結標は勝ち誇った笑顔で美琴を見下ろしていた。
だがその余裕の表情とは裏腹に、目の前で呆然とした表情を見せる少女に細心の注意を払うのは、その怖さを知っているからに他ならない。
美琴は一種の爆弾と同じ。切断するコードを誤れば大爆発して、そうなれば結標と言えども無事には済まないだろう。
そんな危険を冒しても美琴に……いや上条も含めた2人にちょっかいを掛けた理由は、実は結標自身にも判らない。
じゃれ合う2人に嫉妬した。
とある事件に対する美琴への蟠りは無い……と言いつつも目の前に現れた少女に意趣返しがしたくなった。
上条には助けられた借りもあったし、一方通行(アクセラレータ)を倒したと言う話にも興味があった。だから偶然ここで会ったのも何かの縁、どうせいつかは捨てる純潔を彼に捧げても良いと思った。
と上げ連ねたのは『あくまで』の話で、本心かと言われれば首を傾げざるを得ない。
他にも色々と言い表せない混沌とした感情も有って、結標は内心ぼやいてしまう。
(私ってもうちょっと理性の人だと思ったんだけど?)
少なくとも理性のある人間が深夜の街で男漁り――年下限定――などする筈も無ければ、親しくも無い男女を性的に襲ったりしないのだが。
とにかく結標にとって美琴がどう動くかが問題だった。
一気にブチ切れて襲いかかって来る可能性も考慮して、何時でも反応出来る様に力を込めた内腿が緊張で震える。
(さあ、キレるの? キレないの? どっちを選ぶの超電磁砲(レールガン)!?)
はたして……美琴が瞳を泳がせて逡巡する素振りを見せた時、結標は緊張の糸が切れそうになった。
(やった……、と気を抜くにはまだ早いわね)
それをぐっと堪えて一気にたたみ掛けて行く。
まずは予め狙っていた通りの場所――上条の反りかえった半身に自身の女の証をそっと触れさせた。
ちゅくっと微かな水音と共に結標の背筋に電気が走る。
「あふ」
その刺激にふるっと小さく体を震わせて一瞬戸惑う表情を浮かべそうになるが、直ぐにそれを余裕の笑みで塗り替えて美琴に決断を迫る。
「ほらほらぁ、早くしないと入っちゃうわよ?」
その言葉に美琴が驚いた様に此方を見た。
その一方、結標の下では上条が小さく喘ぐ。
「う、あっ」
そこで結標は、2人を挑発する為に腰をゆっくりと円を描く様に動かした。
「く、う」
苦しそうな声に合わせてぴくんぴくんと少年の腰が跳ねるのが敏感な部分を通して伝わって来る。
「あん♪ 駄目よ焦っちゃ、あ……。せっかちな男の子は嫌われるわよ」
結標が楽しそうに声を上げ……だがこれも実は演技で、入口をくにくにと上条の先端でこじられる刺激に膝から崩れ落ちそうになってしまう。
(ん、痺れる……)
流されたい気持ちが結標の中でグンと膨らむ。
だがここで刺貫かれる訳にはいかない彼女は、上条が無意識に突き上げて来るのを巧みな腰の動きでかわして行く。
これも空間把握の能力に長ける彼女だから出来る事だ。
「ほらほら彼ったら我慢出来ないみたいよ? あんまりじらしちゃ悪いからそろそろ私が頂いちゃおっかなぁ?」
「!!」
その言葉に美琴がギョッとした顔を見せた。
(いい加減諦めなさい)
結標は心の中でそう呟く。
(でないと……う、ん……入れたい……このまま貫かれたい……でもそれじゃあ私の計画が……でも欲しい……入れたい……)
