『6年後に同じ台詞が吐けるよォなら、抱いてやる』  
 
そう一方通行が言い捨ててから6年後のクリスマス・イブ。例年ならば9969体の『妹達』が、恋人である上条当麻と熱い一夜を感覚共有で過すために、そこで生まれた性的欲求が打ち止めにも多少ならず影響を与えて、  
その解消を求めて一方通行を頼ってくる、そんななんとも形容し難い日。  
ちなみに今年の上条当麻と『妹達』は『ドキ☆ミサカだらけのクリスマス! ミサカ1000人揃い踏み♪ ポロリもチラリもハラリもあるよ☆』というテーマで過ごすらしい  
――1000人の同じような顔の女性に囲まれて迫られて搾り取られるなど、ある意味恐怖でしかない。  
例年通り『死ぬなよ』のメッセージをつけて特製の栄養剤を一足早いクリスマスプレゼントとして彼の元に届けておいたが、それが少しでも救いになれば良いと一方通行は考える。  
だが今年はそれだけではない。ベッドの上にちょこんと座った打ち止めが、頬を染めて一方通行を見つめている。一方通行はぽりぽりと頭をかいた。  
 
「・・・オマエ、本当に良いンだな? 今更何言ったって後戻りできねェぞ? やっぱり無理とか駄目とか聞かねェからな?」  
 
「もう、ミサカを嘗めないで欲しいなってミサカはミサカは踏ん切りの悪いあなたを詰ってみたり」  
 
「・・・・・・何か一生オマエに勝てねェ気がするわ・・・」  
 
打ち止めの一世一代の告白に対し、正直に言って自分は恋愛感情がどういったものなのか解らない、と一方通行は吐露した。そもそも闇の底でずっと生きてきた彼にとって、  
 
『愛情』というものに類する感情にふれるようになった期間は短い。未熟な彼には『家族愛』『恋愛』『友愛』『親愛』といったものをカテゴリ分けすることができないのだ。  
それに、打ち止めの向けてくる恋愛感情と呼ばれるものの一般的なイメージに対して、自分が打ち止めに向ける感情はもっとどろどろして醜悪なものだと彼は自己分析していた。  
自分ではないもっとまともな人物と結ばれることを願いながらも、どうにも手放せない二律背反の思い。失いたくない、という感覚は、既に所有していると思っているからこそ生まれるものではなかろうか?   
随分と身勝手で一方的な、独占欲と庇護欲と認めたくはないが性欲とが醜く綯い交ぜになった、性質の悪すぎる執着。それが恐らく自分が彼女に向けている思いを形容するのに適当だ。  
故に、一方通行は打ち止めに向かって『恋愛感情が解らず、自分が抱けるかどうかも解らない以上、恋愛関係は無理だ』と返答した。  
 
ところがだ。少女はあっさりとそれを断つ。  
 
『恋愛感情がどういったものか解らないんだったら、これから知っていけば良いと思うのってミサカはミサカはあなたの解答を否定してみたり』  
 
『あと、ミサカはあなたを絶対に恋に落とさせてみせるんだからってミサカはミサカの宣戦布告』  
 
『それに』  
 
『このミサカは欲張りなの。もしかしたらあなたがミサカに抱いてるものは、『家族愛』なのかもしれない。でも、『恋愛』も『家族愛』も『親愛』も、あなたが他者に向ける『愛情』は全部欲しいってミサカはミサカは本心を口に出してみる。  
ううん。それどころか、どんなあなたでも『あなた』なら何でも欲しいのってミサカはミサカは意外に強欲だったり』  
 
『だから』  
 
『それくらい『好き』なの。そこまでの『好き』なの。ミサカがあなたを『大好き』だって気持ちを、甘く見ないで欲しいなってミサカはミサカは優しくて臆病なあなたに宣告してみたり』  
 
――結局、鮮やかに軽やかに彼の世界を変えていく彼女の強さに、彼はいつだって勝てないのだった。  
何度かの問答の末、負けた、と敗北を認めた一方通行に対し、それは返事としては不合格だよと文句を言った打ち止めが抱きついてきたところで、会話は冒頭に戻る。  
 
