それは何の変哲もなく代わり映えの無い日だった。  
何かの記念日でもなく特別なイベントがあったわけでもない。  
夕日がビルの隙間に沈みゆくのが垣間見え、少年達が盛り場を練り歩き  
清掃ロボットが軽快に動いては学生の落としたゴミを集めていく。  
上条とインデックスが歩いてる街並みはそんないつも通りのごく見慣れた風景だった。  
 
一つ違った出来事と言えば買い物の途中に寄ったレンタル店にて  
インデックスにせがまれ上条が和製ホラーの映画を借りたぐらいのことだろう。  
「大丈夫なのかよ。怖くて眠れなくなってもしらねーぞ」  
「ふふーん。馬鹿にしてもらっちゃ困るなー、私はこういうの怖くないんだよ」  
と、言う風に余裕のインデックスだった。  
どうやら禁書目録には幽霊や魔物の知識も豊富なためらしい。  
だが帰って夕飯を食べ終わり映画を視聴してみると上条はまあ怖いかなと思うぐらいなのに  
インデックスはほんの十数分ほどであっさりと恐怖に負けてしまっていた。  
途中から翠の瞳は揺れはじめ、じりじり少しずつ上条に近づいては  
背中の影に隠れながら見るようになり、途中一人でトイレに行く事すら躊躇する有様だ。  
 
どうやら怪物がいっぱい出てくるタイプのパニックホラーは平気だったらしいが  
日本のじっとりとした足元から忍び寄ってくる(比喩ではなく)タイプのものは苦手だったようだ。  
見終わった後もインデックスはちょっと泣きながら愚痴っている。  
「魔術も使わずお化けが出てくるなんてありえないもん」  
禁書に満載された死者を扱う魔術の知識で否定しようが怖いものは怖かったのだ。  
「つーか魔術で幽霊呼び出せるのかよ。ホントオカルトだな。  
 そういえば幽霊って存在するのか?俺の右手で幽霊消せるのかよ?」  
上条は右手を見ながら問いた。  
「いるし消せるよ」  
即答するインデックス。  
 
「マジですか」  
魔術もあるなら、幽霊がいてもおかしくないが微妙に納得しにくい上条。  
「うん、正確に言うと死者の魂を呼び出したり死体を操ろうとすると  
 どうしても魔術が必要なわけだから、とうまの右手に触られたら  
 魔術の繋がりと束縛が壊されちゃって、幽霊は天に召されるし死体はうごかなくなっちゃう」  
「……おー」  
考えた事のなかった発想に上条は唸る。ホラー映画に出たら台無しの登場人物だ。  
「じゃあ魔術じゃなくて心霊スポットみたいなとこに出る幽霊はどうなんだ? 魔術じゃないよな」  
「そういう場所は風水で言うと鬼門や悪い気の溜まりが原因なんだよ。霊道ができちゃってるのかも。  
 それもとうまなら消せるんだよ。よい気も一緒に消えちゃうけど」  
「ああ、そうだよな……」  
最後のはあまり聞きたくない情報だ。  
「あとは模様替えすれば悪い気も溜まらなくなるかな」  
そういって上条の苦悩を気にもかけずインデックスは話を切り上げた。  
 
なにはともあれ、映画を見終わり夜も更けてきた頃  
寝る準備を終え、いつものように上条が風呂場で寝ようとしたら  
「えっとね、とうま、私は怖いってわけじゃないんだけどね、全然怖くないんだけど!  
 でもね、とうまがもしも怖いって言うんだったら一緒に寝てあげてもいいんだよ?」  
結局、インデックスは魔術知識があっても映画の怖さを抑えきれず  
灯りを落とす事すらできなかった。  
潤んだ目をしながらも無意味に強がってシャツを引っ張るのを  
上条が拒否しきれなかったのはしょうがない事だっただろう。  
 
上条は薄いシャツと短パン、インデックスはピンクのパジャマを着てベッドで横になっていた。  
「一緒に寝るのはじめてかも」  
「ああ、そだな」  
そわそわと嬉し恥ずかしそうなインデックスに背を向けて、壁を見ながらぶっきらぼうに答える上条。  
「とうま、私の顔を見たほうがきっと怖さが紛れて安心するんだよ」  
そう言われても向けなかった。  
いつも近くにいるインデックスなのだがベッドで一緒に寝るという少々特殊な状況に  
健全な高校生男子である上条は不必要に意識してしまっている。  
ベッドはベッドで毎日インデックスが寝ているためか普段はそれほど感じない  
女の子の匂いがシーツからただよっているのがわかりすぎるぐらいわかる。  
インデックスの一緒に寝ようという発言に一人じゃ怖いから以上の意味などないのも  
わかっているが女の子と一緒に眠るシチュエーション自体に慣れてはいないのだ。  
 
「むむ、とうまったら!」  
不満そうなインデックスは背を向けた上条の右腕を取るとえいっと引っ張り抱き締めた。  
「ぬごっ……!」  
横寝の上条が九十度回って仰向けになる。と同時にインデックスに抱かれた右腕が  
微妙な、けれど確かに柔らかいふにっとした感触に触れた。  
「わ、わかったから離せって!」  
向き合う体勢になり腕を離したのに感触の残滓が腕にこびり付いている。  
同時に腹の奥がきゅぅっとくる感覚に囚われて  
(上条さんはそんなこと考えてませんよ!)  
頭の中に別な想像を思い浮かべて耐えた。  
もしも添い寝してるのが青髪ピアスのインデックスだったら……  
 
「とうま、何か失礼なこと考えてない?」  
ぷんぷんとインデックスは頬を膨らませた。  
「いやいやいや、お前の後ろになんかいるのが見え――」  
誤魔化そうと適当に言った台詞を  
「きゃあッ!!」  
悲鳴に塗り替えられインデックスが上条へと身を寄せた。  
「お、お化けなんていないよね?とうま」  
「……っ!」  
上条は答えられない。  
 
胸の中のやたらと小さくてあったかく柔らかいインデックスの肢体に  
全身が硬直してしまった。  
二人の使っているシャンプーは同じ種類だ。  
なのに香料混じりの髪の匂いは上条とは全然違い嗅ぐだけで頭の中がぼおっとしてくる。  
後ろが気になるけど怖がって振り向けないインデックスは抱きついているのと  
変わらないぐらい密着してきて上条の主張しているものがパジャマ越しにお腹へ触れて疼きを訴える。  
インデックスは怖さで硬いものには気づいていない。  
だから上条の身体で怖さを誤魔化そうとスリスリと身体を押し付け擦ってきて  
無意識に男の象徴を刺激してしまっていた。  
 
