浜面仕上の朝は早い。  
何せ新婚……いやまだそれは未来予想図の一部に過ぎないのだが、とにかく若い彼らは平和を謳歌するのに余念がない。  
相手はもちろん相思相愛である滝壺理后。  
そしてそんな2人が毎日する事と言えばもちろんSEXだ。  
そこに疑う余地は無く、朝っぱらからさかりのついた2人は……いや昨夜からずっと繋がったままでした。  
「は、は、は、は」  
寝室に響く浜面の短い息遣い。  
一方の滝壺は、  
「…………」  
浜面の下でぐったりと四肢を投げ出していた。  
初めはいつも滝壺の方から誘うのに気が付けばいつも寝落ちされてしまう。いやホントは失神KOですけど。  
それでも愛が有れば乗り越えられると浜面は頑張って腰を振る。  
「何かこう……無抵抗な滝壺って……ぐっと来るんだよな……」  
半眼。いや黒目の見えない薄眼に涙を浮かべ、軽く開いた口からは涎が泡となってこびり付いている。  
そんな見る影もない滝壺にも欲情出来る浜面は、ヤバい領域に片足突っ込んでいる気がしないでも無い。  
でも彼は馬鹿なので気にしない。  
「滝壺っ……出る……出るぞ……、うっ」  
「……ぁっ、ぃ……」  
熱い猛りを最奥で吐き出された滝壺が無意識に何かを口走る――こうして1X回と思えない量の精液を放ってやっと夜の部は終了となるのだ。  
毎日こんな事をしているが彼らは飽きない。  
飽きないのだが浜面には内緒にしている不満が1つある。  
「はあ。これはこれで満足なんだ……贅沢を言っちゃいけねえって事も判ってるんだ……でも、一回おはようのSEXってしてみたいんだよなぁ……」  
愛とか何とかほざきながら早くも性の不一致かと彼は悩んでいます。滝壺を毎日失神昇天させている癖に。  
「さてとシャワーでも浴びるか」  
「…………」  
もちろん滝壺から返事なんかありません。なにせ失神してますから。  
だから浜面はもう何だか判らない液体のブレンドの海に沈む滝壺を抱えて風呂場に向かいます。  
そしてシャワーを浴び、前日予約して置いた温かい湯船に2人で沈みます。  
その間も相変わらずぐったりとされるがままの滝壺。それはもうまるで死た……いえ人形のようですが、  
「されるがままの滝壺って可愛いよなぁ……」  
そして風呂場で、脱衣所で、浜面は超能力者(レベル5)を下したその驚異の身体能力を如何なく発揮したりして、  
「毎日毎朝……滝壺をハメ殺す気かこの下半身サルは?」  
「は?」  
顔を上げると目の前に不機嫌そうな美女……後妻その1の麦野沈利が立っていた。  
「後妻の割におっかねーんだ麦野は。まず俺に対して遠慮が無い」  
浜面は彼女を語る時遠い目をした。  
そんな彼女だが後妻になってからは毎朝こうして通って来てくれる。  
初めはずけずけと家に上がり込んで来ては2人の邪魔をする麦野に辟易していた浜面だったが、慣れとは恐ろしいもので最近は余り気にならなくなった。  
だから、  
「今終わるから少し待っててくれ」  
 
