†††  
 
 彼女の傍らにいてくれた少年は、いつだって孤独だった。  
 感情を閉ざし、加虐行為を快楽と捉える事でしか、他人を――自分の世界すら守ることができなかった。  
 そんな脆くも優しい子供のそばに居続けた中で、打ち止めは自然と、彼を守ってあげたいと思うようになった。  
 がむしゃらに、不器用な手段で妹達を救い出し、それと引き換えに、今まで辛うじて彼の存在意義を支えていた  
『最強』としての全てを失った、ちっぽけな少年。  
 そんな彼を代わりに守るのは、彼に救われた自分の役目だ、と。幼い思考は素直に頷き、従順に彼を慕った。  
 血の通わない真っ白な手を小さな手で包み、懸命に暖めた。眠りが浅くなってしまった彼に絵本を読むように  
せがんで、少しでも悪夢を忘れさせようとした。自分の携帯電話に、彼によく似たうさぎのストラップを付けて  
その日のための和やかな話題を作った。苦い缶コーヒーを無理に飲んで、呆れ顔の彼に世話を焼いてもらった。  
 当たり前の穏やかな日常へと、自分の存在が彼を導いていけたらどんなに幸せかと考え、また、彼がそんな  
世界で、普通に笑ったり泣いたりしてくれる日が訪れるようにと、居るのかどうかも分からない神様に祈った。  
 
 ――けれど、世界は彼に対してあまりにも残酷に出来ていた。  
 
 降りしきる雨の中、彼女が捕らえられてしまったせいで、彼はまた自身を血の色で染めた。得体の知れない  
莫大なチカラまで呼び醒まして、彼は闇とぶつかり、そして闇に呑まれていった。  
 闘いが終わり、悲しいくらいに静かな病室で目が覚めたとき、彼女は思い知った。彼は、他でもない打ち止めを  
守るために、自ら深い絶望へと飛び込んでいったのだということを。  
 ソレを彼女が目の当たりにしたのは、彼を守ろうとしたとある警備員が理不尽の切っ先に貫かれた日だった。  
 絶望の色が世界を蹂躙したその時、彼女は確かにその慟哭から聞き分けた。もはや怪物としか形容できない  
その存在が訴えかけてくる、ありきたりな子供の泣き声を。  
 ――自分のせいでまた人が傷付いた。もう嫌だ。何もかも終わりに出来たらいいのに。  
 打ち止めはその声を恐れなかった。迷子になって泣きじゃくる幼い子供を相手にするように、ただ一人、  
狂気の爆心地へと歩み寄った。  
 藻掻き、苦しみ、やがて、諦めるように意識を手放した彼を抱き留めた彼女の心を満たしていたものは、  
憐れみにも似た愛情と、ほんの少しだけの懺悔だった。  
 ――いつも守ってもらってばかりでごめんなさい。あなたを守ってあげられなくてごめんなさい。  
 せめて、暗い闇の奥にも届くくらいの、強い灯火になりたい。いつか、彼が奥深くから這い上がってくる日の  
ために、いつだって彼が帰ってこられる場所になって、待っていたい。幼い少女はそう望んだ。  
 
 そんなささやかな望みですら、どこかの誰かの匙加減で簡単に砕かれるとも知らずに。  
 
 熱に浮かされ、途切れ途切れの意識の波に揉まれ、正気を保っていた時間の方が短かった激戦の雪原。  
 腕の中に深く抱き締め、凍り付く世界から自分を守り、小さな命を繋ぎ止めてくれた。あの細い身体で、  
信じられないほどの距離をさまよい歩いて、打ち止めを救う方法を探し続けた。  
 けれど、そんな極限状態は少しずつ彼を狂わせていった。  
 最悪の刺客として現れた少女に心身をズタズタに引き裂かれた挙げ句、彼は半狂乱になって彼女を殴り続けた。  
 怒りや悲しみ、その全ての感情を悦びにねじ曲げて笑い続ける彼を、止められるのは自分だけだと、打ち止めは  
全身が凍えそうになりながらも本能的に自分のするべきことを理解した。  
 ――あなたのせい、じゃない。  
 冷たい雪に身体を包まれて断絶する意識の中、彼女は確かにそう呟いた。  
 自分が守らなくちゃ駄目だ。理論も計算も無く、彼女はひたすらに手を伸ばした。何もかもに疲れ果てたと  
叫び、何もかもを破壊しようと噴出し続ける黒い翼へ向かって。  
 