「すまん、インデックス……滅茶苦茶近いつーか……」  
「えっ……きゃあああッ!」  
言われてほとんど、というか完全に抱き締めている形に  
なっているのに気付きパッと離れる。  
「えっとえっと、私はそんなつもりじゃないわけで、あくまでも  
 そのとうまが怖くないようにという聖母様のような気持ちであって  
 振り返ってみるとなにかお腹に硬いものが当たったり当たってなかったり!」  
少しばかり腰が引けたままわたわたといい訳を繰り返すインデックス。  
その慌てる様子を見た上条はどこか落ち着いてきたのか  
「悪い、嫌な思いさせちまったな。お化けなんてお前の言うとおり出ない。  
 もし出てきても俺の右手で蹴散らしてやるから」  
そう言って目が回ってしまいそうなインデックスの頭を右手で撫でて立ち上がった。  
いつも通りユニットバスというベットへ戻ろうとした時  
 
「ま、まって」  
インデックスは立ち去ろうとする上条の手を握った。  
まだ瞳には混乱の色が残っているが思わず手が出てしまったのだ。  
上条は掴まれたまま動けない。  
「えっとね、とうまが、その……」  
インデックスの目線が上条から逸れて宙を一時さ迷う。  
握った手は離さないまま顔を俯かせ  
「エッチなことしたいならいやじゃないかも……」  
頬を朱に染めながらも小さく呟いた。  
 
(インデックスさん、どうしちゃったんですかーッ!)  
実の所上条は落ち着いたわけでもなんでもなかった。  
思春期男子高校生の脳内にあるわずかな自制心を振り絞ったのが先ほどの言葉なのだ。  
こんな場面でも落ち着いている俺カッコイイーなどと自画自賛して余裕を保っただけなのだ。  
だがそれもインデックスに手を握られては霧散し彼方へと散った。  
続いた言葉で理性は湯気上がり蒸発してしまう。  
一方インデックスは悪口を言われたらすぐに怒るし、理屈が合わないと思えば即座に反論して  
言葉を受け流すなんてできやしない少女だ。  
だからこそ上条の『嫌な思い』などと言う発言は看過できるはずがなかった。  
よりにもよって上条に、とうまに言って欲しくない思ってもほしくない言葉なのだから。  
とはいえ恥ずかしさで鼓動は早まってインデックス自身も顔が火照っているのがわかるぐらいだ。  
 
「インデックス……お前何言ってるのかわかってるのかよ……」  
インデックスが欲しくてしょうがないのに及び腰で問いかける上条。  
「子供扱いしてほしくないんだよ。とうまじゃなきゃやだもん」  
上条に単純だからこそ譲らない想いをぶつけるインデックス。  
きっとそれは少年と少女の、男と女の勇気の差だ。  
 
長い時間ではなかった。  
見詰め合った二人の距離が繋がった手の平からゆっくりと縮まっていき、腕と腕がゆっくりと絡みつく。  
そのまま背中へ回され、顔がくっつきあいそうになってから自然と止まり抱きしめあった。  
「あのね、とうま。私はとうまと一緒にいたくているんだよ。  
 さっきは少し驚いたけど、とうまに私の気持ちを勝手に  
 否定してほしくないし、そんな風に思われたくないんだから」  
「悪かった……」  
よろしいとインデックスが上条の頭を子供にするよう抱いたまま撫でる。  
「……ん、とうま大好き……」  
「…………」  
返事はすぐにできなかった。  
その言葉が嬉しくてしょうがないからこそ上条の心に影が落ちる。  
過去が、失われた記憶が、インデックスは今のお前を好きなわけではないと苛んでくる。  
しかしそれでもインデックスと離れたくなかった。抱き締めていたかった。  
それは欺瞞で自分を騙し肉欲に囚われた邪な愛情かもしれない。  
でも今この手を、この身体を、離してしまったらインデックスへまたも嘘を重ねてしまう。  
 
上条は思う。人の心とはどこに在るのか。  
理屈で考えれば思考と記憶を統治する脳の中にあるのだろう。  
けれどインデックスへの想いは、溢れ出しそうな愛しさは  
頭ではなく胸の奥からこそ沸き上がってくる。  
だったら失われた記憶なんてどうだっていい。  
不確かな記憶よりも確かな胸の答えにこそ耳を傾けたい。  
きっとそれこそが上条のもっとも信じれる自分自身なのだから。  
 
(俺は……俺はインデックスが好きだ! 抱きしめたい!  
 ああ、そうだ。例え今の俺がインデックスの知っている俺じゃなくたって  
 それを俺が馬鹿みたいに気にしてるからって! そんなのてめえの都合じゃねえか!  
 そんなもん、インデックスの想いに比べたらなんでもねえ!  
 一緒に生きて。一緒に暮らして。今の俺を選んでくれたのに俺自身がぐたぐた言っててどうする!  
 上条当麻はインデックスを愛していて抱きしめるだけじゃ飽き足りない!!  
 俺がそれを否定するというならそんな上条当麻は記憶ごと丸めてゴミにでも捨ててしまえ!上条当麻!)  
 
上条当麻が上条当麻に宛てた心の底からの叱咤。自分自身を裏切るな。  
 
無言でいたためか、少し不安そうな顔をしていたインデックスに胸が締め付けられる。  
自分がそんな顔をさせたかと思うと怒りすら沸いてくる。  
「インデックス……俺だって大好きだ」  
花が咲いたようにインデックスの頬に朱がさし笑顔になった。  
想いを伝えたくて腕にすっぽりと収まってしまう小さな身体を強く、強く抱き締めた。  
「とうま、ちょっと苦しいんだよ……」  
でも嫌ではない様子に腕の力を緩めるとはぁっとインデックスが息を吐いた。  
「……でもぎゅってされるのあったかくて気持ちいいかも。ねえ、とうまも気持ちいい?」  
そう微笑みながら上条を抱き締め返す。  
「俺もインデックスが暖かくて気持ちがいい」  
「嬉しいな」  
言葉通りの表情でインデックスは抱擁してくる。  
(……思い返してみれば偶然やトラブって、抱きつかれたり抱き上げたりはしても  
 こんな風に誰かと抱き合った覚えがないんだよな)  
家族と触れ合った子供の頃の記憶を失った上条には初めての感覚だった。  
同じく記憶を失っていたインデックスも初めてだった。  
初めて同士の二人は好きな人と体温が混じり合う安心感と幸せにただ抱き合い酔う。  
 