その葛藤を表す様に、結標の奥からあふれる熱いソースが上条自身をドロドロと染め上げる。
あともう少し――一瞬でも遅ければ上条は結標で童貞卒業していた。
だがそんな現実は結局の所存在しなかった。
「(わ、私の処女をあげるわ)」
か細く弱弱しい声だったが、結標は聞き逃さない。
「え?」
ただじらされた分ちょっと意地悪したくなって聞き返してみた。
すると美琴の表情が悪鬼もかくやの形相に変わって、
「私の処女をあげるって言ってんのよこのクソったれ!!」
簡単に沸点を超える少女の姿に結標は苦笑してしまう。
(あの時とは大違いね)
それは美琴へでは無く自分に対して。
今の今まで脅威としか思えていなかった少女がこんなにも小さく見える。
あの時と置かれた状況の違いが大きい、だがそれ以上にあれから結標が乗り越えたモノの大きさが彼女の自信を支えていた。
そんな成長をこんな形で実感する事になるとは……。
(ふふふ。改めて可愛がって上げるわよ子猫ちゃん♪)
「な、何よアンタ? 急に笑ったりして気色が悪い……」
結標の笑みに美琴が僅かに怯む。
そしてそんな彼女に向かって結標は、ゆっくりと片方の手を掌を上にして差しのべながらこう言った。
「正解よ」
「え?」
美琴はその短い言葉に理解出来ないと言う顔をした。
別に頭で理解する必要はない、直ぐに嫌でも体で理解出来る。
だから結標はそれ以上は語らずに行動でそれを示した。
呆然とする美琴を、手招きする様に握りこんだタイミングで服を残して上条の上、自分が正にたその場所に飛ばす。
そして同時に自分をちょっと後ろの位置に飛ばして、丁度美琴と二人羽織りの様な立ち位置とした。
「あ、あれ?」
美琴が声を漏らす。
続いてその体が急に斜めに傾いたので、結標はすかさず後ろから片方の肩を掴んで支えながら注意する。
「気をつけなさい。ベッドとは言え落ちたら怪我をするわよ」
「あ、え、え?」
すると美琴が急にキョロキョロと辺りを見回し始めた。
どうやら自分が置かれた状況が理解できていない様子だ。
するとそこへ、か細い少年の声が少女の名を呼ぶ。
「(みさか……)」
その声に――それが聞えた方に少女が視線を向ける。
「え、なんで……」
その声に美琴の意識が完全に上条に集中したと見てとった結標が動く。
支える方の手と逆の手を、美琴の脚の間にすっと差し込み、
「ちょっと確認させて頂戴ね」
「え?」
そして美琴が呆けている間に、その無垢な割れ目に人差し指を差し込んだ。
「あえ、な、なにっ!?」
明らかに美琴がうろたえた声を上げる中、結標は差し込んだ指をまず下から上へと素早く走らせる。
「ひぃ! んっ」
更に返す刀で上から下へと、今度はゆっくりと肉の凹凸を確かめななぞった。
「んんっ、ん、んぅぅ……んひっ!」
最後に位置口をちょいと指先で引っ掛けたら、思ったよりも美琴が大きな悲鳴を上げたので驚いた。
(何て場合じゃないわね)
結標は反省すると先程悪さをした指を鼻先に持ち上げて僅かな光に照らしてみる。
すると、その指先にはぬめる光がたっぷりとまとわりついて――、
「うん。これだけ濡れていればオッケーね」
結標はその事にニヤリと笑う。
部屋にはもしもの為にとローションも用意――自分が使う為――してあるのだが、どうやら彼女には必要無い様だ。
