何のためらいもなくベストを乱暴に腕から引き抜いた。続けて、タイをもぎ取るように
外して足元に投げ捨てる。御坂美琴はそのままの勢いでブラウスに手を掛けると、引
きちぎらんかの勢いでボタンを外し始めた。
すでにシャワーを被ってしまったブラウスの下には、御坂妹と同じく縞々ながらこちら
は水色のブラが透けて見えた。微妙に濡れ透けて見える肌色が、生の肌色となって見
えてくるあたりはとても扇情的ではあるのだけれど――
(もうちょっと、こう、色気のある脱ぎ方は無いのかね…?)
などと、攻め立てられながらも妄想逞しくしていた上条だったが、
「とうまっ… いま、見てくれなきゃダメなのは…わ、私なんだから、ね…?」
インデックスに両頬を包まれ顔を向かされる。
その際にも、インデックスは少しでも上条に顔を寄せることを忘れないし、泡にまみれ
た胸の膨らみや太腿を積極的に上条に絡ませてくる。
余所見(インデックスから見て、だが)をしていたことをやや咎める風な表情ではある
ものの、その実、頬を染め瞳を潤ませ感極まって、肌を合わせる相手が同じように感じ
ていて欲しいといった様子だ。
最初に「邪魔だ」と御坂美琴に宣言した後、インデックスの注意力は再び上条にその
すべてが向けられていて、彼女にとって「どうでもいいこと」に注意を向けて欲しくないの
だろう。
それは御坂妹にしても同じことのようだ。
上条の目線をインデックスに取られてしまったものの、濡れたその柔らかな肢体を上条
に摺り寄せて、その吐息に少女らしからぬ艶を絡めてくる。
上条と体を擦りあわせていたためか、興奮のためか、その胸の先端の蕾が固く上条の
肩口と腕とを押した。
その刺激に、少年も短く興奮の吐息を吐く。
その声を聞いて、御坂妹が上気した口元を上条の耳元に寄せて熱っぽく囁いた。
「オリジナルは…後からやってきて…都合の良いことを言っているだけ…です、私はあのと
きからずっと当麻さんのことを想って…ですから、今はわ、私だけ、感じてくださいとミサカ
は…」
唇が触れそうなほど接近した銀髪の少女の蕩けた表情と、肩口にささやかながらその柔
らかさをしっかりと自己主張する膨らみを押し付けたクローン少女の耳元にかかる吐息に、
再び上条は快楽の渦に引きずり込まれる。
視線を捕らえて離さないまるで宝石のようなインデックスの潤んだ碧眼が、無意識のまま
に上条をその唇に導こうとした。唇を重ねようと少し首を傾けた上条に、インデックスの瞳が
喜色に揺れて、その瞼が閉じ――
首を引かれて、我に返る。
「あなたも油断も隙も無い人ですね、そんな勝手は許しませんとミサカは通告します」
背後から、御坂妹がインデックスに鋭い視線を飛ばしていた。再びあるいは三たびか、上
条を挟んで肌も露わな少女二人が睨み合った。思わず目線を逸らす。
しかし、逸らした目線の先では、ストリップショーを繰り広げながら御坂美琴が真っ赤に
なって上条を睨みつけていた。
(いっ、いずれも針のむしろですかッ)
背筋が凍りそうになり、それでも何か違和感を覚えて上条がなんとか美琴の瞳に視線を
戻すと、確かにその目は上条をきつく睨んではいるのだが、『こっちを見てなさいよっ』とい
う声が聞こえてきそうで、今度は美琴から目が離せなくなった。
目尻に少し溜まった涙が色っぽい。
ブラウスを脱ぎ捨て、濡れた靴下を引き剥がした美琴は、スカートに手を掛けるより早く
その胸を隠していた水色の縞々の肩紐を抜いて、背中のホックを外した。拠り所を失い、
小さな布切れは重力に従って床に落ちるに任される。
その後、両手で胸の膨らみを覆って隠した美琴だったが、上条の視線が離れていないの
を確かめるようにねめつけると、その腕を解いた。
見た目は――確かに、クローンである御坂妹とそっくり同じに見える慎ましさだ。
しかし、その慎ましさ、有体に言えば胸が小さいことが気になるのだろうか、普段から気
の強さばかりを見せている御坂美琴が、一瞬、その視線を自信無さげに曇らせたことを上条
は見逃さなかった(…フラグ魔、恐るべし)。
気丈な少女が見せた、わずか一瞬のか弱さに少しだけ落ち着いていた興奮がまた高ま
りだす。食いつくように、美琴への視線を強めた。