「とうまぁ……」  
上条が力を入れすぎないよう子猫の感触のインデックスを抱いていると  
どこか甘く囁くよう名を呼ばれた。  
聞いた事のない色香を含む響きにしばし忘れていた男の欲が鎌首をもたげる。  
そもそも高校生の少年が好いた少女と抱き合っているだけで我慢できるはずもない。  
「インデックス……」  
渇いた呼び掛けは飢えているよう。  
「とうま?」  
胸板に押し付けていた顔をあげたインデックスの瞳はどこか濡れて輝いている。  
「わりぃ、我慢できねえ」  
膝立ちで抱き合ったままの体勢は変わらずに上条の両手がインデックスの背を滑る。  
下へ動いた手は薄いパジャマの布地越しに小さくも柔らかいお尻をまさぐった。  
 
「ひゃぅっ……!」  
小さいお尻に指が食い込んだ。  
揉みこむように手が踊り形を好きなように変えていく。  
「んぅ……と、とうま……」  
インデックスは上条の胸板に顔を押し付けて喘ぐ。  
荒々しい指先の一本一本がぴりぴりと感じた事のない感覚を伝えてくる。  
「ま、まってぇ……」  
制止は上条には通じず、むしろ声の甘さがより興奮させてしまっていた。  
揉むだけの動きが円を描くとインデックスのお尻と膝がびくっと震えて  
薄いお尻の肉に沈んだ指がインデックスの性感をじっとりと高めていく。  
「んっ、あっ、んぅぅっ……くすぐったいんだよぉ……」  
(すげぇ柔らけぇ……!)  
小さめのお尻を好きにする愉悦。  
握った指から柔らかい感触と心地よい反発が伝わってきて気持ちがいい。  
プリンの溶け崩れる柔らかさとゼリーのプルプルとした弾力を併せ持つ  
インデックスの身体を上条は両の手で玩ぶ。  
「あっ、あ、んああっ…………!」  
(インデックスが感じてるんだ)  
艶めいた喘ぎに心中で呟くと手の動きに別のパターンを乗せた。  
指圧するかのよう指を押し込みゆっくりと少しずつ擦るように動かせば  
インデックスは上条の腕の中で仰け反って未知の快感を受け止める。  
「あっ……!あっああっ…………!」  
両の指先が鉤爪の形になり、お尻の肉の奥底までを掘り返すよう責めていく。  
「んんぅぅっ……!と、とぅまぁ……」  
腰近くから太腿付近までをたっぷりと擦った所でようやく手を緩めた。  
「はぁっ……はぁはぁ」  
開放されたインデックスは上条の肩に顎を乗せて荒い呼吸を繰り返す。  
 
インデックスの反応に気をよくした上条が本能のままに次の行動に移ろうとした瞬間  
手を伸ばしたインデックスに動きを止められた。  
「インデックス?」  
「ま、まって、とうまっ!」  
今度はちゃんと言うことを聞いたが、きょとんと不思議そうな顔の上条。  
(もしかして俺やっちまった?調子に乗りすぎて怒らせちゃってる?)  
すぐに顔が不安げに変わり、先ほどまでの獣の瞳が怯えを纏う。  
 
「あのう、インデックスさん怒ってる?痛かった?」  
「えっと怒ってないし、……その痛くなかった」  
むしろお尻を触られて気持ちよかったとは言えない。  
「じゃあ、なんで……」  
(ううー、とうまのどんかん……)  
お尻とか触る前にしてほしい事があるのだが鈍い上条は気づかない。  
言葉で告げようにもインデックスの勇気は先ほど使いきって打ち止めになっている。  
なのでインデックスはベッドに膝をついて胸の前で両手を組んだ。  
それはシスターのインデックスにできるもっとも自然な体勢。  
一つ違うのは神に頭を垂れ祈るのではなく何かを待つよう上向きのまま目をつむっている所だ。  
差し込む外灯で頬にかかった銀の髪がわずかにきらめいていて  
閉じた瞼は緊張のためか強張って、不安なのか眉がきゅっと中心に寄っている。  
 
こうまでされれば鈍い上条と言えど流石に気づいた。  
インデックスがキスを望んでいる事に。  
 
自分の間抜けさに少しだけ肩を落としつつもインデックスをしっかり見据える。  
「ごめんなインデックス」  
今日何度目にもなる謝罪を重ね右手でインデックスの頬を  
撫でると祈った体勢のままピクっと震える。  
そのままゆっくりと顔を近づけて上条はキスをした。  
柔らかな部位がおずおずと触れ合って、少し距離を置き、でも離れがたくてまた近づく。  
感じたことの無い感覚に何度も唇を触れさせて二人は瞼を開けた。  
インデックスは唇に指を当てて嬉しそうに呟く。  
「とうまとキスしちゃった……」  
その仕草があまりに可愛らしくて上条はまたキスをする。  
「……ん、、、んんっ……」  
 
上条はインデックスの唇を舐めた。  
濡れた感触にインデックスは身体を震わせるが拒否はしない。  
ゆっくりとインデックスの唇を味わい舌で押し開く。  
インデックスも真似して舌を伸ばすと二人は鮮烈な快感に身を震わせた。  
無我夢中で舌を絡ませあい呼吸も忘れてただ舌を擦り合わせる。  
交換しあった唾液は不思議なほど甘かった。  
湿った音が静かな室内に響き、寄り添った影が二つに離れると大きく息をついた。  
 
「インデックス……どうだ?」  
インデックスは両手をベットに下ろし、ぺたんとお尻をつける。  
「……はぁはぁ、えっと……その、凄かった」  
短くも激しいキスで息も絶え絶えだ。  
「でも……なんだかとうま、キスするのに慣れてるみたい」  
気持ちよかったのだが、それだけにインデックスは少し不安げな顔を見せる。  
「上条さんはキスを練習できるほど無節操でもモテてもいませんよ」  
アダルトな媒体を見て真似したなどとは言えない上条だ。  
「ふうん……」  
まあ実際上条がキスし慣れていると本気で考えているわけではない。  
ただ上条の周りには女性がとても多く上条ほどは無関心ではないため  
ついそんな事を思ってしまったのだった。  
「他人事みたいに言うんじゃねーよ。俺が慣れるとしたらこれから先もインデックスとキスするからだぞ」  
「ふぇっ!?」  
早口で上条は続ける。  
「お前以外とキスしたいと思うわけねえだろ。  
 慣れるも慣れないも関係なく俺はインデックスとキスをしたいんだよ」  
「……!」  
ポンッと擬音が出そうなほど顔が真っ赤に茹で上がり沸騰した。  
 
