だが、彼本人としては、未だに信じられない話ではあった。  
と言うのも、彼がインデックスに夜這いをかけていた間、彼自身の意識は、ほとんど失われていたようなものだったのである。  
その原因は、本人は気づいてないのだが、前述したとおりの、白井黒子特製『パソコン部品』である。  
それにより、性欲を過剰すぎるまでに刺激されたことで、彼の意識はほぼ完全に吹っ飛んだ。  
残されたのは、インデックスを、目の前の少女をただ陵辱するという、動物的な本能のみ。  
上条の意識は、ただ極めて客観的に、その様子を眺めているだけだった。  
まるで、淫夢を見ているときと同じように。  
 
というわけで、彼は、先ほど起きていたことを、夢の中の出来事だと思っていたのである。  
最近、インデックスと同じ部屋で眠らなければならないため、自家発電にも困る日々が、ここの所ずっと続いていた。  
そんなものだから、色々と溜まっている自分が、そういう夢を見ていたのだ、と認識していたのである。  
現実に、彼がインデックスを陵辱している間、上条の理性はというと「あー、明日おきたら、パンツがカピカピになってんだろうなー」とか考えていたのだ。  
 
なんとも間の抜けた話ではあるが、上条当人にとっては、全く笑い事ではなかった。  
上条当麻は、劇中で何度も言及されているように、記憶喪失である。  
彼の記憶は、まだ1年にも満たず、家族や大事な人の記憶も、その大半が失われて、記憶の殆どは、この学園都市での生活で占められていた。  
そんな上条とって、同居人である白いシスターは、家族同然と言っていいほど、身近な存在である。  
また彼女は、自身が命を懸けてでも守りたいと思い、実際に何度も、彼女のために戦ったことがあるほど、大切な存在でもある。  
 
そのインデックスを、自らの手で、汚してしまった。  
彼の心中が、壮絶な自己嫌悪と、後悔の念で、瞬時に埋め尽くされ、上条当麻は、床に崩れ落ちた。  
 
数分後、上条はインデックスに正対し、地面に「orz」の形で倒れこんだまま、時折頭を地面にゴンゴンと打ち付けていた。  
日本の生み出した、究極の謝罪方法『土下座』である。  
だが、謝罪を受けているインデックス当人としては、既に恐怖は去ってしまったのか、困惑した表情を浮かべていた。  
その様子からは、怒りはほとんど感じられず、むしろ上条の姿を見て、彼女の方に罪悪感が芽生えてしまいそうな様子である。  
 
「と、とうま……? そんなに頭を打ち付けなくてもいいんだよ? 下の人に怒られちゃうかも……」  
見るに見かねたのか、インデックスは上条の肩に、ポン、と優しく手を置いた。  
「本当に悪かった…… インデックス、俺、取り返しのつかないことをして……」  
「も、もう充分なんだよ? 私はもう、何も怒ってないかも」  
「俺、本当に最低だよな。 いくら溜まってたからって、無理矢理襲おうとするなんて」  
上条は、この世の終わりかと思うほどの、思いつめた表情で、自らの行いを悔いる言葉を呟いている。  
「え、えっと、それなんだけど…… なんであんなこと、したの?」  
「……なんでって?」  
「さっきまでのとうまは、すごく怖かったし、乱暴だったし…… 絶対どこかおかしかったんだよ?」  
思い出すだけで、先ほどの恐怖と、ほんの少しの昂ぶりが、インデックスの心に蘇り、彼女はほんの少しだけ、身体を震わせた。  
「え、いや…… そりゃ、上条さんも男の子ですから、きっと色々と溜まっていたものを我慢できなくて、無意識のうちに……」  
「でも、今は普通のとうまだよね?」  
彼女の言うとおり、目の前の少年は、普段通りの上条当麻そのものである。  
その様子からは、先ほどまでの、飢えたケダモノじみた姿は、全く見ることができない。  
「それに、とうま本当に意識が無かったの? やっぱりそれは、普通じゃなかったんだよ。  
 とうま? とうまはどこまで自分の意思で行動してたか、覚えてる?」  
「えーっと…… 寝る前までは、間違いなく覚えてるんだけどな」  
「寝る前に、何か飲んでたよね? あれは何だったの?」  
自らの完全記憶能力を使い、あのときの上条当麻の行動を思い出しながら、インデックスは彼の怪しい行動を思い出してみる。  
「あー。 昼間、最近眠れないって、御坂に零したんだよ。  
 そしたら『ちょうど、安眠作用のあるドリンクを持ってる』って言って、1本くれたんだよな。  
 それ飲んで、寝ようと思ったんだけど、急に身体が熱くなって…… それで、気づいたらあんなことを」  
 
