なんやかんやで学園都市に戻れた上条当麻。  
しかし、彼に帰ってきて欲しいと言ったシスターさんはイギリスにいたりする。  
それは何故か。  
 
彼が発見されたとき、何時ものこといえば何時ものことだが大怪我をしていた。  
上条には幻想殺しがあるため、治療系の魔術で治すことはできない。  
そのため、急遽学園都市に送りカエル顔の医者に治療してもらうことになったのだ。  
当然インデックスはついていくと言ったが、フィアンマによる無理な使用と防衛機能によって大きな負担が掛かっていたため、  
こちらはイギリス清教によって調整されるとのことだった。  
 
では、上条はまだ治療中なのか?  
否、もうすでに日常生活を送れる程度には回復している。  
 
インデックスはまだ調整中なのか?  
こちらも否。すでに大量のお代りを要求して『必要悪の教会』女子寮の食費を大幅に上げれるくらいには回復している。  
 
ならばなぜインデックスの管理人扱いになっているはずの上条はインデックスを迎えにいかず、インデックスは上条の所へ向かわないのか。  
 
 
インデックスの方の理由は「魔道図書館」としての職務を果たすこと。  
第三次世界大戦に於いて右方のフィアンマが行ったことの解析、そしてその前に起きたイギリス第二王女のクーデターによって起きた魔術的影響の調査、  
及びカーテナ・オリジナルの分析。  
これらの職務があるため、インデックスはイギリスから動けなくなっている。  
 
では上条の方はなぜ学園都市から動けないのか?  
 
旅費がない?  
彼は無能力者であり奨学金は決して多くはないが、「置き去り」でもなく両親からの仕送りもあるのでそこまで酷くはない。  
パスポートがない?  
確かにロシアに行った時に紛失してしまったが、治療の為に学園都市に搬送される際の法的な問題を減らす為かいつの間にか発行されていた。  
 
ではインデックスのように何か仕事があるのか?  
その通りだ。  
と、言っても彼は「魔道図書館」などという大仰な肩書もなく、「必要悪の教会」のように国家組織に所属している訳でもない。  
右手とその不幸体質(そして友人に言わせればフラグ体質)を除けば、ただの学生、ごく普通の高校生でしかない。  
 
ただの学生。  
学生。  
そう、彼は学生なのだ。  
そして学生の仕事といえば  
 
「だぁー。なんでロシアに行ったこととかはどうにかなってんのに出席日数とかはどうにもなってないんだよー」  
 
学校で勉強することである。  
 
上条当麻はあくまで「学園都市の学生」でしかなく  
そして、未成年である上条が学園都市という枠組みに所属しつづけるためにも、建前だけでも学生でなければいけない。  
彼はスキルアウトのように、本当に「学校に籍があるだけ」や「学生寮に部屋があるだけ」といった状態になる気はなく  
また、彼の担任はそんなことをさせる気はなかった。  
 
「レポート提出や補習だけで済むようにしてくれた小萌先生には感謝だけど、パスポートや不法入国がどうにかなってるのに、なんでだろうなぁ」  
 
ドサリ、とレポートに疲れた上条が床に仰向けになる。  
と、そこに  
 
ピーンポーン  
 
「んぁ?土御門…はイギリスだっけか?つーかあいつも色んなとこいってるけど出席大丈夫なのか?」  
 
ひょっとして学園都市のスパイは出席や単位を都合してもらえるのだろうか。などと上条が考えているともう一度  
 
ピーンポーン  
 
「はーい。今出ますよっと」  
 
土御門がいないから舞夏も可能性が低い。と、なると誰だろうか?  
そもそも知り合いではなく宅配便だろうか。などと思いながらドアを開ける。  
そしてそこにあったのは  
 