「と、と、とうまっ!?」  
率直な物言いは容易にインデックスを混乱させる。  
そんな事を言われるとは思っていなかったから。  
けれども上条は一度決めた事は突き通す男だ。  
例え無神経で鈍感のデリカシーなしだとしても、一度吹っ切って  
インデックスを愛する事ができるのなら、愛したいと思ったのなら  
そこにはもう迷いは存在しないし障害があってもぶち壊してしまう。  
恋愛だって同じだ。  
インデックスが望んでくれて上条にも躊躇する理由が無ければ止まれるはずもない。  
きっとそんな少年だからこそインデックスは惹かれたのだろうから。  
「だからな、ほら……」  
上条がインデックスの頬に手を当て顔を近づける。  
(わ、わ、わ)  
にやけてしまいそうな嬉しさを頑張って押し隠しインデックスも目を瞑った。  
 
……と、インデックスが待っていっても予想された感覚がこない。  
それどころか何故かぐにっとほっぺを大きく摘まれた。  
「〜〜〜ッ!」  
「ぷぷー、ひっかかったー」  
上条が指でインデックスの頬を引っ張り伸ばしたのだ。  
インデックスが頭をぶんぶんとふって指を引き離す。  
がくんと首を傾け俯いた。  
「…………とぅぅうぅまあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  
少しずつ上げられた顔からほとばしるは竜の噴出す炎熱の唸り。  
言い訳をする暇も与えず、怒れし顎が襲い掛かった。  
 
「とうま、なにか言う事は」  
「すみません。凄く恥ずかしくなってついふざけました」  
教育的指導が終わった後、上条はボロボロのまま正座をして謝罪をする。  
結局上条は恋愛に関してはまだまだチキンという事なのだろう。  
人助けや戦いの時のようにはいかず、空気のほうをぶち壊してしまった。  
「キスしたいっていうのもふざけてたの」  
「そんなことはありません。インデックスさんとキスしたいです」  
ちょっと教育が過ぎたのか上条は酷く素直でこれはこれでおかしい。  
「もうっ!」  
気障な台詞だったけど本当に嬉しかったからインデックスもムカムカしてしまう。  
とは言ってもインデックスは竜ではあっても鬼ではない。  
なにしろ慈悲深いシスターさんだ。  
 
「次はふざけたりしない?」  
こくこくこくこくと何度も頷く上条。  
「じゃあ…………私がキスするから動かないで」  
インデックスが近づくと上条はちょっとだけ離れた。  
「噛みませんよね?」  
「とうまッ!」  
がしっと上条の頬を両手でインデックスが掴む。  
流石に空気を読んだのか上条は動かない。  
二人の距離が縮まって、触れる直前一秒の逡巡の後  
赤面した顔を少し傾け目を閉じてインデックスのほうからキスをした。  
 
「ちゅっ……んっ…………」  
ほんのちょっとだけ触れただけなのに唇が気持ちよくて  
くっつけたり離したりしてみるとくすぐったく感じる。  
キスをしていると不思議とムカムカは気にならなくなっていて  
それどころか嬉しくてドキドキして、なんで怒ってたのかすらわからなくなってくる。  
インデックスはさきほどされたよう唇を舐めてみたら上条もぴくんと動いた。  
(とうまも気持ちいいのかな)  
なんだか面白くてちゅっちゅと音を立てて啄ばんでしまう。  
熱い何かが体中から溢れ出しそうで好きが止まらない。  
「ねえとうま、べっーってしてみて」  
甘えるような響きに言われるがまま上条は舌を差し出すとインデックスは先端を唇で咥えた。  
 
「んっ、じゅっ……れお……ちゅじゅっ…………」  
上条は舌の先から伝わる快感にぞぞぞっと全身を震わせる。  
唇で食まれる柔らかさ、れろんと舌が舌で舐め取られる快楽。  
ストローのように吸われると舌が口内に包まれるようで暖かく気持ちがいい。  
(インデックスのほうがキス上手いんじゃねーの……)  
どうやら上条を真似ているようだが才能の差があったらしい。  
インデックスが上条の舌を含んだまま頭を色んな角度に傾けていると  
頭の高さに差があるため、上条の唾液が舌を伝いインデックスへと流れていく。  
 
こくりっと上条の耳に小さな音が響いた。  
それはインデックスが上条の舌を吸いながら唾液を飲んでいる音だ。  
(うおおッ…………!)  
もう一つこくりと音が聞こえた。  
舌が混じり溶け合い過剰に分泌している唾液をインデックスが舐め取って  
何度ともなく飲み込んでいる。  
その事実に上条は茹だってしまいそう。  
 
インデックスにされるがままではなく、むしろ上条のほうから唾液を注ぎこむ。  
「じゅるっ……んお、ぴちゅっ……れろ、んあっ……」  
上条の舌がインデックスの口腔内を蹂躙してかき回す。  
深く舌と舌を絡ませ合うと、インデックスの手が上条の頭をかき抱き強くキスに答える。  
夢中で舌を擦り合わせて粘膜と粘膜が触れ合う悦楽を味わう。  
触れた唇と舌から嬉しさと喜びが生まれては二人で分け合い吸い取っていく。  
二人は知らなかった。唇が、舌が、喋って食べる以外の使い道があった事を。  
とても幸せな快感があったという事を。  
ひとしきりキスを続けようやく離れると唾液が線となって唇から滴り落ちた。  
 
インデックスは上条の肩に頭をのせ縋りつくように抱きついてくる。  
上条も強く抱きしめて密着した身体は鼓動すら一つになる。  
愛しくて愛しくて愛しくて仕方がない。  
だからこそ――――――――もどかしい。  
抱擁すればするほどインデックスに飢えてしまう。  
それは愛情と性欲が入り混じった消えない炎となって上条を燃やし昂ぶらせる。  
「あっ……」  
インデックスも気づいたのだろう。  
上条の主張している部分がお腹に当たり恥ずかしげに俯く。  
「インデックス…………いいか」  
無言の首肯が肩に触れた。  
 