「……どう考えても、その短髪のくれたドリンクがおかしいかも!」  
「なぁっ! ちょっと待てインデックス! あいつが、俺に悪戯で変なものを渡したって言うのか!?  
 そんなわけ……」  
「よく思い出してみて! その時、短髪が何かおかしなことしてなかった?」  
上条当麻は、インデックスのように、完全記憶能力があるわけではない。  
だが、必死になって、そのときのことを思い返してみた。  
あの時、学校の帰り道に、自販機にケリをくれている御坂美琴とであって、そのまま下校して。  
そのときに、目の下のクマを指摘されて、最近眠れないと言って、そうしたら彼女は原因を聞いてきて。  
この状態をそのまま言うわけにもいかなかったから、嫌な夢にうなされていると嘘をついて。  
すると、彼女が「黒子が紹介してくれた、副作用の無い、よく眠れるように体調を整えてくれる」という飲み物をくれて…… 白井黒子?  
 
「……白井かぁぁぁぁぁぁっ!」  
 
ありえる、と彼は思った。  
白井黒子は、上条が知る中でも、1,2を争うほどの変態淑女である。  
彼が知っているだけでも、御坂が留守の間、勝手に『お姉さま』のベッドを占領したり、彼女に過剰なまでのアプローチをかけたり。  
御坂が零した愚痴を含めると、彼女の変態行動は、枚挙に暇が無いほどである。  
ありえる。 彼女であれば、御坂の飲み物に何か仕込むことが、無いとは言えない。  
しかも、彼女の能力は、それを行うのにはうってつけである。  
それが、周り巡って、自分の所に回ってきてしまった可能性は、ゼロではない。  
 
だが、仮にそうだったとしても、上条がインデックスを押し倒し、犯そうとしたのは事実であった。  
それに関して、彼は自分の行為を否定する気や、責任を転嫁して逃れようとする気は、彼には無い。  
「い、いや、でもなインデックス。 そうやって他人に責任を押し付けたからって  
 俺がお前に、取り返しのつかないような、酷いことをしたのは変わらないだろ……?」  
インデックスに対する、申し訳の無さと、ほんの少しでも、責任を逃れようとした、自分への嫌悪感で、胸が一杯になる。  
彼女は、今回のことを、許してくれるのだろうか。  
もし許してくれたとしても、これから、彼女に対して、どう接していけばいいのか。  
自分がやったことの重大さを噛み締めながら、、彼は頭を下げ続けた。  
 
「……とうま、聞いて。 私は、別に全然怒ってなんかないんだよ?」  
彼の頭上から、インデックスの声がした。  
その声は優しげで、柔らかくて、まるで泣いている赤ん坊をなだめるような声だった。  
「ほ、本当に?」  
「うん、嘘じゃないんだよ? その、結局、最後まではしなかったから、大丈夫だったし…… もう全然平気かも」  
先ほどの行為を思い出してしまい、インデックスは顔を赤く染めながらも、上条を優しく諭す。  
「し、しかしだなインデックス……」  
「私が大丈夫って言ってるんだよ? とうまは気にしなくてもいいんだから」  
そしてインデックスは、、上条の頭に手を当て、柔らかい笑みを浮かべながら  
未だに自責の念から逃げ切れない上条に対して、インデックスはそう言い放った。  
上条は、インデックスの言葉を耳にしても、まだ後悔と謝罪の念を拭いきることはできなかったが、幾分は安心したのだろう。  
彼は、今までとっていた土下座の姿勢を崩し、大きなため息をついて、肩の力を抜いた。  
 
「それに私は、さっきのとうまが怖くて、乱暴にされたのが嫌だっただけで……  
 その、と、とうまが、……ゃ……く……してく……な…、ぜ、全然…ぃ……んだよ?」  
「……?」  
唐突に、インデックスがそう呟いた。  
その言葉は、まるでデクレッシェンドでもかかっているかのようで、終わりに近づくにつれて  
次第に小さくなっていき、最後のほうの言葉は、消え入りそうなほど、小さな声だった。  
彼女の顔は、林檎のように、とか、トマトのように、といった比喩が似合うほどの、綺麗な赤色になっている。  
 