 それでも、届かない。  
 絶望という幻想を砕き、迷子を救ったのは――結局、ヒロインではなくヒーローだったのだ。  
 
 幼い少女を蝕み続ける悪意の雨を、どうして世界は許すのか。そんな終わりの見えない絶望を叫ぶ彼の心を  
救うのは、打ち止め自身だったはずなのに。  
 たとえ、この腕で彼を抱き締めることができないとしても。たとえ、この命が今燃え尽きてしまうとしても。  
 大丈夫だよ、と囁いて笑いかけるのは、自分でなければならないはずだったのに。  
 彼と彼女にとっての絶望の場所は、あの少年にしてみればただの『寄り道』程度に過ぎないというのか。  
 その暴虐も、彼の痛みも、打ち止めの願いも――何もかも、あの少年にとっては片手間で処理できてしまう、  
些細な物語でしかないのだろうか。その右手で、簡単にぶち壊してしまっていいようなものだったのか。  
 そして――彼は本当に、そのような『ヒーローが平等にもたらす希望』に、今この瞬間、救われたというのか。  
 これまで彼が積み上げてきたもののことなど当の救済者は知らないまま、唐突に放り込まれたその希望は、  
打ち止めにとって、素直に受け取るにはあまりにも綺麗すぎた。  
 
 どうして、ヒーローにしか届かない領域が、この世界には存在するのだろう。  
 暖かく優しい右手の感触を額に受けながら、彼女は生まれて初めての『悔しさ』に、小さく涙をこぼした。  
 
 はじめて知った暗く悲しい感情の分別もろくに付けられないまま、その意識は再び奥底へと沈んでいく。  
 自分が意識を失っている間にも、この世界は次々と変革を遂げていったのだろう。空は異様に塗り潰され、  
何もかもが狂わされた世界の中で、二つの異質な『天使』が衝突した。計り知れない『右手』を奪うためだけに  
引き起こされた大戦において、かのヒーローは一人の少女を守るために、莫大な力に立ち向かった。  
 誰も彼もが、大切なモノを救い出すという誓いの下、死に物狂いで戦っていた。  
 そんな状況において、打ち止めはいつだって『守られる側』にしかなれなかった。  
 彼の腕の中にいながら何もしてあげられない自分を嘆くことすら、熱に浮かされたこの頭では不可能だった。  
 そして、深い海の底に落ちた意識が再び浮かび上がったとき、彼女の視界に映ったのは――全身をズタズタに  
引き裂かれ、唇の端から血の雫をこぼしながらも、安堵するように小さく笑う少年の姿だった。  
 覚醒したばかりで安定しない思考は、それでも即座に理解した。自分は、彼の歌で救われたのだということを。  
 聖歌のように綺麗ではなくとも、真っ直ぐに少女の救済を求めて叫んだ、祈りの歌によって救われたのだ、と。  
 強く強く抱き寄せられた感触が、打ち止めに教えてくれた。自分が生きている、ただそれだけで、彼にとって  
何よりの救いになるということを。  
 ヒーローのようにはなれなくても、ただずっと一緒にいること。それが、紛れもなく彼を支えているのだと。  
 なら、彼を止めるためではなく、彼のための『自分』という居場所を守るために強くなるべきではないか。  
 その選択によって、あらゆる負の感情が増長されかねない。彼にとっての自分の定位置を守るために、時に  
嫉妬心や憤慨といった感情の刃を研ぎ、それを他者に向けてしまうという危険もあった。  
 けれど、それは果たして一概に醜い姿と言えてしまうものなのだろうか。  
大切な人を支えるという存在意義が奪われることを恐れるのは、忌避すべき感情なのか。大切な人を守るために  
そういった感情を武器にするのは、不純で汚い手段なのか。  
 今の打ち止めなら、それは違うと断言できる。  
 あれから長い間、彼女は世界規模の闘いの傍らで、ひたすらに、彼の帰る場所であり続けた。覚えた感情は  
数え切れないほどの量に膨れ上がった。当然そこには恐怖や独占欲などの負の感情が少しずつ堆積していき、  
何も知らないという意味において『無垢』だった幼い少女を、ゆっくりと変質させていく。  
『救われた後の世界』において、生い立ちからの逆境にもめげず明るく振る舞ってきた打ち止めの心の奥で、  
その存在は確かに彼女を怯えさせた。  
 けれど、その居場所を守るのは、今は自分ひとりだけではない。  
 穏やかな平和の中で、ある意味人間としては正しい形に『壊れていく』予感に、もう一人で震えることはない。  
 それを実感できた喜びを、安堵を、安らぎを、彼女は決して忘れたくないと思った。  
 降り積もる雑多な感情に埋もれさせ、大切にしてきた感情を『忘れてしまう』ことは、とても簡単な選択だ。  
 それでも、捨てたくない。  
 絶対に、忘れたくない。  
 彩りを増したその感情を、彼女は、ずっとその胸に刻み続けていたい。  
 そう願い続ける限りは、きっと大丈夫だ、と。  
 馬鹿馬鹿しい不安を抱える理由はない、と、今なら素直にそう思える。  
 