麦野を気遣って腰をフルスピードを上げた。  
だが、  
「いや別に待つ必要なんかねーし。今すぐ私が逝かせて、あ、げ、る♪」  
麦野がにっこりと微笑んだ。  
「い!?」  
浜面がその瞬間何かに気が付いて頬を強張らせる。  
そして次の瞬間光が瞬き、浜面のいた空間がその後ろの壁もろとも根こそぎ吹き飛んだ。  
だが浜面は間一髪滝壺を抱いて右へ転がって難を逃れると、  
「ああ……部屋が……」  
「ふんっ」  
呆然とする浜面と何か不満げに髪をかきあげる麦野。  
「馬鹿野郎が引っ越したばかりの部屋が滅茶苦茶だ! それに今のは冗談抜きで死ぬ所だったぞ!」  
そうそう浜面は先日この部屋に越したばかり。  
その前はこのボロマンションの1つ上の階に住んでいた。その前はもう1つ上の階……と言うかこのマンション一棟丸ごとアイテムの持ち物になっていて所有者は浜面だったりする。  
壊されても誰にも迷惑が掛からない様にした浜面の配慮が凄いのか、アイテムの財力が凄いのか。  
それはともかく麦野は怒っていた。  
「馬鹿はテメエだよ浜面ぁ……」  
「んだと誰が馬鹿だ!」  
「それが馬鹿だっってんだよいい加減腰振んの止めろこのサル!」  
麦野はよくキレるのでこれも最近慣れて来た。だから浜面はニヤリと笑うと、  
「いや誰だろうと俺を止められる奴はいねえ……」  
チンピラ風の全裸男が腰を振りながら言う台詞とは到底思えない。  
もちろん麦野はポカンとして、  
「く、腐れチ○ポ焼き切れて死ねこのクソったれ野郎があああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」  
その叫びと共に彼女の正面に巨大な光の粒子が集まり始めて、それはかつて自分自身すら消し飛ばした原子の奔流と――、  
「だめ」  
誰かの声。そして光は唐突に消え失せ、  
「……ぇ?」  
驚く麦野の膝がかくんと折れた。  
そのまま崩落ちる傍らで、  
「はまづらを虐めちゃだめ」  
滝壺指導……いや始動。  
最近絶好調な能力追跡(AIMストーカー)で麦野を無力化した2人は、  
「さて麦野、俺が今触っているのはどこだ?」  
「……私のマ○コだよ……」  
「指は何本入っているでしょう?」  
「……知るか死ね」  
「ぶっぶー! 不正解なので指が追加されます」  
「ふ、ふざけんな! 死ね! マジぶっ殺あひゃ!? あ、ぐく……」  
「むぎの、柔らかい」  
滝壺が場違いな程ほんわかと呟く。  
「く、くるし……」  
喘ぐ麦野。それはM字開脚に縛り上げられた姿を指したのか、それとも滝壺の五指を根元まで飲み込んだ秘所の事か……。  
 
その後は出勤時間まで乱交が続き、  
「いけね! もうこんな時間かよ!?」  
「むぎのの事は任せて」  
「う……ふ……」  
浜面の精液が注がれた穴をしつこくこね回す滝壺と、焦点を無くした瞳で虚空を見つめる麦野を残して浜面は脱兎の如くかけ出して行く。  
そして午前中はバイトに明け暮れ、昼休みを挟んで午後もバイト……なのだが今日は用事があって休んだ。  
その用事とは、  
「超待ちくたびれましたよ」  
「悪いな絹旗。客が長居してて遅くなった」  
絹旗最愛。浜面の後妻その2。彼女はこうして時々浜面を映画に誘うのだ。  
「それはそれは……さぞや超VIPなんでしょうね……私を炎天下の下でこォンなに待たせた位ですからァ」  
「いやいやコンクリート爪先で掘りながら拗ねられても可愛くねーし、それに口調変わってんぞお前……」  
これ以上はまずいと浜面は絹旗を促して映画館の中に。  
席に着けばものの数分で予告も無く本編が始ままり――、  
「浜面」  
「どうした?」  
「ひとつ超聞いていいですか?」  
「おう、手短にな。今日の映画は割と面白いから」  
「では聞きますがポップコーンの中からにょっきり生えた超不気味な物体は何ですか?」  
暗部では名の通った大能力者(レベル4)と言えど所詮は子供だな、と浜面はフッと笑顔を浮かべながら、  
「気にしたら負けだぞ絹旗。因みに俺は全く気にならない」  
「そう来ましたか……。浜面のくせに超いい度胸ですね……」  
お陰でポップコーンは新たなトッピングを加えられる事になり、  
「何ですかこのフレーバー? 超のどに絡み付きますし磯臭いです……」  
「ノリ味なんじゃね? ノリの佃煮味とかネバネバしてそうじゃね?」  
「ノリにも佃煮にも超失礼です!」  
なら食うなと浜面は思う。因みに彼は精神的に大満足なのでポップコーンに興味は無い。  
「どうしてくれるんですか浜面。こんな物食べたから超喉が渇いて来ましたよ」  
「いや食えとか頼んでねーし」  
それにしてもうるさい。映画館で騒ぐなんてそれでも映画ファンなのか、とはそこは怖いので言えないが絹旗には黙ってもらいたい。  
そこで紳士浜面は仕方なくドリンクを提供する事にした。  
「こほ、けほっ……んは、浜面、このドリンクも超喉に絡み付いて……」  
(映画に集中出来ん……)  
余り騒がしいので映画が終わるまで色んな口を塞いでいたら、  
「あ、あァ! きもちいい! ズボズボ超きもちいいですはまずらああァ――――」  
終わるころにはすっかり絹旗は大人しくなっていた。  
だがしかし結局映画には集中出来ずに、  
「次は滝壺でも誘うか……」  
そうひとりごちながら映画館を出た浜面はふと時計を確認して、  
「まだ時間があるな」  
夕方の4時少し前。  
浜面はポケットから携帯を取り出して電話をかけるといそいそとその場を後にした。  
そして十数分後――、  
「は、浜面氏、ぃ……はげし、いっ」  
「は、は……お、俺だって、き、つい……」  
浜面はバックから1人の少女を姦していた。  
 