「その、インデックスさん? 今なんとおっしゃったんでせうか? よく聞こえ……」  
そこに、上条による、デリカシー0の追及。  
「そ、その…… 私は、とうまが優しくしてくれてたなら、別に……」  
「……え?」  
「ば、ばかばかっ! とうまのばかぁ!」  
必然、襲い掛かるインデックスの牙。  
先ほどまで、インデックスに向けて下げられていた頭に、彼女の顎が喰らいついた。  
 
「ゆ、許してねーじゃねーかっ! 嘘つきっ! そしてごめんなさいっ!  
 上条さんは、さっきの件に関しては、本当に本当に反省してるんですっ! な、何でもしますからっ!」  
「問答無用なんだよっ! それに、私が怒ってるのはそこじゃないんだよっ!」  
インデックスは、彼の頭に喰らい突いたまま、身体を大きく動かしたり、時にはぐるんぐるん回転したり、アクロバティックな動きを見せる。  
上条は、それから逃れるべく、必死に彼女を振りほどこうと暴れるが、効果はまるで無い。  
上顎と下顎により、頭蓋骨が圧迫される感覚に耐え切れず、上条はベッドに倒れこんだ。  
インデックスも、その行動は読めなかったらしく、彼女もベッドの上に放り出されることになる。  
それも、上条当麻の身体の上に。  
 
「のわぁっ!」  
ドサリ、と上条がベッドに倒れこんだ後、彼は下腹部に大きな衝撃を受け、思わず大きな声を上げた。  
何か、重たいものが、彼の上に乗っかってきたような。  
その感触はすぐに消え去ったが、それはとても柔らかく、暖かくて、どこか懐かしい、先ほどまで夢中になっていた感触だった。  
背筋に走った、とても嫌な予感を振り払いつつ、視線を衝撃のあった場所に移す。  
 
そこには、元々はだけていたYシャツを、さらにはだけさせ、ほぼ全裸状態になっていたインデックスがいた。  
彼女は、上条の下腹部から下に、四つんばいの体勢で乗っかっている。  
何よりまずいことに、彼女の視線の先には、先ほどの余韻で、まだズボンの中で、いきり立ったままになっている、自らのイチモツが。  
端から見ればまるで、今度はインデックスが、上条を押し倒したような格好になっていた。  
 
「わ……ぁー…………」  
インデックスの頭は、完全に停止寸前に追い込まれていた。  
気がついたら、自分が上条を押し倒すような姿勢になっていた。  
先ほどとは、全く立場が逆転していることに気がつくと、顔がかぁっと赤くなり、思考が上手く回らなくなる。  
更に、目の前には、ズボンの上からでもわかるほど、大きくなった上条のモノが。  
顔が再び紅潮し、何か熱っぽいような感覚が、体中に染み渡った。  
 
「と、とうま? こ、これ……」  
「い、いんでっくすサン? そ、それは、その…… 上条さん、心の底から反省はしたんですけど……  
 鎮まれ鎮まれ、といくら念じましても、身体は言うことを聞いてくれませんでした…… 、ハイ、ゴメンナサイ……」  
 
先ほど、インデックスに突き飛ばされて、頭を打ったことで、彼の欲望は一時的に消え去っていた。  
ショック療法とでも言うのか、単に一度意識を失って、目が覚めたとでも言うのだろうか。  
だが、薬のせいで起きた性的興奮を、自らの意思で完全に消し去るのは、どうやら不可能だったらしい。  
しかも、目の前には、あられもない姿の少女がいて、彼女は、上条を押し倒すような格好になっていて。  
この状況で興奮するな、というのは、流石に聖人君子といえども無理というものだろう。  
 
「そ、その…… これ、どうにかならないのかな……?」  
潤んだ瞳で、上条の顔を見上げながら、インデックスがそう尋ねた。  
その表情に、思わず、上条の心臓がドッキーン! と凄まじい鼓動を放つ。  
「襲ってしまえ」という、悪魔の囁きが、再び彼の脳裏をかすめた。  
だが、これでもう一度押し倒すなど、言語道断であることくらい、彼はわかっていたし、そうするつもりは毛頭無い。  
「イ、インデックス…… とりあえず離れてくれるか? そ、その…… 自分ですれば、たぶん収まると思うから」  
 
その言葉に、インデックスは思わず、不満のようなものを感じてしまった。  
上条は、自分を押し倒して散々弄んだのに、結局自分で処理してしまうのか。  
それでは、自分は何のために、あんな目に合わされたのだろうか。  
ケダモノのようになった上条に襲われて、ちょっとだけ期待してしまった自分は、何だったのだろうか。  
これでは、不公平ではないだろうか。  
そうだ。先ほどは許すと言ったが、少しくらい仕返しをしても、罰は当たらないだろう。  
天にまします我らの父も、この程度のことならば、笑って許してくれるはずだ(※許してくれません。というか、宗派によっては即地獄行きです)  
そう考えるに至った彼女は、次の瞬間、自分でも信じられない行動をとっていた。  
 
