草木も眠る丑三つ時。
わずかばかりに入り込む月明かりが、上条当麻の自室を静かに照らし出していた。
今はもう照明が落とされた真っ暗な部屋から漏れ出すのは、悩ましげな嬌声。
床に、ベッドの端に、テーブルへもたれ掛かるように俯せになった少女達。
一人は今も、上条の『上』だ。
皆一様に一糸纏わぬ姿で、その中心に上条はいた。
「ひっ…!? ぁ、アッ…く…あぁぁ!?」
少女のツインテールが幾度となく中を舞う。
強すぎる快感に表情はとろけるかの如く歪んでいた。
「…と………ぉっ、まァ! …当麻ぁ!!」
譫言のように少年の名を叫ぶ。
その度に少年はそれに応えるかのように挿入の速度を上げる。
「…黒…こ……ッ…」
二回目に名前で呼んでほしいとせがまれた。
あぐらをかいた上条の上に、跨がるようなポーズで腰に足を絡める白井。
遠慮も躊躇もなく少女の淫唇を貫く。彼女のそこは薬のおかげもあってか、かなり馴染んできていた。
「…ぁ、っ…あぁ……ひぐぅ…!?」
とはいえ初めてで気絶させられるほどの快楽を得られるものである。馴染んできたとはいえ、そう簡単に馴れるものではない。
「黒子…どうだ…っ?」
白井の腰を掴み、その一番奥に何度も何度も男根をたたき付ける。
「………ぃ、っ…ぃい…っ!! で…ぉ! つぉ…んっ…ぃぃッ…こっ壊、れひぐっ!?」
きつく上条に腕を巻き、必死で少年に抱き着く白井。
気を抜けば飛んでしまいそうな意識を、少年のニオイを感じることで何とか繋ぎ留めていた。
「…あっ…あぁ、ぁ……んんん〜ッ!?」
「…くっ、ろ子…!」
抱きしめながら、抱きしめられながらも二人の腰は妖しくうごめく。
互いを求め、汗を浮かべながら、それでも様々な体液に濡れた裸体を必死で捕まえる。
「……ひぁ!? くる……きます、わ…っ! とぅ…ま…ッ…!」
一際高く少女が鳴くと同時に、
「…あっ、あぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
膣内が激しく痙攣し、そして収縮した。
「…う、ぉ…!?」
その締め付けに思わず呻きを上げる上条。吐精を堪えようとした刹那、
「…くっ!」
甘美な腰の疼きに耐え切れず白い欲望を少女の膣内へ吐き出してしまった。
「…ぁ………ぁぁ…っ…ぅ…」
絶頂の余韻と胎内に感じる少年の熱さに、とろけた表情を浮かべる白井。
「……ま…また、ナカに…」
くたり、と少年に体を預けながら呟いた。
「わ、悪い…」
「…謝らなく、とも。…一回も二回も三回も、…一度でもナカに出してしまえばおんなじことですわ…」
何となくバツのわるそうな顔の上条に、とろけたまま愛おしそうな視線を向ける。
「……黒子…」
「当麻…」
その視線に真っ向から向き合い、自然と顔が…局部的に言うなら唇がゆっくりと近づいていく。
「…ん…んふ、ちゅ…」
軽く唇を合わせ、あっという間に舌を絡ませ始めた。
「……ぴちゅ…んぷ…はぁ、……」
すっ、と上条がのしかかるように体を動かし、
「黒子……ん」
とろとろと唾液を白井へ流し込んだ。
「…ぁ、はぁ……く…んく…っ…」
必死に唾液を嚥下し、流し込むと共に差し込まれた上条の舌に思い切り吸い付く。
「…ぢゅちゅっっ…ちゅぅぅ…ふ、っ…」
「……ん、んん…」
「…っぷ…ぁ…」
一つになっていた影が離れると、二人の間には月明かりに揺れる銀色の橋がかかった。
やがて音もなく橋が崩れると、互いの瞳るを見つめ合う。
ゆったりと広がる二人の世界。
しかし、永遠に続くかと思われたその世界は、目覚めたばかりの黒髪少女によってぶち壊された。
「……。ねぇ…」
突如として上条の背中にそこはかとなく柔らかい何かが押し付けられ、
「おわぁっ!?」
飛び上がらんばかりに驚く上条少年。
慌てて背後を確認しようとして上がった、
「……。二人だけで楽しむのは。ちょっと。ズルイと思う…」
少しだけ不満げな少女の声。
「あああ秋沙!?」
さっきまでのピンクな空気はどこへやら。バタバタとあわてふためく少年。
