何故こうなったのか上条当麻には判らない。
いつもの様に御坂美琴に挑戦されて、いつもの様にのらりくらりと逃げおおせる予定が、どちらにとっての不幸なのか美琴が地面に転がっていた空き缶を踏みつけて盛大に転んだ。
慌てて駆け寄った上条に「ちょっと捻っただけ」と言い、苦笑いしながら立ち上がろうとする美琴だったが、彼女が思っていた以上にダメージは深刻で立ち上がる事が出来無い。
まさか骨折――そう思った時には上条の体は動いていた。
地面に片膝をついたままの美琴をひょいとお姫様だっこに抱えると、嫌がる少女を「大丈夫だ。俺を信じろ」と黙らせて、馴染みともなっているとある病院に駆け込んだ。
運び込まれた時には、美琴は顔を真っ赤にして息も荒い状態になっていた。
医術に関して全くの素人である上条は心配する――もしや頭でも打っていたのかと。
結局はただの捻挫だったが上条には知らされず、今日は大事を取って入院する事にした美琴はストレッチャーの上、まだ心配そうに見守る上条の手を握ると途切れ途切れに「きょ、きょうだけ、そ、そばに、いて……おねがい……」と零した。
自分にも責任が有る――上条は即座にその願いを受け入れた。
何処までも甲斐甲斐しく美琴の世話をする事暫し、消灯時間の早い病院故、直ぐに寝る時間となってしまった。
寝る時間……ぞの筈だったのに……。
ベッドの上には全裸の美琴が横たわっている。
そして、その上に覆いかぶさる様にしている上条も全裸だ。
上条は恥ずかしそうに胸を隠す様に組んだ美琴の腕を掴むとそっと解く。
すると、そこには未成熟な二つの膨らみと、その頂きで自己主張するピンクの先端が顔を表した。
その様に上条がごくりと喉を鳴らす。
「やっ」
美琴は、今以上に顔を赤らめて更にその顔を見られまいとするかの様に背けた。
「嫌か? 嫌なら止め――」
「ここまで来て止めたらアンタを第一宇宙速度でぶっ飛ばす」
先程の消え入りそうな声を上げた少女とは思えない、低くドスの効いた声に上条は内心うへっと首をすくめると、
「じゃあいいんだな?」
すると美琴は、零れんばかりに目を大きく見開くと再び顔を背けて、
「な、なんでアンタは……そう……なの……」
「へ?」
上条の間抜けな相槌に、美琴は唇をもごもごと動かした後、「す、好きにすればいいじゃない」と小さく言葉を漏らした。
「お、おう」
そう短く返事を返した上条は、今、自分の下で小さく震えるこの少女が愛おしくて愛おしくて堪らなくなった。
そのリビドーが彼の残りの理性を押し流す。
上条は、震える唇を開いて少し舌を突き出す様にすると、先程露わにした胸に容赦無くかぶり付いた。
「ぃぅ」
「痛かったか!?」
悲鳴に慌てて顔を上げた上条に、美琴はブンブンと首を横に振る。
「じゃあ嫌だったか?」
その質問にも美琴は首を振った。
どうやら大丈夫ではあるらしい。
その事に上条は内心胸を撫で下ろすと、今度は慎重に、美琴の顔を見上げながら、先程かぶり付いた先端にぺろりと舌を這わした。
「ひっ」
美琴の身体が跳ねる。
もう一度舐めると同じ反応が返って来た。
今度は恐る恐る膨らみごと口に含んでみる。
「――――っ」
美琴の押し殺された声を聞きながら、口の中にあるものの弾力を確かめる様に唇に力を込めた。
「ん」
そしてその唇をもごもごと動かす。
「ん、んん、ん、ん」
すると先程舐めていた先端が口の中で大きく硬くなった気がして来る。
上条は迷わずそれを舌の腹で押しつぶす。
「ひあっ」
小さな悲鳴と共に美琴の身体が海老反りになる。
今度は窄めた舌先で柔肉の中に押し込んでみた。
「あっ、あふっ、ふ、んっ」
そうやって暫く口の中で先端を弄ぶと、美琴の身体から徐々に力が抜けて行くのが、捕まえていた腕から伝わって来る。