十数秒後、服を脱いで全裸になって座る上条はまだ着替えている最中のインデックスを見ていた。  
「とうま、あんまり見ないで……」  
パジャマを頭から抜き出すとブラではなく子供っぽい白いキャミソール。  
ズボンの下も同じく飾り気の無い白い下着で、よく見るとある部分の色がわずかに…………  
と、突然にインデックスが上条の目の辺りを手で覆う。  
とても恥ずかしいらしくそのまま横を向かせる。  
「着替えぐらい、別にいいじゃねーか」  
「ダメッ」  
強く言われたものだから素直に横を向いた。  
記憶を失う前、初めてインデックスと出会った時も似たような発言をしたのを上条は覚えていない。  
デリカシーのなさはやはり変わっていないようだった。  
とはいえインデックスにとってもやはり上条が変わってない証左とも言えたが。  
 
「いいよ」  
言われて向き直る。  
上条がインデックスの裸を見たのは一回や二回では足りない。  
ある意味見慣れている光景だったかもしれない。  
けれど大きく唾を飲み込み息を止め見入ってしまっていた。  
白い。  
最初に思い浮かんだのはそれだ。  
膝立ちのまま恥ずかしげに胸と股間を手で隠すインデックスは  
キャミソールを脱いだ時に乱れたのか、長い銀髪が汗ばんだ肢体に  
張り付き外の明かりを反射して白い肌がさらに映えて見えた。  
(裸ってこんなに綺麗なもんなのかよ)  
普段はそう感じられないが御伽噺めいた容姿のインデックスが  
こうしているとまるで銀細工の妖精のようだ。  
手で触れると壊れてしまいそうだなんて柄にもない事を思ってしまう。  
そんな幻想を纏うインデックスをこれから抱くのだ。  
 
「とうま?」  
「あ、ああ……その、見とれちまった」  
両者共に顔を赤らめ動きを止める。  
インデックスは褒められるとは思ってなくて。  
上条は思ったままをつい口に出してしまって。  
数秒ほどそうしていると立ち直った上条が手を伸ばす。  
「インデックス、触るぞ」  
「うん……」  
インデックスが隠していた腕を下ろすと透けるほど白い肌には  
とても小さくて淡い薄桃色の花が二輪咲いていた。  
 
可憐な胸へとゆっくりと触れる。  
「…………っ」  
インデックスが小さく息を吐く。  
(柔らかいな……)  
幼い膨らみへ指が沈み、そっと動かすと滑らかな肌触りと  
確かな柔らかさがあって心地よく気持ちがいい。  
「あ、やぁっ……!」  
最初は遠慮がちな動きがだんだんと激しくなって小さくも堅くなった  
乳首を摘み引っ張ると高い声をあげる。  
「痛かったか?」  
目をつぶりふるふると首を振るインデックス。  
刺激が強すぎて思わず声が出たのだ。  
今度は優しくマッサージするかのよう上条は撫で回した。  
胸の脂肪が指に引っ張られて形を変えて、慎ましい乳房の内側まで圧すように  
揉むとインデックスは敏感に反応する。  
そのままやわやわと揉みほぐしながら上条は語りかける。  
 
「痛かったら言えよ。俺さ、初めてだからインデックスの身体  
 触ってると興奮しすぎてさっきみたいに抑えきれなくなるからさ」  
らしくないぐらい優しい言葉にインデックスは胸に触れている上条の手を握り微笑んだ。  
「大丈夫、とうまに触られるときもちいいんだよ。だから……もっとしてほしいかも」  
気恥ずかしそうにもじもじと小さく聞こえるか聞こえないかの声で呟く。  
そんなおねだりを聞いたものだから  
「悪いインデックス。やっぱ無理」  
前言撤回。上条はインデックスを押し倒してしまう。  
 
「あう」  
インデックスにに覆い被さる上条。  
「とう、んうぅっ!」  
抱いたまま腰を押し付けるとインデックスが1オクターブ高い声をあげた。  
これ以上ないほど高まった上条自身がインデックスの大事な所へ当たったのだ。  
「とう、まぁ…………ひゃぅぅっ!」  
続く手がお腹を下り、すでに濡れている秘裂へ直接触れた。  
「オマエ、さっきから可愛すぎるんだって!」  
無毛のそこへと欲情のまま指を走らせて割れ目にそって撫でる。  
「あぅっ!」  
つぷりと指が内に入ってくる刺激に身をよじるインデックス。  
その位置のままゆっくりとすじをなぞるように指で形を確かめた。  
「ふぁ、あっ……んんっ……く、くすぐったいんだよぉ」  
落ち着かない様子で腰を震わせるが、触っているとより濡れてしまっていて  
くすぐったいだけではないようだった。  
「気持いいんだよな?」  
「うん……」  
「だったらもっとしてやる」  
インデックスが気持よくなってくれるなら嬉しくて楽しい。  
甘い声がもっと聞きたくて上条は行為を続ける。  
(濡れてるけどインデックスちっちゃいからな)  
早くインデックスと繋がりたいけれどできる限りインデックスの  
負担を減らしたいという気持ちも大きいから。  
 
上条は一本の線のような秘裂に隠された淫核に触れる。  
「ひぅっ!ふぁぁっ!んぁあっ!」  
そこは感じ易いらしく腰がくっと上がった。  
「とうまぁっ……!ぁんんっ……!」  
上条は重点的にそこを責める。  
「なんか……そこ、おなかのおくがへんなかんじに……!」  
指で押して挟んで擦るとインデックスが両足を強くつっぱらせる。  
その反応が面白くて上条は顔を股間へとよせる。  
ちっちゃな秘部は生々しいピンク色をしており、わずかに開いたすじを見ると  
小さすぎる膣口からトロトロの蜜が分泌されており、処女膜らしき襞々が確認できた。  
「と、とうまっ?」  
インデックスは自身の一番恥ずかしい部分をまじまじと見られて  
驚きと恥ずかしさで声をあげる。  
「ふあああぁぁっ…………!!」  
それははすぐに嬌声へと変わった。  
幼くも淫らに濡れ光るそこへ上条の舌が分け入ったのだ。  
インデックスは柔らかさと弾力を備えた肉の侵入に大きく身体を震わせた。  
 