「ありゃ、サーシャ?」  
 
小柄な体に緩いウェーブの金髪、なによりそのSMプレイでもしているのかの様な恰好が目を引くシスター  
サーシャ・クロイツェフの姿だった。  
 
「どうして日本に?というかなんで俺のところに?またなんか起きたのか?」  
 
とりあえず中に、と言おうとしたところで相手が口を開く。  
 
そう  
 
「訂正一」  
 
特徴なサーシャの口調『では無く』  
 
「私はサーシャ・クロイツェフではない」  
 
その喋り方は夏の海、そして第三次世界大戦の最後と上条によろしくない経験と思い出をくれた相手  
 
「名乗るのならば」  
 
すなわち  
 
「ミーシャ・クロイツェフと名乗るのが一番相応しいだろう」  
 
ミーシャ・クロイツェフのものだった。  
 
 
「え……と、ミーシャ?」  
 
「回答一。そうだ」  
 
 
 
「…………」  
「…………」  
 
二人の間に沈黙が訪れる。  
 
「あー……それじゃあそういうことで」  
 
どうすればいいか分からず、ついドアを閉めてしまおうとする上条。  
だが  
 
 
ガッ  
 
「要望一。話を聞いてほしい」  
「ちょ、おま、ドアに足を挟むとか性質の悪い新聞勧誘みたいなことを!」  
「繰り返す、要望一。話を聞いてほしい」  
「いやそんな訪ねてくることからしてビックリな相手に話を持ちかけられても!」  
「要求一。話を聞いてほしい」  
「微妙に変わった!?」  
 
と、そんな押し問答があった挙句  
 
「茶菓子でなにかダメなものや食べたいのってあるか?っつっても大したもんはないけど」  
「回答二。ガムがいい」  
「これから話しようってのにガムってどうなんだ……?」  
 
無事、家の中で話を聞くことになったらしく、お茶(安い麦茶)とお菓子(和菓子のバラエティパック。特売処分品)を出す上条。  
 
「感想一。ガムや神の恵みとは違う甘さだが悪くない」  
 
どうやら天使さまは安物の餡子でも気にしないらしい。  
味わっているのか、ちゃんと噛んで食べている。が、手のひらサイズとはいえ最中やどら焼きが結構な勢いで消費されていく。  
 
 
「謝礼一。美味しかった」  
 
「そりゃよかった。で、なんで家に来たんだよ?」  
 
お菓子を全部食べ切り、お茶も飲んで落ち着いたところで本題に入ろうとする。  
 
「説明一。だがその前に」  
 
「うん?」  
 
「質問一。甘味はもうないのか?」  
「本題入るんじゃなかったのかよ!?お菓子はねーよ!上条さん家には食いしん坊さんがいる訳じゃないのに買い貯めするような余裕はないんです!  
ジュースで我慢しなさい!というかちっちゃいシスターさんは食いしん坊ばっかりだけど燃費が悪いのか!?」  
 
「感想二。これも悪くない」  
 
コクコクとオレンジジュース(果汁30%)を飲む天使さま。かなり甘めのジュースだったが、気に入ったらしい。  
 
「あーそうかい。で?今度こそ説明してくれるんだろうな」  
 
すっかり脱力してしまった上条。テーブルに突っ伏してしまいそうなのを片肘をついて我慢する。  
 
「問題ない。改めて説明一。私はミーシャ・クロイツェフだ。」  
 
「そりゃ見ればわかるけどよ。いや、サーシャと区別しろって言われたらわかんないだろうけどさ」  
 
「同時にミーシャ・クロイツェフで無く、「神の如き者」や「神の力」では決してない」  
 
ミーシャの禅問答のような言葉に思わず首を傾げてしまう上条。  
魔術的には意味のある説明なのだろうかと考えてしまうが、考えたところで答えは出る筈もないので素直に聞くことにする。  
 
「ミーシャだけどミーシャじゃなくてナントカエルでもないってどういう意味だよ?なんか魔術的なことなのか?」  
 
「否定一。違う。魔術的な意味はなく、言葉通りの意味だ」  
 
「…………すいません、上条さんにもわかるように説明していただけないでせうか?」  
 
「…………」  
「…………」  
 
 
沈黙。  
怒らせてしまったかと思って少し不安になってしまう上条。  
ここは場を和ませるために冷蔵庫に仕舞ってある秘蔵のプリン(黒蜜堂の限定品。一個1,000円)を出すべきだろうかと本気で考えてしまう。  
だが、その必要はなかった。  
 