「な、何がよ……」
股間の刺激かそれともこの先を考えてか、結標を振り返った美琴の声は僅かに震えている。
(ここまでさしたる抵抗も無し……ならこのまま進めさせてもらうわね)
結標は確信を更に強いものとして、美琴の肩を掴んだ手に力を込めた。
「何がって……約束通りに貴女の処女を貰うに決まっているじゃない」
「うっ」
そうピシッと美琴の疑問を切り捨てた結標は、美琴の体……いや腰をある場所に誘導して行く。
「あ、何? 何するのかくらい教えなさいよ!?」
「だからぁ、貴女の処女を貰うって何回言わせるの? もう、あんまり騒がないで頂戴な。折角の雰囲気が台無しになるじゃない……あ、と、っとと……」
喋りながら下を確認すると、上条の股間は未だいきり立ったまま天を仰いでいる。
チラリと顔を見ると、その顔は何だか期待している様に見えたので、
「お、ま、た、せ」
「だから何がよ!?」
叫ぶ美琴を無視して腰の位置を微調整。
「もうちょっとこっち」
「ちょ、ちょっと腰触んないで……あ、え?」
何やら急に美琴が黙り込んだのを幸いに、狙いを定めて少女の腰骨に掛けた手に力を加えて真っ直ぐに腰を落とさせた。
「ひゃん!?」
美琴が変な声を上げて体を跳ねさせるが腰だけはがっちりとキープ。
くちゅという水音が、狙い通りの場所を捉えた事を知らせ来る。
(あともう一息……)
結標はゆっくり息を吐いてから、その腕に力を込めて行く。
「力を抜きなさい御坂さん」
「あ、いや、だめ」
事ここに至って美琴は抵抗の意思を示すが、
「だめよ。約束はちゃんと果たしてもらわないと」
「そん……」
結標がほんの少し美琴腰を下げさせた。
「やめ、て」
怯えて、そして苦しそうな美琴の声。
それを聞くと結標と言えど心が痛む。
(こんな形でごめんなさいね)
だがここまで来て今更止める気などさらさらない。
「ゆっくりだと痛みが長引く『らしい』から一気にいくわね」
「あ、たすけ……」
美琴の喘ぐ様な助けを求める声。しかし、結標は無情にもグンと少女の腰を一気に引き落とした。
「!!」
結標はその時、ぷちゅんと微かな音を聞いた気がした。
美琴は上条の股間に尻もちを突く様にへたりこんでいる。
そのまま待つこと暫し…………………………、
「ふえぇ、いたいぃ……」
美琴が震える声で言葉を漏らす。
どうやら目的は果たされた、だが一応自分の目で確かめておかないと。
(万が一間違えましたじゃ申し訳無いわよね)
結標はそうひとりごちると、失礼して2人の接合部分を覗き込んだ。
「んー……」
首を左右に傾けて薄暗い中破瓜の証を探してみる。
すると、はたして上条の内腿に微かに流れる紅い一筋が。
位置もちゃんと女の子の部分にすっぽりと収まっている。
「よし」
結標は満足そうに頷いてから体を起こして、今度は美琴の顔を覗き込む。
「痛いかしら?」
「へい、き」
「そう言うと思ったわ」
ギュッと目を瞑ってそんな事を言われると抱きしめたくなってしまうのに……。
だがそれは取り合えず自分の役目ではない事くらい結標と言えど弁えていた。
だから抱きしめる変わらにべチンと背中を押してやる。
「きゃっ!?」
予定通り、倒れた美琴は上条の腕の中に倒れ込む。
(これでオッケーよね?)
