結局、あの後抜けなかったせいで救急車を呼ぶ羽目になり、行き着いた先は滝壺のいる病院だった。
運悪く窓から滝壺の姿が見えちまった。目まで合った。絶対零度もかくやって感じの目をされた。動けるようになって直ぐに申し開きしようと、滝壺の病室に行ったが居なかった。遅かったらしい。
まあ、治療以上にお説教が長かったせいだ。俺に落ち度は無い、はずだ。
ちなみに絹旗はカウンセリングを受けさせられているため、まだかかるらしい。あいつには必要ないと思うけどな。
そんなわけで、絹旗の買ってきたものを持って病院内をさ迷っている訳だ。シュールだろ。
必要なところ(滝壺の病室と精々で売店)しか頭に入っていなかったせいで、マジで迷っている。
案内板でも探さないとな……、って滝壺居た! 窓辺で空を見上げる後ろ姿、間違いない。
「滝壺! さっきはごめん」
振り向いてすらくれない。当たり前か。
「俺に出来る事なら何でもする。だから……」
目の前の滝壺が振り向く、いや訂正しよう。
「私に話しかけてるの?」
滝壺じゃなかった。良く見れば胸の膨らみが慎ましかったり、なんとなく小柄な気もする。そもそも滝壺愛用のジャージ姿じゃない。
「いや、あの……」
気まずい。人違いですと言ってしまえれば楽だが、その言葉が出てこない。
仕方ないだろ。俺は滝壺が怒っているとばかり思ってたんだぞ。いきなり切り替えろというのは無理だ。
「悩み事なの?」
俺が悩んでいるのは果たして何なのか分からない。
てか、何で初対面の相手にそんなこと聞かれてるんだ。
「誰かに話した方がすっきりするの」
そうかもな、「誰に」はともかく相談したいのは事実だ。ただ、スキルアウト時代の知り合いは袋叩きに合うから駄目。絹旗や滝壺は今回は当事者。
誰に相談しろって、言うんだよ!
そう思ったら、つい口が滑っちまった。「なあ、聞いてくれるか」ってな。
彼女の病室に来ている。彼女が、人に聞かれないようにと気づかってくれたんだ。
実際、相談してみて良かった。俺は自分じゃ気づかなかったが、いかに誤魔化すか考えてたみたいだ。
「役にたてたの?」
と聞かれたが、オーバーリアクション気味に頷く程度にはそうだ。
「こんな相談、初めてだったから上手くアドバイス出来たか不安なの」
それはすまない事をしたと思う。妙なテンションに流されて、赤裸々に話しちまったからな。
病院に搬送された時の話なんて、彼女顔を真っ赤にしてたしな。
「いや、十分過ぎる位だ。何かお礼をさせてくれ!」
いや、マジで絹旗のせいで色々と忘れかけてたが、年下っぽい女の子にこんな相談しちまった俺ってどうなのよ。
「別にいいの」
いや、むしろお礼させて下さい。しないと目覚めが悪すぎる。
俺がマジで何か受け取って欲しそうな態度だったのか、彼女は申し訳なさそうに目を伏せると俺の持っていた袋を指差して、「じゃあ、それが欲しいの」と言ってくれた。
「こんな訳の分からないものじゃなくて、もっと良いの買ってやるから」
彼女は首を振って、「初めて見るから気になるの」と応えた。まあ、絹旗には怒られるかもしれないけど、その位の事を気にする程小さな問題ではない。
「ああ、こんなので良ければいくらでもやるよ」
そう言って袋ごと差し出す。彼女はそれを受け取ると見覚えのある小さなペットボトルの封を開けて口を付けた。
「おいしい、の」
微妙に間があった。いや分かってる。別にマズくはないが微妙なんだ。ネタにもマジにもならない位。
「や、無理しなくていいぞ」
別に飲み切る必要もないし、と思ったが彼女は悪いと思ったのかごくごくと急いで空にした。
「そんなことないの、とっても珍しい味でおいしいの」
それ、誉めてないと突っ込みたい思いを抑えて、部屋を出るタイミングを図る。
長居したら何かグダグダになりそうな気がしてきたしな。
別れを告げようと、彼女を見ると顔が赤く呼吸は速かった。
良く考えたら彼女の病室があるって事は何かの病気なんだよな。それなのに、あんなわけ分からないものを飲ませて大丈夫なのだろうか。