まるでゲームに出て来る自称くノ一と言ったこの見た目にエロく派手派手しい出で立ちの少女の名前は郭。  
親友の半蔵のおっかけをしている奇特な少女だ。  
以前から面識はあったのだが、何時からこんな関係になったのかは思い出せない。  
ただ誘って来たのは彼女で、  
「半蔵様を落とすにはもっと技術を磨かねば……」  
「あ、そうなの。大変だね」  
「と言う訳で半蔵様のご友人でもある浜面氏には私のスキルアップに協力する義務があるって事で?」  
「な、何で俺が!?」  
「それ以上は言えませんよぉ……もし教えたら私は浜面氏の事を今度こそ、け、消さないっと……」  
「いやいい。本当にもうどうでもいいから喋るんじゃねぇ……つかそのすぐ脱ごうとするのはもっと止めろぉ!!」  
とは言ったもののどうも幸の薄い彼女が忍びないので暇な時に協力していた。  
「でるっ」  
「は……あ……」  
直腸に嫌という程吐き出して今日は修業は終了となった。  
「はぁ……すげー締めつけ……いけんじゃねぇかこれで?」  
「いえいえ、浜面氏は素人だからそう思うんですよ」  
「そんなもんなの?」  
「そんなもんです」  
そんな話をしていると郭が懐から紙の束を取り出しながら、  
「今日はこれ位にしておきますが……次までにこれを憶えて来て下さい」  
「またかよ……」  
前回は48手の春画だった。それはそれで役に立ったが、  
「…………」  
今回は手渡されたものには緊縛春画が描かれていた。  
郭と別れると丁度良い時間となったのでとある場所に赴く。  
「おっす、待たせたか?」  
すると金髪碧眼の人形の様な小学生くらいの少女は首を横に振って、  
「ううん。大体、丁度良い時間だよ。にゃあ」  
フレメア=セイヴェルンとはあの事件以来ちょくちょく待ち合わせをしては一緒に食事をしていた。  
「むぅ……」  
少女の目の前には今日もグリンピースが残されて、親の仇でも見る様な眼で睨みつけている。  
「よし、これが食べられたらいい事してやるからな」  
「う、何でそう何かで釣ろうとするの!? 私は、大体子供じゃ無い!」  
「へいへい」  
そんな感じで食事が終われば、  
「にゃ? にゃあ、あ、に゛、い、いや、あ」  
浜面の腕の中でくねる小さな身体。  
何時からこういう約束になったのか、食事の後のスキンシップが始まる。  
「浜面、今日は、大体最後まで……する?」  
「しねーよ」  
「また私の事、大体、子供扱いしてる。にゃあ」  
「してねーよ」  
その代わりに優しいキスなんかして格好良く少女を施設まで送り届けて、  
「早く姉ちゃんみたいに大きくなれよ」  
 