結標はふむと短く息を吐いて2人を残しベッドを下りた。
そして振り返りもせず手を振ると、
「それじゃあ後は2人で頑張って頂戴ね」
そう言い残して部屋から姿を消した。
後に残された上条と美琴。
2人は繋がったまま重なりあって、そのまま暫く黙っていた。
だが、その沈黙を美琴が破る。
「ね、ねえ……」
至近距離から上条の顔を見つめて美琴が呼びかけると、
「ご、ごめん」
「謝らないでよこんな時……」
「でも俺……」
上条が悲しそうに顔を歪める。
それに対して美琴はと言うと、
「ホントお優しいわよねぇ、アンタって」
ふふんと鼻で笑おうとした美琴だったが、上手く行かずに上条の顔に涙が落ちた。
「すまん……」
上条はいたたまれない顔になって顔を背ける。
すると美琴は暫くじっと上条の横顔を眺めていたが、その両手を少年の胸に押し当てると力を込めて自分の腰を持ち上げた。
「う、ん……」
「お、おいっ!?」
そして慌てる上条をの顔を、涙もそのままに笑顔に変えて覗き込む。
「その気遣いをもう少し女の子の気持ちを汲むのに使いなさいよ」
そこで美琴の動きがピタッと止まるが、まだ上条自身は少女の中に残されていて――美琴の唇の端が悪戯っぽそうに持ち上がる。
そして次の瞬間彼女はすとんと腰を落とした。
「あんっ!」
「うっ!」
2人の声が重なり合う。
そして直後に上条が慌てて、
「御坂お前何――」
そう叫びながら上体を起こそうとする。
だが美琴はそれを片手で制すると、もう片方の手を下腹部にあてがいながら、
「感じるわ」
御坂は自分の下腹部をそっとさする。
『アンタを感じる』
「いいわねぇ……青春って感じで」
それをモニターで眺めていた結標が年寄りの様な台詞を呟く。
そしてそのままテーブルに突っ伏して、
「好みの男の子と女の子の初めてに立ち合えるなんて……はぁ、はぁ」
そんなオカズ代わりにされている等とはつゆ知らず、2人は結標の事など忘れて距離を縮めて行く。
「御坂……」
「(……………………)」
「え?」
「み、美琴って……美琴って私の事呼んでみてよ」
急な言葉に上条は唖然とした顔を見せたが、それは直ぐに呆れ顔になったが、
「は、何言ってんのお前? 前にも呼んだ事あ……」
「何よ?」
上条が急に口ごもったので美琴が不機嫌そうになる。
だが上条は急にしどろもどろになりながら話を納めようとする。
「夢か? ああ、きっと夢だ」
「変な奴……」
悪い空気に上条はオホンと1つ咳払い。
それから改めて見つめ合った2人は、何故か同時に赤面する。
そしてそんな中上条は美琴の名前を口にする。
「美琴」
はたして美琴の反応は如何に……。
「んにゃぁ……」
ぽわんと頬を赤らめて、目は虚ろ、言語も曖昧。更には体をふるふるっと震わせるのは何の意味があるのか。
それに対する上条は、
「お、うそ、しま、しま、く、くくっ……」
此方は此方で美琴の変化を肌で感じている様子。
「くひ♪」
美琴が急ににへらと笑った事に上条は頬を引き攣らせる。
「おい」
そして不安は見事に的中。
美琴は上条を自分の中からゆっくりと引き抜き始めた。
「んっ、ふぅ、うう……」
「お、おいっ」
そしてストンと腰を落とす。
「あんっ!」
「くっ」
美琴が白い喉を見せて体をのけぞらせ、上条は堪える様に体を折る。
「む、無茶すんじゃねえよ」
上条が小さく抗議すた。
だが美琴の方は、骨が抜けた様にフラフラと頭を揺すっているばかり。
「おーい美琴? みっことちゃーん」
「んにゃ?」
相変わらずの言語喪失に、上条は身ぶり手ぶりで彼女の気を引く事に。
目の目で手を振ったり、その手を握ったり開いたり、そんな事をしていると、美琴の瞳に正気が戻って来る。
「ほえ?」