「思考終了。解説をしたい。問題ないか?」  
 
「え、あ、ああ。頼む」  
 
「では解説一。私が『ミーシャ・クロイツェフである』というのは、名乗るとしたら他に該当するものがないからだ」  
「そして『ミーシャ・クロイツェフでは無い』というのは、右方のフィアンマが顕現させ、貴方が北極で対峙した『ミーシャ・クロイツェフ』とは別のモノだからだ」  
 
「ええっと、お前がミーシャって名乗ってるのはそれが一番近いからで、俺が知ってるミーシャとは名前が同じだけで別のヤツってことか?」  
 
「大きな間違いはない。解説の続きと補足をする」  
 
「私と第三次世界大戦時の『ミーシャ・クロイツェフ』は別の存在だが、無関係ではない」  
「詳細は不明だが『ミーシャ・クロイツェフ』消滅時に天界に戻るはずだった「天使の力」の一部が残留、私が形作られた」  
「この姿なのは恐らく、『ミーシャ・クロイツェフ』を呼び出す際に「神の力」を宿した少女の要素が混ざっていたのだろう」  
「「神の如き者」や「神の力」ではないというのは、『ミーシャ・クロイツェフ』から発生し、「天使の力」で構成されてはいるが、天界との繋がりも天使との繋がりもないという意味だ」  
 
 
一気に喋ったため口の中が渇いたのだろうか、コップに入っているジュースの残りを飲み干す。  
 
「以上で解説終了。理解に問題はないか?」  
 
「ああ、まぁ、多分?」  
 
魔術については全くの門外漢な上条。  
とりあえずこいつは戦ったミーシャとは別のやつでおっかない(上条の経験ではそうとしか思えない)天使でもないんだなー。という程度の認識である。  
 
「なら説明一を再開する」  
 
この天使さま、細かいことは気にしないのか上条の認識を気にしないのか、「まぁ、多分?」などという返事をされたのに普通に説明に戻る。  
 
「私があなたの所に来たのは、私が訪ねられる相手があなたしか存在せず、そしてこの街に来ることが私の目的を達せらる可能性が最も高いからだ」  
 
「? 訪ねられる相手が俺しかいない?『サーシャ』の知り合いとかは会ったら不味かったのか?」  
 
たとえ中身が違っても、外見が同じだから話くらいは聞いてくれそうだし、天使なんて明らかに魔術サイドの存在が話をするならば  
魔術サイドに属するサーシャの知り合いの方がいいのではないか。  
上条はそう思ったのだが事情があるらしく、こう答えが返る。  
 
「質問に対する回答一。この体は『ミーシャ=クロイツェフ』の残骸であり、「天使の力」で構築されている」  
「『ミーシャ=クロイツェフの残骸』を調べようとする魔術師は多く、単純な『「天使の力」の結晶』としてみても欲する魔術師は多いと思われる」  
「状況を把握でき、私の目的への協力が可能な相手という意味では魔術師を訪ねるべきだったかもしれないがそういったリスクが存在した」  
「私の持っている情報はサーシャ並びミーシャの所持していたものを断片的に組み合わせたものである」  
「それらの情報の中で『私の持つ魔術的な価値』と無関係で、且つ『私がどういった存在か』を理解できる相手があなただけだった」  
 
つまり、魔術サイドでは存在自体が捕らえられる理由になってしまうから魔術師には会えない。  
しかし、訪ねるには自分がどんな存在かある程度わかる相手ではいけない。  
それらの条件を満たすのが上条当麻だけであったということだろうか。  
 