「んぁっ……とうまっ……そんなところ……!」  
否定しているようでインデックスの声色には悦びが含まれている。  
(とうまがわたしをたべちゃってる……!)  
小さい膣口ごとしゃぶりつかれては味わうように舌を使われて  
ずずずっと吸い上げられてインデックスは上条のツンツンとした髪を思わず握り締めた。  
上条を抑え付ければいいのか引き離せばいいのかわからないまま激感をただ受け入れる。  
「ふ、ううっん……!あっ……やぁ、かんじゃっ…………!」  
堅くなってる豆を前歯でコリコリと甘噛みされて悲鳴をあげた。  
上条はいつものお返しと言わんばかりに硬い歯と柔い舌を使って責めては  
強張った足を片手で抑えつけ、指で膣口付近を広げるようにほぐす。  
「んんっ、はぁ……あ、あっうう、んんっ……!や、なんか……!」  
じゅちゅじゅちゅと濡れた音を響かせ指で膣内の上側を擦られると  
インデックスは強すぎる刺激に涙を流し何かを訴えるが上条は止まらない。  
「だ、だめっ、とうまっ……!あっ、やぁっ…………!」  
お腹の奥を刺激し嬌声と悲鳴交じりの声とともにぷしゃりっと上条の顔に液体が飛び散る。  
「やだあっ……」  
尿道から透明な飛沫が噴出してインデックスは自分の顔を手で隠しながら身をよじらせる。  
「あっ、あ、あぁ……んぅんっ……」  
そうして勢いは弱まり雫がちょろちょろと流れ落ちる。  
上条はインデックスに潮吹きをさせてしまったのだった。  
 
上条がティッシュで顔を拭くと不純物が少ないのかサラサラしていて綺麗にふき取れた。  
「ふぇ、えぐっ……ぐすっ……」  
泣いているインデックスにとりあえず謝ってみる。  
「あー悪かったインデックス」  
数秒の沈黙ののち  
「……ううー、ばかばかばかばか!とうまのおばか!」  
立ち直ったものの涙目のインデックスが頭をぽかぽかと叩いてきた。  
その力はさきほどまでの行為のせいか弱い。  
「気持ちよくって言ったけどおしっこ出させてなんて頼んでないんだから!」  
「いや、つい」  
上条さん調子に乗ってしまいました。  
そう続けるとインデックスが嫌そうに睨む。  
「もしかしてとうま、女の子のおしっこ見るの好きな変態さんだったり」  
「女の子つーかインデックスのはもっかい見たいかもしんねーな」  
「嬉しくないんだよ!」  
言葉を無視し半泣き気味のインデックスの濡れたあそこをティッシュで拭いた。  
「う、んぅ……」  
「それにインデックスもよかったんだろ」  
調子付いている上条。  
そんな事恥ずかしくて答えれるわけがない。  
「とうまのサディスト……」  
頬をぷくっと膨らませて小さく呟いた。  
「はいはい上条さんはサディストですよー。で、そろそろホントにやっちまうぞ」  
 
途中で声のトーンを変えてインデックスを見つめる。  
ふざけていたようで瞳はどこかギラついているのが、誰かのために首をつっこむ時の  
目にも少し似ていてそれだけ真剣なのがインデックスにも伝わってくる。  
いつもはそんな目をしてどこかへ行くのを心配するばかりなのに今はインデックスだけを見てる。  
(………………すっごく嬉しいかも)  
先ほど合わされた恥辱はとても許しがたいのに熱っぽい目を見てるとなんだか許してしまいそうだった。  
「とうまずるい」  
呟くと上条がへっと変な顔するのが面白くてつい笑ってしまう。  
「えへへ、うん。私もとうまとしたい」  
「おう」  
嬉しそうな様子のインデックスに上条も笑い返して身をのりだす。  
 
「……どうすればいいのかな」  
「インデックスはそのまま寝ててくれれば。あ、もっと足上げて開いてくれ」  
「んと、こう?」  
「もっと頼む」  
「むむ、恥ずかしいかも……」  
仰向けのインデックスが足を緩やかなM字の形にすると上条は圧し掛かるような位置にくる。  
インデックスのお腹のすぐ近くには上条の雄雄しく猛った塊が出番を待っていた。  
「えっとー……とうまのおっきいね」  
小首を傾げて自分のお腹と見比べる。  
不安げな表情だけど今更止められるわけもない。  
「俺もこんなでかくなったのは初めてかもな」  
棒の根元がインデックスの性器とくっつく距離で先端は臍を通り越している。  
弄って慣れさせたとはいえインデックスの小さな身体にはあまりに不釣合いなサイズ差だ。  
 
上条は腰を引くと先端をインデックスにくっつけた。  
「じゃあ、いくぞ」  
「……いいよ、とうま」  
わずかに口を開いたそこは十分濡れているとはいえ、明らかに狭い。  
「んんっ……」  
腰をゆっくりと押し進めると先端の丸みが沈んでいく。  
インデックスは上条の腕をぎゅっと握って圧力に耐える。  
上条は熱く纏わり付く肉の抵抗に強い快感を感じる。  
狭い隙間を少しずつ押し開くように動かすと亀頭のほとんどが飲み込まれていく。  
(インデックスの中、気持ち良すぎる……)  
まだ先端が入っただけなのにすぐにも出てしまいそうだ。  
「大丈夫かインデックス」  
「ちょっといたいけど……へいきかも」  
表情は言葉を裏切っていて苦しそうだ。  
「わりぃ。このままいくけど我慢してくれな」  
「うん……きて、とうま」  
身勝手な言葉とも言えるがインデックスはそれを受け入れる。  
 
上条はインデックスの頬を撫でながらゆっくりと腰を進めていった。  
撫でる手にインデックスは自分の手を重ね目を強く瞑る。  
「んぁ、あっ……!」  
インデックスは棒の中程までもが入ってくる圧迫感に息を吐く。  
じっくりと優しく挿入していくと亀頭の先端がインデックスの最奥へと辿り着いた。  
「全部入ったぞ、インデックス」  
「んぅっ……はぁっ……すっごくうれしいかも……」  
痛みで脂汗をかきながらも健気にインデックスは微笑んだ。  
せめて痛みから気を散らせないかと上条は口付ける。  
「んっ、ちゅっ……んんっ、とうま」  
そのままキスを続けているとインデックスのほうから名残惜しそうに唇を遠ざけた。  
「インデックス?」  
「わたしばかりきもちよくしてもらったけど、とうまはうごかないとダメなんだよね。うごいていいよ、とうま」  
ほぐしていたおかげでなんとか挿入できたとはいえインデックスの膣口は  
大きく広げられており、ちっちゃな身体に収まっているのが不思議なぐらいだ。  
「無理すんな。泣いてるじゃねえか」  
「泣いてないもん。これは涙じゃなくて汗とかだもん」  
「バレバレの嘘つくんじゃありません」  
痛みで大粒の涙が瞳に溜っているのが暗がりでもわかった。  
落ち着けと髪を撫でるがインデックスは不服そう。  
「とうまもきもちよくならないといけないんだよ」  
好きな男の子を気持よくさせてあげたい。  
きっとそれは小さな少女の中にある女としての自負だ。  
 