上条の強くなった視線に、美琴は胸元まで赤く染めていく。
恥ずかしさが急に戻ってきたような気がしたが、上条が視線を向けているのは他の二人
ではない、自分である。――目、離すんじゃないんだからっ! とオーラを放ちつつ、スカートに手を伸ばした。
手がもつれてサイドのジッパーを下ろすのに手間取り(そこが上条にはかえって可愛らしく
映ったりもしたのだが)、美琴の胸がその腕に押されたり引っ張られたりして小さいながらも
形を変えて、その柔らかさを自己主張しているうちに、なんとかスカートも足元に落ちる。
その下は、上条が想像した縞々の小さな三角形ではなく、体操着の短パンだった。
(そういや短パン佩いてるとかどうとか…自販機ぶっ壊した時に言ってたっけ…)
ただ、これはこれで妄想を掻きたてるというか、秘蔵のいけない映像ソフトにもそんなシチュ
エーションがあったような、と、インデックスと同居してそういった映像とご無沙汰だった上条
の記憶を刺激する。しかも今、目の前にあるのは映像などではなく、本物のオンナノコなのだ。
さらには、繰り返すが、普段は気の強さばかりを見せさせられている少女が――確かにこっ
ちを睨みつけてはいるが――、すでにしっかり見せてしまっているその胸の膨らみを再び隠す
か、思い切って短パンに手を伸ばすか、腕を小さく上下させて逡巡するさまが、上条の目には
とてつもなく淫猥に映る。
かろうじて止まっていた鼻血が再び流れ出した。
「やだっ、とうまっ…、余所見しちゃやだ…って言ったのに…」
鼻血を流す上条の姿に、クローン少女と睨み合っていたインデックスが喘ぎながらも非難の
声を上げる。上条を上目遣いに見上げたまま、さらに密着の度合いを高めようと腕の中に潜
り込んできた。上条の腕がインデックスの腰に回る格好になる。力が上手く入らない(マッサージのためか裸体攻めのためかはもう判らない)ために、手首が腰のくびれに引っかかって
掌がその白いお尻に触れた。
「あうんっ…」
碧眼を細めてインデックスが嬌声を上げる。
抱きつく少女の腕の力が強くなる。インデックスもまた、御坂妹同様に乳房の先端を固くし
ていたことが胸元からの感触として上条に伝わった。
「い、インデックス…」
この銀髪の少女が、普段は修道服を着ていること、しばしばその服を着ているに相応しい
行動や言動をしていることがあることが唐突に思い出される。そうすると、信仰心なんてもの
をほとんどを持ち合わせたりなどしていないのに、急に背徳的な感情が湧き出してわけもなく
興奮してきた。
腕を動かそうとする。動いた。我慢できなくなって、この『修道女』のお尻を濡れたショーツの
上から鷲づかみにした。…柔らかい。
「―――ひぁっ…と、とうまっ」
一瞬、抵抗するように少女が力を入れた。しかし、その声には抵抗の響きはない。そのこ
とでさらに興奮する。力が入りにくくなっている指先に、それでもさらに力を込めた。禁欲的で
なくてはならないはずの少女の瞳が、表情が確かな官能の色を帯びる。
「あっ…ず、ずるいですとミサカふぁうっ」
耳元では、予想通りに御坂妹が不満の呟きを漏らし始めたので、同時に逆の腕をその細
い腰に回した。太腿の、オーバーニーソックスに覆われていない部分を撫ですさる。徐々にそ
の手を内側に潜り込ませた。
「っあ…ぃや、やぁっ…はっ」
インデックスとは逆に抵抗するような声を上げた御坂妹だが、声色そのものには抵抗の意
思は感じられない。すでに艶っぽくなっていた息が、一気にその色を強くした。
上条を挟む二人の少女が耐えかねたように少年の耳や頬をついばみだす。止まらない上
条の手に、ついばむ唇が離れる一瞬一瞬全てで熱い吐息が漏れ、互いの興奮が高まっていくのが判った。
「こんなときまでっ…あたしのこと…スルーするのッ?」
その興奮を遮るように声が上がった。正面にいた御坂美琴である。
はっとして顔を上げると、トップレスで短パンに手をかけたままの美琴が涙目で上条を睨も
うとして、睨みきれずに見つめてきていた。
一粒、二粒と涙が零れて、
「やだやだやだやだっ! 負けるのなんてやだっ!」
搾り出した叫び声とともに、短パンもろともショーツを脱ぎ捨てて上条の足元に駆け込んだ。
