第一七七支部の一室で白井さんと二人で書類と格闘していた。  
でも、白井さんは口を開けば二言目には『お姉様』。御坂さんには私だって憧れます。ですけど、ここにいるのは誰ですか?  
「白井さん」  
私は口を開く。後ろ手に持った水筒の中身を使う事がなければ良いのにと思いながら。  
「何ですの?」  
白井さんは振り向いて呼びかけに応じる。  
「白井さんは本当に、『お姉様』が大好きなんですね?」  
お姉様と言った辺りで言葉が固くなる。でも白井さんはそれに気づかない。  
「当たり前ですの、何を今更」  
私は御坂さんを『お姉様』と呼ばない。そんな違和感も感じられない位『お姉様』に酔っている。やっぱり、駄目みたい。  
私は水筒の中身を口に含むと、白井さんに口付けた。白井さんの喉を液体が流れる音がいやらしく感じた。  
「な、何を飲ませましたの?」  
混乱気味の白井さんに何と言おうか少し悩んだ。  
「最近のパソコン部品って色々あるんですね」  
言いながら、白井さんの手に手錠をかけた。流石に支給品をこんな事に使ったらマズそうなので通販で手に入れた安物だ。  
「いくら私でも白井さんと無理矢理したいとは思いません」  
言い終わるともう一度キスをした。白井さんの目が像を結んでいるか怪しくなる。  
「ですから、して欲しかったら言って下さいね?」  
言ってから、軽く自己嫌悪。こんな冷たい声を出せるとは思わなかった。  
ため息をこらえて書類へ向かおうとすると、衝撃を感じた。  
慌てて状況を確認すると、白井さんに押し倒されていた。確かにはめたはずの手錠はなぜか私の手首に。  
「これ位で能力が使えなくなると思ったら大間違いですのよ」  
白井さんはそう言いながら、私の水筒に手をかける。先ほどとは違い、視線は一点を捉えていた。  
「やっぱり初春の小さな口では三分の一が限界のようですわね」  
蓋を開けて指を入れる。それと同時に私の喉に液体が流れる感覚。  
「さあ、初春? 覚悟は宜しくて?」  
乾いた笑いが零れそうになった。でも、堪えた。これは罰だから。  
だから、このまま放置されようとも、  
「めちゃくちゃにして差し上げますわ。私のかわいい初春」  
はは、きっと狂わされちゃいますね。でも、私の白井さんが帰ってきました。  
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  
白井さんは私が寝てると思って呟いたみたいですが、きちんと聞こえてますよ。  
「お姉様もこれ位素直なら幸せですのに」という呟き、それが冷たく私の心に突き刺さった。  
やっぱり、分からせないと駄目何ですね。  
でも、今は、今だけは白井さんの体温を感じていたいので何も言いません。  
 
 
 
白井さんを私の部屋にお呼びしてお茶会。御坂さんを呼ぼうとしていたみたいですけど用事があるそうで助かりました。  
「それにしても、初春と2人っきりですとつまりませんわ」  
……直ぐに退屈なんてしないようになりますよ。  
 
 
「初春、あなた……一服盛りましたわね」  
ええ、この間は即効性のもので失敗したので、わりかしゆっくり目のやつです。  
「はい。なんでだか、分かりますか?」  
せめて、答えてくれれば少しは手加減するんですけど、  
「はて?」  
やっぱりですよね。白井さんがそうなのは分かってます。  
「今日は、手加減しませんからね?」  
そう言いながら、手錠をかける。前回の失敗を考え、支給品です。  
「ちょっと初春! これは洒落になりませんのよ」  
ええ、分かってますよ。ですけど、そうでもしなくちゃ白井さんはいつまでたっても『お姉様』ですよね。私なんて、便利なもの位にしか見てくれませんよね。  
「それくらいで驚かれたら困りますよ」  
冷凍庫から男の人のモノを模した氷塊を取り出す。  
それを見ると白井さんの表情が少し固くなる。でも直ぐに普段の調子に戻る。  
「大方、佐天さんにでもバイブを借りて型を取ったのでしょうけど、直ぐに溶けておしまいですわ」  
あ〜あ、白井さんどこまで私を本気にさせれば気が済むのでしょうね。もしかして、天性の素質でもあるんですかね。  
「ええ、それじゃあ溶けるまでお付き合い下さいね?」  
教えたはずなのに、私の能力をすっかり忘れてます。  
冷蔵庫から練乳みたいなローションを取り出すと、氷塊にかけた。流石にこれ無しだと痛いだけでしょうし。  
白井さんも微妙にほっとしたような表情です。  
それを白井さんの中に入れる。パソコン部品のおかげもあってか割とすんなり入った。まあ、さほど大きくないせいもあるんですけどね。  
一応、佐天さんのコレクションの中では一番大きいので型を取ったんですけど、ライトな趣味らしくて通販で見かけるのと比べるとかなり見劣りします。  
くぐもった声で快感を堪える白井さん。目線を落とした白井さんの表情が変わる。  
「なん、で? まったく溶けていませんの?」  
うん、いつになったら思い出してくれるんでしょうね。狂う前だと良いんですけど。  
 
 
流石に二時間も攻められて、息も絶え絶えな白井さん。でも、最後までまったく思い出してくれませんでした。  
初めに盛ったパソコン部品の効果も切れそうですし、そろそろ私も疲れました。  
なので、右手に持った氷塊を白井さんの中にすっぽりと収めるとその上から私の下着をはかせました。白井さんのだと、暴れたら途中で抜けちゃいそうですし。  
「では、最後にお楽しみ下さいね?」  
私が満面の笑顔を浮かべるのと同時に白井さんの顔が歪み、声にならない声を上げる。  
実は氷塊の材料は水なんかじゃなくて、とっても強いパソコン部品に刺激物(スパイス)を入れた特製カクテル。  
でも本当ならこんな氷じゃなくて、私の心を溶かしたかったんですけどね。分かってくれるはず、ありませんよね。  
 
 
 
 

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