そこから自分の手を見て、自分の体をまさぐって、最後に自分の頬を両手で挟んで、これ以上ない位に赤面した。
「あ、わ、わわわっ」
「?」
急に慌て始めた美琴を、上条はキョトンと見ていただけだ。
なのに美琴は急に言い訳を始める。
「は、初めてなんだからねっ! ほ、本当に本当にアンタが初めてなんだからっ!! 全くあのクソ豚野郎のせいでこんな事になるなんて……」
「は、へ、え、何が?」
上条は呆けた様な声を出した後、涙目になっで押し黙った美琴に話しかける。
「良く判んねぇけどさ……」
「…………」
「痛くないなら嬉しい」
「…………」
「お、だ、だから締めつけんじゃ、あ、やめ」
美琴の報復と言うか返事から辛くも逃れた上条は、美琴の頬に手を伸ばす。
「あのさ」
「何?」
「動いていい?」
「は?」
その言葉の意味を理解するのにきっかり20秒は掛かってから、美琴は頬を真っ赤に染めて顔を逸らすと小さな声で囁く。
「(……エッチ……)」
「男はみんなエッチですが何か?」
「ばか」
その言葉は合図だったのか、上条がゆっくりと腰を動かす。
「あ、ふ」
ぐいっと美琴の体が浮くと、少女は溜息を吐きながらバランスを取る様に体を逸らす。
すると下腹部から鳩尾までの綺麗なラインが浮かび上がって、上条が思わず溜息を洩らす。
「エロい」
「う、うっさい。コラ馬鹿勝手に大きくすんな」
「無理っす」
「も、はじめて、な、んん」
そんな軽口もやがて徐々に少なくなって、2人はリズムを合わせながら愛の営みを紡ぎ合う。
「んっ、んっ、んっ、んっ……」
その姿はさながら乗馬の様である。
「上手く乗りこなしてるわね彼女……いたいけな少女があんなに腰を大胆に……う、ステキだわ……」
結標はモニターの向こうにいる美琴に称賛のつもりでとんでもない言葉を送りながら、その手は相変わらず自分を慰めていた。
「んっ」
美琴の眉間にひと際深い皺が寄ると、上条がすかさず頬を撫でた。
「みことっ」
「ん?」
「感じてるか?」
「…………」
すると返事は下腹部に帰って来たらしく、上条が驚いた様な声を出す。
「うおっ!?」
だがそれは同時に美琴への刺激にもなった様で、少女は急に白い喉を見せてのけ反った。
「きゃはっ!?」
そしてそれを見逃す様な少年では無い。
「あ……」
美琴はニヤリと笑った少年の顔を見て頬を引き攣らせる。
更には今まで特に何もしていなかった上条の手が腰に伸びて来ると、さぁっと表情が青ざめた。
「ストォォォォオオオオオオオオッ――――――」
美琴は何かを止めようと、それこそ拳を握りしめて上条目掛けて振り下ろす。
だがそれより早く美琴の体は頭一つ跳ねあがって、
「ひんっ!」
直後に嬌声を上げて目を白黒させる。
「そうかそうか、みこっちゃんそんなにいいだ」
「は!? ちょ、アンタ何考えて――」
それから繰り広げられら光景は、例えるならお子様用のポニーが、ロデオ用の荒馬に切り替わった様だ。
『あひっ、だめっ、そんっ、ついちゃ、あん、らめぇっ』
「あらあら完全に取られちゃったわねイニシアチブ」
モニターの向こうで振りまわされる美琴の姿に、呆れた様な台詞とは裏腹に結標は食い入るように見入っていた。
だが暫くしてポツリと、
「(……何で私だけこんな場所……)」
そして結標の姿はモニターの前から消えていた。
はたしてその行先は――、
「だらしない顔しちゃって」
「ふぇ……?」
結標に痴態にまみれた顔を覗かれても、美琴は満足に反応出来ない程酔っていた。
「お、おいあんた一体何処から……」
上条が急に現れた結標に不快感を露わにするのに、当の結標はニヤリと笑って美琴の後ろに回り込む。
「おい! 何をするつもりだ!」
「楽しい事よ」
声を荒らげる上条に適当に相槌を打ちながら、姿勢を低くして2人の接合部分を覗き込んだ。
