とある大きな部屋の中で、上条当麻はロープでぐるぐる巻きにされてソファーベッドに転がされていた。  
 そんな姿をほくそ笑みながら眺めているのはレッサー。スカートから生えた尻尾がぶんぶんと振られている様が彼女のテンションを如実に表している。  
 そんな少女は毛の長い絨毯に膝立ちになるとまな板の上の鯉状態の上条のズボンに手を掛けると、  
「さあ上条さん覚悟はいいですか? ま、嫌だと言っても剥いちゃいますけど」  
「こ、こらレッサー!? ヤ、ヤバい、今ズボンを下ろすのはマジでヤバいんだって!」  
 上条が言う通り、ズボンは内側からの何かの圧力でものすごい盛り上がっている。  
 そうなったのもつい数時間前にレッサーに飲まされた謎の液体のせいなのだが。  
「なぁーにを今更。このまま行く所まで行くんですから覚悟して下さ――」  
 そう言い切ろうとしたレッサーの言葉を遮る様に部屋の扉がドバンと音を立てて四散した。  
 そして扉の無くなった出入り口に姿を現したのは、白い修道女と、学生服姿の少女――インデックスと御坂美琴だった。  
「ちっ、思った以上に早く現れましたね」  
「とうまッ! 一体何をしているのか説明して欲しいかも!」  
「ア、アンタ……、また女の子連れ込んで一体どう言うつもりなのよ!!」  
 てっきり自分に向くとばかりの矛先が上条に向けられてレッサーは唖然とする。  
 そして上条はと言えば顔面蒼白になっていた。  
「ちょっと待て、これにはマリアナ海溝よりも深い訳が……つか、何で俺が言い訳しなくちゃいけないんだ!? くそッ、呪わしい、この身に沁みついた腰抜け体質が……ふ、不こむぐぅぅううううううううう!?」  
 上条がお決まりのセリフを吐こうとした瞬間、レッサーの尻尾が上条の顔に巻きついて口を塞ぐ。  
「「とうま!?」」  
 そう叫んでから美琴は、  
(あ、思わず名前呼んじゃった)  
 顔を真っ赤にしてしゅんと小さくなってしまう。  
 一方レッサーはと言うと、  
「お2人に提案があります」  
 そう言ってから、あろう事か上条の顔の上にぽふっと腰を下ろした。  
「むお!?」  
 唐突に温かくて柔らかいモノに顔を覆われて慌てふためく上条だったが、  
「うふふ、息が変な所に当ってくすぐったいですよ」  
「…………」  
 何かを理解すると石になった様に動かなくなってしまう。  
 そんな一部始終を見せつけられた美琴はバチバチっと火花を飛び散らせながら、  
「な、何してんのよアンタは!? さ、さっさとそこから降りなさい!!」  
 するとレッサーは美琴に向けて人差し指を立てるとちっちと左右に動かして、  
「そんないきり立ちなさんなお嬢さん」  
「!?」  
 その言葉に美琴の髪が電気を帯びてふわぁっと持ちあがる。  
 アイツには悪いけど一緒に感電してもらう――そう勝手に決めたその時、横合いからインデックスにグイッと押し退けられた。  
「短髪はちょっと引っ込んでて」  
「ア、アンタ!?」  
 驚いて振り返ると普段とは違う真剣な表情に美琴はそれ以上言わずに後ろに下がる。  
 するとインデックスはレッサーをじっと見つめて、  
「提案って何かな?」  
 その言葉にレッサーは軽く口笛を吹くと、  
「流石はインデックス、話が早くて良いですね。私、そう言う人大好きです」  
「私はあなたみたいなあざとい子はあまり好きじゃ無いかも」  
 にべも無いインデックスの解答にレッサーは苦笑して「ま、人の好みなんてどーでもいいんですよ」と言い置いてから、インデックスと美琴に向かってこう話しかけた。  
「本題に入ります。どうですか、3人で上条さんと……?」  
 
 
以上!!  
 
 

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