 
そのまま柔らかい唇に触れるだけの口付けを繰り返す。掻き抱くように背をまさぐる手付きが擽ったい。ふわふわとした高揚感が湧いてくる。  
と、「あ、」と一方通行が何かを思い出したかのような、不穏な声をあげる。口付けを中断して、「?」と首を傾げた打ち止めに、彼は言った。  
 
「悪ィ。やっぱ今日は無理だわ」  
 
盛り上がってきた雰囲気を一気に破壊する突然の宣告に、打ち止めは動揺する。このひとは何を言っている?  
 
「え? え? 何でってミサカはミサカは意味が解らないんだけど」  
 
「いや、だってゴムねェし」  
 
「・・・は?」  
 
「だからコンドームがねェっつってンだろ」  
 
さらりと告げられた事実に、彼女は信じられないものを見る目で一方通行を見た。自分以外に使われるのは許せることではないが、年頃の男子ならば一つくらい持っていてしかるべきなのではないだろうか(『妹達』談)。  
それにここまで積み上げてきた雰囲気をどうしてこうもムードもへったくれもなく粉微塵にできるのだろう。ありえない。鈍い。鈍すぎる。  
 
「ううううううバカっ! 何で何でっ! ってミサカはミサカはあなたを罵倒してみたりっ! ありえないいいいいいっ!!!」  
 
「ンなこと言われても仕方ねェだろォがよ・・・」  
 
一方通行のパジャマの胸元を掴んで詰め寄る打ち止めに、一方通行は所在無さ気に肩を竦める。まさかこんな急展開になるとは思っていなかったのだから仕方ない。ばかばかばかと罵られたところで、どうしようもないものはどうしようもないのだ。  
せめて好きなコンドームくらいは選ばせてやろう。そんな盛大にずれた決意を心中で固めつつ、一方通行はぽむぽむとアホ毛の揺れる少女の頭を撫でる。  
しかし打ち止めはそれでおさまるわけがない。一方通行のパジャマを握る手をふるふると震わせながら、じっと何かを溜めている。  
 
「そのうち買ってきてやっから、そのときだな」  
 
「・・・もん」  
 
「は?」  
 
「今日は安全日だからなくっても大丈夫だもんっ! ってミサカはミサカは主張してみる!」  
 
「オマエなァ・・・」  
 
「するったらするのってミサカはミサカはああああああっ!」  
 
がくがくとパジャマを掴まれた状態で揺すぶられながら、一方通行は「わかったから落ち着け!」と承諾の叫びをあげた。  
 
「脱がすぞ」  
 
そう一声かけて、一方通行は打ち止めのパジャマのボタンに手を掛ける。器用にボタンを外していく、男性にしては華奢な指先を見ていると、今更ながらに打ち止めの心中に羞恥心が兆してくる。  
一方通行の中にある良く解らない基準により、今まで服越しか服の中に手を入れる形でしか胸を愛撫されたことはないため、生の胸を曝すのは黄泉川家に居候を開始した日のお風呂場遭遇事件以来なのだ。  
緊張と衣擦れで既に先端がつんと凝り始めているのを感じて、打ち止めの頬は恥ずかしさで紅くなった。だが、デリカシーの欠片もない男は、そんな彼女の心内など推し量ることもせず、まろび出た双房をまじまじと見てぽつりと呟く。  
 
「・・・にしても育ったよな」  
 
「どどどどこみてコメントしてるのー?!ってミサカはミサカ叫んでみたりっ?!」  
 
「胸」  
 
「言う? 普通それ言うの?! ってミサカはみふにゃーっ!」  
 
乙女心を解ろうともしない一方通行の後頭部をぺしりと叩いたところ、バランスを崩した彼の顔が胸に押し付けられるかたちとなった。俗に言う『おっぱい枕』の状況に打ち止めは奇声をあげて顔を真っ赤にしながらばたばたと暴れる。  
擽るような呼気を感じて、肌が焼けるように熱かった。  
一方通行は特に反応もしないまま起き上がると、しゅるりと打ち止めの足をズボンから抜き取りつつ、呆れた様子で宥めにかかった。  
 