とろっと糸を引いた肉の塊に笑みが止まらない結標は、その位置から手を伸ばすとまずは盛り上がった美琴の肉を撫でた。
「んに゛ゃ!?」
「お、おい、どうした美琴?」
更に行動はエスカレートして、熱い肉棒をその柔肉ごと人差し指と中指で挟んでゴシゴシと擦ってみる。
「ひんっ、あ、だめっ、そこ、こすっちゃ……」
「くっ!? ちょ、おい! あんた本当に一体何してんだよっ!」
「あら凄い反応ね」
ぐちゅぐちゅという水音に結標は心を奪われる。。
嬌声を上げる美琴も、怒りを露わにする上条も彼女には関係ない。
次はその下にぶら下がった袋に狙いを定めて、指を絡めて揉みしだく。
「お、あ、なに、すん……」
上条が刺激に耐えかねた様に内股をビクビク痙攣させて体を跳ね上げ、
「ひあっ、あ、おなかぁ、おなかが、あっ……」
美琴が苦しそうに喘ぎ声を上げる。
「うふっ♪」
結標は笑みがこぼれるのが押さえられない。
このまま黙って彼らが最後までするのを見ていよう後は見ているだけで十分だ――とここを一度離れた時まではそう思っていた。
それなのに、全裸はそのままに腰にふんどしの様な革ベルトを巻いて、更にその股間部分に凶悪な角を生やして来たと言う事は……、
「私も仲間に入れて頂戴ね」
誰に対して呟いたのか、結標は張り型を、予め塗りつけたローションを馴染ませる様に扱いた。
そして手についたそれを、あろう事か上条の後ろのすぼまりに塗りつける。
その行為に上条の体が今までに無く反応した。
「おひ!? ちょ、おいちょっと待ておいっ!? それはちょっと違うだろ!!」
「は、ぞん……つきあげ……たら……」
「おいみこと!? ちょ、そ、そんな場合じゃない!? 今カミジョーさんは処女喪失の危――」
上条は慌てふためくが、美琴が上に乗っかっているので逃げられない。
そして結標はゆっくりと、張り型の先端を持って狙いを定めると先程と同じように一気に腰を沈めた。
「ぐぅ、おぉ……!」
「ひぃ、ぎぃぃ……」
男として有り得ないな所を刺貫かれた上条が苦痛の叫びを上げたのは兎も角、何故美琴まで悲鳴を上げたのか……。
結標は思わぬその声を確かめようと、美琴の体を器用にずらしてみた。
そしてその光景に結標は狂喜する。
「あ、は……すごい……すごいわ美琴さん! ねえ白目剥いてる場合じゃないわよ! ほら! さっさと起きなさい!」
呆けた美琴の頬を叩いて無理やり目を覚まさせると、そんな少女の手を取って彼女自身のお腹に、自分の手を上から重ね合わせて押し付けた。
「ほら、お腹がぽっこり」
「あ、あが、は、は、は……」
そして美琴が苦しそうに息を吐くのも構わず、彼女の手の上から揉みし抱く。
「良いわねぇ発展途上の体って、私も興奮して来ちゃった♪」
もうずっと前から興奮していた気もするが、要は『もっと』興奮して来たという事だ。
「が、あ」
何かに堪りかねて再び瞳を反転させた美琴を見て、上条が猛然と食って掛かろうとする。
「おいてめえいい加減に゛ぃ!? う゛、ぐ、ぐあっ……」
だが結標が緩く腰を動かしただけで、その声は苦悶のそれに変えられてしまった。
更にそこへ見透かした様に結標が言葉を投げかける。
「ほらほら貴方は頑張って堪えないと、彼女が妊娠しちゃうわよ」
「ぎ、あ、なに゛、を゛……」
上条はもう何が何だかという体で、ただただ結標に言われるがその手にギュッとシーツを掴み、僅かに体を折り曲げて堪える様に歯を食いしばる。
そんな上条を深く浅く責め立てながら、結標はまた美琴にある選択を迫るのだった。
「どうする御坂さん? 処女喪失はともかく、妊娠なんてしたら常盤台を退学になっちゃうかもしれないわ。
そうしたら折角貴女に期待して学校に入れてくれた親御さんも悲しむかもしれない……あら、もしかしたら初孫を喜んでくれるかもしれないわね」