上条は、そっと腕の拘束を解くと、自由になった手でそのままにされていたもう片方の先端を摘まんだ。
「ああっ」
美琴から抑えきれないかのように大きな声が上がる。
気が付けば息をするのも忘れてずっと膨らみに吸い付いたままだった上条は、一息つこうと顔を上げようとした。
だが、
「うぷっ!?」
その頭に何かが巻き付いて来て、上条は元の位置に押し戻された。
「や……もっと……」
頭の上から甘ったるい声が聞える。
そしておねだりする様に髪を掻き回す美琴の細い指が何だかこそばゆい。
上条は、ふっと小さく息を吐くと、頬に触れる固いものを再び口に含んだ。
「はあっ!」
隠しもしない美琴の嬌声に、上条は先ほどよりも強く柔肉を吸った。
「あふっ!」
更に手の中にあるもう片方の柔肉に、グイッと力を込めながら親指の腹で先端を半分の厚みにまで押しつぶした。
「ひっ! きひっ、んんっ!」
悲鳴と共に上条を掻き抱く美琴の腕に力が入る。
そんな美琴に、
(もっとか――)
上条は心の中でそう呟くと、白い歯を柔肉に突き立てた。
「んんんんんんんいいいいいいいいいいいいいい――」
言葉にならない声と共に美琴が四肢を突っ張らせる。
そんな姿に上条は、追い打ちをかける様に咀嚼でもする様に顎を動かしたのだ。
歯と歯の間が狭まる度に、柔肉に芯でもあるのかコリコリとした感触が返って来る。
「あ、ひぎ! だめ、たべ、ちゃ……、ひぎぃぃ……、だっ、あ゛あ゛っ! めれぇ……」
途切れ途切れに声を発し、噛締められる度に顎をのけ反らせる。
そこで上条は口を放す。
「はあ……」
美琴の口から安堵に似た溜息が漏れ、それと共に弛緩した様に上条の頭から絡み付いていた腕が滑り落ちる。
上条は、そこで自分が美琴にした行為を目の当たりにした。
真っ赤に充血した膨らみは、丸く赤い円を引いていた。
ぬらぬらと光る頂きがツンと天を向いている。
その先端に上条はキスをした。
「あん♪」
そして次の瞬間口を大きく開くと……歯を立てた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」
もう片方も指の腹でギュッと押しつぶす。
「ひいっ!?」
そしてグイッと頭と手を同時に引いた。
「はい!」
「はい、何ですか御坂さん」
胸の辺りまで毛布をぐるりと巻いた美琴が手を上げると、上条はそんな彼女を指差した。
そんな上条は素っ裸で床に胡坐をかいている。
「アンタはやり過ぎだと思います。お、おお……」
「何だよ? 早く言えよ」
急に顔を真っ赤にして黙りこんだ美琴に、上条はしれっとして言葉を促す。
すると、美琴はキッと目じりに涙を浮かべて側にあった枕を投げつけた。
「ぐほっ!」
「取れちゃったらどうするつもりだったのよ!! ふ、ふた、ふた……」
「フタ?」
「違う!! 二つしかないのに!! それを二つとも引っ張るなんてどう言うつもりよ!!」
鍋を開ける様なジェスチャーをした上条に向って美琴はありったけの声を上げた。
すると上条は、うぐっと大きな塊でも飲み込んだ様な顔をした後、
「ご、ごめん」
「それだけ?」
「わたくしめ調子に乗りました。申し訳ございません御坂様」
すぐさま土下座を返した上条の尻が目に飛び込んで来て、美琴は慌てて眼を逸らす。
そして、そのまま苦虫を噛み潰したような顔をする事暫し。
「……よね」
「へ?」
ぼそっと呟く様な声に上条が顔を上げると、美琴はまたも耳まで真っ赤に染めて、
「せ、き、に、ん!! 取ってくれるんだよねって言ったのよこのとうへ……ん……」
怒鳴るつもりが、ぬっと立ち上がった上条に言葉が遮られる。
「責任を持って続きは今度こそつつがなく」
「ぅ……よろしく」
上条には何故こうなったのか理解出来ない。
それでも彼は止まらない。今、止まるべきではないと思うから。