いきなり、モザイクなしの薄い茂みが上条の視界に飛び込む。
インデックスで数回、あとオルソラとかアニェーゼとか、不幸にも(?)見ちゃったことはあって
も、ここまでばっちり見えるのはさすがに初めてだし(インデックスの初めてはまじまじ見ちゃっ
たけれど、不幸にも…? 記憶に無い)、いや、まじまじ見たりなんかしてないし、そういや白
人さんばっかりだな…などという上条の的外れな感想は置いておくとしても、
「ぶほっ!…ちょ…、み、御坂さん?」
ここまでの行動にはさすがに戸惑うわけで、あまりの気迫に少女二人を抱きすくめていた腕
に思わぬ力が加わった。
「はっ…ああんっ」
「っ、あふぁっ」
加えられた刺激に、それぞれお尻と太腿の内側を弄ばれていた二人が嬌声を上げる。
「…なっ、なによっ、みっ、見せ付けてるつもり?」
行為を見せ付けられていると思い込んだ御坂美琴が詰め寄ってきた。
美琴は二人を押しのけるように割り込むと、インデックスが跨っているのとは逆の太腿に跨
って座り込んだ。
インデックスが跨ったときはショーツ越しだったのだが、今度は――ただでさえ感覚が敏感
になっているのに、生の感触が伝わってきた。その、柔らかいやらくすぐったいやら、さらには
その微妙な感触からいろいろと想像してしまった。上条の体がびくっと震える。
「きゃんっ」
上条の震えが足と足の間から突き上げるように伝わり、美琴も悲鳴を上げた。
無意識に力が加わり、さらに密着の度合いが強まる。突き上げる刺激の正体に戸惑ってい
るのか、美琴が目尻に涙を溜めつつ、耐えようとしながら耐え切れないといった表情で上条を
見つめてきた。
「み、み…さか…」
やっと声が出た、という風な声で上条が呟く。
「くふっ…な、なによ…っ、あ、あたしじゃ、ふ、不満?」
上条の目を見つめながら、それでも憎まれ口を溢してしまった。しまった、と思いつつも、少
年を挟んでいる二人の少女たちが、自分がこの少年と出会ったより後から現れてきたんじゃ
ないか、と脳裏に閃く。
続いて、たった今イニシアチブを取られてしまっていることへの悔しさ。
「ずっとスルーされっぱなしで…今回だってこの子たちと…あたしのほうが前からあんたのこと
知ってるのにっ…」
「み、御坂…」
ただでさえ信じられないことが起こっている中で、何を答えることが出来ようか。上条も名前
を呼び返すだけで精一杯だ。
が、先に上条に絡み付いていた少女たちはそうも行かないようで、闖入者に対して鋭い目を
向けた。インデックス、御坂妹のそれぞれが御坂美琴を口撃する。
「後出しジャンケンしてるのは短髪じゃないっ…。変な理屈をつけても、とうまは誰にもあげな
いんだからっ」
「気持ちを表すことさえ出来ずに私を羨んでいることさえ否定しておいて、後先とは笑止です、
とミサカはオリジナルを論破します。当麻さんには私のほうが先に気持ちをはっきりさせてい
ます、とミサカは先に行動にも出ますっ」
次の瞬間、御坂妹が上条の顔を両手で挟み込んで顔を向かい合わせると、強引に唇を合
わせてきた。
驚いて逆に目を見開いてしまった上条だったが、不器用に唇を合わせる御坂妹が瞼を閉じ
ながらもその顔を紅潮させていたり、嘆息を漏らす様に意識が吸い込まれそうになる。何より、
御坂妹の薄桃色の唇は柔らかかった。石鹸の香りが興奮をさらに煽る。
「「ああーーっ!!」」
ほかの二人の少女が叫び声を上げる。それを、唇を離した御坂妹が明らかに勝ち誇った、と
判る表情で見回した。
取り戻すように上条の首にしがみついたインデックスが唇を尖らせながら叫ぶ。
「そ、そんなの、私なんか、とうまが寝てる間に何回でもしてるもんっ! だ、だから起きてたっ
て一緒だもんっ!」
「え、ええっ! インデックス、ちょっ…」
しまった、といった表情で、インデックスが驚きの声を上げた上条から一瞬目を逸らす。
「いいのっ! 嫌なんて言わせないんだからっ」
が、直ぐに視線を戻すと、深く上条の首に廻した腕でその頭を抱えこみ、表情はやや恥ずか
しげながらも躊躇うことなく少年の唇を吸った。
インデックスの台詞が嘘かまことかはともかく、上条も言われてしまうと小さくなめらかなこ
の唇の感触を知っているような気がしてくる。