「今のは自業自得だろォ・・・」  
 
「でもでもっ! それにいつもの癖でせっかく可愛いブラも用意したのに着けてくるの忘れたし、ってミサカはミサカは自分の迂闊さにしょんぼりしてみる」  
 
「どォせ脱ぐンだし別に気にする必要ねェだろォが」  
 
「なんだってそうあなたはデリカシーがないの?!」  
 
「・・・――それとも」  
 
気にすることも出来なくさせてやろォか? と、吐息と共に耳元に低い声が注がれて、打ち止めの肌はぞわりと粟立った。つい、と耳朶をなぞる舌先の感触に、枕に八つ当たりしていた腕から力が抜ける。  
剥ぎ取られた打ち止めのパジャマは、いつの間にか脱いでいた一方通行の服とともにベッドの下に放り投げられた。  
胸元に這ってきた指先の感触に、打ち止めはびくりと反応する。彼の良く解らない基準の内とは言え、6年間一方通行に(何だかんだ言っても)開発されてきた身体は、処女の割りに酷く敏感なのだ。  
むにむにと手のひらにあまる乳房を揉みしだかれて、紅く染まった乳首を摘まれて、打ち止めは思わず声をあげる。薄い皮膚は刺激に殊更弱い。その上、  
 
「ひゃあ?! や、なに?」  
 
れろりと舐め上げられて、打ち止めの目元に涙が滲む。舐められたり、吸われたり、食まれたりといったことは今までされてこなかったため、初めてのぬるりとした温かい刺激に打ち止めの身体はびくびくと震えた。  
 
「やあ・・・っんんン」  
 
「オマエ、胸弱ェよな」  
 
打ち止めは胸に顔を埋めて舌先で乳首を転がしている一方通行の頭をぎゅっと抱えるようにしていたが、それが胸を押し付けている状態だということに気付けない。  
じう、と一際強く乳首を吸われて、漸く解放されるころには彼女の腰はすっかり砕けてしまっていた。  
 
ず、と腰を掴んで滑らせるようにしてシーツの上に転がすと、一方通行は打ち止めのすらりと白く伸びた足を抱えた。『大人っぽく、かつ可愛く!』をコンセプトに打ち止めが今日のために選んできたのは、ギンガムチェックのヒモパンである。  
はらりと片方の紐だけ解いていたすのが通だとかなんとか言うこともなく、オムツを替えるような要領でサイドの紐をしゅるりと解くと、一方通行は布切れと化した下着に手を掛ける。  
リボンの解ける音や、手の感触、リボンの滑る気配に小さく声をあげていた打ち止めは、真っ赤になった顔を手のひらで覆った。  
既に下着の色を変えるほど溢れた愛液が、遮るものをなくしてぽたぽたと伝う。濡れた秘部と布地との間には、粘性の銀糸がかかっていた。  
 
「ここまで濡れると下着の意味あンのか?」  
 
「・・・濡らしたの、あなたでしょ、ってミサカはミサカはぶーたれてみっ?!」  
 
突然一番敏感な場所に突然指を当てられて、なおかつベクトル操作で快感を増幅させられて、打ち止めの身体はぴんと仰け反り、そして弛緩した。  
 
「なにすっ・・・んん〜〜〜っ」  
 
抵抗しては、ベクトル操作。  
 
「やめっ、やらぁっ、よぉ・・・」  
 
口答えしては、ベクトル操作。  
 
「ひどっ、ぅくううん」  
 
暴れては、ベクトル操作。  
 
(あ、ちょっと面白ェかも)  
 
くちゅり、と秘唇を割って白い指に愛液を絡ませるようにして桃色の小さな花芯をでなぶりながら、一方通行はいまいち学習しない少女を観察する。  
その傍らの打ち止めの瞳からはぽろぽろと涙が零れた。小さく達することも回数が重なればしんどいだけだ。大きく息を吐くたびに、豊かな胸がたぷたぷ揺れる。  
 