「おい、大丈夫か? ナースコールはどこだ?」
慌てて探そうとする俺の手は彼女に掴まれて、そのまま胸に当てられた。
「おかしいの、とってもドキドキするの」
彼女の鼓動が布越しに伝わってくる。壊れてしまわないか不安になるほど、速い。
「あなたもドキドキしてるの?」
仕方ないだろ、女の子の胸に触った事なんぞ二回目だ。
彼女に手を引かれ、ベッドに倒れ込む。唇と唇が軽く触れる。
「わ、悪」いと言えずに唇を塞がれる。舌を絡めてくるような事はないのかと、安心したところでそれをされた。
淫靡な音が静かな部屋を満たす。それを聞いてるだけで息子がスタンバイしそうだ。
「良いの」
何がだ、という言葉はいらなかった。何となく、それが何を意味しているか感じてしまったから。
「待て、流石に洒落にならん」
必死に理性を稼働させて、本能を抑える。
「でも、苦しそうなの」
下半身が微妙に主張してた。てか、本能をイマイチ抑えられてない。
彼女は俺のズボンのチャックに手をかけた。そして、外気に触れた俺の息子を見て一言。
「かわいいの」
と言われた、割と凹むぞ。というか、そもそもまだ全開じゃなくてねえ。
「や、完全に起ってないだけだからな。そのサイズが最大じゃないぞ」
って俺は何を口走ってる。かわいいと言われた時点で萎えさせればベストだろ。
「なら大きくするにはどうしたら良いの?」
考えるな。フェラして欲しいとか頭に浮かべるな。それだけで息子が臨戦態勢になりかねん。
「ふぇら、って何なの?」
無垢な表情で疑問を口にした彼女にそれを教えたくなる。なんつーか、妙な加虐心をそそられる。それこそ、その口に一物をぶち込んで抜き差ししたい位に。
って、それじゃイマラチオじゃねえか。フェラってのは、女の方から銜えるもんだろ。
って、何でコイツは考えた途端に俺の息子を口に含むんだよ。
ただ、そこで止まったのは僥倖だ。このまま、舐められてたら、そう思った瞬間に舌を使われ始めた。
何で上手いんだよ。俺が感じるところを重点的に攻めてきやがる。くそ、このままだとイッちまう。
遂に耐えられなくなり、彼女の口内に欲望をぶちまけちまった。
彼女はそれを飲み込んで、笑顔を作り、言葉を紡いだ。
「変わった味でとってもおいしいの」
いや、絶対マズいだろ。そうツッコミたかったが、表情とあいまって扇情的な彼女の顔を直視出来ず、目を背けるのが先だった。
「まだ、元気なの」
ああ、その通りだよ。俺の息子は反抗期らしく、ちっともいうことを聞いてくれない。
「続き、するの」
や、待て。俺の息子だけ臨戦態勢でもマズいだろ。その、前戯とか必要だよな。
彼女の手が俺の手に添えられ、胸へと誘導される。
「じゃあ……続き、して欲しいの」
そこまで言われて、我慢出来る男がいるか? いる訳がない。そんな紳士は幻想だ。
俺は彼女の上着を捲り上げるとかわいらしいブラの下にある突起に触れた。彼女の体が弓なりに反れる。
「感じやすいんだな」
良いながら片方の胸に口付ける。溶かすように舐めると彼女の顔が真っ赤に染まる。それが羞恥なのか高揚なのか、俺には分からない。
ただ、それをかわいいと思っていることだけは分かる。
舐めるだけでなく、時折吸ったりするとそのたびにびくびくと反応が返ってくる。
ふと、悪戯心に目覚めた俺は今まで口付けていない方の胸をいきなり甘噛みした。感覚が鈍くなっていないせいか彼女は折れそうな位に体を反らした。そのまま軽く震えた後、くったりと力が抜ける。
そこまでして、ふと気付く。俺、何してるんだ! 滝壺に顔向けできない。
「今だけは、」
彼女が何かを呟く。息が整わないのか声が小さくて聞き取りにくい。
「今だけは、私の事を見て欲しいの」
どこか儚げな表情でこんな事を言われたらときめいてしまうのも仕方ないだろ。
心の中で滝壺に土下座してから、彼女に向き直る。
「それと名前、呼んで欲しいの」
名前も聞いて無かった事を思い出す。笑えないな。
「何て、呼べば良い?」
素直に口にする。
「えりいでお願いするの」