 だから、ずっとこの人の側に居たい。  
 たとえ、彼一人を残して世界が滅んでしまったとしても、自分だけは一方通行の隣から消えないでいたい。  
 誰かのためにボロボロになった優しい手を撫でて、慈しんであげたい。  
 
 絶対に、独りきりの世界になんて行かせない。  
その気持ちに触れた時――少女は、生まれて初めての恋を自覚したのだった。  
 
†††  
 
 そんなこんなで、めでたく『家族』からワンランクアップしたお若い二人は今からやることをヤるのであった。  
 ……のだが、所詮デリカシーの無さも第一位な一方通行に、いわゆる甘いムードなど作れるわけもなく。  
「脱げ」  
「……………………え、ええと、ってミサカはミサカは戸惑ってみたり」  
 マットレスの上、真顔でサラリと命令する亭主関白野郎の前で、打ち止めは困惑の笑みを浮かべる。  
 だってホラこの人教科書に載ってない類の常識にはからっきしだから仕方ないよ、と自分に言い聞かせ、  
とりあえず彼女はわたわたとしながらも一般論を述べてみることにした。  
「……あのっ、初っ端から女の子にそんな指令を下すのはセクシャルハラスメントに抵触すると思うの、って  
ミサカはミサカはあなたの社会的立場を守るためにアドバイスしてみたり。それと、ミサカ的にも一般的にも  
ここは男の人が優しく脱がすターンじゃないのかな、ってミサカはミサカはささやかな要望をお伝えしてみる」  
「どォせ最終的な格好は同じだろォがよ。非効率的にも程がある」  
「そういう問題じゃないのー! 大体初めての夜にムードそっちのけで効率化を求めあう男女なんて嫌すぎるし!!  
ってミサカはミサカは正座状態で両手を激しく振り回してみる!」  
 一方通行の眼前で駄々をこねながら、打ち止めの心の内は涙々である。違うのだ。自分が求めていた関係とは  
いたって普段通りの漫才的会話とはちょっと違う筈だったのだ。本来ならさっき垣間見た母性をくすぐるような  
いい感じに弱った一方通行を優しく胸に抱いて甘い夜へとなだれ込む予定だったのに、予想以上に早くこの男が  
爽やかに吹っ切れてしまったために、またも場の主導権が彼に移ってしまい妄想はあえなくご破算、結局彼女は  
こんなの絶対おかしいよ! と心中でハンカチを噛み締めるしかないのだった。  
 と、恨めしげな打ち止めの視線が流石に気に障るのか、少々苛立った様子で一方通行が口を開く。  
「……ウザってェ。今から望み通りにしてやるから大人しくしろ」  
「にゃっ!? あ、えと、りょ……了解しました、ってミサカはミサカは姿勢を正してみる……!」  
 急に態度を変えられたことで、自分から提案しておきながら再度顔を真っ赤にし直した打ち止めは、ベッドの  
上でちょこんと小さく縮こまった。  
 その様子を眺め、一方通行はいっそ呆れたように息を吐き出すと、すくめられた細い両肩にそっと手を乗せて、  
「倒すぞ」  
「おわわっ! ってミサカはミサカは――っ!?」  
 羽根のように軽い弾みで、彼女の身体を横たえさせる。  
 二人分の体重を受け止めたスプリングが、打ち止めの耳の裏でかすかに軋んだ音を鳴らした。  
「……あ……」  
 そして気付く。  
 互いに何回も触れた今日までの日々で、一方通行の重みをこんな風に受け止めたのはこれが初めてだ。  
 その自覚が、直接『これからする事』に繋がっているような気がして、再び身体を強ばらせてしまう。  
「……、」  
 打ち止めのわずかな緊張に気付いているのかいないのか、対面するその顔を一瞥した一方通行は、彼女が  
着ているパーカーのファスナーをゆっくりと下ろし始めた。  
 上着から袖を抜き取って、中に着ていたTシャツが晒されると、彼の手がそれを胸元までたくし上げる。  
 摩擦に引っ張られて肌着のキャミソールが腹の辺りまでずり上がり、空調の風が直接打ち止めの肌を擽った。  
「腕上げろ」  
 指示を寄越す一方通行の声は随分と刺々しさが取れているのだが、彼女は何となく拍子抜けしてしまった。  
 恋人というよりは、なんとなく保父さんに近いその態度からは、彼女が戸惑ってしまうような計り知れない  
欲望やら衝動などは到底感じられそうにない。  
 求められると怖いくせにやっぱりちょっとだけソレを期待してしまう、なんとも複雑な乙女心である。  
 
