こういった行事に付き合わされるのは何も始めてという訳ではない。  
世界大戦を終えて帰還してからこっち、やれクリスマスだ正月だ花見だと強制的にイベントに参加させられ続けている身だ。  
故に実際に参加するのは始めての経験なれど、今回も彼女が仕掛けてくるであろう事は容易に想像がついていた一方通行である。  
女子供の好きそうなイベントであることだし。  
「トリックオアトリート!ってミサカはミサカは杖を振りかざしながら迫ってみたり」  
なのでそう言いながら駆け寄ってくる魔女っ子コスプレの子供に用意しておいた菓子を投げつけてやる。  
かなり露出度の高い、どうみても乱して楽しむ用の魔女服に身を包んでいた打ち止めは受け止めた菓子を見つめてきょとんとした。  
「あなたが用意してくれてるとは思ってなかったかも、ってミサカはミサカは……折角悪戯考えてきたのにどうしよう」  
そんなことだと思った。そうはいくか。一方通行は浅はかな子供を鼻で笑って、  
「……トリックオアトリート」  
「へ?」  
「だァから、トリックオアトリート」  
「え、え、え?あなたもお菓子欲しかったの?ってミサカはミサカは用意してなかった事を申し訳なく思ってみるんだけど……、ふにゃっ?!」  
想定通り貰うことしか考えてなかったらしい子供を取っ捕まえて引き寄せる。お菓子が無いなら悪戯だ。  
彼女の幸せを願う身としては、こういったイベントをきちんと悦しませてやる為の努力を惜しむ訳にはいかないので。  
「ふぁ。や、ぁ……っ、んひっ」  
というわけでコスプレ衣装を本来の用途通り活用して丁寧に悪戯しつくしてやった。  
魔法のステッキに振動機能がついていたのは予想外だったが、使ってみればなるほどなかなか楽しめた。  
「や、杖やだぁ……あな、た、がい、のっ!ってミサカは、ミサカはぁ……ぁんっ」  
ねだられたので希望通り、ひんひん仔犬みたいに可愛らしい鳴き声を上げる子供の小さな腹が一杯になるまで注ぎ込んでやる。  
 
 
「ぎゃは。現場押さえちったー♪」  
ぴろりーん♪という気の抜けたシャッター音と共にカメラを構えた番街個体が乱入してきたのは、くったりした打ち止めの背を撫でて宥めてやっていた時だ。  
「第一位がここまで変態だとは流石のミサカも思ってなかったなあ。ぶっひゃ、この写真ばらまいて表歩けなくしてやるから覚悟しといてよ!」  
笑い転げる番外個体を見て、膝の上の打ち止め(半裸)がぷぅっと頬を膨らませた。  
「悪戯はトリックオアトリートって言ってからなのに、ってミサカはミサカは不満を口にしてみたり」  
イベントの様式美というやつは彼女にとってかなり重要であるらしい。  
なるほどと思わなくもなかったので、一方通行は肝心の定型句をすっ飛ばしていきなり悪戯に走った不届き者を取っ捕まえた。  
「え、ちょ、何すんのミサカは別にハロウィンとかそんなつもりじゃ……」  
何やらごちゃごちゃと言い訳をしていたが聞く耳持たず、さっさと言えと要求する。何気に押しに弱い番外個体はしぶしぶ口を開いた。  
「と、とりっくおあとりー……ふごっ?!」  
お仕置きもかねて問答無用で口に飴を突っ込む。一気に奥まで入れたのでかなり苦しそうだったが、まあ大丈夫だろう。  
番外個体がイベントに参加したのが嬉しかったのか、打ち止めはひょこひょこ近付いてくると目をキラキラさせる。  
歩き方が多少ぎこちないのは悪戯に気合いを入れすぎたせいだろうか……などと思っている一方通行をそっちのけに、彼女は口を塞がれ暴れる番外個体に手を差し出した。  
「トリックオアトリート!ってミサカはミサカはお菓子も欲しいし悪戯もしてみたい本心を隠しながら要求してみたりー」  
どうみても隠せていなかったが突っ込まないのが花だろう。代わりに番外個体の口に突っ込んだ飴を出し入れしてやる。  
「ふ、んっ!………っ!ぉぐっ!」  
口を塞がれている番外個体に答える術はなさそうだ。無視された形になるが、打ち止めは別段落ち込んだ様子もなくにんまりと笑う。  
「ん!ん!ふぁ、ぐ!」  
「お菓子をくれないなら悪戯だー!ってミサカはミサカはこしょこしょこしょ!!」  
「……ってオマエ、考えてきた悪戯ってこれかよ」  
「っ!!? ん、ぐ―――っ!?」  
子供らしい他愛ない悪戯に拍子抜けした一方通行だったが、番外個体にとってはそれなりの破壊力があったらしい。  
頭を固定されて口を塞がれた状態で思いきりくすぐられ悶える番外個体。すでに息も絶え絶えだ。  
一方通行は休みなく飴を出し入れしながら、番外個体の持ってきたカメラを操作する。  
彼女に菓子はやったので、これで悪戯はチャラになる筈だ。なので遠慮なく保存フォルダを開いて先程の画像を消去した。どうでもいいが結構そそる構図だった。  
「ん――!!んぅぅ――!!」  
「こちょこちょこちょー、ってミサカはミサカの追撃モード!」  
彼女たちがこうしてイベントを楽しむなど少し前までなら考えられなかったので、些か感慨深い。  
「ねぇねぇ、あなたは?ってミサカはミサカは聞いてみる」  
「アー……、トリックオアトリート」  
だから、期待した眼差しを向けてくる打ち止めに付き合うため、一方通行は形ばかりの選択肢を番外個体に投げ掛けた。  
どうせ彼女は答えられないしそもそも菓子すら用意してないだろう。さて悪戯は何をすべきか、と一方通行は少しだけ迷って、  
「あァ、イイモンあるじゃねェか」  
「? カメラなんてどうするの?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」  
「んぶ――!ぅうう!!!」  
それなりに面白い事になっている番外個体にフォーカスを合わせて、シャッターを押した。  
 

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