エリー、か。どう見ても日本人の彼女の名前とは思いにくいからあだ名か何かだろう。
それならむしろ心おきなく呼べる。
「エリー、続きしようか?」
頬を染めて頷くエリー。待ってましたとばかりに下着に手をかける。
外気に触れた蕾は甘い香りの蜜まみれで、まるで獣を誘っているみたいだ。俺はためらいなくそれに口付ける。
「エリーの味がする」
真っ赤に顔を染め、首を振るエリー。俺の中でもっとその顔を見たいと、思い初めていた。
「甘くておいしいよ」
エリーは顔を背けた。その後小さな声で、
「いじわるなの」
ああ、いじわるなのだろう。だけど彼女を見ているとムクムクと自分でも知らなかった嗜虐心が膨らんでいく。
「なら、止めるか?」
答えは決まってるだろう。
「ダメ、なの。止めないで欲しいの」
俺がもう立ち止まれないように、彼女もきっと、
「何をすれば良い?」
この甘い香りに溺れて、
「私のはじめて、貰って欲しいの」
止まれやしないんだ。
「入れるぞ」
ふと思い出しポケットから避妊具を取り出す。有頂天な息子にそれを被せて蕾にあてがい、唇を重ねる。
息子が一気に侵入すると、彼女の口から吐息が漏れる。例え、唇を重ねていなくとも声になどならないだろう事は表情から分かる。
白いシーツに赤い飛沫が飛んだ。軽く後悔したがもう遅いだろう。
答えは決まってるだろう。
「ダメ、なの。止めないで欲しいの」
俺がもう立ち止まれないように、彼女もきっと、
「何をすれば良い?」
この甘い香りに溺れて、
「私のはじめて、貰って欲しいの」
止まれやしないんだ。
「入れるぞ」
ふと思い出しポケットから避妊具を取り出す。有頂天な息子にそれを被せて蕾にあてがい、唇を重ねる。
息子が一気に侵入すると、彼女の口から吐息が漏れる。例え、唇を重ねていなくとも声になどならないだろう事は表情から分かる。
白いシーツに赤い飛沫が飛んだ。軽く後悔したがもう遅いだろう。
腰は動かさない。確かなじませた方が良いとか聞いたから。その代わりとばかりに舌を絡める。
少しして、呼吸が落ち着くのを感じる。そろそろ、良いのだろうか。
「大丈夫、なの」
ドキリとしたのをごまかすように、腰を動かし始める。エリーの呼吸が乱れ、上気するのが分かる。
一瞬、頭をよぎったものを振り払う為に、速く深く突き立てる。
その度に彼女の小さな体は跳ねる。唇は離したにも関わらず、声は出ない。
俺を受け入れてる蜜壷は溶けそうな位に熱い。抜き差しする度、声にはならない息が漏れる。
「怖い、の」
震えるエリーの肩を抱く。体温が高くなるのを感じる。
「どこかに、行っちゃいそうなの」
肩を抱く手に力を込める。
「俺がついてる」
表情が僅かに和らいだ気がした。すぐに息子を包み込んでいる器から圧力がかかる。
イッたのだろうか。良くわからないが俺にはそんなこと気にする余裕はない。
正直な下半身が欲望を吐き出すために、快楽を求めている。まるでそこに別の脳でもできたみたいだ。
下半身に従い、ストロークを速める。途端にエリーの表情が変わる。
「ま、待って欲しいの、感じ過ぎて苦しいの」
いや、よほど器用でも無い限り他の事考えながらなんてできねえよ。
ふと、閉めてあったはずの扉から冷気が入って来る。
「随分と、」
それから、聞き覚えのある声も。でも、
「お楽しみみたいだね、はまづら?」
こんなに冷たい声は初めて聞いた。バニーの時とは比べるまでもない。
「こ、これは違うんだ」
俺の緊張感が伝わったのか、エリーの体も緊張する。彼女の中が狭くなる。って、ヤバい。痙攣し始めてる。
引き抜くのが間に合わず、抜けなくなる。だが、以前の俺とは違う。
何せレクチャー受けましたから。
「いいか、深呼吸して落ち着くんだ」
言いながら括約筋のマッサージをしようと手を伸ばす。その時、滝壺の手が見えた。
「大丈夫だよ、はまづら。ここは病院だから。すぐにお医者さんが治してくれるからね」
どこかで聞いたような言葉を、もし聞いたていたら忘れないような冷たさで言った後、滝壺はナースコールを押した。