「・・・・・・ぜったぃ、あそんれる」  
 
じっとりと恨みがましい視線を向けられて、微妙に詰まった一方通行は、涙で頬に張り付いた髪を直しながら、言い訳がましく説明する。  
 
「・・・・・・睨むな。いろいろと慣らさなきゃなンねェンだよ・・・指、挿入れるぞ」  
 
泥濘の最奥、ひくつく膣孔にずるりと指を滑らせて、つぷり、と沈めて行く。ぬるぬるとした愛液のお陰で楽に入ったのは第一関節までで、その先はきつくて狭くて熱い。男性としては細目の一方通行の指だが、ぎちぎちと締め付けてくる。  
 
「きつい。力抜け」  
 
「む、むり・・・っ、むりらよぉ、ってミサ、あ、ぃたひ、」  
 
体内に何かが侵入してくる、という不安感と異物感は、打ち止めにとって未知の経験だ。それに無理矢理押し広げられる感覚は、快感ではなく痛みの方が強い。  
 
「じゃあベクトル弄るから――」  
 
「だめっ」  
 
大きく息を吐いて少しでも身体の感覚を慣らそうとしながら、きょとりとした様子の一方通行に向かって打ち止めはふるふると首を振る。  
 
「は、・・・じめて、は、『いたい』ってかんかく、とか、も、・・・らいじ、だと、ぉもうの、」  
 
「・・・・・・・・・」  
 
打ち止めの告白にちょっぴり、いやかなりきゅんとした一方通行だが。  
 
「・・・・・・マゾ?」  
 
思わず口から出た言葉は、相変わらずデリカシーのない言葉で。  
 
「・・・・・・あなたはああああっ」  
 
打ち止めに枕を投げつけられたのは、ある意味当然といえる。  
 
 
その後何とか宥めつつ指二本分おさめられるまでに解しはしたが、これ以上は彼の方がもたなかった。  
 
「挿入れるぞ」  
 
「う、うん」  
 
二度三度入り口を滑らせてから、ぬ、と身体を割って行く。充分濡れているものの、かなりきつい体内は、侵入してくるものに絡みつきぎちぎちと締め付ける。  
 
「――っ!」  
 
指とは違った圧倒的な質量に、打ち止めは声にならない悲鳴を上げる。必死になって一方通行にしがみ付きながら、何とか紛らわそうとするがそう簡単にいかないらしい。  
 
「大丈夫か? 無理ならやめるぞ?」  
 
「やるっ!」  
 
気遣わしげに耳元で問うてくる彼に対し、進める意志だけははっきりと伝えるが、目の縁からはぽろぽろと涙を零し続けている。  
慰めるように頭を撫でて、涙に濡れた頬をぺろりと舐めつつ、一方通行は彼女の荒い呼吸と悲鳴のような嬌声に合わせて腰を進める。  
喉元までせりあがってくるような異物感と、強引ににちにちと肉を割られる痛みに慣れようと努めながら、打ち止めはぼんやりと考える。  
――確かに『初めては大好きな人』じゃないと無理だ。こんなに痛くて切ないのは、好きな人とでなれば堪えられない。  
普段なら、既にほぼ十全に回復した能力により汗をかく、ということのない一方通行の身体が汗ばんでいるのを感じて、彼も彼女同様に切羽詰った状態であるらしいことを打ち止めは理解する。  
 
「・・・挿入った」  
 
一方通行は大きく息を吐いた。挿入れるだけでも意外に大変だったのだから、挿入れられる方は余計に辛いに違いない。  
 
「大丈夫か?」  
 
「・・・うん」  
 
ぼろぼろと涙を流しながら、少女は笑った。痛みよりも漸く彼を受け入れることができたことが、素直に、単純に嬉しかったから。猫の仔が懐くようにぺたりと頬を寄せて、打ち止めはひどく幸せそうに笑う。  
その笑顔に、一方通行は胸を突かれた。相当にしんどくて、結合を解けば破瓜の血が流れてくるような状況なのに、笑って受け入れてしまえるのがこの少女の強さなのだ。  
 
