ……、ン、え? そうなんですか……?」  
(初春……。お姉様を責めながら自分もイクなんて……。その素質侮れませんわね)  
 白井にそんな事を思われているとも知らない初春は、上気した顔で白井を見上げていた。  
「そんなに残念そうな顔をしなくても……そんな顔をしていますと佐天さんが心配しますわよ」  
「あわわわ……!? わわ、私そんな御坂さんには憧れてましたけど、別に涙子さんと二股とかそんな事じゃなくて、ただ目の前にこんな美味しい展開が転がってるのが……ちょっと、その、つまみ食いしたいかなぁ、あはははははは」  
 白井の言葉にしどろもどろになる初春。終いには本音交じりに乾いた笑いを上げていると、そこを佐天に突っ込まれる事になる。  
「何、かざりんは浮気したいんだ? あたしは構わないわよ全然。そう言えば重福さんどうしてるかなぁ」  
「そ、そんなぁ……」  
「あはは、嘘嘘。かざりんにヤンデレ化でもされたら学園都市が壊滅するもの」  
「全壊とは行かないまでも半壊位は有りそうですわよね」  
「酷ッ!? どんだけバケモノなんですか私ッ!」  
「まあまあ」  
「ほらそんな事よりですわ。最後は3人で仲良くお姉様を愛して差し上げましょうか?」  
 そう言って白井は側に有った段ボール箱から妖しげな品――ペニスバンドを手にとってニヤリと笑った。  
 
 
 佐天と初春がペニスバンドを装着するのをじっと眺めている白井。その白井の股間には既に隆起した疑似男根が今や遅しと待ち構えている。  
「所で何で3つも有りましたの初春?」  
「何か3つセット以上じゃ無いと貰えなかったんですよ。タダだからいいかなと思って」  
「そうですか」  
 白井はそうぽつりと呟いてから自分の股間に生えたグロテスクな代物を指先で小突いた。  
「アウッ」  
 瞬間、体を走り抜けた快感に腰が引けた白井は、恥ずかしそうに頬を染めると自分を辱めたそれを睨みつけた。  
「学園都市も最先端技術が有るからとは言え、何でも作ればいいってもんでもありませんでしょうに」  
「それでも役に立つんならいいんじゃないですか?」  
 佐天は腰を振り振りペニスバンドを装着しながら相槌を打つ。  
 そんな佐天に白井はジト目を向けると、  
「簡単ですわね佐天さん」  
「っ……深くッ、考えない……性質(たち)なんで……うわッ!?」  
 ずるりと内側を擦られる感覚に佐天が悲鳴を上げる。  
「だ、大丈夫で……ぅっっ……」  
 初春の方もまだ慣れないのか腰が引けた姿が些か格好悪い。  
 そんな2人の姿に見た目は平然としている白井は床からすっくと立ち上がる。  
「2人とも付け終わりましたわね。どんな感じですの?」  
「ちょっと苦しいですね。でも敏感な部分が全部むき出しになったみたいでちょっと動くだけでアウッ!?」  
 話の途中で白井に疑似男根を扱かれた初春がぺたんと床に尻もちをつく。  
 