いい雰囲気を壊された(白井的主観)白井は、少しムッとした表情で、
「そんなこと言われましても、皆さんお休みだったのだから仕方さんないと思いますが…如何ですの?」
そもそも上条がみんな『お休み(正確には気絶)』するまで激しくしたのが原因なのだが。
柔らかい感触がわずかばかり上に動き、軽い加重が肩にかかる。
「…別に。…それについてはいいんだけど…」
するりと腕が胸の前で合わさり耳元で囁くように姫神は呟く。
それに伴い、少女の長い黒髪がはらりと滑り落ちた。
くすぐったいようなむず痒さが走るのと同じくして、白井とは違う姫神のニオイを感じる。
(……………っ)
思わず息を呑んだ。
何かと激しいことをした上条だが、体験しようがしまいが女の子のニオイや感触にドキドキしてしまうのは当然のことである。
まあ、しなくなったら色々とオシマイな気もするので全身全霊全幻想殺しをもって拒絶したい。
それが幻想殺しで殺せるかは定かではないが。
それはともかくとして。
「…ちゅ…ぁ…ね。当麻くん…私にも。して?」
軽く耳たぶを甘噛みされたり、首筋に舌を這わせられながら言われて誰が断れようか。
「わたくしもまだまだイケますわ…」
ふらつく下半身を四つん這いになることで支えながら上目使いに迫る白井。
改めて見た少女の華奢な体に、思わず喉が鳴る。
少年が白井を見つめて呆けたのが気に入らなかったのか、
「当麻くん…」
「…ぉわっ!? ………ん――!」
「…れる。…ちゅっ…ぷぁ…。…私が誘ってるのに。他の娘に見とれないで…」
拗ねたように言うがその瞳はとろんとして、熱っぽい。
「あぁ…」
今度は姫神の瞳に魅入られてしまう。
「…当麻く……ん――」
「ちゅ…あい、さ…ぢゅ…ぷ…はぁ…んん…」
軽く姫神を引き寄せやわらかく唇を重ねたのもつかの間、にゅるりと上条の舌が口の中に割り込んだ。
「……ぇろ…ぢゅっ…んん、ふぅ…」
「…ぅぁ…くぅ…んふ…ちゅ、ちゅぅ…」
くっついたり離れたり、影が二つになるたびに妖しく蠢く舌がなんともいやらしい。
「むぅ…ですわ…」
いつの間にか一人蚊帳の外だったりする白井嬢。
どうにかして上条をこっちに引き寄せたいのだが、異常に割り込みにくい空間が発生しているように見えて気が引ける。
というか姫神はこの空間をブチ破って来たのか。
ただ、このまま黙って引き下がるのは絶対に嫌だ。
好きな人とイチャイチャしたいと思うのは、自然な流れではなかろうか。
で、その自然な流れで上条を見つめていたら、(性的な意味で)とても自己主張の激しいものを見つけてしまった。
少年の足の付け根、すなわち股間部に。
少し前まで白井のナカで頑張っていたそれは、さっきまで萎びて白いものを纏わり付かせながらくたっとしていたはずだ。
だがそれは元気ビンビンに天を目指していた。
大方姫神との激しいキスで、さらにエロい気分になったために復活したのだろう。
薬の効果もあるとはいえ、恐るべきタフさである。
「…………」
上条も姫神もキスに熱中していて白井のことなんか眼中に無い。
ある意味この状況はチャンスではなかろうか。
そろりそろりと上条に四つん這いのまま近付く白井。
テレポートすれば早いのだが、気付かれる前にという思いが先走ってすっかり失念しているようだ。
あと30センチ。
じわり、さらに近づく。
あと20センチ。
小さく口を開けて。
あと10センチ。
ゆっくりと手が伸びる。
あと5センチ。
逃がさないように。
あと…、
「…んぁむ…」
ぱくり。
そんな擬音が聞こえてきそうなほど勢いよく、白井は上条の肉棒にしゃぶりついた。
「ん! んふぅ!?」
何事か、と慌てる上条。
しかししっかりと姫神に顔を手ごと拘束されているために確認のしようが無い。
「んふ♪」
動けないのを確認し、思わず舌なめずりをしようとする白井。
だが、当然のことながらそのピンクの舌は唇を舐めることはなく、くわえ込んだ上条のそれを舐めあげるかの如く動いた。