インデックスの中は入れているだけでも十分気持ちがいい。  
上条はそう言おうかと迷ったがインデックスを見て口をつぐむ。  
(インデックスを見くびりすぎかもしんねえな)  
涙を零しながらもじっと見上げるインデックスの強い想いが鈍感な上条でも感じ取れた。  
「オマエ、ホント頑固すぎるぞ」  
「……むむ、とうまにいわれたくないかも」  
変なところは似ている二人だ。  
「じゃあゆっくりいくな」  
腰を遅く引いていくと棒の根本から亀頭の先へと位置を少しずつ変えて握られているような快感が走る。  
十数秒ほどかけて腰を引くとお腹の異物感がほとんどなくなったためかインデックスは大きく息を吐いた。  
「んはっ……あ、あ、はぁっ…………」  
今度は時間をかけてインデックスの中へ挿入していく。  
「あっ……!んぅっ…………!」  
息を止めて圧迫感に耐える姿は痛々しくも健気だ。  
(俺のために泣くぐらい痛いのを我慢してくれてるんだよな)  
愛おしい気持ちが止まらない。  
早く動きたい欲求を抑えながらも上条はインデックスの両胸に手を当てた。  
 
「こっちは痛くないだろ」  
涙目になりながらもインデックスはこくんと頷いた。  
小さめながら汗でしっとりと纏わり付く胸の心地良さを感じつつも  
技巧なんてわからない上条はただインデックスを痛くさせないように  
優しく優しく指の腹で丁寧にくすぐり撫でるように愛撫する。  
「はぁ、とうまぁ……」  
気持ちいいのか声には痛みだけではなく甘さが混じっていて  
痛みで引いていた膣内の潤みも少しだけ湧き出ているようだった。  
同時に腰のスピードを早めて胸の愛撫を続ける。  
「あ、あぁっ……あぁっ…………!」  
痛みで閉じられていた唇が喘ぎ混じりに変わっていき涎が零れ落ちる。  
なだらかながらも柔らかい乳房を両手の平全体を使い揉みしだき  
中心の固くなった乳首を摘まんで転がして腰を振り続ける。  
そうしていると上条の腹の下のほうからきゅぅっと何かが昇ってくるような感覚があった。  
 
それは射精の前兆だ。  
(や、やばい)  
このまま射精してはいけない。当然上条はそんな風に考えた  
だがインデックスに触れ続けていた上条は自分の考えている以上に限界が近づいていて呆気無く達してしまう。  
「ああぁっああっあぁぁぁっ…………!」  
インデックスは内蔵を熱すぎるマグマに灼かれて甲高く声をあげる。  
ビクンビクンと何度も何度も幹全体が痙攣して、インデックスを征服しようと  
愛情と欲望で煮えたぎった精液を注ぎこんでいく。  
十秒にも満たない時間。上条は挿入をやめる事ができたかもしれなかったが  
圧倒的な快楽に心まで囚われて腰の疼きの赴くまま中出しをしてしまっていた。  
 
荒く呼吸を繰り返した後、上条が声をかける。  
「すまんインデックス。気持良すぎて中にだしちまった」  
「とうま、わたしできもちよくなってくれたんだ……」  
泣き笑いつつも嬉しいという感情で満ち満ちていて上条まで嬉しくなってしまう。  
そんな献身的なインデックスがやたらと可愛くてキスをすると  
まだ入れたままだったモノがすぐに硬くなってしまった。  
「とうま、まだしたい?」  
「うっ……」  
健康で体力のある男子高校生の上条は一回の射精では足りなかった。  
でもインデックスに無理はさせたくないとも思うわけで。  
「いやいやいや、上条さんは我慢ができる男ですよー。そんな何度もしたいだなんて―――」  
「でもとうま。そう言ってさっきから全然我慢してないんだよ」  
上条は図星を突かれ言葉を止めた。  
いつも近くにいたのに、いざ触れてみればインデックスの魅力に我をなくしてばかりだ。  
「わたしはだいじょうぶかも」  
悩んでいるとインデックスが腰をくねらせた。  
不意の動きにイッたばかりで敏感になっているモノが締め付けられてあっと変な声が出てしまう。  
 
「ねっとうま、しよ」  
見ればインデックスも痛みを我慢しているという風でもなく余裕があって  
美味しい物をまだまだ食べたいとせがんでいる時の表情をしていた。  
当然もう駄目だ、などと言うわけがない。  
「どうなってもしらねえぞ」  
手を上に伸ばして迎え入れるインデックスに上条は覆い被さった。  
「とうまもぎゅっとしてほしいな……」  
官能的な誘惑に上条は小さな身体を懐中に取り込む。  
裸の身体が密着しあうと服を着ていた時よりもっと気持ちがよくて強く抱きしめた。  
「とうま、とうま……」  
インデックスも気持ちがいいのか呼ぶ声は色づいていて耳元の囁きは脳まで蕩けさせる。  
その声をもっと聞きたいけど、それ以上の欲求に惹かれ唇に吸いついた。  
「あっ、んんっ……ちゅじゅっ、んおっ……」  
口内に差し入れた舌を絡ませあって唾液を交換しあう。  
「ふっ、んあぁっ…………」  
膣内で興奮した上条の塊が脈動して跳ね上がり、くぐもった喘ぎが上条に届いた。  
 
「ちょっとまってろインデックス」  
上条が肉棒を抜き身を離すと温もりが遠ざかりインデックスがあっと悲しげに呟く。  
胡坐をかいた上条はすぐにインデックスを抱き上げて身を寄せ合った。  
インデックスの真下には濡れ輝く大きな怒張。  
「とうま……」  
ぴとりと先端が入り口に触れると期待と興奮でインデックスの声は掠れていた。  
抱いたインデックスをゆっくりと下ろし沈ませていく。  
「ひゃうんっ……!」  
まだ窮屈な膣内が押し開かれて愛液と精液が入り交じった液体がドロリと肉棒へ絡みついた。  
「んぁっ!……とうま。おなかの、なか……へんなんだよぉ……」  
裡から広がる快感の波。痛みではなく純粋な女の快楽。  
愛撫されるよりも強い感覚にわずかな恐怖が生まれ身体を支えようと上条の肩に手を置く。  
だが上条は容赦しない。したくでもできない。  
抱き上げた力を緩め、腰を突きあげて一気にインデックスを貫いた。  
「んあっああっあっ…………!」  
上条は抱きしめながら遠慮なく腰を使い続けるとインデックスは甲高い嬌声をあげ  
大きく身を仰け反らせては汗の珠が弾けて銀髪が振り乱れる。  
「あ、ふぁっ……んっ!あぁ!あん!」  
突きあげられる度、ぞくぞくぞくっとインデックスの身が震えて瞳が快楽でぼやめいて  
激しい抽挿でぐちゅぐちゅと濁った音が結合部分から響いた。  
 
