寝ようとした時、部屋のドアが開いた。見れば滝壺がぬいぐるみを持って半泣きで立ってる。  
「どうしたんだ、滝壺?」  
 微妙に嗚咽混じりなせいで聞き取りにくかったが絹旗が怖い話をしたせいで嫌な夢を見たらしい。  
 一緒に寝てほしいなどと甘々なイベントではないらしく、単に俺が無事か確かめに来たらしい。  
「で、どんな話だよ?」  
 怖いよ、と前置きされた上で滝壺は話し始めた。  
 何でもこの学園都市には夜な夜な幽霊が出るらしい。その幽霊と言うのが金髪の美少女だと言う話だが、何でも仲間の能力者に背後から殺されたらしい。  
 その殺し方と言うのが何とも残忍で光線で上下に真っ二つだそうだ。で、血管が焼き切れたせいで出血が無くしばらくは生きていたらしい。  
 ただ、死ぬまでの間、残忍な能力者が上半身を持って歩いたせいでその幽霊は下半身とはぐれた。で夜な夜なさ迷っては下半身を探していると。  
 いや、まあ確かに怪談ではあるが暴走した超能力者の方がよっぽど怖い。  
 えっ? まだ続きがあるのか?  
 その幽霊は誰かに会うとビニールテープのようなものを腹に貼り付けて、電気信管を取り付けて爆薬で焼き切るらしい。  
 そうした後で、その下半身に乗っかって自分のものか確かめる。でも、行方不明になった下半身とは違うからまた、さ迷う訳か。  
 しかし、この話どっかで聞いた気がするんだよな……今度、半蔵にでも聞いて見るか。  
「お休み、はまづら」  
「ああ、お休み」  
 ちなみに、翌日麦野にこの話をしたら何故かマジビビりして、そいつに『原子崩し』は効くのかと問いかけてくる始末だ。  
 いや、普通に麦野の方が怖いから。滝壺の嫌な夢だって上半身美少女、下半身俺と言う変態が追いかけて来るっていう、嫌さ数倍の代物だったらしいし。別に上半身だけの幽霊は怖くないそうだ。  
 
 

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