「…んんー! ぢゅっ、…ちょ! ま、まっ…んぷ…」
必死でもがく上条少年。
「…んぢゅっ…ちゅぅぅ! ふっ、んんー…」
吸い上げながら亀頭をなぶり、鈴口をえぐる
「………ふ。ぅん…ぷあ。…ねぇ。…どうしたの?」
腰を引き攣らせながら悶える上条にようやく疑問を感じた姫神が唇を離しながら問うた。
「…ぅ…あぁ…」
しかし上条は耐えるような呻きをあげるばかり。
因みにあの薬、女性だけの感度が上昇するわけでは無い。男性にもその効果は見られるのだ。
それ故に、
「…んっ…ンっ…ぅんっ…」
上条にとって普通でも十分に快感を得られる部位を薬の効果が持続している状態で攻められればどうなるか。
想像に難くないだろう。
とはいえやはり女性に比べれば劣るものがあるのも、確かなのだが。
「…く…こ、…そっ、それ以上は…!」
言葉と共に、一際大きく上条の肉棒が跳ねる。
「…ん…ぶぅ!? んんん! …っく、こく…ぢゅ…ぇろ…」
「…………ぁ……ぅ」
堪える間もなく溢れ出した白い欲望。
快楽にとろけた声が漏れそうになるのを歯を食いしばることで必死に耐えた。
「…っぁ…うふふ…ごちそうさま、ですわ」
ちゅぽん。
妖しく微笑みながら白井の唇が離れた。
口周りに残った残滓を指で集めて、しゃぶる。
「……ずるい…」
そんな白井を半眼で睨みながら呟いた姫神。
「……。えいっ」
白井が離れたのをいいことに上条を引き倒す。
「…ぁ…………お?」
そしてどかっと馬乗りになった。
「…ナニゴト?」
射精の余韻に浸っていたらしい上条は、無理矢理引き戻されて目をぱちくりさせる。
「…。………制裁?」
「何気に不穏なお言葉を何故に疑問系!?」
短く答えた姫神は、上条の悲鳴を気にした様子もなく、腰を前後に動かした。
「ぁぅ…あ、あの…姫神さん?」
姫神の跨いだ場所は若干小さくなった少年のイチモツ直上。
今はぺたんとした状態のまま少女の割れ目に挟まれている状況だ。
ただ、今の少年に見えているのは姫神のしっとり髪の張り付いたどこと無く淫靡な背中と、きゅっと引き締まったお尻だけなのだが。
ぬちゃり。
粘性の高い液体がいやらしい音をたてた。
少女が腰を動かすたびにその音は高く、激しくなっていく。
「…っ…ね。…元気になった?」
器用に足だけで身体を揺らす姫神が、絞り出すように言った。
この『元気』がどれにたいしてのものか、深く考えるまでもないだろう。
先程の一回がまるでなかったかの如く、硬度を取り戻した上条の肉棒。
姫神に押さえ付けられて少々痛いくらいだ。
「…っ…ふふ…。ぁっ…大きく…なった。ね?」
自分の性器で硬くなる様を思う存分味わっていた姫神の動きが、さらに熱っぽく大胆になった。
「…ん、…あっ…ふ…ぅんっ…」
臆面もなく、歓喜にだらし無く開いた口から喘ぎ声が漏れる。
普段あまり能動的でない少女が快楽に溺れる様に興奮しない男がいるだろうか。
断言しよう、否であると。
「…秋沙…」
ぽつり、上条が呟いた。
今の行為を止めるようにと、もう一つ。
次の行為に移ることを伝えるかのように。
「……ん。…」
姫神は、把握したと言わんばかりに首だけ振り向いて上条に微笑みかけた。
すっ、と立ち上がり体を反転させる。
そして、
「…とうまくん…見て。…」
仰向けになった上条によく見えるよう、
くぱぁっ、
と粘つく性器を押し広げて見せた。
その拍子に零れ落ちる少年と少女の体液が混じり合った粘液。
「…ぁ…。…零れちゃった…」
滴る液体を太腿に感じながら、少女は言う。
「また注ぎ込んで…気持ち良くさせて。…ね?」
「………私が上? …。になるの?」
「あぁ、折角だからな。姫神が動いてくれよ」
いざ事に移ろうとした時に、上条はそう提案した。
「うん。わかった」
別段、拒否する理由もないので素直にそれに応じる姫神。
小さく上条は頷くと、その視線をつい、と部屋の隅っこに向けた。
「…あと、部屋の隅っこで体育座りしてる黒子。挿れてやれない代わりにいろいろしてやるからこっちにこいよ」
文字通りのポーズだ。