「昨日、ファミレスで貴様を見かけたわ」  
月曜日の放課後、いつものように帰り支度をしていると、背後から吹寄が話しかけてきた。  
昨日一日のことを思い出してみるが、昨日はインデックスと街を歩き回っていたため、  
どこへ行ったか細かく思い出すことができない。  
そのことを吹寄にかいつまんで言うと、吹寄はひきつった笑みを見せ、眉を寄せ、不機嫌そうな顔をした。  
吹寄をこのまま不機嫌にさせておくと一緒にいると不幸なことになりそうなのでとりあえず会話を続けることにした。  
「昨日の何時頃だ?」  
「お昼頃よ。駅前のファミレスに貴様がいたわ。そのインデックスさんと一緒にね」  
最後の部分の強調の仕方が少し気になったが、昼頃と言われて思い出した。  
昨日の昼はインデックスとファミレスで食事をしたはずだ。  
本当は自宅で食事をするつもりがインデックスに冷蔵庫の中身を全滅させられたのでファミレスに行った。  
吹寄が言っているのはその時のことだろう。  
「貴様、とても楽しそうに話していたわ」  
カレーを食べたはずだ。あそこのカレーは美味しかったな。  
「貴様といつも一緒にいるインデックスさんって本当に可愛いよね。パフェなんか食べちゃって」  
そう、インデックスはカレーだけじゃなくパフェも食べていた。財布の中身が心配だったので自分の分のデザートは注文しなかった。  
「歩く時も手をつないで……どういうつもりよ」  
食事の後で買い物に行ったのだが、目を離したらインデックスがすぐに迷子になって大変なので  
手をつないだだけなんだがと思い出して、吹寄の発言に奇妙な点があった。  
ファミレスで見かけたと言っていたのに、手をつないで歩いてことを指摘した。  
ということは尾行したのだろうか。  
「尾行だなんて人聞き悪いわね。たまたま方向が同じだっただけよ。何で私が貴様を尾行するのよ」  
ファミレスに1時間以上いたので、ファミレスの外で待っていない限りその後の姿を見ることは  
できないはずだが、これ以上言うと吹寄がますます不機嫌になりそうなので、あえて黙っておく。  
「それで?」  
「それでって、何が?」  
「とぼけるつもり? いつも一緒にいるインデックスさんのことよ。前々から聞きたかったのだけど貴様と交際しているの!?」  
そこでようやく吹寄が何を聞きたいのかがわかった。要するに吹寄は、インデックスのことが気になっているらしい。  
大方、年端もいかない少女・インデックスに手を出しているのでないだろうかと心配しているのだろう。  
「ああ、別にインデックスと付き合っているわけじゃないから安心しろよ。上条さんに彼女ができたら吹寄にも紹介しますよ」  
これで吹寄の不機嫌も治るだろう。  
そう思い、帰ろうと席を立つと、まだ吹寄野がこちらをじっと見ているのに気づく。  
まだ納得していないのだろうか。それともインデックスと付き合っていないのは嘘だと思っているのだろうか。  
そう考えていると、吹寄が唐突に叫びだした。  
「そういうことじゃないわよ!! 何よ! 貴様に彼女ができたら私に紹介するですって!!」  
何が何だか理解不能だがすかさず土下座をしてしまった。  
 

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