裏切り者。厚顔無恥。恥さらし。
捧げよう。この身は贄だ。堕ちた貴様をさらに地の底へ叩き落とす為の供物。
望みには代償を。罪には罰を、報いを、責苦を。
貴様のものだ、貴様が受け取れ。
憎悪にまみれてギラギラと輝く目が、言葉よりも辛辣に責め立てる。
褐色の肌に汗を浮かべ、黒い髪を振り乱して腰を振る少女が動きを止めた。
少年の太腿の上に座り、立てた両膝をぐっと開く。
脚の間、熱をすかして色濃く染まった恥丘を、大きく開かれたぬかるみを、その柔肉を抉って突き刺さる赤黒いペニスを、
―――― 体液と血にまみれた交合を、見せつけるように。
みっともないものだな、エツァリ。
どこぞの女の為に『組織』を裏切ったくせに。
かつて『仲間』と呼んだイモウトに相手に、なんだ?このザマは。
形良い唇が三日月に歪んで嘲った。
少年は愕然とする。
この子は、こんな暗い目でこんなことを言う子だったか。
違う。彼の知る彼女は、こんな。……こんな?
くつくつと笑みを漏らして震える裸の肩。うねる黒髪の先から、一滴の汗が落ちた。
それが小さな女の子が泣いているように見えるのは、自分の目が曇っているだけなのだろうか。
薬に侵された頭は重く、うっすらと靄がかったようだ。思考は混濁し、確かな形を作る前に拡散する。
わからない。……わからない。
ぐ、ぐ、ぁ……っん、ん、う、ぐぅ
……っふ、無様、だなッ、醜悪だ、な、ぁ、エツァリ!
ふ、は、はは、わかるか?
私の、腹の中で、びくびく、震えて、大きくなってる!
こんなに、ッ、簡単に、快楽を、貪ってるぞ?
心に、決めた女? っは、ぁ、笑わせる。
汚れた舌でどれだけ高尚なことを言ったって、どうせ、
―――― どうせ貴様なんて、こんなものなのだろう?
律動を再開した少女が、荒い息を零しながら詰る。彼女の俯いた顔は、長い前髪が表情をくらませ、窺がうことが出来なかった。ただ、少年の腹に手を置いて、罵倒しながら健気なほど腰を動かしている。
粘膜と粘膜が擦れあって、擦れあって、擦れあう。
心身のやわらかいところをぶつけあって、内側から削りあっているような心地がした。
少年を焼く焦燥に反して――または呼応するように――性感が熱をあげる。強烈な高揚が、全身を駆け巡る。びりびりと渡る快楽は、悲鳴のように残響する。
……ああ、あ、ふ、ふふ、ふ、すご……い、すごい、すごいいぃ
ふ、はっ……どんどん、あふれて、くるっ、あ、あうう、っくぅう
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エツァリ、
エ、 ツ、ぁリ
エ、ツ ぁ リぃ
え つァ、り お兄 ちゃ ん、
え つぁ、り お、 に い、 ちゃぁあ ん
ああ、望みの為に置き去りにした世界が、少女の形をして駄々を捏ねているようだ。
白濁し陶酔した頭で、男は残酷な余韻に酔う。