控え室
「第一回超浜面争奪ビビらせ勝負!」
「面倒臭ぇな、何でそんな事すんだよ」
「先週、それで浜面取り合って能力使った挙げ句ファミレスに出禁食らった奴、超黙って下さい」
「あぁ?」
「はまづらは隣の部屋にいるから、一番大きな声を出させれば勝ち。勝ったら週末はまづらを独り占め」
「超乗り気ですね滝壺さん。じゃあ、一番手行ってみます?」
「わかった」
浜面視点
誰と一緒に過ごすか決めるから、ここで待ってろって言われてもな。嬉しいけど心臓に悪いぜ。
てか、何するんだろ?
肩に誰かが触れる感触。振り向くとそこには、暗い顔をした滝壺が居た。
そして、にっこりと微笑むと、そのまま後ろに倒れた。
「滝壺ーー!」
控え室
「思ったよりは超大きい声ですね」
「ビビってるの?」
「そんなわけ超ありません!」
「じゃあ、次行く?」
「超分かりました!」
浜面視点
滝壺は駆けつけた絹旗に運ばれて行った。心配だったが俺はここにいるように言われた。
しばらくして、絹旗が戻ってきた。問い詰めようと近付くと彼女の服が変わっているのに気付いた。
ちょっと待て。良く見直せ。ダボダボなピンクジャージは絹旗の趣味か? というか、所々赤いのは何だ?
「超、私だけを見て下さい浜面」
その言葉に有り得ない物を幻視した俺はあっさり意識を手放した。
控え室
「いやー超失敗しました」
「きぬはた趣味悪い」
「それにしてもまさか気絶とは超思いませんでした」
「次、むぎのの番」
「ああ、」
浜面視点
何か、スゴい嫌な夢を見た気がするがなんだったのだろうな。
とりあえず、倒れた滝壺の様子が気になる。
ドアが開いて、なぜか絹旗サイズのウサギのぬいぐるみを抱えた麦野がやってきた。
俯きながら小さな声で何かを言ってる。
「何、言ってんだ? 聞こえねぇよ」
良く見れば、涙目、なのか?
「寂しくて死んじゃいそうなウサギは、ここにもいるんだよ?」
体の芯から湧き出てきた悪寒。それに突き動かされ声を上げる。
「ギャーーー!!!!」
控え室
「むぎのの勝ち。残念」
「それにしてもあの叫び声って事は超威嚇でもしたんですかね?」