薄暗い寝室、ベッドの上で二人の人物が足を絡ませながら横たわっている。  
ピンクを基調としたベビードールを身に纏った打ち止めは一方通行の胸に顔を埋めていた。  
一見、寄り添って寝ているだけの様に見えるがよく見れば違うことに気付く。  
まず一方通行の顔が妙に赤らんでいた。心なし呼吸が荒い。手は打ち止めに回されていて、時々震えていた。  
打ち止めの方はと言えば、さらけ出された真っ白な一方通行の肌を撫で、唯一淡く色付いている胸の頂に舌を這わせていた。  
 
 ピチャピチャと音が鳴り響く  
 
打ち止めは口の中の果肉を舌先でクリクリ転がしながらチラリと一方通行の顔を盗み見る。  
真っ赤な瞳が潤み、頬が染まっていた。口が緩く開いており呼吸が荒い。時々思い出したかのように唇がきゅっと結ばれる。  
 
(かわいー…お目々がうるうるしてて赤い宝石が零れでちゃいそう)  
「ん、んは…チュパ気持ちいい? ってあなたの…胸をペロ舐めながらミサカはミサカは…上目使いで尋ねてみる」  
 
「…ン、ァ…もォやめろ…ォ」  
 
零れ出そうになる嬌声を抑えつつ、熱い息を吐きだし一方通行が答えた。  
チュパッと音を立てながら素直に口を離し――しかし今度は手で両胸を揉むのは辞めずに――、打ち止めは一方通行を見つめる。  
 
「今日はミサカがご奉仕してあげるんだからヤダ!止めないよー、ってミサカはミサカは宣言してみる」  
「それにしてもあなたはこんな時もツンデレさんね、ってミサカはミサカは口ではそんな事いいながらミサカを突き放さないあなたにキュンとなってみたり」  
 
「はっ…うる、っせェ…」  
 
実際、一方通行は抵抗らしい抵抗をしていなかった。打ち止めから与えられる愛撫を甘受し身を委ねている。  
そこを指摘され、若干いたたまれなくなった一方通行は目を彷徨わせた。打ち止めと目が合い、照れ隠しの様に唇を寄せる。  
 
「…んっ、んっ…ぁむ」  
 
触れるだけのキスをし、目を瞑る打ち止めの頬を一方通行の両手が包む。もう一度、甘噛みをするように口づけた。  
そのまま舌を小さい口内にすべり込ませた一方通行は、歯の裏側から辿り舌の腹まで丹念に舐めた。  
舌と舌を絡ませあい、互いの唾液と吐息を飲み込む。二人の口の端からは、飲み切れなかった唾液が零れていった。  
最後にちゅっと濡れた音が鳴る。ぽてりと紅く色付いた唇の間には艶めかしく糸が引かれた。  
顔を上気させた二人は、余韻に浸る為、しばらく見つめ合った。  
 
 
キスの余韻を味わった後、ほにゃっと笑った打ち止めは、一方通行の言動を蒸し返さず、目線を一方通行の胸に戻し中断していた愛撫を再開する。  
ささやかな膨らみをみせるそこを揉みしだきながらそのままゆっくり指を立て、乳首のまわりをなぞる。  
堪らず一方通行は甘い喘ぎを洩らした。  
 
「は…っあっ……ァン…っ」  
 
再度、打ち止めがぷっくりと赤く熟れた乳首を口に頬張り、空いた片手を身体のラインに沿って下半身へ伸ばしていく。  
フリルがたっぷり付いた打ち止めセレクトのショーツは、既にぐっしょりと濡れそぼっていた。  
打ち止めの指がそっとショーツを押す。…くちょり、と音が鳴り一方通行が嬌声を上げる。羞恥で顔がより一層赤くなっていく。  
 
その様子をじっくり観察していた打ち止めは、表情の変化と抑えられなくなった嬌声に満足したのか、特に発言することなく指を進めていきショーツ越しに縦の割れ目をなぞる。  
ビクッと震え、打ち止めの髪に手を差し込んでいた一方通行の手に力がこもった。  
 