「ふーん。それで、学園都市にきた目的ってのの方はなんなんだ?」  
 
「回答二。『ミーシャ=クロイツェフ』とほぼ同じもの」  
 
「ミーシャと同じ…………」  
 
思い出すのは昼を夜に変え、地球の半分を焦土とする天使の術式。  
思い出すのは極点の氷を溶かそうとし、津波が起きそうになったロシアでの飛行。  
 
「まさか人類滅亡計画!?クソ、モグモグお菓子食べてたから油断したけどやっぱりおっかない天使ってk「否定二。それらは手段であって目的ではない」とかって、へ?」  
 
セリフに割り込まれ、予想外の返事が来たため間抜けな声をだす上条。  
魔術にも天使にも詳しくない上条にはわからないことだが、別に『ミーシャ=クロイツェフ』は夏の浜辺でもロシアでも人類を滅ぼすために行動していたのではない。  
ただ一つ。自身の存在そのものに関わる目的のために行動していた。  
 
その目的とは  
 
「私の目的は「天界へ帰還すること」」  
 
このたった一つの目的のために行動していた。  
 
「天界……ってどうやって帰るんだ?天使や天界との繋がりは無いって言ってなかったっけ?」  
 
「言った。なので次善策として間接的な帰還方法が妥当と思われる。学園都市へはその方法を探すために来た」  
 
次善策?と上条が首を傾げると、その耳に信じがたい発言が飛び込んでくる。  
 
 
 
「すなわち、消滅による「天使の力」への還元。それによる単純な「天使の力」としての循環による帰還」  
 
 
 
「消…滅…?」  
 
 
「そう。これならば繋がりのない私でもいつかは天界へと辿りつくだろう」  
 
 
「ふ……っざけんな!お前はそれでいいのかよ!」  
 
思わず立ち上がり怒鳴ってしまう上条。  
人事とはいえ、そんな自殺のようなを認められる性格ではない。  
 
「消えちまうんだぞ!『ミーシャ』と同じ目的っつっても別の存在なんだろ!?なんでそこまでして天界に戻ろうとするんだよ!」  
「『ミーシャ』が消えたあとに生まれたんなら生まれてから半月もしてないだろ。なら世界がどんなかだって碌に知らないはずだ」  
「この世界はいいことばっかりじゃない。天界は「天使の力」とやらになってまで行きたくなるほど素晴らしい所かもしれない」  
「それでも!お前自身が自分の目で見れば素晴らしいと思える場所だってあるかもしれない!!」  
「考えろよ。そして答えろ」  
 
「『ミーシャ』なんて関係なく、『お前自身』はどうしたいのかを!」  
「見もしない考えもしないででただ『ミーシャ』がそうだったからって自分もそうだって『幻想して(思って)』るなら」  
 
 
「そのふざけた幻想ぶち殺す!!」  
 
 
上条の強い思いのこもった言葉。  
 
 
それに対し彼女は  
 
 
「回答三。わからない」  
 
ペースを崩さずいたって淡々と返す。  
 
「わからないってお前…!」  
 
「あなたが言ったとおり私は構築されてから15日も経過していない」  
語調が変わらず  
「そしてその大半を移動に使用したため、世界というものもわからない」  
目は前髪で隠れているため表情もよくわからない  
「故に、私を構成している『ミーシャ』の要素でしか目的を設定することしかできない」  
けれども上条は、そんな彼女の言葉を聞いていくと  
「私には『ソレ』しかない」  
怒鳴り付けたばかりで、その内容を真っ向から否定するような内容なのに怒りもなくなり  
「だから」  
お菓子のお代りを求めるのと変わらない口調を  
 
「どうか、協力してほしい」  
寂しそうだ、と思ってしまった。  
 
 
 
「…………ハァー」  
 
力が抜けガックリと座り込む上条。  
そんな上条をミーシャは前髪で隠れていてもわかるほどにじっと見つめている。  
 
「消滅する、なんてことには協力できない」  
「けど、学園都市で過ごすってんならそれには協力してやるよ」  
 
「謝礼二。感謝する」  
 
「その代り、お前がこの世界で生きていきたいって思えることが見つかったら消滅するなんて考え直せよ?」  
 
「了承した」  
 
二人の協力関係が構築された瞬間である。  
 
「ところで、協力するって言っちゃったけど俺ができることなんて飯作ってやったりするくらいしかできないぞ?」  
 
「問題ない。この家を拠点として使用させてくれれば十分だ」  
「説明補足二。この街に来た理由には『魔術的方法以外で』私を消滅させ得る方法を探しにきたというのも存在する」  
 