何回キスしたんだろう、とピンク色に霞む意識で考えると、もう一歩や二歩進んだって…と流
れていく自分がいることに気がついた。が、抵抗感は無い。
インデックスのお尻に回っていた手を、両足の付け根に滑り込ませる。
お尻や太腿の弾力とは違う柔らかい手触りが、ショーツ越しにも伝わってきた。同時に感じ
る、布の向こうのぬるっとした感触は石鹸のものではないだろう。少女が喘ぎ声を上げた。
「んんぅ、くふぅっ、ふあ、あっ」
一歩進んだ感触に――インデックスにも初めての感触なのか、いや、誰かに触られるのが
初めてなのだろう――潤んだ目の視点がぶれていくようだ。
絶えかねたように縋り付くが、力を入れようとしてまったく入らない。上条の首に廻した腕を
かろうじて引っ掛けて、状態を保とうとしている。
その様子に、もう何度目になるのだろうか、御坂美琴が声を上げようとして飲み込み、イン
デックスの腕に絡まれたままの上条の顔を強引に自分へと向けた。美琴の白い、それでい
て恥じらいからか紅潮した全裸が視界を埋める。
そっくりなはずなのに、御坂妹と印象が違うのはどうしてなんだろう、とか、いつの間にか固
くしていた胸の先端とか細い腰の浮き上がった腰骨と下腹部へのラインに目を奪われたりし
ていた上条だったが、美琴はそのまま上条の足に乗せた腰を寄せて距離を縮める。触れ合っ
ていた部分が強く擦れあった。その感触に上条も耐え切れず吐息を漏らし、実は初心な美琴
がほとんど未知の感覚に悲鳴を上げた。
「ぁあっ、きゃうっ」
自分の太腿に感じる感触と、銀髪の少女の両足の付け根から右手の指先に伝わる感触と
を、これは石鹸の泡なのだろうか、それとも、と意識は朦朧ながらも比べていた上条だったが、
「…あ、あたしだって……んっ…」
表情にいつもの気の強さを残しておこうとして、潤んだ瞳がそれを台無しにしている御坂美
琴に唇を塞がれ、思考を遮られる。再びピンク色の霞が思考を塞いでいく。
嘆息が漏れ、唇が薄く開いた。その瞬間、唇の隙間から美琴の舌が潜り込んでくる。驚くだ
けの余裕も無くなっていた。そのまま受け入れる。
少女の舌が上条のそれを不器用に求めて絡み、吸い付き、離れた。
光る糸が美琴と上条の唇を繋ぐ。
喘ぐように息を吐く美琴の手が力を失って、上条の胸板を滑り落ちた。滑り落ちて――
その掌が上条の怒張を覆った。
「えっ? や、やっ、これっ…」
真っ赤だった顔をさらに強く染めて美琴が呟く。が、手は離さない、いや、離せないのか。
逆に強く握りこんできた。
「はうっ!」
堪らず、悲鳴を上げる。実はギリギリで耐えていたことを思い出させられた。
しかし、その辛抱を知ってか知らずか、上条の悲鳴に他の少女たちの注目も件の怒張、カミ
ジョー2号に注がれる。
「な、何してんのよ短髪っ…」
インデックスが上条に絡み付けていた腕の片方をトランクスへと下ろした。
「……とうまは、私を見て、そうなったんだからッ…短髪じゃなくってっ」
そのまま一瞬上条の顔を見て、トランクスのゴムの隙間から手を差し入れる。その根元をイ
ンデックスの細い指が掠めた。さらに奥に入ってこようとする。
「短髪なんかにあげたりしないんだからっ」
真っ赤にその顔を染めた二人の少女が睨み合う。
「わ、私だけ蚊帳の外に置こうなど許しませんとミサカは強硬手段にっ」
叫んだのは、睨み合う二人に置き去りにされかけた残った一人である。
無理やり手を伸ばして、強硬手段の名のとおりか、上条のトランクスを強引に下ろした。そ
のまま覆いかぶさろうとしたのだろうか、しかしそこまでは体が届かない。
「うわ、すご…」
「これが、とうまの…」
「……」
最後の砦を捲り取られ、少女たちの視線に曝されつつもカミジョー2号が天井に向かってそ
そり立つ。視線の主たちは目を逸らそうともせず――紅潮した顔のまま、逆に目を見開いてそ
れを見つめていた。
「いやあああーっ、だめっ、見ないでキミたちオンナノコでせうっ僕にも恥らっはううっ」
ここまででも十分にすごい事になっていたとは言え、さすがにモノを3人もの少女、しかも美
少女に視姦されて上条が悲鳴を上げた。
隠そうと手を伸ばそうとして、抱きかかえていたクローン少女と銀髪シスターさんをさらに強く
