放課後。青髪ピアスは、怖い顔をした吹寄制理に捕まって――、  
「うおわッ!?」  
 誰も居ない視聴覚室に押し込まれ、更にドンと背中を押されて危うく転びそうになるのを椅子にしがみ付いた。  
「ナニ吹寄サン怖い顔してどうしたのん? こんな人気の無い場所にボクを連れ込ん……ハッ!? まさか告白……。そやそや、このシチュエーションはどう考えても……」  
 驚いていた顔が見る間にしたり顔に変わり、うんうん頷きながら立ち上がったかと思うとひとつ咳払いをしてから長い両腕を左右に広げた。  
「何のつもり?」  
「さあボクの胸に飛び込んでおいでぇな」  
「何であたしが? 嫌よそんなの」  
「へ? あ、いや吹寄サンはボクに愛の告白……」  
「その話じゃない!」  
「ひっ!?」  
 吹寄にキッと睨み付けられた青髪ピアスは、腰を抜かしたかの様に椅子に座り込む。  
 とそんな青髪ピアスを見下ろす様にして吹寄は前に立ちはだかると、  
「授業中、あたしの事じろじろ見てたわね」  
「いやアレは吹寄サンがこっち見るから……」  
 言い返そうとした青髪ピアスだったが、ひと睨みされる自分で自分の口を塞ぐ。  
 と、腕組みした吹寄は、  
「昨日」  
「え?」  
「昨日の事であたしを脅す積もりなんでしょ?」  
「は、何を言(ゆ)うてるのかボクにはさっぱり……昨日って言うたら吹寄サンがカミやんの席に座って……」  
 その先に何があったのか、それを思い出そうと視線を宙に彷徨わせていると、隣でパサッと衣擦れを想わせる音。それにはたと気付いてそちらを振り替えれば……、  
「ん?」  
「ふ、吹寄サンっ!?」  
「何よ? あたしの身体が望みなんでしょ?」  
 早くも下着とソックスだけの姿の吹寄がブラのホックを外しながら事も無げにとんでもない事を口にした。  
「い、いや! 待ってぇな吹寄サン! ボボ、ボクはそそ、そないな事ひとっつも言って……」  
 青髪ピアスは慌てて逃げようとするが、そんな彼の二の腕を吹寄の意外に力強い手ががっちりと掴むと、  
「約束してもらうわ。クラスの皆にはこの事は秘密。特にあの馬鹿……上条当麻にだけは絶対に話しては駄目よ」  
「わ、判った……。判ったからふ、服を着ましょうよ、ねっ」  
 大量の冷や汗で背中を冷たくしながらも助かりたい一心で説得を試みた青髪ピアスだったのだが、  
「あら駄目よ」  
 吹寄の一言に青髪ピアスはギョッと顔を青くして、  
「そ、そんな姫神サンと同じ様な事言わんと」  
「姫神さん?」  
 聞き返されて慌てて口を手で塞ぐ青髪ピアスに、吹寄は目を細めたて、  
「まあ喋りたく無いならいいわ」  
 その言葉に青髪ピアスがホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、  
「直接身体に聞いてあげるから」  
「何で!?」  
「クラス皆がわだかまり無く楽しく学校生活を送るためよ」  
 そう言うと脱ぎ捨てた服の内ポケットから小さな瓶を取り出して、そのキャップを捻って外すと中身を一気にあおったのだ。  
「な……何飲んではるんでしょうか……?」  
「ぷは、ただの栄養ドリンクだから気にしないで。じゃあ始めましょうか? その『姫神さん』と同じように……」  
 
 
 吹寄は立って、青髪ピアスは椅子に座って、2人とも生まれたままの姿で向かい合っていた。  
 そして、吹寄は何時ものポーズ――大きな胸を支えるように腕組みをする――で、  
「さて、どこから始めま……って何をしてるの?」  
 大事なところを隠してもじもじと足をすり合わせる青髪ピアスを見咎めて少し声を尖らせる。  
「いやちょ……なあ、マジで止めへん?」  
「何を今更」  
「今更……かなぁ……」  
「今更よ。い、ま、さ、ら」  
 吹寄に呆れたように言われた青髪ピアスは「うっ」と言葉に詰まってしまう。  
 とそこに畳み掛けるように「さあ、あたしに何を、どうしたいか言って」と詰め寄られて、  
「や……どうしたい言われたかてボクは別に……」  
 青髪ピアスは言葉よりも、ツンと突き出たピンクの先端に目のやり場に困って下を向いた。  
 そんな煮え切らない彼に吹寄は眉間に深いしわを刻むと、  
「ハイ! 先ずはこっちを見る!」  
「は!? いっ!」  
 バチンと両頬を挟まれて無理矢理上向かされれば目の前には先程の突起が2つ。  
「さあ、揉みなさい。思う存分もみくちゃにして弄ぶように!」  
 と言われてもびっくりするやら恥ずかしいやらで声も出ない。  
 すると、  
「!?」  
 頭の後に吹寄の手が触れた。そして次の瞬間には柔らかい谷間に顔を埋めていた。  
 暫く何かよく判らないままその柔らかさを堪能した青髪ピアスだったが、  
「わッ!!」  
 我に返って慌てて顔を引き剥がそうとしたが、思いの外吹寄の手ががっちりと頭を抱いていて逃げられない。  
「逃げるな! そして男がぐずぐずしない!」  
「せ、せやかて急にこない……」  
「あなた据え膳て言葉を知らない……あ!?」  
 吹寄の苛立ちの声が急に驚きに変わり、青髪ピアスは思わず「え、ナニ?」と聞き返す。  
 と、唐突に頭の戒めが解かれた。  
(は、吹寄サン諦めてくれた……)  
 そう安堵したのも束の間であった。  
「何だ。ちゃんと反応しているじゃないの」  
「へ?」  
 吹寄の声――しかも下から聞えてきたそれに視線を下ろして行くと、そこには自分のいきり立ったモノをまじまじ眺める彼女の姿。  
「ふ、ふきっ!?」  
「これ、痛くないの?」  
 余りの驚きに吃ってまともに声も出ない所に、さらに追い打ちの質問がてらの先端へのタッチ。  
「ひ、あ」  
「あら? 糸引いた」  
 ピクピクと震えるそれと吹寄の指先との間に透明な懸け橋が渡るのを見て、青髪ピアスは、「だ、だめやて」と慌ててそこを隠そうとしたのだが、「だめ」とそれの根元を握り締められて凍り付いた。  
「や、止めてな……なぁ」  
「うふふふ、何? 何を止めて欲しいのかしら?」  
 普段の吹寄らしからぬ悪戯っぽい笑みで聞き返されて、青髪ピアスの心はグラグラと揺れ動く。  
「だ、だからボクの……それを……」  
「しごいて欲しい」  
 違う、と否定する間も無くしゅっしゅっとしごかれて、  
「な、ん、で……」  
 腰を折り曲げて堪える青髪ピアスを無言で責め立てる吹寄の顔には明らかに興奮の色が浮かんでいた。  
 

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