あれから風呂を出た2人。  
 一方通行は色々あってすっかり疲れてしまったのか、今は毛布にくるまってソファーの上で眠っている。  
 そして黄泉川の方はと言うと、  
「うんうん。そう……順調なの。……うん、判ったじゃん。で今日中に帰ってこれる? ……うんうん。判った。了解じゃん。……一方通行? 不貞腐れてずっと寝てる。……あははは。そんな事あの子が聞いたら怒るじゃんよ。  
……うん。それじゃ愛穂、打ち止めたちを……、……ああ、うん。そうじゃんよね。うん、ありがとじゃん」  
 耳に当てていた携帯電話を閉じた黄泉川はほっと溜息をつく。  
 一方通行の例の件は秘密にしたまま芳川に状況を確認したのだが、向こうは順調に検査が進んでいるらしい。  
 ただ時間は少し遅れている様で、打ち止めたちが帰って来るのは明日になりそうだと言う事だった。  
 何気なくソファーで眠る一方通行の顔を見下ろす。  
 今は普段の近寄りがたい剣呑さもなりを潜めて、生来の中性的な綺麗な顔立ちをした一方通行。  
 強引に唇を奪われ無理やり射精させられて目じりに涙を溜めていた先ほどの表情が、その安らかな寝顔と重なる。  
 すると黄泉川は体の奥が熱くなってくるのを感じた。  
 さっきは勢いとは言え彼には随分とひどい事をしたと反省していた――それなのに何故?  
「溜まってんのかなぁ私ぃ」  
 ぽつりとそんな言葉を口にした。  
 そして何かを確かめる様にジャージのズボンに右手を突っ込むと、自身の大事な部分を指でなぞってみる。  
 すると指先にぬるりとした感触……。  
「あっちゃぁ……。パンツ代えたばっかなのに駄目駄目じゃんよー」  
 黄泉川は自分の指先に付いたぬめりを確認して1人バツの悪そうな顔をする。  
 と、そこで視線は自分の指からすうっと移動して眠っている一方通行へ。更にそこから更に下半身へと移動した。  
 そして、  
「んふふふ……」  
 一方通行の大事な部分に狙いを定めた黄泉川は、一方通行の眠るソファーの側にぺたんと座りこむ。  
 その表情には反省の色も、先ほどのバツの悪そうな感じも見られない。黄泉川は悪戯を思い付いた子供の様な含み笑いを浮かべて唇をぺろりと舐めた。  
 そして一応念のためと寝ている一方通行の頬を突く。  
「しめしめ。ぐっすり眠ってるじゃんよぉ♪」  
 いくらほっぺたをぷにぷにと突いても目覚めない一方通行に、黄泉川の笑みは更に深くなって、無邪気さを通り越して妖しくなって来ている。  
「んじゃ、ちょっと失礼するじゃん」  
 そう言って黄泉川はぺらっと毛布を捲った。  
 一方通行の服は汚れてしまったので今は洗濯の中でぐるぐると回っている最中。だから今の彼は何も着る者が無い……つまりは全裸に毛布。  
 当然、毛布を捲ればそこに有るのは無防備な一方通行の分身。  
 未だ硬さを保ったままのそれは、根元を始点に臍に向かって斜めに立ちあがっていた。  
 とそこで黄泉川の顔がおやっと言う表情を作る。  
「あらら……一方通行もおもらしじゃん」  
 先ほどの後処理が不十分だったのか、それとも新しい先走りか、先端から粘液質のモノがこぼれて腹と毛布に粘ついた糸を引いていた。  
「我慢出来ないのはお互い様だったじゃんか」  
 黄泉川は何故かホッとした気分になる。  
 と言っても火照りが治まる訳では無い。  
 
 まずは我慢の涙を流す先端を親指の腹を使ってじっくりと丹念にこねる。  
「ンッ……ンゥゥ……」  
 一方通行の口から小さく声が漏れる。  
 そして白い体には見る間に朱が射して行く。  
 それらの反応を頼りに一心にこね続けると、染み出した先走りで手も分身もどろどろになった。  
 一度分身から手を離して開いたり閉じたりすると、にちゃにちゃといやらしい旋律が耳朶を打つ。  
 すると何を思ったのか黄泉川は、そのどろどろの指をおもむろに口に含んだのだ。  
「んむぅ……」  
 その行為とは不釣り合いなほど神妙な面持ちで指をしゃぶる黄泉川。  
 先ほどは湯船の中だったので味見できなかった分も取り戻すかのようにじっくりと堪能すると――臭く無い。いや無臭に近いそれは苦みも無く、これもおかしな表現だが甘味すら感じさせるのだ。  
「こんな所まで特別なんだ……」  
 すると黄泉川の体にぶるぶるっと震えが走ったのはその時だった。  
(我慢出来ない)  
 その心の声を体現する様に黄泉川は一方通行の股間に覆いかぶさる。  
 そして、  
「(ごめん)」  
 ぽそりと呟く声ももどかしく一方通行の分身にねっとりと舌を這わず。  
「ゥゥ……」  
 一方通行がまた小さく呻く。  
 彼は今どんな夢を見ているのだろうか?  