「ぅ……、し、白井さんッ!?」  
「感じちゃう訳ですのね」  
 そう言ってにやにやする白井に、初春は顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまう。  
 そんな初春に構わず、白井は佐天に向き直ると、  
「それじゃ佐天さんが前、初春が後ろで、いいですわよね?」  
「白井さんは美琴さんのお口ですかぁ?」  
 そう言っていーっと頬を引っ張る佐天に、白井は急に真面目な顔になる。  
「これだけは譲れませんの。これが許せるのは唯一……いえいえ、何でもありませんわ」  
 そんな白井に、彼女も色々とあるのねぇ、とのんびりそんな事を思う。  
 かくして準備を整えた3人。  
「お姉様、さあお休みはお終いですわよ」  
「ふえ?」  
 白井に揺り動かされて夢見心地だった美琴は涎の垂れた口元を拭う。  
(あれ、ここどこだっけ?)  
 ボケっとそんな事を考えている間にも白井と初春に両腕を抱えられて立たせられた美琴。  
 そのまま介添え付きのおぼつかない足取りで佐天の上を跨いだ。  
「ほえ?」  
「ほえではございませんわよお姉様? ちょっとごめんあそばせ」  
 そう言ってから白井は無造作に美琴のクレヴァスに指を差し込む。  
「ン、ふぅ……」  
「うん。これだけ熱ければ前戯は不要ですわね。はい初春」  
 そう言って白井は、美琴の中に突っ込んでどろどろになった指を、もの欲しそうに見つめる初春の目の前に突きつけた。  
 その指を戸惑う事無く、美味しそうに舐め取る初春に、下からその一部始終を見ていた佐天は急に堪らなくなって、「白井さん、かざりん」と呼びかけた。  
 それが合図となった様に、3人はうなづき合う。  
「さあお姉様」  
「へ?」  
 未だ状況が飲み込めていない美琴が白井を見て、初春を見て、足もとの佐天の顔を見て、自分の股間に押し付けられた疑似男根を見た。  
(あれ?)  
「これで最後ですから気を張って下さいな」  
「ね、これ――」  
 何が始まるのと続く筈だった言葉は、体の奥にズンと響いた衝撃にかき消された。  
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」  
 大事な部分を自身の全体重で突き上げた美琴は、燻っていた炎を燃え上がらせて絶叫した。  
(は、入って来る……当麻以外のがぁ……)  
 まさに目の前に火花を散らせて軽い絶頂に体を震わせる美琴。その絶頂は突き上げた佐天をも襲った。  
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」  
 こちらはビクッビクッと腰を震わせながら途切れ途切れに声を上げる佐天。その姿は射精でもしている様だ。  
「すごい……」  
「これはちょっと予想外でしたわね」  
 あまりの反応の凄さに若干腰が引ける白井と初春。  
 
「ほら、次は初春ですわよ」  
「ちょ、何か怖いですよ白井さうンッッ!?」  
 逃げようとする初春の疑似男根をぐいと握った白井。  
「何言ってるんですの初春! さっさとお姉様を気持ち良くして差し上げて下さいですの!」  
「ッう、ンッ、無茶、あ……」  
 疑似男根からの刺激に悶える初春などお構いなしに美琴の硬く閉じたすぼまりに狙いを定めると、  
「ほらッ!」  
「ひぃッ!?」  
 白井が強引に初春の腰をグイッと押し込んだ。  
 瞬間美琴の柔尻に初春の腰がバチンとぶつかる。  
「グヒッ!!」  
 美琴が下品な悲鳴を上げてのけ反る。  
 そして、  
「「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!」」」  
 この部屋が振るう様な大絶叫。  
 その激しさに驚いた白井は思わず尻もちを付いてしまう。  
 そして、そんな白井の尻に生温かいものが流れて来る。  
「え? こ、これは……?」  
 その出所を目で追った白井は、またも驚かされる。  
 白井の尻を濡らしたもの、それは3人の尿――彼女らはあまりの刺激に失禁してしまったのだ。  
「ちょ、え? え?」  
 慌てて3人の下に這い寄った白井。そんな白井が目にした光景は――、  
 佐天は再びビクンビクンと体を大きく震わせて、瞳は無残に反転し、しかも口から唾液が泡になってぷくぷくと吹き出していた。  
 初春の方も美琴の背中に突っ伏したまま時折ぴくぴくと痙攣するだけで意識的に動く気配が無い。  
 そして2本の疑似男根に深々と突き刺された美琴は……目を見開き、だらしなく舌を突き出して気絶していた。  
「ど、どう致しましょうかこの有様。ね、皆さん、起きて下さいまし。黒子1人ではこの惨状を受け止めるのは少し酷ですわよ。ね、ねえ皆さん、起きて下さいまし……わあああああああああああん、不幸でございますわあああああああああああ」  
 自業自得とも言うべき白井の叫びが部屋の中に木霊した。  
 