「……なんか、予想してた感じと違う、ってミサカはミサカは小さい子みたいな扱いに違和感を抱いてみる……」  
「そォしろっつったのは誰だったっけなァオイ。大体、どンだけ着込んでやがるンだオマエは」  
「お、女の子は身体冷やしちゃ駄目なんだから、ってミサカはミサカは色気の無さを必死にごまかしてみたり!」  
 万歳の体勢のまま文句を言う打ち止めだが、顔まで引き上げられた自身の衣服に視界を全方位遮られ、その声も  
モゴモゴとくぐもったものにされてしまう。  
「……、」  
 自らの手によって暴かれ、無防備に晒される肌の感触に何かしら思うところがあるのか、一瞬だけ動きを  
止めた一方通行だったが、またすぐにキャミソールの端に手をかけた。  
 あっさりと丸裸にされてしまいそうな予感に、打ち止めは戸惑うように小さく身をよじる。  
「……覚悟、してたつもりだけど……やっぱりなんか恥ずかしいものなんだね、ってミサカはミサカは無意味に  
視線を逸らしてみる」  
 いくら好きな人が相手とはいえ、間近で肌を見られるというのは、正直、いい気分とは言い難い。  
 頬がむやみに熱くなる理由は、先程までのそれとは少しだけ違うものだった。  
 白い肌着を捲られるのと同時に、緊張から彼女は思わず息を詰める。  
 たかが服を脱ぐだけでこんなにも取り乱してしまう自分が恨めしかった。けれど、目の前に覆い被さる  
一方通行は焦れる素振りもなく、打ち止めの様子を確認しながら慎重に触れてくれる。  
 それが切なくて、それ以上に嬉しくて、彼女はまた泣きだしそうになりながらも自分の背中に両腕を回した。  
 カタカタと震える指先で苦戦しつつ、数秒かけてようやくホックを外すことに成功する。  
 小さな声で伝えることは、  
「あの、ね」  
「……」  
「ヨミカワほどおっきくはないけど……触って、くれるかな、ってミサカはミサカは、おねだりしてみたり」  
「……あンなレベルはハナから期待しちゃいねェよ」  
 言いながら、彼の細い指が、強く目を瞑る打ち止めの胸から薄桃色の下着をそっと取り払った。  
 途端にふるりと揺れる、薄い赤味の差した肌色。  
 一瞬前まで下着の中に窮屈そうに収められていたソレは、照明の白い光を受けてそのみずみずしい肌を、淡く  
透明に光らせている。豊かな双丘の輪郭を縁取るように張り付く長い茶髪が、柔い白色に鮮やかなコントラストを  
描いていた。僅かながらも上向きに尖った甘い色の乳頭は、硬く閉ざされた蕾の内側から引きずり出した  
幼い雌しべのように、何かしら禁忌的な印象をも与えてくる。  
「――、」  
 女の身体構造など物理的には知っている。それこそただの肉体としてなら幼い頃から、人体図から死体まで、  
身の回りには嫌になるほど沢山転がっていた。中に詰まった脂肪の感触だってリアルに思い出せる。  
 だが、それらに抱いた無機質な感想と、今目の当たりにしている少女の姿は似ても似つかないものだった。  
 初めて――本当の意味で初めて、彼は今ソレを愛おしいと認識したのかもしれない。  
「んっ……」  
 まとまらない思考を無視して、情動に突き動かされる形で片方の胸を緩く掴む。  
 痛くない程度に優しく込められる圧力を受け、打ち止めはくすぐったさをこらえるような表情を浮かべる。  
 張りのある若い肌はしっとりとした質感で掌に馴染み、伝わる体温と共に例えがたい快さを彼に与えてきた。  
「なんか、へんな感じ……ってミサカはミサカは、くすぐったいのとはちょっと違う感触に戸惑ってみる」  
 切なげに眉を寄せながら変調を訴える打ち止めだが、その不安にあまり構ってやってもいられない。  
 少しずつ、一方通行は己の中の平静が消えていくのを感じていた。  
 手に収まりきらない膨らみをたぷたぷと弄びながら、その動きに連動して揺れるもう片方の乳房に顔を寄せる。  
「ひゃう、……!?」  
 唇で触れた感触はぞっとするほど柔らかい。きめ細かい皮膚に舌先を這わせてみれば、滲む汗の塩辛さに  
加えて、どことなく甘い味さえも感じられた。  
 緩やかに満ちていく興奮の波は、しかし確実にその行動を支配する。  
「ん、ゆ、にゃぁ……!」  
 上を向いた頂点を親指で転がすと、甘ったるく漏れる声は途端にボリュームを上げた。  
 