(悪夢で無いといいじゃんよ)  
 そう思いながら唇と舌で丹念に竿を扱く。  
「う゛ん?」  
 熱心に竿を扱いていた黄泉川は、一方通行の袋の方にも先走りが垂れている事に気付いた。そして気付いた時には躊躇無く口に含んでいた。  
 コリコリと歯ごたえの良い2つの胡桃を口の中でコロコロと転がす。  
「はギッ、ゥゥ……ア゛お゛、お゛ォ……」  
 獣の様な唸り声と共に潮の様に噴いた先走りが顔に降り注ぐと、黄泉川はそろそろ頃合いかと名残惜しい胡桃をひと際強く吸ってから口を離す。  
 一方通行の分身は今にも爆発しかねない程怒張している。  
 まずは暴発しない様に指で作ったリングで根元を戒める。  
「ヴグッ」  
 ぴくんと一方通行の腰が跳ねて、先ほどの先走りとも違う濁ったものが先端に粒を作ると、  
「いただきあーんむっ」  
 黄泉川は一気に半分までを口に含む。  
 まずは頬を使って先端を再び丹念にこねる。  
「ぐ、ぎィィ、いい……」  
 一方通行の体が苦しそうに跳ねるが戒められた状態では弾ける事も出来ない。  
 黄泉川は更に舌を動員して分身を更に複雑に口の中でこねくり回す。  
「ぎッ、ぐぎッ、ンぎッ」  
 怒張したものが口の中で無理にしなる度に、一方通行が苦悶とも嬌声ともつかない叫びをあげた。  
 そうして口の中に唾液と粘液のブレンドが出来上がった所で黄泉川はストロークを開始した。  
 
 根元を戒めたままストロークを繰り返す事で怒張は更に増して行った。  
 一方通行の口からは悲鳴も呻きも無くなり、今は浅い息遣いだけが聞こえて来る。  
 そんな中で一心不乱に首を動かす黄泉川。その開いた方の手は自分の股間を激しく擦っていた。  
 ぐちゅぐちゅと卑猥な重奏が響き渡る中、黄泉川にもやっと限界が来たのかその肩がぶるっぶるっと震えだした。  
(待たせたじゃん一方通行)  
 その呟き通りに黄泉川は一方通行の戒めを解いた。  
「ガハッ!!」  
 一方通行の腰が我慢し続けた射精の瞬間びくんと大きく跳ねた。  
 固形物が尿道を駆け上がる様な感覚は痛みにも似た快感を一方通行に与える。  
 そして黄泉川は、口の奥まで突き上げられた状態から、びちゃっと喉の奥に精液を叩きつけられて絶頂を迎えた。  
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」  
 自分も逝きながらも一方通行の精を零さない様に口をすぼめる。  
 そして黄泉川はその時、口の中を満たして行く一方通行の精液に奇妙な幸福感に満たされるのを感じていた。  
 それは愛する者との愛の証をその身に授かった時に似ていたのだが、そんな経験の無い黄泉川に理解出来る筈も無い。  
 最後に尿道に残った分を綺麗に掃除してから、黄泉川は一方通行の分身から口を離した。  
 その状態からもごもごと口を動かしていた黄泉川は、両の掌をそろえると中に有ったモノを全て掌に吐き出した。  
 自分の唾液と彼にそっくりな真っ白な精液をじっと目で堪能してから、黄泉川は掌に唇を付けて残さず吸い取る。  
 そして再び口の中でたっぷりと弄んでから一気に嚥下した。  
「んぐくッ。ご、ごちそうさまでしたじゃぁん……」  
 ふはぁっとため息をつく顔の何と幸せそうな事か。  
 と、そんな黄泉川の気分に水を差すかのような間延びした声が聞こえたのはその時だった。  
「よ、み、か、わァ……」  
「あ! もう起きたじゃん?」  
「……もう起きたじゃねェだろォが。ンな事されて寝てられると思ってンのかテメエは?」  
「なぁんだ、狸寝入りなんてずるいじゃんよー。あ! 後、ご馳走様じゃん♪」  
「チッ」  
 何か気恥しいものを感じて苛立ったそぶりを見せる一方通行に、黄泉川は見透かしたように屈託の無い笑みを向けた。  
