ふと、街をブラブラしているとやけに上機嫌な初春の姿が。
「あら、初春。機嫌良さそうね」
振り向くと笑顔で応じる初春。
「わかります? 昨日ものすごくレアなパソコン部品が手には入ったんですよ」
一瞬、ルームメートが通販で頼んだものを思い出してしまい慌てて首を振る。まさか、ソレなはずはない。
見た目からは分かりにくいが『守護神』などと呼ばれる凄腕のハッカーなのだ。きっと、パソコンを強化出来るのが嬉しいのだろう。
「あ、そうだ。御坂さんもぜひ使って見て下さいよ」
そう言って、腕を絡めてくる。
「でも、私そういうの詳しくないわよ?」
やんわりと断るつもりだった。全く分からないわけではないけど、その道の人間が「レアな」などと言うときは大抵ろくな事にならない。
「大丈夫です。御坂さんもきっと素晴らしさを分かって下さいますから」
やけに押しが強いのに驚いたけど、好きな事に対してだとこうなるのかな。
まあ、普段は黒子とかが迷惑かけてるしたまには付き合ってあげた方が良いのかな。
「仕方ないわね、でも本当に私なんかで違いがわかるの?」
満面の笑みを浮かべると初春は全力で頷いた。
「一度使ったら、絶対に病みつきになりますよ」
二人で初春の部屋へ向かった。
黒子も誘おう(道連れにしよう)かと思ったけど、電話が繋がらなかったから遅くなるかもとメッセージを残した。