 シーツを細い手でぐしゃぐしゃに握りしめて嬌声を堪える姿は、性的な衝動を余計に煽る。  
 熱っぽい色を帯びた突起を前歯で食み、鋭い刺激を与えてやる。もう一方を指先で捏ね上げると、その感触が  
どうしようにもたまらないらしく、とうとう少女の瞳から涙の粒が零れ落ちた。  
「やっ、なんか、やだよぉ……! からだが熱くて、んあ、ミサカっ……へんに、なっちゃったのかな、って、  
ミサカはミサカは不安に思って、あああ、っ――!!」  
 容赦なく、肌に噛みつかれた痛覚に、音を伴わない悲鳴が溢れる。  
(……クソ、)  
 流石にやりすぎた。舌打ちした後、愛撫を受けて赤く熟れた先端を労るように舐め上げると、わずかに  
安堵するような少女の溜め息が耳元で震えた。  
「ふぁあ、……っ、」  
 豊満な膨らみを描く肌は上気した桜色に照り映えている。打ち止めの息が整うのを待つ間、それを眺めていた  
一方通行は彼女に無理をさせたことを苦い気持ちで噛み締め、涙で濡れる頬に触れるだけのキスを落とした。  
 しばらくの間熱に浮かされた瞳で天井を見つめていた打ち止めは、やがて弱々しい声音で呟く。  
「……触ってって言ったのは、確かにミサカだけど。はじめてなんだから、もうちょっと優しくしてほしいよ、  
って、ミサカはミサカは恨めしげに呟いてみたり」  
「……、」  
「だってね、頭の奥がぼんやりして、触られてるところがじくじくうずうずしてきて、そのままどこかに  
飛んでっちゃいそうだったんだよ、ってミサカはミサカは未知との遭遇について口を尖らせつつ語ってみる」  
 初めて知った性感に怯えているかと思えば、それ自体については案外まだそうでもないらしい。今ひとつ実感が  
追いついていないだけなのかもしれないが、むしろ『普段と違う自分たち』の方が彼女の不安を煽るようで、  
「……あんなになっちゃうと、あなたとたくさんおしゃべりできなくなっちゃうのが寂しいな、ってミサカは  
ミサカはしょんぼりして――」  
 気怠げに言葉を紡ぐ口を封じ込めて、一方通行は彼女の腰へと手を伸ばした。  
 摺り合わせられた内股を柔らかく撫でて、わずかに弛緩したタイミングで厚手のズボンを膝まで下ろす。  
 舌を絡めることに必死になっていた打ち止めはそれに気付くのが遅れ、ワンテンポずれてから慌てだした。  
 ぺしぺしと懸命に一方通行の背中を叩き、彼の動きを静止させる。  
「んむ、っ、んうー! ……ぷはっ。まっ待って待って、ってミサカはミサカはタンマを要請してみたりっ」  
「……、何だ」  
「み、ミサカだけこんな恥ずかしい格好なのはどうかと思うの、ってミサカはミサカは不平等を訴えてみる」  
「女と違って構造的に脱がねェままでも出来ンだよ」  
「そっそれでもシャツ一枚ぐらいは脱ぐ男らしい誠意を見せてくれたっていいでしょうがーっ!! ってミサカは  
ミサカはお姉様風に憤慨してみる!!」  
 どうも注文が多い打ち止めだが、何もこれは彼女だけに限った話ではない。セックスに肉欲よりも精神面での  
繋がりを求めがちな女子全般にとって、特に『はじめて』というのは色々と理想があるものなのだ。  
 ……まぁ大抵の場合、その幻想はいわゆる草食系男子のミスリードっぷりにより見事にぶち殺されてしまう  
パターンが多いわけだが、というのはとある彼氏持ち妹達の弁である。  
 面倒くさがりながらも、夢見がちな女子高生と違ってこだわりもへったくれもない一方通行は彼女の言い分に  
素直に従い、Yシャツのボタンを機械的に外していった。  
 何の面白味も無い平坦な上半身を丸い目で見上げる打ち止めの反応はというと、  
「……白っ。そして全体的に薄っぺらい、ってミサカはミサカは驚きのウエストを内心羨んでみたり」  
「もォ一度泣かせてやろォかオマエ」  
「ふにゃあ!? やっやだ、やめてやめてごめんなさいー! ってミサカはミサカはーっ!!」  
 意趣返しというか何というか、彼女が気にしているらしき腹周りをむにむにと揉みしだくと、打ち止めは  
耳の先まで真っ赤になって暴れ始めた。  
 そのまま一方通行は首筋のチョーカーに触れて、  
「BMI23.1」  
「ひっ人のトップシークレットを勝手に計測するなーっ!! ってミサカはミサカは涙目で耳を塞いでみる!」  
「正常値だ安心しとけ」  
「そういう問題じゃないし! ってミサカはミサカはうにゃああああああ!!?」  
 ……考えてみれば今は平素通りの取っ組み合いではなくもっと特別なことをする時間だったはずだが、彼が  
ふとその事実に思い当たったのは、暴れ疲れた打ち止めがもはや抵抗する力もなくぐったりと横たわる姿を  
視界に収めてからであった。  
 
