ある日、上条は一人で帰路についていた。
「今日の晩飯どうするかな……入院費用で食費が足りない」
そう一人ごちていると、通りの向こう側から歩いてくる吹寄の姿が目に入った。
いつも吹寄は上条と顔をあわせると小言を言いながら半分怒ったような態度になってしまうのだが今日は違っていた。
上条のニ、三歩手前で止まり「今暇? 話しても大丈夫?」と、か弱く声をかける。
あれ? いつもと様子が違うと違和感を感じた。
熱でもあるのかと問いただすと否定され「次の日曜日何か予定ある?」のかと上条は質問された。
「日曜? いや、何もないけど……宿題があるけどどうせやらないし」
「それなら私とでかけなさい。あと、宿題はちゃんとやりなさい。私が見てあげてもいいから」
二人にそれほど身長差は無いのだが若干上目遣いで自分を見上げる吹寄に少しドキっとしながらも、
「でかけるって……どこに?」と返事する。
「ただの買い物よ」と目を泳がせながら吹寄は言うが上条は更に疑問に思った。
「お前は何でも通販で買い物を済ますキャラだろ」
「だからよ。普通のお店を余り知らないから貴様に案内して欲しいのよっ!!」
照れ隠しなのかおでこで頭突きをしながら怒鳴る吹寄であった。
断る理由も無いので吹寄との買い物を快諾した上条であったが
何を買うのかどんなものが欲しいのかは聞いてなかった。
「まっ、いいか。吹寄のことだからどうせ健康グッズか何かだろ」
上条に一緒に買い物を許諾された吹寄は心が躍っていた。
「とうとう誘ってしまった。上条当麻とデートの約束してしまった……姫神さんには悪いけど」
上条はまったくそんな気も無いのに吹寄は浮かれていた。