「はやく、はやくほしいんだよとうま」
舌足らずの甘い声が、子供のような口調で、とんでもないことを言う。
やわらかくてすべすべした脚を割って、彼女の入口に触れる。指先で割り開くと、濡れて張り付いたくちびるが、ぴちゅ、なんてカワイイ音をたてて啼いた。
インデックスは頬を赤くして顔を隠したけれど、手のひらの下の表情はわずかに笑ってるようだった。
「やっらしー」
「とうまのせいだよ」
悪戯っぽく拗ねた軽口をキスでふさぐ。
ぬらぬら光る薄いピンクの肉に俺を押しつけると、素直に力を抜いた。
彼女の中はあたたかく、狭いけれどよく濡れていて、簡単に俺を飲み込んでいく。
「んあ!あっ、あああっ!あっ、あん、あ、とうまぁ!」
彼女の喘ぎをBGMに、めちゃくちゃに腰を動かす。冴えた体に快感が満ちて、頭がぼうっと熱くなってきた。
「して、……わたしのなかに、とうまの、ちょうだい」
涙を湛えた上目遣いで覗き込んでくる仕草の必死さに、胸の痛みを覚えた。
「インデックス!…………イン、デッ、クスぅ……」
「ひああああああああ!っう、あうあ…………んんん」
小さな体をぎゅっと抱き込んで、奥に叩きつけるように吐き出した。
目覚めた視界に広がる浴室の天井は狭く、早くも上がりかけた夏の気温と寝汗のせいでじめじめと生ぬるかった。
ひどい疲労感に満たされた体を起こす。重い頭を掻きながら、凝り固まった背を伸ばした。
ゆるゆると覚醒していく意識が下腹部の不快な感触に気づき、「ソレ」を認識すると同時に、俺にお決まりの台詞を吐きださせた。
「不幸だ…」
普段の三割増しくらい実感のこもった響きが耳に届いて、更に気分を降下させる。
「ちくしょう、なんでよりによって、アイツなんだよ……」
甘い声。ほの赤く染まった肌。うるんだ瞳。俺を欲しがって、乱れた、体。
嫌にリアルな夢は、俺の願望なのか、……はたまた『上条当麻』の記憶なのか。
…………………… 、違う。
違う違う違う違う違う、違う!
ただの夢だ!
男子高校生のあふれ出る性欲が生み出した妄想ですよ!よくある淫夢ですよ!
そう、ただの。
ただの……
「―――― ッ」
叫びだしたいほどの拒否感。ひどい焦燥が胸に迫り、心の芯まで根こそぎ侵して飲み込もうとする。
それを振り払うように、シャワーノズルを捻った。
勢いよく落ちる冷水が、髪を、体を、服を、布団を、タイルを、あっという間に濡らしていく。
「クソッタレ……」
はやく、はやく流してくれ。
汗も、精液も、火照りも、夢の名残も、焦燥も、全部。全部だ。
俺は早くキレイになって、ここから出なきゃいけないんだ。
鍵を開けて浴室から出れば、いつものように清い顔の彼女がはやくはやくと朝食をねだるのだから。