抱きかかえる結果になる。さらには、すでに手を伸ばしていたインデックスのまあそのインデッ
クス自身と言おうか、そこと、御坂妹の内太腿に伸ばしていた手が滑ってこれもまた付け根の
ほうに強く力を加える結果になってしまった。不幸にも――そういうことにしておこう、不幸にも。
「きゃふっ」
「はあんっ」
嬌声が上がる。上がりつつも、二人の少女の手がカミジョー2号へと伸びてきた。
抵抗しようにも、腕は前述のとおり、足はそれぞれ御坂美琴とインデックスが跨っているの
で身動きもならない。要するに、成すがままというやつだ。
インデックスの小さな手と、御坂妹の細い指が絡み付いてきた。
「と、とうま、熱い……それに、どくどくってしてる…」
「わ、私が見る、初めてで、これからも唯一の、男の人なのですねとミサカは…」
さて、改めて言うが上条当麻は泡踊りで全身を刺激されており、3人の美少女の裸体に視
界を埋め尽くされて、肉体的にも精神的にもほとんど限界である。泡にまみれているのと、少
女たちの知識が追いついていないために気づかれないだけで、先端からはいわゆるガマン云
々がにじみ出ている。そこを、強く握りこまれた。その刺激も、二人分の指が絡み合って右手
が恋人状態の比ではない。
さらに、二人が握りこんだカミジョー2号に顔を近づける。
そこに割り込んできたのは御坂美琴である。
「まっ、またあたしだけ除け者にしようったって許さないんだからっ」
美琴の手が怒張に伸びる。顔を寄せる二人に対抗しようと体を曲げた。その際、上条の太
腿を抱え込んでいた両足が後ろに流れる。
御坂美琴のチョメチョメが上条の太腿を強く刺激する。さらに、伸ばした手が握る場所を奪お
うと他の二つの手と絡み、その細い指がそれまでに上条を攻めていた10本の指と一緒になっ
て怒張を握った。
3人の少女の手のひらが絡み付いて、上条へ言葉にならない刺激を加える。
それが、トドメになった。
カミジョー2号が爆発した。気がついたら銀髪の少女が同居しているという生活状況に、自
家発電も満足に出来ず溜まりに溜まったそれは、派手に飛び出して止め処もない。
握りこんだ手に近づけていた顔や胸に大量の白く濁った噴出物を浴びて、三人の少女たち
が、きょとんとした表情からみるみる顔を赤く染めていく。
その様が、死んでしまいそうなほどの快感と、自殺してしまいたいほどの羞恥に塗れる上条
の視界に入り―――ブラックアウト。
−*-
ノックすべきか否か。今ならまだ引き返せる。
逡巡を繰り返し、やっぱりノックすることにした。そうでなければ、恥を忍んでここまでやって
きた意味がない。
今日こそ借りを返すのだ。あの男に上手く言い含められたような気もしないでもないが、ここ
までに受けた恩と言うか、借りはあまりにも多い。だから、言い含められてみせたとも言える。
息を飲み込んで、ドアを叩いた。
コン、コン。
返事は無い。今日、出かけた様子は無いのだが――思い切ってドアノブに手を伸ばす。鍵
は掛かっていない。ドアを開いた。
目一杯の笑顔を作る。引きつっていないはずだ。鏡を見ながら徹底的に練習したのだから。
「と、とうま? 今日は何だってするのですよー?」
渾身の力を振り絞って部屋に踏み込む。
頭上で、土御門元春が送りつけてきた輪っかが揺れた。
艶やかな長い黒髪、抜群の美貌とスタイルにメイド服、さらには例の堕天使セット。今のこの
姿を見れば、ストライクゾーン年上な上条当麻はきっとメロメロ(死語)だったろう。
普通の状態なら。
だが、苦悩の末にこんな格好までして学園都市までやってきた神裂火織の目に映ったのは、
正座をしながら顔を赤く染めて、気まずそうな表情で俯く二人の少女――禁書目録のシスタ
ーとどこかの制服を着た女子生徒――と、双子の姉妹か誰かだろうか、しかしなぜかミニのメ
イド服を着ている女子生徒と瓜二つの少女が、鼻歌を口ずさみながら洗い物をしているという
不可思議な状況だった。
そして、件の少年はといえば。
口から人魂を吐き出しつつ、部屋の奥で真っ白に燃え尽きていた。
言葉も出せずただ立ち尽くす神裂。
ただただ、立ち尽くす。
猛烈に気まずい空気の中、洗い物をする少女の鼻歌だけが響いていた。