人間下半身を吹き飛ばされても直ぐには死なないんだって初めて知った。
ま、自分がそうなってみなくちゃ判らなかった訳で、とどのつまりは、結局私は失敗したって訳よ、てへっ。
裏切りを軽く考えていた自分の甘さを死ぬほど後悔した所で、その時には目の前に抗いようの無い本物の『死』が口を開いていた訳よ。
ああ、もう死んじゃう死んじゃう死んじゃう!! こんな事になるんだったらもうちょっとオモシロオカシク生きるんだったZE!!
そんな事を考えていたら、不意に掌に温もりを感じた訳よ。
懐かしい、恋しい感じがしたんだけど何だったのかな?
とにかく、それに伴ってぼんやりとした私の視界はゆらゆらと揺れたんだけど、
「何で裏切ったのよ……」
そんな声が聞えた。
何でと問われると、「保身?」とそんな言葉くらいしか思い付かない。
それで結局、私は上っ面だけで皆と付き合って来たんだろうなと思った訳よ。
いや、人生そのもの上っ面だったかもしれないな、うん。
そしてそれに対する劣等感もあったのかもね……いや多分あった。
だから他人の運命を摘み取るのが快感だった。
お前の運命はこんなチンケな野郎に殺される為に一生懸命紡がれたんだねって言ってやる時が一番気分が絶頂だった訳よ!
うん、歪んでいるのは百も承知な訳よ。
何たってこちとら伊達に暗部に席を置いてる訳じゃない。
「殺すしか……お前を殺すしか埋め合わせできないじゃないか……」
殺した奴が泣き言言うなよ麦野ぉ。
まあ、今こうして思えば、短い間だったけどそれなりに楽しんだし、結局何だかんだ言ったって私は皆とこうして居るのが楽しかった訳よ。
そんな所で、急に幕引きを知らせるかのように視界が霞んで来た訳よ。
そろそろお迎えかなぁ……って。
まあ後は任せた皆。
皆はもっとオモシロオカシク生きるんだぜ。
チクショウ、指に力が入らないから心の中でブイサインだ!! イェイイェイ!!
とかそんな感じでいい感じフェードアウト症と思った所で思いだした訳よ!!
私って処女じゃん!!
処女のまま死んだんじゃん!?
やべぇ……これはマジで洒落にならない訳よ。
どうする? 下半身はとっくの昔にメルトダウンしてしまってこの世に無い。
と言うか私の命だって風前のともし火って訳よ!?
ヤダヤダヤダヤダヤダ、処女で死ぬなんてぜええええええええええええええぇぇぇエエエエエエエエエエエエエったい有り得ないって訳よ!!!
「と言う訳で戻って来たって訳よ」
そう言って胸を張る私を前に、皆の顔が唖然としている。
「それってどんな自分だけの現実(パーソナルリアリティ)よ。馬鹿げているとしか言いようがないわ」
そんな事言ったって麦野、現実にそうなっちゃったんだから受け入れて貰わなくちゃいけない訳よ。
それにしても麦野は相変わらず綺麗だよねー。
私はパーツが足りなかったお陰でこんな「チンチクリン」になってしまって……自慢の美脚が、ヨヨヨヨYO……。
「ではあなたがフレンダだとして、今更超何をしに来たのですか?」
絹旗何よそのあからさまな敵対する態度。
ははーん、さては可愛さに磨きのかかった私に嫉妬している訳ね。
ふむふむ、支払った代償は大きかったけれど、手に入れたモノも大きかった訳よ。
見なさいこの瑞々しくもぴちぴちの、O、HA、DA。
誰だそこ幼女趣味は無いとか失礼な事言わないで欲しい訳よ。
ま、それはともかく、
「私が戻って来た理由は超簡単な訳よ」
「はまづらだったら駄目だよ、フレンダ」
うぐ!? 滝壺鋭い! さ、流石は影で正妻宣言していただけあるって訳よ。と言うか正式に正妻に落ち着いてしまった訳?
「な、なな、何で俺をそんな目で見るんだよフレンダ? おいちょっと待て麦野も絹旗も何だよ一体!?」
何を慌てているのかな浜面。どうやら浜面は浜面の分際でいい感じに収まっているみたいじゃない。
ずるい。私が居ない間にこんなにオモシロオカシクなっているじゃないか。
よし参戦する。
結局、こんな面白そうな事に首を突っ込まない方がおかしいって訳よ。