そう1人呟いてそそくさとその場を後にした浜面は、とある隠れ家を目指して――、  
「きゃっ!?」  
「お?」  
急いでいたせいで誰かにぶつかった。その拍子に相手が倒れてしまった。  
「す、すいません大丈夫っすか!?」  
「いたたた……ついて無いわね今日はフラれてばっか……」  
と引き起した所でばっちり目が合って、  
「「あ!」」  
浜面とぶつかった相手は御坂美鈴だった。  
以前は命まで狙った相手。だがそれに関しては先日きっちりとオトシマエは付けた筈。  
自宅に押しかけて玄関先で土下座。  
それで許されるとは到底思えなかったが浜面にはそれしか無かった訳で、  
「浜面君♪」  
「い!?」  
気が付いた時には腕に手を回されしっかりとしたバストの谷間に肘がすっぽりと嵌っている。  
「今暇?」  
「い、いやちょっと急いでます!」  
声が裏返るには訳が有る。  
「ほんとぉ……」  
「くっ!? ほ、ほんとうっす……」  
ズボンの上から先程の情事の残り香を揉みし抱かれて声がかすれる。  
かくして――、  
「み、御坂さん駄目っすよこん、な……」  
「美鈴って呼んでくれなくちゃ駄目」  
「み、みす……ず」  
「オーケーィ♪」  
真っ暗な公園の草むらで年上の女に押し倒される受難。  
「ごめんねぇ、浜面君、ん、今日もお尻でぇ」  
「うあ、い、きつ……、き、気にしなくていいっす」  
「うん♪ いい硬さ、若いって良いわね♪」  
そんな感じでむしられるだけむしられて、その後はタクシーを捕まえて未練がましい顔を振り切って押し込んだ。  
「はぁ、死ぬ。マジで死ぬ……でも今回は御坂さんだけで助かったぜ……、これに上条さんが加わったかと思うとぞっと……」  
そこで携帯がプルルと鳴って、見れば宛名は美鈴。  
「何時の間に……」  
内容は……、  
「不幸だ」  
お察し下さい。  
まあ浜面なので気を取り直して当初の目的地へ向かう。  
「おう待たせちまったな」  
「……飢え死にさせる気かっての。自覚無いの? 死ねよマジで」  
 
そこにいたのは黒夜海鳥。かつて自らを『新入生』と称して学園の闇を取り戻そうとした能力者。  
以前はパンク風の格好に白いフードコートを羽織っていたが、今はだぶだぶのジャージに素足。  
「ほら飯」  
「……フン」  
黒夜は浜面が手渡した弁当をひったくると貪るように食べ始める。  
あの事件の後こっそりとここに監禁した。  
初めは洗いざらい聞き出してからバラシテしまうつもりだった。  
そんな相手に情が湧いてしまうとは……、  
「なぁ」  
「しつけぇなぁ、私は飯食ってんの」  
「まだ何も言ってねーぞ?」  
「仲良こよしとかままごとふいでンじゃねェぞ。今更光の下なンか歩けるか」  
そこで大体話は終わり、  
「じゃあお前が素直になれる様に今日も頑張ってみっか……」  
「ひひ、やっぱ最後は力づくってやつ? いいね……、いいンねェのォ! やっぱ最っ高にイカしてンよォ浜面くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」  
そんな黒夜の首筋に薬――ただの栄養剤だが彼女はずっと催淫剤だと思っている――を注射して、  
「あ、ひ」  
「感じるのか?」  
入れると彼女は必ず体を縮めてしがみ付く。  
「感じるのか?」  
「ひっはは、自惚れンてンじゃあねェぞ……、だ、誰がお前の腐れチ×コで感じるかっつゥンだよォ……」  
「そうか」  
「あひ、ひ、きゅうん、ひい、いい」  
強がりも大体こうして高速ピストンの刑にかけると、  
「イクっ、もうイクっ、あ、やだ」  
「イクのか?」  
ギュッと目を瞑ってコクコクと頷く黒夜の姿に、浜面は何故か絹旗の面影を見てしまう。  
こうして彼女の意識がぷっつりと途切れるまで姦してから綺麗に清めてベッドに寝かせる。  
「いつかあいつから仲間になるって言ってくれるといいんだが……」  
そんな事を呟きながら時計を見れば、  
「いっけね!?」  
10時を過ぎている事に気が付いて走り出す。  
マンションには滝壺が待っている。  
今朝麦野に部屋を破壊されたからまずは引越して、それから引越し祝いだ。  
「ただいま滝壺、遅くなっちまった!」  
「大丈夫だよ、はまづら。今日は、皆が一緒だから、寂しく無かったよ」  
「いや全然大丈夫じゃねーだろ? おい浜面ぁ、お前私達待たせて何処の女とちちくりあって来たのさ」  
「麦野、ちちくるとか歳がばれますよ? それにしても、確かにバイトのかけもちとは言え超遅い帰宅ですねェ……」  
「あ……」  
呆然とする浜面の背後でバタンとドアが閉じる。  
浜面のスリリングな日々はまだまだ終わりが見えない様子だ。  
 
 
おわれ  
 
 

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