※微グロ鬱、ノンエロ、超展開に付きスルー推奨の事  
 
 
 
 
 
 
 そこには暗い表情を浮かべた女達がいた。  
 その数はざっと見ても数千……いや、明らかに万を超えている。  
 学校の制服、修道服、カジュアルな服装からフォーマルなドレス姿まで。  
 年齢も肌の色も髪の色も瞳の色も国籍も違う――ただ女性と言う共通点だけを持った集団。  
 それがひとつのベッドを中心にして円を描く様に立ち立ち尽くしている。  
 そして、そんな者達の全ての手には小さな袋が恭しく載せられていた。  
「これでとうまは皆のモノになったんだよ」  
 そう言ってインデックスは小さな袋に頬ずりをしながら囁く。  
 そんな少女の肩に手を乗せて微笑む神裂火織のウエスタンベルトにも同じ小さな袋がくくり付けられている。  
「もうコイツとは喧嘩も出来なくなっちゃったけど……いつも一緒なら要らない心配しなくてせいせいするわ」  
 御坂美琴は冷たく言い放ったが、小さな袋に向けられた視線は何処か寂しそうだった。  
 そして他の者達も、思い思いの言葉や動作で小さな袋に何かを伝えようとしている。  
 とそんな時、  
「駄目ですシスター・アンジェレネ!?」  
 修道服姿の一段の中からルチアの金切り声が上がる。  
 見ればルチアの腕に抱えられたアンジェレネがジタバタと手足を振りまわしていた。  
 それだけなら何時も通りだが、何故か彼女の口からは赤黒い液体が滴っているのだ。  
「出しなさいシスター・アンジェレネ!! それを食べてはいけません!!」  
 なおも叫ぶルチアに対して、アンジェレネはただただ嫌々と首を振る。  
 と、人の間を縫う様に影が走った――と次の瞬間、  
「ぐふっ!?」  
 アンジェレネの苦悶の声と共に床の上に何かが吐き出される。  
「シ、シスター・アニェーゼ!?」  
 気を失ってぐったりとしたアンジェレネを抱えたルチアが驚きの声を上げる目の前で、アニェーゼは腰に手を当ててやれやれと溜息を吐く。  
「何をやってるんですかシスター・アンジェレネ? こんな大事なもんを食っちまおうとするなんて……ま、判らねえでも無いですが」  
 そして、彼女はアンジェレネが吐きだしたモノを拾い上げようとした。  
 だがその時、  
「は?」  
 アニェーゼが指先でそれに触れるその前に、赤黒いその物体は見る見ると色あせ、朽ち果てて行く。  
 その事に言葉を発せずに固まっていると、  
「あれ!!」  
 その叫びにアニェーゼ――その他大勢はインデックスの指さす方向を見た。  
 
 その先――先ほどのベッドの上の空間が歪み、ねじくれて、何かが凝り固まって、まるで陽炎の様に揺らめいていた。  
「これは!?」  
 神裂が驚きの声と共に刀の柄に手を掛けた。  
 そして一様に固唾を飲んで見守る中、陽炎はやがて厚みを、そして最初は無地のキャンパスにも似たそれは本来の色を取り戻し、そして――、  
「悪い。「また」帰って来た」  
 ベッドの上に上条当麻は居た。  
 まるで初めからそこに居たかの様に。  
 しかも何時も通りの学生服姿で。  
「と、うま?」  
 油の切れた機械の様にぎこちなく首を傾げたインデックスに、上条は「ただいま」と言ってから小さく微笑んだ。  
 そんな少年の腕にはお姫様だっこをされた吹寄制理の姿が有った。  
 上条は吹寄を脚元のベッドにそっと下ろすと、居場所の無くなった自分はベッドから飛び降りる。  
「ったく……ちょっと「約束」違えた位で刺しやがって……お前を探すのに苦労したんだぞ?」  
 そう愚痴りながら眠ったままの吹寄のおでこをそっと撫でた。  
「何で?」  
 そんな背中にインデックスの冷たい声が突き刺さる。  
「そう。吹寄さんが君を殺した。だから「制裁」を受けたのに」  
 そう呟く姫神秋沙の声も何処か凍てつく様に冷ややかだ。  
 そんな言葉に上条は――、  
「あのなあ」  
 と、そこで大きくため息を吐く。  
「殺したとか死んだとか、そんな事はどうでもいい事なんだよ。それよりお前等は吹寄に何をしやがった?」  
 その言葉に誰もが唇を噛む。  
「よってたかって暴力を振るいやがって……」  
「だって……だって上条さんをこの子が……」  
「だってじゃ無えんだよッ!!!」  
 何か言い訳をしようとしたのであろう五和は、上条の怒りをもろに受けて尻もちを突くとずりずりと後ずさった。  
 だが、  
「あきらめないんだよ!」  
 上条が気が付くと、無表情のままのインデックスがこちらを見ている。  
「そうです上条当麻」  
 そう言った神裂は抜刀の構えを取る。  
「もう決めたのに……アンタがそうやって何度でも甦るんなら……何度でも同じ事をするだけよ」  
 そう静かに言い放った美琴の前髪がふわりと持ち上がると、淡い光を放ちながらその身に電撃を纏わせた。  
 気が付けば思い思いに構えを取る女達。  
 その思いが風を呼んだのか、上条の上着の裾を少なからずはためかせた。  
 だがそんな中にあって、上条は何故か不敵な笑みを浮かべていた。  
 この中の何人かはその笑みに何かを思い出して背筋と、もっと奥深い所にざわっとした感触を味わう。  
 そして、  
「そうか……ならやってみろよ……だけどな……、だけど、俺はその度に……お前等の幻想をブチ殺してやる!!」  
 
 
 

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