 
 夕暮れ時の町を歩くのは御坂美琴と白井黒子の2人。  
 特に白井の方は何故かぐったりと肩を落として歩いている。  
「ああ……、最後の最後に散々でございましたですわ……。はあ……不幸ですわ……」  
「アイツの真似みたいな独り言止めなさいよね。あの惨状をおかずに抜いてたくせに……。しかも私の口をオナホ代わりってどういう了見よ。ああ、顎痛いわ」  
「それ位の役得、大目に見ていただいても構わないじゃないですの? その後の掃除やら何やら全部1人でやらされたんですのよ?」  
 白井の言葉通りあの後ぐったりとした3人を介抱して、部屋を元通りに掃除したのは、唯一無事だった白井本人でだった。  
 そんな白井に自業自得でしょ、と美琴は前置きしてから、  
「あれを役得って言う辺りアンタも終わってるわねぇ。2人に知られたら絶交ものよね」  
「じ、自重いたしますわ」  
 絶交と聞いて頬を引き攣らせる白井。  
 取り合えずこれ以上攻撃されてもいたたまれなくなるだけなので、ジュース(もの)で懐柔を図る事にする。  
 
 美琴の手にミルクサイダーを手渡して、自分はビター緑茶で喉を潤す。  
 それから白井は美琴の顔を覗きこむ。  
「ん?」  
「時にお姉様。本日は急きょこうなりましたが如何でしたか?」  
 その言葉に缶を口にあてたままうーんと唸った美琴は一言、  
「まあまあね」  
「まあまあですか? うーん……」  
 今度は白井が缶を口に当てて唸る。  
「やっぱり一度ねじ込んでみますか? こうお姉様が何時もわたくしにして下さるみたいにゴリッと?」  
 そう言って自分の腕をポンポンと叩く白井に、美琴は手をひらひらさせて遠慮しますのポーズを取る。  
「や、それは何時か当麻にしてもらうから」  
「アレとかソレとかさせて下さいましたのに?」  
 その言葉にアレとかソレとか思い出して美琴は顔を真っ赤にする。  
「アレとかソレは死ぬほど恥ずかしいだけだから。大体当麻はやらないわよ。多分」  
「まああっちにイニシアチブ行ってる内は無理ですわねえ」  
「アレを当麻としたいんかいアンタは?」  
 そう言ってからチラッと白井に視線を送ると、白井は遠い目をしながらガッツポーズを決めていた。  
「当然ですわ。愛する相手ならどんなものでも甘露の味ですわ」  
「うえ……それだけはアンタに負けるわ……」  
 甘露と言われて色々と思い出した美琴は、急にジュースが不味く感じて飲むのを止めた。  
 ついでにヤバい話題も変えておく。  
「明日は当麻に会う日よね」  
「わたくしとお姉様の蜜月もお終いですわねぇ」  
 しみじみとそんな事を言う白井に、美琴は意地悪な笑みを浮かべると、  
「判らないわよぉ……。大体私全然懲りて無いし」  
「お、お手柔らかにお願い致しますわ」  
(失敗だらけの一日だったけど、佐天さんと初春さんとも親密になれたし、おおむね順調よね)  
 美琴は可愛い妹分の困った顔を見ながら、今日一日の出来事を満足そうに振り返るのだった。  
 
 
 
 
 
「あ」  
「何顔を赤らめてますのお姉様?」  
「……私やっぱり足りないみたい」  
「ぅえぇぇぇえええええ!? 黒子はもう疲れ果てましたですわよぉ……」  
「うっさいわねアンタは……。ほらさっさと寮に帰りましょ。それともここで……」  
「や、帰りましょ帰りましょ! わたくし寮に帰りたくなっちゃいましたですの。ほほほほほほ……」  
 
 
 
END  
 
 
 

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