――とある教室の昼休み
「姫神の髪って、スゲー綺麗だよな」
「な。なに。藪から棒に」
「うんー? 窓から入ってくる日差しがちょうど姫神の黒髪に落ちてて、きれいだなーって思ったから」
「……ありがとう」
「料理も美味いし、なんつーか、古き良き日本の良妻賢母っぽくていいよな。こんなお嫁さんなら――」
「えっ。今なんて……」
「くぉうらぁ!! 貴様はまぁた懲りずに婦女子をたぶらかしてるのかっ!」
「ぐわぁぁぁ、吹寄さん、痛い、痛いです。ギブギブギブ、首が胴体と離れる! てか濡れ衣だからっ、俺は姫神と世間話してただけだから!」
「ただの世間話で頬を紅く染める女の子がどこにいると言うんだ、上条当麻!」
「? すまん、熱があるのか姫神。具合が悪いならそうと言ってくれれば……」
「別に。大丈夫」
「貴様はそうやってまた、額で熱を測ろうとするっ!」
「うがぁ! げほっ、ごほ。……吹寄は教育ママになりそうだな。ま、悪い子には育たないだろうから、安心して任せられるな」
「な、なにを…」
「ん? 吹寄も顔が赤いぞ」
「はあ。君は。いつもそう」
「姫神までなんでせうか? 上条さんは何もしていませんのことよ!?」
「君(貴様)には責任とってもらう!」
「え、え? えぇっ!? …なんかしらないが、不幸だー!!」