「ぜーはーぜーはー……。つ、次に会う場所は法廷だ、ってミサカはミサカは虫の息で宣告してみる……」  
「……続けるぞ」  
 脱皮しかけた青虫の脱け殻か何かのように彼女の脚に纏わりついたままのズボンを脱がせ、適当に放り投げる。  
 腰砕けになっている打ち止めはひとまずされるがままにしていたが、一方通行の手が直接太腿を滑る感触を  
受けると、緊張するように全身をびくりと震わせた。  
「脚開けろ」  
「ッ……、……分か、った……」  
 消え入るような返事を返すだけで精一杯な彼女は、恐る恐る脚の間を広げる。せいぜい手一本差し込める程度の  
細い隙間に――何者にも触れさせたことなどない彼女の領域に入り込んだ薄い掌は、小さな布一枚隔てたそこに、  
指先で軽く触れた。  
「――ん、っ……!」  
 ぬるりと、内側から溢れた何かによって布地とその箇所が摩擦する。  
 下着から滲んだ性感の徴は、汗に混じり、彼女も気が付かないうちに腿の内側をべたべたに濡らしていた。  
 自慰の方法すらろくに知らない少女にとってあまりにも唐突に始まったように思われるそれは、緊張状態の  
彼女を混乱させるには十分だった。  
 今まで見たこともなかったイヤラシイ自分の姿を直視するのが恐ろしくて、思わず逃げ出したくなる。  
「や、やだ。なんで……、ミサカ、こんなっ……怖い……っ」  
「……身体が準備を始めてるだけだ、落ち着け」  
 駄々をこねるように首を横に振る打ち止めの髪を優しく梳きながら、もう片方の手はその指先を、既に用を  
為さなくなった下着の上から少しずつ彼女の内側へ食い込むように押し当ててくる。  
 途端、耳を塞ぎたくなるような粘性を伴った音がかすかに聞こえてきて、打ち止めは、そのうち羞恥によって  
気が狂ってしまいそうだという不安すら抱いてしまう。  
 しかし、それでも――恐怖に反してソレは彼女を夢中にさせた。  
「ふ、あ……っ、んうっ、は――ぁ……ッ!」  
 抑えようとしても小さな鳴き声が喉から漏れる。下腹部の奥が甘く痺れてきて、切ないほどの快楽信号が  
全身を走る。思考と身体のコントロールがバラバラに分裂していく。すでに今現在のモノを受け止めるだけで  
限界な筈なのに、いつからか、段々と『足りなく』なってくる。もっと深くまで触れて自分を満たしてくれる  
『何か』が、欲しくて仕方ない。もどかしさに灼かれ、背筋がぞくぞくと震えた。  
 不意に、後ろに回された腕が上半身を持ち上げ、打ち止めの背はベッドからわずかに浮かされる。  
「っは……。な、なに……?」  
 浅い呼吸を繰り返す彼女の身体を支えながら、一方通行は手近にあった平たい形のクッションをマットレスと  
腰の間に一つ差し込んだ。  
 打ち止めの身体への負担を少しでも減らすためのことなのだが、自身の傾斜を視界に収める体勢を取らされた  
彼女は泣きたいほどの恥ずかしさに頬を染め上げた。  
 視線の先にある自分の身体は――赤い痕が肌にくっきりと残って、身じろぐたびに小さく揺れる豊かな胸も、  
倦怠感に従い軽く開かれた脚も、かろうじて隠すための役目しか果たせていない小さな布の表面がぬるぬると  
濡れた光を帯びている様子も――その全てが、ただ直情的な快楽のみを求める獣のそれに見えて、怖くなる。  
 そして、覆い被さる一方通行の肩に添えられた小さな手が震えていることに、彼が気付かない訳がなかった。  
 本来なら、こんなことはもう止めているはずだ。何も性急に行わなければならないことではない。恐怖に怯える  
彼女の顔を見ているよりは、ここで中断してしまう方がずっとマシだった。  
 それでも、止められない。  
 制御できるようなものだったなら、そもそも最初からこんな行為に及ぶことなど有り得ない。  
「――、」  
 思考回路が狂う。熱を帯び、ぼやけていく主義主張の中で、その衝動だけが嫌になるほど疼いていた。  
 不安そうな様子でこちらを見上げる少女の瞳を直視できず、汗ばむ首筋に顔を埋める。  
「ひゃ、ん……!」  
 赤く染まった顔がびくんと動く。途端、柔らかい匂いが髪から零れ、芯から麻痺するような錯覚を覚えた。  
 内側からこみ上げる何かに、一方通行は自身の限界を感じていた。  
 ――もうここから先は、優しくなどしてやれない。  
 