「インデックス……!インデックス……!」  
上条は腕の中に軽く収まってしまう細い身体を掻き抱く。  
腰を大きく揺らして膣内でこすり快楽を貪っていく。  
「はっ、んっ!あ、んぅっ……と、うまぁ……」  
上条は抱きしめながらも背中を撫でるようにさすって、心地良く柔らかい  
手触りのお尻をなでると蕩けるように名を呼ばれより興奮が高まる。  
こんなにも小さいのに凶暴な肉の塊を受け入れ官能に喘ぐインデックスが  
あまりにいやらしくて何度も何度も腰を叩きつけてしまう。  
「やぁっ……あぁっ、あ、あぁっ!」  
深い所を小刻みに早いリズムで小突かれてインデックスは上条の首を抱いたまま儚げに揺れた。  
太腿を大きく持ち上げられて長いストロークで入り口から奥まで大きく腰を使われ  
体重を利用するよう抽挿されると亀頭の太い部分が膣粘膜を擦り上げる。  
「ああああぁぁぁぁっ…………!」  
透き通った声がさらに高い音階に引き上げられインデックスは上条にされるがままの楽器へと変わる。  
(とうま、とうま……)  
他の誰でもなくインデックスだけを上条は奏で愛してくれている。  
それが嬉しくて愛しくて上条へ唇を寄せた。  
 
「とうまぁ……んぅっ、ちゅーするね……」  
鼻にかかった声は子供が甘えるような響き。  
上向いたインデックスが上条の口内へ舌を差し入れる。  
絡ませあった舌を甘い飴玉を転がすように味わいうっとりと表情をとろめかせる。  
「ふあっ、んっ、ちゅっ……ぴちゃ、んあっ、れおっ……」  
舌が溶け体温が混ざり合い深く繋がった所から快感が全身に広がっていく。  
インデックスが上条の頭に腕を回しキスを繰り返すと小さくて蕩けそうなほど  
柔らかい舌が上条の口内の至る所を舐めまわししゃぶり吸いついてくる。  
堪らないほど気持ちがいいお返しに上条が突いてあげると喘ぎが唇を通し伝わってくる。  
 
ずっとこうしていたかったが上条はもう限界だった。  
インデックスの狭隘な膣内に包まれる快感が強すぎる。  
キスされて舌が性器の代わりみたいに気持ちがいい。  
上条は対面座位の体勢で深く繋がったまま溢れ出そうとするものをインデックスの中へ開放した。  
「〜〜〜〜〜〜っ!!!!」  
上条の口に伝わってくる声にならないインデックスの嬌声。  
インデックスがイッているのだ。  
膣内が収縮し上条の脈動する塊をぎゅぅっと締め付け熱い生命を吸い上げていく。  
性交に慣れてきたばかりの幼い膣壁がぐちゃぐちゃに絡み付いて精液を飲み込んでいく。  
二回目だというのに衰えていない奔流がどくどくと放出されれる。  
快感に逆らわずインデックスの子宮へと愛の証を注ぎ込んでいった。  
 
息を吐き上条は前のめりに倒れこんだ。  
インデックスに重量がかかっているので横に転がると抱き合っていた身体が久々の外気に晒されて涼しい。  
そうして二人は荒く息を吐き続けしばらく絶頂の余韻に浸っていた。  
「インデックス。凄いよかった。気持ちよかった」  
「わたしもなんだよ。とうまっ」  
インデックスが抱きついてくる。  
(とうまとなんだか離れたくないかも)  
まだ全身がピリピリとしていてくっつくと気持ちがよかった。  
上条も身を離すと何か物足りなさがあって抱きしめると安心できた。  
その安らかさに瞼が重く閉じていく。  
 
でも眠る前に上条はインデックスに伝えたい事があった。  
「インデックス聞いてくれ。オマエに今まで言えなかったけど言わなきゃいけない事がある」  
きょとんとした顔のインデックス。  
「なに?とうま」  
じっと見る瞳は曇りなく透明だ。  
上条当麻が失った真実を話すと泣いてしまうかもしれない。  
けれど愛しあった女の子にいつまでも嘘をついていたくはなかった。  
唾を飲み込む。さっきまで潤んでいたのに口の中はもう乾いていた。  
上条の腕に力が入り、抱きしめる様はまるでインデックスにすがりついているようにも見える。  
初めての記憶。  
上条当麻が記憶を失い生まれたばかりの時一目見たインデックスの笑顔。  
幾つかの言葉で悲しみ哀切に満ちていくその表情。  
あの時、嘘をついたのはインデックスを悲しませたくないと思ったから。  
でもだからこそ、ツケを払わないといけない。  
きっと今ならば上条もインデックスも乗り越えられるはずなのだから。  
 
「とうま……」  
上条は渇く喉に力を入れ返事を返そうとする瞬間  
「おなかへった……」  
「へっ?」  
インデックスは上条の右腕を枕にすやすやと眠りについていた。  
寝言を言ってしまうぐらい寝入っていた。  
「あー、そりゃ疲れるし腹もへるよなぁ…………」  
空いた左手で頭をかく。  
どうやら言うべきチャンスを逃してしまったらしい。  
それとも今がその時ではなかったとでもいうのか。  
今から起こして伝えるにはあまりにインデックスに酷過ぎるし  
上条も張り詰めた緊張が切れてしまっていた。  
「しょうがねえよな」  
インデックスの身体を軽く抱きしめ自らも目をつぶる。  
(ごめんなインデックス。俺にはあと少しだけ勇気が足りないみたいだ。  
 もう少し、もう少しだけ時間をくれ。そしたらきっと……)  
混ざり合う体温と心地よい疲れを体中で感じながら深く垂れ籠める睡魔に身を任せ上条は眠りにつく。  
今日が駄目なら明日も明後日でも二人の一緒は終わらないと信じているから。  
 
 

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