その包容力に自分はずっと魅かれてていた。  
その笑顔を自分はずっと大切に思っていた。  
その強さに自分は憧れずっと守りたかった。  
そしてその少女のことを、自分はずっと愛おしいと思ってきたのだ。  
 
その感情に、もし名前をつけるとしたならば。  
 
(・・・ずっと惚れていたのかもしンねェ)  
 
ぎゅ、と一方通行は、打ち止めの華奢な身体を強く抱きすくめる。  
 
 
「            」  
 
 
不器用な彼の、不器用な好意を伝える言葉に、打ち止めは一瞬目を丸くした後で、すぐにふわりと微笑んだ。  
 
 
打ち止めが少し慣れてきた頃を見計らって、一方通行が動き出す。まだ中は痛みの方が強いけれど、そればかりではない不思議な感覚も兆していた。  
四肢を絡ませあうようにしてぎゅうぎゅうと抱き締めあっているせいで、打ち止めの大き目の胸は押し潰されたようになってしまっているけれど、肌が触れているだけでキモチイイからそんなことは気にならなかった。  
唾液を交換するような口付けを交す。荒い息と嬌声と肉のぶつかり合う音と粘膜の触れ合う音入り混じって、部屋の中に響いている。  
 
沸点を越えた思考はゆるゆると解けてしまっていたが、それでも一方通行は最後の理性を失わなかった。さすがに避妊をしていない状況で膣内に射精すのは避けるべきだと判断して、  
抜こうとするが、喰らうように絡みついて締め上げてくるので上手くいかない。  
 
「っ、力抜け、」  
 
「むり、ひゃ・・・ンぅ、ぃたっ・・・て、みひゃ、」  
 
ばたばたと暴れられるせいで、余計に抜くことが難しくなる。それでも強引に抜き取ろうとした。だが、その動作が逆に打ち止めの中のポイントを刺激してしまったらしい。  
 
「ひっ、やぁぁああぁああぁぁあっ」  
「―――っ、」  
 
絶頂による強烈な締め付けに負けて、結局彼は射精すもの全てを彼女の中に吐き出してしまったのだった。  
 
 
ぐしゃぐしゃになったシーツでおざなりに体液を拭い取ると、二人はくるりと毛布に包まった。正直、疲れすぎていて風呂場に向かう気力も体力もない。  
とりあえず面倒なことは全部明日に回して、寝る。そう決めて、一方通行は眠る体勢に入る。何か思考することも億劫だった。  
 
「あの・・・」  
 
もぞり、と打ち止めが一方通行の腕の中で小さく身じろいだ。そしておずおずと躊躇いがちな様子で、言葉を絞り出す。  
 
「・・・ごめんさい。本当は、安全日かどうかよくわかんないのってミサカはミサカは謝罪してみたり」  
 
一応は避妊を気にかけていてくれた彼に対し、逃げられたくない、という意識が働いて思わず口に出してしまった発言を思い返し、打ち止めは申し訳ない気分になった。今更のようにわいてきた罪悪感で一方通行と顔を合わせられない。  
そんな彼女の頭をぐしゃりと撫でて、一方通行は「気にするな」と言い放つ。  
 
「俺だって同罪だろォが。それに――」  
 
 
「――ガキができたら責任取ってオマエを嫁にできると思ったし」  
 
 
さらりと、言われた一言に。打ち止めは大きな目を丸くして、そしてふにゃりと顔をほころばせた。  
 
「・・・・・・ばか、」  
 
打ち止めは顔をあげると一方通行の首に腕を回して抱きついた。  
 
「やっぱりあなたはデリカシーがないのねってミサカはミサカは女の子としてそのプロポーズは不合格だと言ってみたり」  
 
彼女に良く似合う満面の笑顔を浮かべると、彼女は愛しい愛しい彼に宣告する。  
 
 
「――だからミサカは、ミサカへのプロポーズをやり直すことをあなたに求めてみる!」  
 
 
おわり。  
 
 
 

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