「っあふ…、ンゥ…」  
 
長い間散々胸をいたぶられ、そろそろ一方通行の限界も近かった。  
それが分かっているのか、打ち止めも数回割れ目をなぞった後、早急にショーツの横から指を差し入れ、直接一方通行の秘所に触れてきた。  
 
「ひゃァっ…!…ゥあっあっ」  
 
打ち止めの小さな指が一方通行の潤んだ蜜壺へぬちゃぬちゃと卑猥な音をたて入っていく。  
身体が歓喜で震え、打ち止めの指をいざない絡み付く。それに答えるように打ち止めは直ぐに二本三本と指を追加し、くちゅくちゅと掻き回した。  
 
「ンう、…うァ…っあは、ァ、は…ひう…っ!」  
 
容赦なく抜き差しを繰り返され、弱いところばかりを責められる。  
一方通行の半開きになった唇からは唾液が溢れる。甘い喘ぎがひっきりなしに口をついた。  
子宮がきゅんきゅん疼いて仕方ない。熱を解放してほしくて堪らない。頭も身体もグズグズに溶けてしまいそうだった。  
 
「ァっ!…あっ…ら、ら、すとっ…っォっだ、ァあ」  
 
恍惚とした表情を浮かべていた打ち止めは、快感にまみれ物欲しげな顔の一方通行に蕩けるような笑顔を向けた。  
 
「うん。今、解放してあげるからね、ってミサカはミサカは…」  
その直後、打ち止めが能力を発動させた。ピリッと微弱な電流が膣内を駆け巡る。  
 
 
「…あっ、…ァ、ンっ…あ――…っ!!」  
 
一瞬で頭が白く染まり、一方通行の意識が、飛んだ  
 
 
 
****  
 
 
 
ベッドの上では、ややぐったりとし瞼が重たげな一歩通行と、先程よりより一層引っ付き満足気な打ち止めが静かにピロートークを開始していた。  
 
打ち止めの頭をゆるゆると撫でながら一方通行は口を開く。  
「…クソガキ。あンな事しやがって。何なンですかァ、……あの…無駄な手つきはよォ」  
 
「このミサカは伊達に妹達の頂点ではないのだ!ってミサカはミサカは無い胸を張って威張ってみたり!」  
 
フフンとそんな事をいうので、一方通行はいきなり疲労感が増した気がした。  
MNWも考え物だとげっそりしながら、適当に言葉を返す。  
「…あァ、そォかよ」  
 
「――なんて嘘。本当の理由は違うよ、ってミサカはミサカはモジモジしながら言ってみる」  
 
「あァ?」  
 
怪訝な声を上げ、打ち止めを見る。  
言葉通り下を向きモジモジしている打ち止め。アホ毛もそわそわと揺れていた。  
とりあえず口を挟まずにアホ毛を眺めていると、打ち止めの顔が勢いよく一方通行に向けられた。  
 
「このミサカはあなたがだぁーい好きだから、あなたの気持ち良さそうな顔を見るともっともっとって頑張っちゃうんだから、ってミサカはミサカは照れながら言ってみたり」  
 
「っ……そォかよ」  
 
「そおだよー!ミサカはあなたが大好き、愛してるんだから!一生離れないもん、ってミサカはミサカはいつも通り愛の告白!!」  
 
にぱーっと満面の笑顔を向ける打ち止めから顔を隠すように、一方通行は打ち止めをギュウっと抱きしめる。  
今の自分の顔を見られたくない。色々な感情が渦巻いて、きっとひどい顔をしていることだろうと思った。  
 
重ね合わせた胸から伝わる鼓動が無性に一方通行の心を落ち着かせた。  
 
(――今の言葉を聞いて気分がいいなンてよォ、こォやってどンどン手放せなくなるンだ…クソったれ)  
(…笑っちまう、ガキの戯言に決まってンのに…結局縋ってる。いつもいつも俺は本当にこのガキに振り回されてばっかだな…)  
 
 
小さい小さい声で、腕の中に閉じ込めた打ち止めに一方通行は囁く  
 
「――――俺も一生、離したりしねェ」  
 
 
腕の中で打ち止めは幸せそうに微笑んだ。  
 
 
 
              おわた!  
 
 

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