「魔術的方法……『以外』?」  
 
「そう。少なくとも私が所持している情報で考えられる方法では、実行可能なものはない」  
「また、実行できたとしても確実性に欠けるものばかりだ」  
「恐らく法王級の防御を破壊できる威力の大規模術式であっても消滅にはいたらないだろう」  
 
「法王級より丈夫っつわれてもなぁ……。科学サイド(コッチ側)で例えることってできるか?」  
 
「予測一。サーシャの知識と照らし合わせると『ICBM』とやらの通常弾頭の直撃程度ならば問題ないと思われる」  
 
「……とんでもねぇなオイ」  
 
驚くどころか少し呆れてしまう。  
だが、その上条に対し更に驚く発言をする。  
 
「予測二。恐らくあなたの『幻想殺し』でも消滅しないだろう」  
 
「……なんだって?」  
 
正直なところ、魔術的な存在が「消滅したい」なんて言って上条のところに来たんだから右手が目的だと思っていた。  
だが、どうやら違うらしい。  
 
「実証一。右手を」  
 
そういって自分の右手を差し出してくる。実際に触って見せて証明するつもりらしい。  
 
「……」  
 
対して手を出せない上条。  
ひょっとしたら嘘で上条の右手に触れることで消滅しようとしているのではないかと思えてしまう。  
だが  
 
「繰り返す。右手を」  
 
手を伸ばし、上条を待っているミーシャ。  
上条が手を出すまで腕を下ろさないつもりなのだろうか。  
 
「……本当に消えたりしないんだろうな?」  
 
「予測なので確証はない。だがその可能性の方が圧倒的に高い」  
「その右手で消滅できそうならば、何も言わずに右手に触っている」  
 
それもそうだ。彼女はわざわざ上条に事情を説明までしている。  
右手で消滅できるのならば、彼女の言うとおり何も言わずに右手に触ればよかっただろう。  
 
「……わかったよ」  
 
そういっておずおずと右手を出す上条。  
そしてその手を握るミーシャ。  
 
 
二人が手を握った途端  
 
 
パキリッと  
 
「……!」  
「……ッ」  
 
薄氷に罅が入るような音と感触がした後  
 
「なんとも……ない、のか?」  
「大丈夫だ。問題ない」  
 
何も起きなかった  
 
 
「実証終了。『幻想殺し』では消滅しないことが確認できた」  
 
「あ、ああ。でもどうなってるんだ?」  
 
「解説二。私の体は「天使の力」で構成されている。そしてわずかではあるが『ミーシャ=クロイツェフ』の形質を保持している」  
「「偶像の理論」に基づき、私には常に一定量の「天使の力」が供給されるようにできている」  
「そして『サーシャ=クロイツェフ』の形質もあるため、通常の人間が蓄積できるより遥かに多くの「天使の力」を受け入れることが可能だ」  
「それによって私の体は「幻想殺し」によって破壊されても『壊れる端から修復される』ことで消滅することはない」  
 
「壊れる端からって……大丈夫じゃないだろ!」  
 
慌てて手を放す上条。だが、問題はなかったらしい。  
 
「理論としてはそうだが、私の感覚としては触られた瞬間の感覚以外は力が入らない、及び魔術の行使が不可能であろうこと以外は何とも無い」  
 
「……そうなのか」  
 
コクリと頷くミーシャ。  
 
「なので当分生活させてもらうと思われるが、不慮の接触などを気にする必要はない」  
 
「そうか。それじゃあ」  
 
再び手を差し出す上条。  
 
「どれくらいの付き合いになるかわからないけど、よろしくな」  
 
その手を握るミーシャ。  
 
「挨拶一。こちらからもよろしく」  
 
パキリ、という感覚と互いの手の感触と共に  
二人の共同生活が始まった。  
 
 
こうして  
 
上条当麻の家には銀髪白シスターと入れ替わるように  
金髪赤シスター(ハードSM装備)が居候することになったのだった。  
 
 

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