どういう意味かと一方通行は問いかけなかった。彼女が似ていると称した理由など当たり前に理解しているためだ。
「似ているから、なンだ?」
絹旗は無言で近づき、一方通行の服に手をかける。驚いた表情にはなれど、何かするわけではなかった。
「分かるんですよ、私にも」
服を脱がす手は止めずに、話しかける。
「光の側を歩く事は考えられても、絶対に闇を見せたいとは思いませんよね」
フンと鼻で笑いだんまりを決め込む。
「まして、こうした汚いと思うものは」
一糸纏わぬ絹旗に、一方通行の下半身は反応していた。
「あン? それでも、俺は何もする気はねェぞ」
それでも、言葉通り一方通行は絹旗に手を伸ばそうとはしない。
そしてまた、これも言葉通り絹旗を止めようともしない。
「ええ、あなたは超何もしなくて結構です。愛撫も腰を振る事も、ましてこの行為を誰かに伝える事など」
絹旗は一方通行の上に跨ると手慣れたように腰を振る。
愛の言葉などないし、お互いに求めてもいない。
絹旗が恐れているのは、浜面に欲望をぶつける事、ではない。その先にある、アイテムという居場所が壊れるのが何よりも恐ろしいのだ。
一方通行が恐れているのは、幼い打ち止めに欲望をぶつけ、あるいは壊してしまう事だ。彼の中である種の偶像とかした打ち止めを対象にそういった事を考える事さえ反吐が出るのだろう。
だから、良く似た二人は求めた。
一人は自分より能力が強く、余計な事を言わない相手を。万が一には彼に責任を押し付けるために。
一人は自分が何もせず、何も言わずともそういった事をしてくれる相手を。自分の心に絶望という汚らしい二文字を刻まないために。
「超そろそろですね」
ペースを上げ、射精を促す。その後もしばし続け、今度は絹旗が達する。
微かに震える絹旗をどかすと一方通行は気怠そうに言葉を発する。
「またな」
絹旗はそれに頷き、しかし立とうとはしない。
部屋に入るのも出るのも別々で、それでも二人はお互いにこの場所に来てしまうのを確信していた。
何せ、「私はあなたに超似ていて」、「お前は俺に良く似ている」から。