「私と付き合ってください」
美琴は今日覚悟を決めて、夏休みの最後から抱き続けてた思いを愛する人にうちあけてみた。
上条は優しいし、絶対成功するはずと美琴は思い込んでいた。
「ゴメン…俺にはお前を幸せにできない…お前ならもっと良い人と付き合えるよ」
だが現実はそう甘くなかった…上条はそう言ってたちさってしまった。
上条は記憶喪失である…だから自分の気持ちはわからないし自分が一人の人に愛
をそそぐのはいけないと思い込んでいた。それに美琴が本気で自分に恋心を抱いているなんて考えてなかった。
それがどんな結果に陥るかもしらずに…
「うそよ…嘘嘘嘘嘘ウソうそ…あはっあはははっははははははははは」
気がついたら美琴は奇声を発し上条をおいかけていった。
(しまったなあ。あんな断りかたしたら明日から合いにくいなあ…まあ大丈夫か…御坂は竹を割ったような性格だし)
上条は少しさっき断ったときのことを思い出して後悔していた。
ビリッバリバリその直後、激しい衝撃が上条の頭を襲った。
「な…まさか魔術師…インデックスが…いや電撃か……ミ…サ…カ…?」
上条の意識は深いそこに沈んでいった。
「ここは…どこでせうか?何でこんな目に…もー不幸だ…」
目が覚めたとき、上条はパイプ椅子に手足をくくりつけられていた。
部屋の中は薄暗いのに監禁されているにしては、綺麗な部屋だった。
(くそっ…まさか魔術師のしわざか…インデックスは無事なのか……もしかしたら近くに人がいるかもしれない)
「おーい誰か〜助けて〜」
上条が半ばやけくそ気味に叫んでいると、(ギイ…)
部屋の扉がゆっくりひらいた。(魔術師か)上条は身構えようとしたが、縛り付けられているので、びくともしない。
上条がもがいていると外から制服を着た俯き気味の少女が入ってきた。
(よかった…魔術師じゃなさそうだな…いや、じゃあ俺はだれに監禁されてるんだ…)
「そこの救世主さま…これほどいてくれると上条さんはうれしいんでせうが…」
すると少女はゆっくり近づいてきた。
「いや〜本当にありがと(ドン)っうお」
いきなりその少女にイスを蹴り倒されイスに縛られている上条はその衝撃で胸の空気を全てはきだした。
「ゴホッゴホッてめえなにしやがる…」
すると少女は顔をあげた。上条が見たことがある顔だった。
「あんたそこまで馬鹿なの…ほどく訳無いじゃない」
整った顔つき、ピンでとめた髪、そして常盤台の制服…上条は今やっと自分を監禁した人物を把握できた。
「御坂!なんでお前が!!」
「なんでって…こうでもしなきゃあんた振り向いてくれないじゃない…もうがまんするのはう止めたの」
美琴はいつもの明るい表情ではなく、暗く異様な雰囲気だった。上条が美琴だと
気付かなかったのは、あまりにいつもと雰囲気が違いすぎるからだろう。
「…じゃあこれをやったのは御坂?上条さんには縛られて喜ぶ趣味はないんですせうが…」
上条は地面に地面に倒れていることももしかして魔術師に操られてい
るのかと考えたがもしそうなら気絶さしたあとにその場で殺せたはずだ。
わざわざ監禁というリスクを背負う理由がない。
「そうよ…ていうよりあんた気付くの遅すぎない?私のことなんてどうでもいいの?…」
バチッバチッ美琴の右手が明るく光っていた。
「なっ御坂…まさか…」
「ああ大丈夫…死なないわよ…てゆーかこの程度の電撃あんたなら打ち消せるじゃない」
美琴の右手に集まっていた電流がまるで野球のボールを投げるかのように
放たれ上条の背中に直撃した。
「ぐあああああああああああ」
その瞬間上条の叫声が部屋を満たし体からは煙が
ふきでていた。だが上条は気を失っていないらしく、強い眼光で美琴をにらみつけた。
「あれ…いつもみたいに打ち消さないの?まさか手足が自由じゃなかったら能力
が使えないとか…てゆーか直撃してんのに気を失わないってどんな身体してんのよ…」
美琴は自分の電撃が当たった事に驚いているようだった。無理もない、
勝負のたびに電撃を打っても超電磁砲をうっても砂鉄の剣で斬ろうとしても全てを
打ち消されてきたのだから、まさか右手にだけ異能を打ち消せる力が宿っている
なんて考えもしない。
「ゴホ…俺に異能の力を打ち消せる能力がやどっているのは右手だけだ…それ以外
の場所に致死量の電撃があたったら文句なく死ぬ…」
上条は美琴が本当になんの
迷いもなく、倒されたイスにくくりつけられて入る自分に電撃をくらわしてくるとは思っていなかった。
まだ上条は美琴のことを信じていた。いや…美琴がこんな事をすると、
まだ信じられていなかっただけかもしれない。
「…まずこのイスを戻してくれ…こんな状態じゃ話し合いもままらなねえ」
すると、美琴は近づいてきて倒れてるイスをもちあげ、戻してくれた。上条は戻してくれ
とは言ったものの美琴の力で戻せるか、それ以前に美琴が戻そうとするとさえ考
えていなかったので素で驚いた。
「そういえば…打ち消す力右手にしかないって本当?じゃあ電撃とか超電磁砲な
んて反応してから右手でとめるなんて不可能じゃないどうやってとめてたのよ…」
美琴が少し青ざめていった。あの日常的に行なっていたやりとりが実は命
がけだったなんていわれたら誰でも青ざめる。
「いや〜それはがむしゃらに右手を前に突き出したら何とかなったっていうコトですはい」
まあ実際は突き出した右手が避雷針代わりになって電撃が右手に自ら
当たっていったからなのだが上条はバカなのでそんなことはわかっていない。
美琴は少し考えて
「まあいいわ、言ったわよね…私はアンタのことが好きなの、もう一度言うわ、私と付き合って…お願い」
上条は迷った。自分に嘘をついて、この場から逃げ出すか、それとも嘘をつかず に自分の心に従って美琴と話すか。
「無理だ…」
嘘をついたほうがいいのかもしれない、嘘をつかなかったせいで死
んだ人なんていくらでもいる。だが上条は嘘をつけなかった。
自分の為に、そしてなにより美琴の為に…
「そんなの無理に決まってんだろ!監禁されてけり倒されて電撃で殺されかけて
そんなのしてきた相手のことをその場で好きになれるかよ!」
言い出したらとまらなかった。美琴は震えていた。
「うるさいわよ!私はアンタに振り向いてほしかっただけ…アンタが私を適当に
あしらうから、アンタには私の気持ちがわからないのよ!」
美琴は目を潤わせ泣き声で叫んでいた。
はじめの告白も…この行為も…彼女なりに悩みに悩みぬいた結果だったのだ。上条
もやっとその事に気付いた。
「おまえがそんなに俺の事おもってくれていたなんて気付かなかったよ…ゴメン
な…今度から気をつけるよ」
上条は笑顔で言った。
「今度なんて、無いじゃない、私には…『お前には、俺がそんな小さい人間に見
えるのか、これは気付けなかった俺の責任だよお前が気にする事はない…または
じめからやりなおそう…あったことも全て忘れて…お前ならできるだろ』
上条は美琴に優しく話しかけた。まるで失敗してしまった子供を励ますかのように、
上条と美琴はもとどうりの関係からやりなおした。
2年後学園都市1ヤンデレの彼女と学園都市1モテモテの彼氏のカップルができるのは、また別のはなしだ…
〜fin〜