「ん……しょ……」  
彼女は、上条当麻のズボンに指をかけ、ボタンを外し、金属製のファスナーをゆっくりと下ろした。  
ジィィィ、という金属音が、部屋の中に木霊する。  
一瞬の躊躇いの後、ズボンを下に思い切りずり下ろすと、トランクスの薄い布が、上条のそれに押し上げられ、大きなテントを張っていた。  
「……は?」  
上条は、そこまでされて、ようやく自分の身に何が起きているのか気づいたらしく、素っ頓狂な声を上げた。  
「なぁっ! お、おまっ! インデックスっ!?」  
手を動かし、ズボンを再び上げようとするが、動転のあまりか、腕が上手く動かない。  
必死に腕を動かすと、右手がインデックスの身体に触れ、その柔らかな感触に、上条のムスコが更に硬くなってしまう。  
「わ…… 今なんか動いたんだよ!」  
「み、みなまで言うなインデックスッ! っていうか、これ以上は本当にやめて!  
 何をするのかわからないけど、上条さんにだって、超えてはならないと思う一線が……」  
その一言に、インデックスは思わず口をへの字に曲げ、ムスッとした表情を露にする。  
「とうまが言えたことじゃないかもっ! さっき、自分が何をしたか覚えてるの!?」  
「ヒ、ヒィッ! インデックスさんっ!? 眼が! 眼が据わってますよっ!?」  
そして、パンツのゴム部分に指を引っ掛け、少々の躊躇いを振り払いつつ、一気に手を下ろした。  
 
「……ぁ……わぁ……」  
下着の中から現れたのは、赤黒い色をした、グロテスクな肉の塊だった。  
所々、青黒い血管が浮きでて、先端にある亀頭部分は、今にも爆発しそうなほど、大きくなっていた。  
恐らく、一般的な日本人男性よりは大きめだろう「それ」を、インデックスは、恥ずかしさを押し殺しながら、潤んだ瞳で見つめていた。  
こんな大きなモノが、先ほどまで、自分の膣内に、無理矢理押し入ろうとしていたと思うと、薄ら寒い恐怖さえ感じてしまう。  
 
「い、いんでっくすしゃん? な、なにをするつもりなのでせうか?」  
上条は、もはや完全に、呂律が回っていない。  
理解不能な出来事が続いたせいか、身体はガチガチに硬くなっており(下半身のムスコ含む)、もはや自分の意思で、指一本だって動かせないだろう。  
脳内には、様々な思考が入り乱れており、次にインデックスがどのような行動をとるのか、全く予測できない。  
 
インデックスは、身体を少し起こすと、顔を上条の目前まで寄せ、熱に潤んだ碧色の瞳で、上条の目を、じっと見つめた。  
上条の顔が紅潮し、元々滅茶苦茶になっていた彼の思考が、余計にかき乱される。  
彼女の銀髪が、上条の鼻先を掠めると、洗髪剤の香りが、上条の鼻腔をくすぐり、思考停止に拍車をかける。  
驚いた表情のまま、固まっている上条に、インデックスは更に顔を近づける。  
両者の間の距離は、既に5センチを切っていた。  
 
「とうまだけ私を好きにして、私は何も出来ないなんて、不公平なんだから」  
鼻先と鼻先がくっついてしまいそうなほどの距離を保ったまま、インデックスはそう呟いた。  
いつもの彼女のものとは違う、甘ったるい声が、彼の鼓膜を心地よく刺激し、脳を蕩けさせる。  
更に、インデックスは、上条の耳元に唇を寄せ、もう一度呟いた。  
 
「だから、不公平にならないように」  
インデックスの吐息が、上条の耳朶を刺激するたび、彼の心臓がドクンドクン、と悲鳴を上げる。  
いつもは、女性として意識することすらほとんどない、彼女の一挙手一投足が、妙に色っぽく見えた。  
インデックスは、彼の耳元で、ふぅっ、と吐息を吹きかけると、顔を再び上条に正対させた。  
そして、彼の顔を、両手で挟み込むように掴んで、彼の唇に、自らの唇を寄せる。  
ほんの少し、どちらかが前に動けば、そのままぶつかてしまいそうな距離で、インデックスがこう言った。  
 
 
「これから、私がとうまに、『お仕置き』するんだよ?」  
 
 
 

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