「一方通行。喉、渇かないじゃん?」  
「あァ?」  
「コーヒー取って来るじゃんよ」  
 そう言って黄泉川は答えを聞かないまま部屋を出て行く。  
 そして1人取り残された一方通行は、射精後の気だるさと、まだ身動きの取れない苛立ちと、黄泉川にいい様にされて鳴かされた情けなさと快感の残滓と、未だ怒張したままの分身から来る痛みと言う多重苦に晒されて、  
ぼんやりと力の無い眼差しでソファーの背をじっと眺めていた。  
 と、そんな彼の顔にぴとっと冷えた缶コーヒーが押し付けられた。  
「はいコーヒー」  
 黄泉川の声に、一方通行はチラリと缶コーヒーと黄泉川の顔を見る。  
 そしてソファーに視線を戻すと「1人でそれが飲めると思うか?」とぶっきら棒にそう言った。  
「おおそうだったじゃん! めんごめんごー」  
 黄泉川はそう言ってあははと短く笑った後に、缶コーヒーのプルタブを開けてくいっとあおった。  
 そしてコーヒーを軽く頬が膨らむくらいに口に含むと、不貞腐れた様にしている一方通行の唇に無理やり自分の唇を押し当てた。  
 
「ン゛!?」  
 驚きに目を見開いた一方通行の唇を割ってコーヒーが流し込まれる。  
 最初は少しずつ。一方通行の喉がこくりと動いてコーヒーを飲んだ事を確認すると、また少し口の中に流し込む。  
 そうして一方通行が全て飲み終えた所で、今度はコーヒーの代わりに黄泉川の舌が入って来た。  
 何かを探す様に口の中を探りまわる舌に、一方通行は自分の舌を触れさせてやる。  
 すると黄泉川の舌が抱きしめる様に優しくからんで来た。  
 その後ノックする様にちょんちょんと舌の腹を突かれた後、2人の唇はゆっくりと離れた。  
「どうだったじゃん?」  
 少し頬を上気させた黄泉川に、こちらも頬を上気させた一方通行は嫌そうに顔をしかめると、  
「黄泉川ァ、ひとォつ聞いて言いかァ?」  
「ん?」  
「テメエちゃンと口ゆすいだンだろォなァ?」  
 その言葉の意味は直ぐには伝わらなかったようで、黄泉川は暫く「?」な顔で首を傾げていたが、直ぐに意味に気付くと、にやぁっといやらしい、一方通行が最も苦手とする笑みを浮かべた。  
 その笑顔に一方通行の頬が引き攣る。  
「細かい事は気にするなじゃん♪」  
「気にするに決まってンだろォォォおおおおおオオオオオオオオがァァァあああああアアアアアアアア!!」  
「わはははは。嘘嘘。嘘じゃんよー。ちゃんと口くらいゆすいで来たじゃんよぉ。わははははははははは」  
 そんな黄泉川の笑い声を聞きながら、もうあのコーヒーは二度と飲めェなァ、と一方通行はぐったりしながらそんな事を考えていた。  
 と、突然黄泉川の笑い声が止んだ。  
「ン?」  
 チラリと黄泉川の方を見ると、先ほどと打って変わって真剣な表情でこちらを見ている。  
(うぜェ)  
 一方通行は心の中で吐き捨てた。  
「あ、あの、一方通行ぁ。ちょ、ちょっといいじゃん?」  
 黄泉川の緊張した声。その声を聞いた時に一方通行は何かを諦めた。  
「チッ。好きにしろ」  
「え?」  
 キョトンとする黄泉川に、一方通行は心底面倒臭そうに大きなため息を1つつくと、  
「こンだけしといて今更確認取ってンじゃねェよ。ただし。ただしだ。今日だけだ。今日だけだかンなああああああああああ!?」  
 話の途中で黄泉川にお姫様だっこされてしまった一方通行は、黄泉川の顔をギロッと睨みつけたが、  
「うんうん。了解じゃん了解じゃんよー。んふっ、んふふふふふふふ」  
 満面の笑みとハイテンションを前に、早まった事をした自分自身に心底うんざりするのだった。  
 

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