 抵抗する暇を与えず、自身の右手を下着の中へと侵入させる。  
「うあ……っ!?」  
 直接触れた恥丘は熱く、脆弱なまでに柔らかい。  
 軽く表面をなぞるだけで、指先にねっとりとした露が絡む。閉じた花弁の間を滑るようにして押し入ると、  
濡れた感触が二本の指を優しく包み込んだ。  
「ッ――く、んぅ……っ……」  
 眉を寄せ、必死で抑えようとする打ち止めのくぐもった声が耳元で響き、頭の奥まで流し込まれる。  
 耐えるように、あるいは助けを求めるように首にしがみついてくる細い腕の感触が、彼の何かを煽るようで。  
 
 自制の二文字が、一瞬彼の意識から消え失せた。  
 
「っ、ああああっ!? やぁん、だめ……待って……、にゃ、あぁあッ!」  
 指先で膣口をまさぐるように繰り返し撫でる。奥から溢れてくる蜜を潤滑油代わりにして、ぎこちない動きは  
さらに熱を増していく。少しずつ激しくなる奔流と共に、指の隙間を多量の愛液が伝う。  
 怯えと快楽で震えながら、彼女は一方通行の身体に爪を立てる。  
 間近に迫る胸のふくらみに鼻先を押し当てると、とろけそうなくらい熱い吐息が彼の髪をそっと揺らす。  
 自分が与えたものを全身で感じ取って乱れる少女の姿は、痛ましいのと同時に酷く扇情的だった。  
 ――いっそ、このまま壊してしまおうか。  
 この腕の中で、自分の名を叫びながら。他の何も考えられない程に、自分だけを求めて壊れてしまえばいい。  
 そんなことは彼の本望ではない。けれどこの時、酩酊する彼の思考は本気でそう感じていた。  
 優しい色をした髪の間から覗く耳元に唇を寄せ、短い言葉で命令する。  
「力、抜け」  
「あ……は、ぁ、……っ」  
 言語を口に出すだけの余裕もすでに無いらしい打ち止めは、それでも明確な意志をもって首を縦に振った。  
 長い睫から滲む涙を舐め取りながら、彼女の荒い呼吸を観察する。一瞬だけ身体の緊張が解れたのを見計らい、  
それまで乱雑に秘唇を弄んでいた硬質な指を、僅かに沈めた。  
「……っっ!!」  
 華奢な身体が跳ねる。  
 熱に支配されていたその虚ろな表情が、瞬く間に、明確な『痛み』によって歪んでいく。  
 初めて異物を受け入れたのであろうその内側は、彼女の意図とは関係なく一方通行の指を強く締めつける。  
 無理に指先をくわえさせられた内壁がびくんびくんと脈打つ。  
 心地よく吸い付いてくる感触に、彼は思わず呼吸の仕方を忘れていた。  
 傷付けないように、しかし心の内では焦燥に駆られながら、少しずつ中指の挿入を深めていく。  
 細かく抜き挿しを繰り返す指先の動きに合わせて、ぐちぐちと肉を割る卑猥な音がした。  
「んぁあ! あうっ、ああぁああああっ……、待って、まだっ……痛いよ……そんなに強く、ん、――っ!!」  
 打ち止めの全身が激しく暴れる。自分ですらろくに触れたこともないような箇所を無理矢理暴かれる苦痛に  
侵されているにも関わらず、一方通行の指先にはいっそう多量の蜜が絡み付いていた。  
 粘ついた水の音と細く漏れる声が鼓膜を絶え間なく刺激する。  
 こちらも余裕が無い。けれど、指先ひとつ与えるだけで見たこともないような艶やかな表情を浮かべて彼女が  
自分を求めてくる、そんな状況にただただ征服欲が満たされていく。加速する衝動があまりにも愉しい。  
 この感情の高ぶりは危険だと分かってはいる。だが、どうしようもない愉悦に図らずも口元が歪んだ。  
 潤滑に伴い、ゆっくりと『受け入れる』準備を整えはじめた秘部の内側に指を軽く曲げ、押し込める。  
「ひゃ――ああああああぁ!」  
 甘い声が上がるのと同時に、内壁全体がびくりと反応する。細い指を締め上げる力はいっそ痛いぐらいだ。  
「っ……。キツい、もっと力抜け」  
「や、無理……んっ! ……そこ、なんか、やだぁ……! ミサカ、あうっ……おかしくなっちゃうよ……っ」  
「……そンだけ喋れンならまだ余裕があるって事だろ」  
「ふあああああっ!?」  
 熱く脈打つ粘膜を指の腹で擦りあげると、打ち止めは喉を反らしてまた泣き出した。  
 これ以上その声を聴いていると、こちらの頭の方がどうにかなってしまいそうだ。  
 噛みつくように唇を塞ぐ。舌を絡めた途端、砂糖菓子より甘い味が一方通行の五感を蝕む。  
「はう、っ……! んちゅ……むぁ、は――あ……っ。ぅん、……、んく……!」  
 舐めて、吸って、食んで、それらを繰り返しているうちに彼女の唇の端からはだらしなく唾液が零れた。  
 