「う゛……」
結標の言葉に美琴が僅かに反応する。
そして上条は自分よりも彼女を心配して手を差し伸べようとしていた。
「みこ……」
だがそれを結標が許す筈も無い。
「あら貴方は黙っていて頂戴」
「お゛、お゛」
ぐるりと後ろを貫かれた上条が声も無くベッドにのけ反った。
その後ひと際大きな痙攣が走って、結標にも少年の限界が間近である事を伝えて来る。
それはもちろん深くつながっている少女にも伝わって、
「だし、て……」
「(みこと……)」
うわごとの様な少女の声に、上条が掠れる様な声で名前を呼ぶ。
すると美琴が何度か頷いた。
そして苦しそうに眉間に深い皺を刻むとその目尻からは大粒の涙が零れ落ちる。
「あ、あんっ……あんらのこどぉ……も、はぅ……」
そこまで言ってふらっと斜めに傾いだ処を、すかさず結標が後ろから支え、
「さあ、最後まで言いなさい」
その言葉に美琴は頷いた。
「うんだげる……、だからっ……とうまのこどもは……わたしがうむん゛っ、だからぁ……」
「みことっ!」
上条が悲痛な声で美琴の名前を呼んだ所で、
(もう、妬けちゃうわね)
結標は2人の心の繋がりを弄ぶ様に、予め探り当てていた場所をズンと突き上げた。
「あ゛」
上条の瞳が焦点を失う。
「ひ、ん」
美琴が何度目かの悲鳴を上げてのけ反った。
そして結標はそれらの声を聞いて悦に入る。
(良いわねぇ、覚悟を決めたのに2人……嗚呼、何てステキな瞬間に私は立ち会っているんだろう……)
およそ正気の沙汰とも思えない。
彼女は最初っから今の今まで、2人の愛を常時させるキューピッドになったつもりでいたのだ。
(さあ結ばれなさい)
そして最後の仕上とばかりに、彼女は抱きしめた美琴の胸の感触を楽しみながら更に深く腰を突き上げた。
「「!!」」
上条と美琴が同時に跳ねた。
「で、る」
上条が苦しそうに声を漏らすと、それに応じる様に美琴も、
「きて」
ビクビクっと最後の震えを見せる2人の姿を結標は狂喜の笑みで迎えようとしていた。
だが、そんな彼女の中にピシッと電気が駆け抜ける。
「え?」
それは直ぐに小さな指先の震えに始まり、やがて全身に布に水がしみこむ様に広がって行く。
その感覚は明らかに絶頂の時と同じ。
(く、る?)
しかもその湧き上がる感覚は、今まで感じたどれよりも強く、結標の心を容易く飲み込んだ。
「…………」
震え、硬直し、弛緩する。目の焦点は完全に何処かに飛び、意識もあやふやなものになる。
『ごめ……、あ、おれ、とまん、ね』
『あ、ああ、あ、あ、あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』
側で聞えている筈の声が、まるでテレビの向こうからの様に聞えて来る。
「あふ」
自分が全て仕組んだ事だ。
それが今はどうでも良くなっていた。
(……いい気持……)
ずるずると崩れ落ちながら、今はただこの感覚に流される、それに幸福を感じながら……。
結標は目が覚めた時、ここが何処だか判らなかった。
一時期はよくよく転々とアジトを変えていたから、こんな感覚になる事はよくあったから。
それでもこんな胸騒ぎを感じて目覚めた事は無い。
そしてその胸騒ぎが決して徒労でない事を、結標は直ぐに知る事となる。
「眠り姫が目を覚ましたみたいよ」
「おう、そうか」
その声に首だけ左右に動かすと、右に1人の少年、左に1人の少女がいた。
そしてついでに言う事ではないが、両手が背中の方で後ろで縛られている事にも気が付く。
「んー……」
結標はちょっと考え込んでから、2人に向かって有る提案をする。
「無かった事にするって言うのはどうかしら?」
「「却下」」
「あら残念ね」
結標の夜はまだまだ終わらない様である。