「なあビリビリ。なんでお前の部屋に金属バットなんて置いてあるんだ?」
とある平和な一日。本当は男子どころか部外者禁制であろう常盤台中学寮、
御坂美琴の部屋を訪ねた上条であった。なんでも白井黒子はジャッジメントの
打ち合わせだか何だかでしばらく帰ってこないとかまあその辺の事情は省略しよう。
「な…なんでって別にいいじゃない別に! だいたいそれってあたしのじゃなくて黒子の…
…でもないけど、あの子が持ってきちゃったんだから!」
「いやまあ別に誰のでもいいし文句がある訳じゃねえけどよ、興味があったっていうかさ」
「事情っていうか…要するに友情の金属バットなのよ!」
「はあ? 何だそれ?」
妹達事件の直前のことになるが、上条も知らぬ戦いがあった。その戦いで美琴や黒子のような
高レベル能力者が苦しむ中、上条とはまた違う、ただのレベル0が活躍した証である。もっとも、
その金属バットが何故ここにあるのかというと、友情の証とかそのような大げさなものではなく、
単に渡し忘れて持ってかえってくる破目になっただけなのだが。
「そんな事どうでもいいでしょ! それより他に話すこととかないの?」
「ないの…ってお前が無理矢理引っ張り込んだんだろうが!」
平和で暇な一日、寮のすぐ近くで上条を見かけて後先の事も考えずに強引に引っ張り込んだは
いいが、いつ寮監の巡視や黒子の襲撃もとい帰宅があるとも知れぬ場所状況で色気のある
展開など望めるわけもなく、要するに上条を見かけると見境が無くなってしまう美琴なのであった。