 好き勝手に掻き回すたびに響く甘ったるい音が、硬骨を伝って一方通行の脳を揺さぶる。  
 喰らうように、混ざるように、溶け合うように、熱を孕んだ体液にまみれさせてぐちゅぐちゅと交わる箇所は、  
こちら側から与えるだけだったはずの恍惚をも知らない間に共有していた。  
 全身でその感触を味わいつくして、それでもなお彼は満たされない。まだ、何かが決定的に足りていない。  
 終わりが見えない焦燥に呑まれそうになる。上手く息が吸い込めず、その思考はとっくに錆び付いていた。  
 一体何をどうすれば、この存在は自分だけのモノになる?  
 模範解答が導き出せない。何もかもが解らない。そんなことはもうどうだっていい。  
(馬鹿げてやがる)  
 いつだって打ち止めは傍らで笑ってくれているのに。  
 それを自ら壊してまで、一方通行は一体何が欲しいというのだろう。  
 全てがごちゃ混ぜになる。心臓を握り潰されるような嫌悪感も罪悪感も、今となっては媚薬と同義だった。  
「うぁああああ、あああっ……、ん、ぁ――ひう……っ!」  
 突き上げる指は二本に増えていた。重い質量が過敏な内部を穿ち、少女の意識を飛ばそうとする。  
 密着した肌の震えからその反応を受け取り、一方通行はさらに追い討ちをかけていく。  
 鈍く粘った音を伴い往復させていた中指と薬指を、奥深くまで無理矢理挿入する。  
 指の関節を内側に曲げ、強く圧力を込める。掌で恥丘全体を包み込みながら、秘唇をぐちゅりと握り込んだ。  
 熱を持った肌のざらついた質感が、赤く充血した花芯を押し潰す。  
 それが彼女に、身を貫くような鋭い刺激をもたらした。  
「っん――ああああああああぁぁ……ッ……!!」  
 背筋がびくんと跳ね上がり、少女は捕らえられた腕の中で震えながら達した。  
 繊細な印象の顔立ちが、悲痛にも似た形に歪む。  
 細い細い鳴き声が途切れてもなお、緩急を描く胸のふくらみは忙しない呼吸音が聞こえる度に浅く上下した。  
 一方通行は愛液にまみれた自分の指を慎重に引き抜く。押し留めるように吸い付いてくる感触を無視して  
指先を抜き取った途端、まとわりつく蜜の熱さを掌に感じ、何ともいえない複雑な感情を掻き立てられた。  
 いまだ息が整わない身体をいっそう強い力で引き寄せると、ぐったりとベッドに横たわっていた打ち止めは、  
空中を彷徨うように弱々しく両手を動かす。やがてそれは一方通行の輪郭に優しく触れた。  
 細い指先が、汗のにじむ生白い額を遠慮がちに拭う。たったそれだけの感触で、鋭敏になった神経が確かに  
少しずつ和らいでいくのだから、我ながらつくづく単純だと呆れてしまう。  
「……平気か?」  
「はあっ、はあ、……。ちょっと、びっくりした……、って、ミサカは、ミサカは、微笑みかけてみる……」  
 呼吸は荒く、笑顔は拙く、限界まで恐怖や苦痛を受け入れておきながら、それでも打ち止めは決して拒まない。  
「……ッ、」  
 慈しむように頬を挟み込む小さな掌の温度にどれほど安らぎを覚えても、触れ合った肌の柔らかさをどれほど  
愛しく思っても、一方通行の思考を衝き動かす熱だけが一向に覚めてくれない。  
 そして――真っ直ぐにこちらを見上げる透き通った一対の眸子に、それが見抜けないはずはなかった。  
「……苦しいんだよね? って、ミサカはミサカは、核心を突いてみる」  
 今までのそれとは違う、静かな感情から生まれた涙が彼女の瞳を濡らした。  
「駄目だよ。ミサカだけ、そんなに優しくされるなんて、意味が無いもん、ってミサカはミサカは訴えてみる」  
「……馬鹿か、オマエ」  
 干上がった喉から出た彼の言葉は、結局それっきりで。  
「あなたが辛い思いをするのは、ミサカ、……嫌だよ、ってミサカはミサカは本心を晒してみたり」  
 精一杯に意思を伝えようと紡がれるもどかしい言葉に、一方通行は何度も絆される。  
「――」  
 彼には、打ち止めのように自分の現状を真っ直ぐに伝えることなど出来そうにもない。  
 だから、代わりに行動で示した。徐に顔を近付け、何度味わっても足りない舌を絡める。  
 酸素を欲して唇を離すと、ぼやけた視界には、懲りずに幸せそうな少女の姿が相変わらずそこにあって。  
 直感は、無意識的にこう告げていた。  
 制御が利かない――ではなく。  
 制御など、最初から要らなかったのかもしれない、と。  
 

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