とある病院の一室にて  
ツンツン頭の青年とポニーテールの巨乳ねーちゃんが医者の言葉を待っていた。  
「う〜ん、頭部に何らかの衝撃による記憶の一時的な混乱だよ。しばらくすれば治ると思うよ。デフラグ中と言えば分り易いかな?」  
カエル顔の医者が女性の方を向いて話かける。  
「はぁ・・でふらぐちゅう?ですか・・」  
機械関係に弱い神裂はさっぱりだった。  
「む?理解できなかったかな?精神年齢を低下させて思考に余裕を持たせ、その余裕分で記憶の整理中って事だと言えば分かるかな?人体の神秘ってヤツだよ?」  
「なるほど、分り易い説明ありがとうございます」  
「幸い・・・おじちゃんは誰かな?」  
ツンツン頭の青年に話かける。  
「ビョーインのセンセー!」  
まるで幼児にように元気いっぱいに答える青年。  
「んじゃ、おのおねーちゃんは?」  
「かおりねーちゃーん!」  
「!?」  
「この様に顔と人名も把握出来てるから回復は早いと思うよ?」  
「・・・・。」  
「ん?安心して言葉も出なくなったかね?彼に今必要なのは十分な休息だよ。眠る事は心にも体にいいからね?」  
「へっ・・あ!ありがとうございます」  
我に返った神裂は医者にペコリと頭を下げる。  
「別に礼を言われる程の事はしてないよ、正直、この少年連れてきた時のお前さんのうろたえた状態の方がヤバイと思ったくらいだからね?」  
「お・・お恥ずかしい限りです・・」  
少し照れくさそうに答える神裂。  
「それより問題は・・相変わらず生傷が多い事だね、擦り傷、打撲、噛み傷?・・って痴話喧嘩でもしたの?」  
医者に予想外の事を言われあたふたする神裂。  
「痴話喧嘩!?・・・いえ、何でもないです・・」  
「薬付けて湿布しておくから今日は泊まっておくといい。看護婦に毛布用意させるからね?」  
「と・・泊まり!?」  
さらに想定外の事に、いよいよ神裂が動揺し始める。  
「何か問題でも?大丈夫、専用個室だよ?」  
「専用個室!? って何が大丈夫なんですか!」  
思わずツッコミを入れる神裂。  
「いや・・あの患者は常連だからねぇ、何か知らないけど、よく騒ぐ?・・いや騒ぎがおきるから、他の患者さんのご迷惑にならないようにと配慮しているんだよ?」  
(・・・病院で何をやってるんですか上条当麻・・・)  
と、思いつつも、その騒ぎの一端に神裂が絡んでいたりするのでなんとも言えない状態であった。  
「いや、とっ・・年頃の男女が一つ屋根・・もといっ!一つ部屋で寝るという事は・・その・・非常にマズイのでは・・」  
「そんな事言ったって彼・・、体は高校生だけど精神年齢は幼稚園児にも満たないよ?高校生の力の幼児を放置していくほうがマズイと思うよ?」  
正論であった。  
「別に一緒寝ろと言ってる訳じゃないよ?付き添い用の簡易ベット備え付けてあるから使ってもいいよ?」  
「あの〜看護婦や看護士とかは・・」  
「看護婦付けるのは構わないけど、学校生活内の事故じゃないから余計に費用発生するよ?おっと彼の負担の方が学生優遇措置で安くなるから彼にツケておいたほうがいいね?」  
看護士は?とツッコミたかったが、それ以上に『上条の負担』の言葉が神裂の思考を一旦停止させた。  
 
「へっ?」  
「えっとカオリさんだっけ?今日はもう遅いし、明日仕事あるでしょ?費用の件は彼負担にさせとけば安く済むから安心して帰るといいよ?」  
(あぁ・・恩の返済もまだだというのに・・さらに金銭まで・・・・・仕方ありません。退院前に費用を用意すればなんとか・・)  
一旦白く成りかけた神裂だったが、持ち前のタフネスを発揮し次の思考に移る。学園都市IDを持っていないので学園都市の公共施設の会計等は神裂には結構痛かったりする。  
「丁度こちらにもちょっと勉強させたい看護婦の卵がいてね?」  
「看護婦の卵?」  
「研修生だよ?まぁ幼児の面倒にスキル持った看護婦付けるのも勿体無いし、研修生ならその分安く済むから丁度いいかな?」  
カエル顔の医者が手前にあるパネルを操作し研修生を呼んだみたいだ。  
しばらくすると柔らかくノックして礼儀正しく入ってきた研修生.。それを見た神裂のが青くなる。  
(終わったーーー!!!!)  
年齢は上条より少し若いかもしれない。顔も非常に可愛く、体はスレンダーだったが胸は神裂には負けるが結構な巨乳の持ち主だった。  
もう一言で言えば「職間違えてネ?」って感じで看護婦よりはアイドル業に向いてると思った程だ。  
(彼の事です!精神年齢低かろうがおじいちゃんになろうが・・・この研修生と・・な、何かやってしまうにありません・・・orz)  
「いつもお年寄りのお世話ばかりだったけど、今日は特殊な・・」  
研修生に説明をしていたカエル顔の医者の言葉を遮る神裂。  
「あの・・やっぱり私が面倒を見ます。」  
その表情は悟り境地か、はてまた無我の境地か、それとも諦めきったのか・・無表情であった。  
「あ、そう?まぁ、この手の記憶障害は知らない人より知り合いの方がいいからね?」  
そう言うとカエル顔の医者はアイドル顔の研修生に病室の案内を頼む。その時、  
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ  
誰かの腹が鳴った。  
「かおりねーちゃん、おなか・・すいた・・・」  
「うっ・・」  
幼児化した上条の何気ない言葉に神裂の母性本能の反応し始めた。  
精神面のみ幼児化しているので普通の人から見れば『キモい』の一言で終わるかもしれないが、  
責任感と博愛精神の塊、神裂にとって純粋に『可愛い!!』と思ってしまったのだから仕方ない。  
「おやおや、晩御飯もまだだったのかな?んじゃ食事も用意するよ?」  
「宜しくお願いします」  
カエル顔の医者の言葉に素直に答える神裂の顔は既に母親と化していた。  
・・・  
・・  
・  
アイドル系看護研修生が持ってきた食事をパクパクと食べる上条(ただ今、絶賛幼児化中)  
箸が使えなかった為スプーンで口の周りにご飯粒や汁をくっつけて食べる姿は幼児そのものであった。  
(いつも減らず口や突拍子もない事やる問題児とは思えませんね)  
クスッっと微笑みながら上条の世話をする神裂  
「もう、本当に大きな子供ですね。」  
ハンカチで口の周りを優しく綺麗にする  
「ありがとぉー!」  
嬉しかったのかニカッと笑う上条はバカっぽいが、幼児化している為、裏表の無い笑顔になり神裂の母性本能を刺激する。  
(か・・可愛い・・)  
デレデレしまくりの神裂が油断した時だった。  
「かおりおねーちゃん、おしっこー!」  
「ハイハイ、おしっっっ・・・・こぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!???」  
上条専用の病室に神裂の声が響き渡る。  
神裂火織、幾度となく死線を超えてきた聖人は・・現在結構ピンチだったりする。  
 
つづく・・かもしれない  
 

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